粟田口・卯菴


adrress東山区三条神宮道(粟田口)中之町194−6
call075(531)3115
open/day
open/night17:00〜23:00
off火曜日
capacityカウンター
座敷
memo夜のお任せ10000円から
impression 2005年3月12日
岡崎での帰りの晩ご飯はおきまりの「寸居」。今日は「大原」が休業だそうで、スタッフも余裕があるようで、山本君が粟田にやってきてくれていた。先日「先斗町」にいなかったのは、新婚旅行だったそうで、明日は披露宴でお化け(仮装大会)をするそうだ。おめでとさん。
温かいお茶をまず頂いて、胃が暖まって、食事を始めて貰う。献立は
  • 先付けが、焼き目の帆立、くるま、菜の花、タラの芽、木の芽、ゼリー酢
  • 海老真蒸、ハマグリの椀、ウグイス菜、木の芽
  • のどぐろ、焼き目の生鯖、ウニ、葉ワサビ、花穂紫蘇、ワサビ醤油
  • 鴨・タケノコ。百合根のうすい薄かけの三宝柑釜
  • ぐじの塩焼き、焼きタケノコに木の芽味噌、焼きうずら、ふきのとうの焚いたん、一寸豆、卯庵寿司
  • 細打ちの長芋のスモークサーモン巻き、鯛の白子餡、ゼンマイ、防風、酢蓮根
  • 稚鮎、うるい(茎と葉)、コゴミ、ふきのとうの天ぷら
  • ハマグリ雑炊、香の物
  • ミカンとグレープフルーツのゼリー寄せ
鈴木治氏の青磁の杯で「松の司・大吟醸・2004年醸造・雄町40%・熊本酵母・限定600本」だ。
春らしい味わいと香りの先付け。坪庭に降る雪を見ながらのお酒は、気分がよろしい。
今年はまだハマグリの料理を頂いていなかったと気づく。日本料理の出汁の基本は、昆布と鰹だが、それ以外では、「まる」と「ハマグリ」が格別の好み。海老の真蒸は玉子の香りと合わさってこれも良い出来。
珍しいノドグロをお造り。
黄色い三宝柑に緑の餡が美しい。赤い丁字がポツポツとまた可愛い。思ったほどウスイの香りがないのが残念だ。鴨のガンは相変わらず旨いし、しゃきっとした賽の目のタケノコ、ゆり根と食感も楽しい蒸し物だった。
油滴天目の器に焼き物盛りだくさん。骨までポリポリ食べちゃえるウズラが好き。タケノコは短冊に切って木の芽餡を載せて、タケノコの皮に巻いて焼く。中の短冊タケノコは蒸し焼き状態。
サーモンの巻物はまぁよくある。しかしそこに白子を掛けてしまうとは感心してしまう。ふぐの白子から鯛の白子へ季節が変わっているというのが感じられる一品。スモークの塩加減と白子の旨味が微妙だ。ただ醤油に浸されているのが不要に思う。淡い味わいが醤油の香りで一気に飛んでしまった。
氷魚も一日たったら稚鮎に成長したって事だ。山菜と合わせて天ぷら。塩で頂くが、むちゃはあまり好まない。
今年は「ハマグリを食べていない」と言ったのを、女将が山本君へ伝えて作ってくれた(?)としておきましょう。
最後におめでとうを言おうと思ったけど、先斗町が忙しいらしく、すでに店を出ていた。
壁際に妙な木が掛けてある。女将は11面観音の頭のウエの小さい頭だというのだが、カウンターで話を食事をしていたので、要領を得なかった。目が悪い。近くに行くと、確かに頭だ。頭を据え付ける台座が流木のようで、それを仏像の頭と言い張っていると勘違いしていた。本当の頭はどこへ行ったか判らないそうだ。

2004年10月30日
やまない雨の中をとぼとぼ人気のない住宅地の中、なじみの「粟田口」に向かう。
短冊を装丁した扁額は「名月や大千世界に際は無し(久松真一)」でしたかな。その前のカウンターに座る。女将とトシ君がお相手。
  • 胡麻豆腐
  • 土瓶蒸し
  • お造りがトロ、ひらめ
  • 鯖のお寿司
  • 炊き合わせ
  • 八寸
  • 松茸とほうれん草の和え物
  • 天ぷら(松茸、雲子、枝豆)
  • へしこ茶漬け
  • 洋なしの甲州煮
まずはきりっと冷えたお酒を出してもらう。めでたく「利酒師」に合格したトシ君が選んでくれたのは「英勲・ひやおろし」だ。
塗りの高坏で出されたのは胡麻豆腐。緑色の枝豆の餡、イクラ、ワサビに栗チップ。イクラの塩加減が胡麻豆腐に混じるのですが、ちょっと好きじゃない。(とはいえちゃんと食べる)。漬けとはいえ生の魚卵と精進な豆腐とあわせるはどうも食べる前からどうも好きじゃない。まぁ、ウニだったりしたら、喜んで食べちゃうわけで、好みはいい加減なもの。
冷やしてもらっていた「松の司・AZOLLA」にする。
椀替わりの土瓶蒸しは、鱧に三つ葉。シンプル。丹波産らしい?
お造りは、トロのマグロにひらめ。マグロには大根おろしが載せられている。むちゃには「ブリの刺身は大根おろし」でが定番なので、違和感はないけど、ちょっと水っぽくなる。ヒラメはワサビ醤油。
いつもの蒸しの「笹寿司」ではなく、鯖の握り寿司。軽く〆た鯖の皮を炙って寿司飯に載せたん。ショウガが天盛り。
この店で「大明嘉靖年製」という器を見ると本物(?)と思ってしまうのだが?。八木一夫さんも「うづき」がお茶屋から料理屋に変わった当時は鈴木治さんとよく来ては、こむつかしい「芸術論」を語ったいたとか女将から聞く。作家さんのぐい飲みがカウンターの後ろに並んでいるだけに、余計に器が気になる。
さてそんな器の炊き合わせは、京にんじん、小芋、南京、隠元、えび。あんかけだ。
天目の大皿で八寸。ウズラの焼き物に大根の焚いたん、ぐじの焼きモン、衣かつぎ、煮栗。ウズラの足もそのままに醤油のつけだれで焼いたもの。たれが大根にかかる。
薄く切った松茸に鷹峯のほうれん草の和え物。
天ぷらで、松茸、雲子、枝豆の寄せたん。飾りは「みのり揚げ」という稲穂の揚げ物。お米がはじけて、花が咲いたようなポップライス。ちゃんと稲穂に残るように揚げるのが難しいそうで、半分くらい落ちている。美味しいとか旨いとかいうものじゃないけど、楽しい食べ物。旨いのは「雲子」。ねっとりと籠もった味。塩。
最後のご飯は、へしこ茶漬け。おかわり。
女将の新潟の親戚さんもご無事だったそうでなにより。


2004年4月10日
夕ご飯は、「粟田」の「寸居」に席を取っていた。女将と俊成君がお迎えだ。で、今日のメニューは
  • よもぎ豆腐、雲丹、
  • 椀は鯛の白子の真蒸、雲丹、鶯菜、紅白、桜、木の芽
  • お造りが、鯛、生タコ、防風、ワサビ
  • 卯菴寿司(柴漬けまぶしの穴子の笹巻き蒸し寿司)、炙ったのびる
  • 鴨の丸入り百合根まんじゅうにタケノコ、菜の花の炊き合わせ、木の芽
  • 八寸は、タケノコの木の芽田楽、甘鯛の焼き物、稚アマゴの素揚げ、こごみも素揚げ、沢ガニも素揚げ、海老・鮑の木の芽味噌、茗荷。百合根、空豆、すだち
  • 揚げ物は、稚鮎、手長海老、蕗の薹、タラの芽、うど、こごみ
  • 梅・湯葉の雑炊
  • 苺にグレープフルーツのシャーベット
廊下の奥に姿見の鏡のある部屋に洗顔できるスペースがあるので、花粉を洗い落として、カウンターに着く。
お酒は一澤の鞄の中にあってお荷物だった「田酒・純米大吟醸」だ。
緑の濃いお豆腐。ワサビとか茗荷とか花穂紫蘇とか薬味も雲丹と一緒に豆腐の上。加減酢のゼリーも散らされて、いい彩りだ。
波にウサギの柄の深緑の色漆のを取ると、いっそう鮮やかさをました椀。季節らしく、桜の花まで使っている。ちょっと塩抜きが足りないかな?。
薄造りにするのが生タコの包丁の入れ方と思っていたけど、タコブツよろしくぶつ切りにいて、細かく包丁を入れる。なるほど、なるほどという仕事。
お馴染み卯菴寿司。あしらいが軽く炙ったノビル。
焼き物の入った八寸。ご主人の作陶による備前の器ででてくる。筍の皮を器にアワビと海老が入っているが、この木の芽味噌と筍の田楽が重なっているのは、工夫が欲しいところだ。
揚げ物も春めいた構成。やはり山菜は天ぷらになっちゃうけど、季節は白魚から稚鮎へと移っている。小さいながらも苦みはしっかり。
お茶漬けか雑炊が選べるので、雑炊にしてもらった。フワフワのくみ上げ湯葉たっぷりに梅。錦の「麩房」さんの湯葉だそうだ。
いつもながらのグレープフルーツだけど、ちょっと一工夫。

昨晩、女将は先斗町のお店にいたそうだけど、差し込みのお客でこの日記の読者から「よろしく」との伝言を受ける。

最近俊成君が「利き酒師」を目指しているらしく、「晃庵」のマスターに師事しているらしい。で「田酒」の評価を聞くと「綺麗な酒ですね」だけとは、不合格ですわ。


2003年11月8日
夕ご飯は、おなじみの「粟田」のお店。 若女将は東京だそうで、お出迎えは先斗町にいるはずの女将。トシナリ君もいる。名古屋からの先客がいて「うつくしいものを美しいといえるあなたの心がうつくしい」の「みつを」の額がかかるカウンターの端。この親子3人連れ、このためだけに名古屋から新幹線で来たそうだ。
今日の献立は
  • こっぺかに
  • 八寸に、牡蠣の薫製、衣かつぎ、ゆり根チップス、銀杏、酒の千枚漬け巻き、子持ち鮎の有馬煮
  • カワハギの薄造り、肝醤油
  • 菊花カブラの椀、ウグイス菜、にんじん、へぎ柚子
  • 卯庵寿司
  • あわび、鴨まんじゅう、えび芋、にんじん、だいこん、ほうれん草の炊き合わせ、へぎ柚子
  • ぐじの焼き物、すだち
  • 生湯葉、わさび
  • 雲子と豆腐の小鍋
  • へしこ茶漬け
  • ラ・フランスの甲州煮、ラ・フランスのシャーベット
お酒はお約束の「米鶴・大吟醸雫中取り・平成15年度全国新酒鑑評会金賞受賞酒・山田錦精米歩合35%・山形1601酵母だが、「松の司・樂」が置かれるようになっている。先斗町でもお酒を増やしたそうである。
確か昨日がかにの解禁だったはず。早速出てきました。
銀杏とチップスは暖かいのをいただきたい。パリパリのはずのチップスが湿気っていますわ。
てっさのように薄造りを皿に敷き詰めたお造り。中央にぷりんぷりんの肝。醤油に溶かして「肝醤油」にする。とっても旨いのですが、肝醤油にするなら、すり鉢であたっておいて欲しいですわ。箸で肝をつぶすのは、見栄えがよくありません。それでも凄いのは、包丁の冴えでした。
カブラを菊の形に切り出す。上下二つに割って、中にえびを隠す。カブラを主役に、鰹を押さえた出汁が淡い。その分昆布はしっかり味わえる。菊の花弁が二つ、色合いも見事でした。
すっかり定番の卯庵寿司は、穴子の笹巻きずしを蒸したん。中の寿司飯に柴漬けたっぷりで酸味が穴子の脂と溶け合って、むっちり。先斗町でも大原でも出てくるようで、名物になりそうですわ。
炊き合わせでは「えび芋」旨し。味がしっかりしみこんでおります。一方アワビは、柔らかさがなくて、いまひとつ。いつ食べても、ここの鴨のお団子がすばらしい
。 ぐじの焼き物は一工夫。「ぐじの内臓の塩辛」という珍味が存在するそうで、それを焼いた身に添えてあるんですが、確かに塩辛という塩梅。珍しいけど、普通がいいや。教えてもらったのは飛び切りの「若狭物」を扱う店が三条近くにあるそうだ。
生湯葉はそのままの愛想なし。
小鍋立ての雲子は、いったん天ぷらにしてから鍋に入れてあって、これも一工夫してある。鍋の出汁が美味しいので呑んでしまうけど、ポン酢で頂くのは台無しのような気がする。
最後のご飯は、前にもいただいた記憶のあるお茶漬け。お代わりもできるようだが、十分でした。三つ葉とワサビだけのシンプルな茶漬け。
デザートはちょっと改善の後があって嬉しい。今年は、まだ、洋なしを(ケーキ以外で)食べていなかったわ。
今日包丁を握っていたのは、まだ若い堀口君だそうだ。最後はちゃんとお見送りに出てきたけど、京都和久伝から移ってきたそうだ。今一部のライターが注目の緒方君の店やね。


2003年6月7日
「美濃吉」のご立派な本店の横を抜け、夕御飯は、お決まりの「粟田口」。ちょうど、「打ち水」にでてきた一重の若女将に会う。
今日の掛け軸は「好古」の文字。さて、予算を聞かれる事もなく始まったお料理は
  • 枝豆豆腐、ウニ、枝豆、わさび
  • お造りが、スズキ、焼き鱧、よこわ、細打ちした茗荷・南京、蓮根、ながいも
  • 椀は、鱧真蒸、はも、すりおくら、梅肉、木の芽に青柚子
  • お凌ぎに鱧寿司、はじかみ
  • いちぼのロースト、クレソン、とろろ、白髪ネギに茗荷
  • アワビに芋タコ南京の炊き合わせ、隠元も、木の芽の香り
  • 竹筒に流し込んだ豆乳
  • 湯葉鍋、甘鯛、ウニ
  • へしこ茶漬け
  • 杏のシャーベット
だ。お酒は「富士千歳」の「しぼりたて」。何でも先斗町ではお酒の種類も少し増えたようだが、ここは変わらない。若女将が選んでくれたお猪口は「竹中浩」さん作だそうだ。
ざっくりと切られた緑のお豆腐は、まだ香りの弱い枝豆豆腐。載ってる枝豆もまだ小さい。とにかく今年初めて食べた枝豆である。ウニは不思議と京都より大阪の方が旨いようだ。
脂の乗ったヨコワを頂いた後は、鱧と鱧真蒸の椀。刻んだ鱧が真蒸に仕込まれてます。すり身も鱧でしょうか?
二切れだけ出てきた鱧寿司。嬉しい。むちゃは、「おとし」や「しゃぶしゃぶ」や「焼いたん」よりなによりこのお寿司が大好き。粟田の料理は、大原の吉村君が担当しているらしいが、山本君のお寿司の方が少し好みだ。
先月頂いた穴子の笹で巻いたお寿司は「卯菴寿司」とTVでも紹介していたが、大原名物の柴漬けを混ぜ込んだすし飯。「柴漬け」はいろんな店のを使うようだが若女将のお気に入りは決まっているようで、それは小さいお店のモノらしいが、名前も忘れちゃうぐらい小さいらしい。
TVの時の若女将は絶不調だったそうだが、今は生涯で最高に元気で健康だそうだ。京都に面白いクリニックがあるとか、興味深い話を聞く。
焼き物は牛の「いちぼ」のレア。微妙な和風のたれに、長芋のおろしで、立派な日本料理に仕上がってます。
炊き合わせには、うすく葛仕立てになっているのでしょう。
京都では「竹」に流し込んだ水羊羹が売っているが、その風情で出てくる竹はガラスの器に氷を敷き詰めた上に乗って出てくる。豆乳の中には、ジュンサイと梅肉が忍ばせてあったが、飲んでいていきなり梅肉が出てきたりするのは、工夫の余地があるでしょう。一口で飲んでしまえば良かったのかな。
大きい真鍮の器に出てきたのは、湯葉を使った鍋。湯葉は「溶き卵の中華スープ」のように鍋の中に細々とたっぷり。焼いた甘鯛の身とウニにヨモギ麩が泳いでいる。意外にも「中華料理」もお得意であることが分かった若女将だが、麻婆ちゃんに使っても、どう食べても美味しいのが「千代豆腐」という宮川町近くでうっている豆腐だそうだ。ついでにその近くで作っている味噌も美味しいらしい。今度探してみよう。
とっても酔っぱらっていて、三条まで酔い覚ましに歩くが、電車の中ではしっかり寝ることになった。
2003年5月4日
三条通りを歩いて、一筋南へ入り込めば、いつもの「寸居」。これまたいつものカウンターへ。折敷はなつらしく、すのこ。今日はご主人がカウンターでお相手です。床の間には禅語の「明歴々」の言葉。カウンター奥には井上靖揮毫による「養之如春(これをやしなうははるのごとし)」がかけられている。大原のお店の号「如春」の由来だそうだ。
  • 蒸しアワビの肝合え、ごま豆腐、うすい、一寸豆、防風
  • ばちこ、唐墨大根、このわた、小鯛の笹巻きずしに茗荷
  • 鯛の白子の真蒸、わらび、はなびらうど、木の芽
  • まぐろ、鯛、うに
  • ぐじの焼き物、オリーブオイル、クレソン、のびる、グリーンとホワイトのあすぱら
  • 炊き合わせは、ゼンマイの信田、小芋、鯛の子、三度豆に木の芽
  • ゆり根の蒸しもの、ウスイの餡かけ、底には鴨
  • 穴子の笹蒸し寿司、
  • 鯛のあら炊き、木の芽たっぷり
  • へしこのお茶漬け
  • イチゴとパパイヤのシャーベット
お酒は、いつもの「しぼりたて」。猪口は後ろの棚に並んだものから「清水卯一」さんのを選んだ。
粟田のお店が復活して直後以来1年以上がたっての訪問。以前とは器がかなり変わって、器の話も盛り上がるところ。先付けの「萩」から、「伊賀」、「永楽」と楽しませてもえらえます。
酒の肴がつづいて、お酒がすすむところ、自重できない珍味が並ぶ。
明石の天然の鯛、旬の桜鯛、刺身だけでなく白子、真子、アラまででてくる。とりわけ白子の真蒸が旨味たっぷり。最後のでてくるアラは、むちゃには甘みが強すぎましたが、魚好きにはたまらない部分。大原では「茶懐石」故、禅宗の倣いに従って、骨のあるものは出さないとか、もったいないですな。まぁ殺生を禁じる仏教で骨のあるものがでること自体、おかしいと言えばおかしい。
焼いたぐじには、ちょっと工夫した(という口振りの)オリーブオイルがかけられ、イタリアンな雰囲気も感じられます。名残のシーズンで脂分を補う効果もあるんでしょうか?女将とイタリアに行った話を聞くけど、イタリアではおいしい料理に出会えなかったそうだ。
先斗町でいただく「鴨の丸」ですが、卯庵では、滋賀の方でフランス産の鴨を養殖している所から仕入れているらしい。今日もちょこっとでてくるけど、ジュワと旨い。ゆり根だけなら、なんとない一品ですが、こういう仕事が食べててもうれしいところ。
最後は、湯葉・タケノコの雑炊とどちらがいいかと聞かれて、お任せしたのが「へしこ」。「鯖のぬかずけ」ですが、山葵せいもあってか、塩気が強いぐらいで、癖はあまり感じられない。ズルズルと食事が終わる。
先斗町に居た息子君がタイワで調理師の勉強中だそうだ。2代目になる気になったようやね。
2002年2月23日
まだ調子が戻りきらないのが、ごはんを食べに行く。四条から八坂神社・知恩院脇を抜けようとして、迷子になる。暗闇の円山公園を散歩する羽目になった。なんとかたどり着いたのは「寸居」。変わらない佇まい。お懐かしい半泥子の雛人形の掛け軸、花入れには椿と梅がお迎え、今日は麻衣子ちゃんもお出迎え。久しぶりのご挨拶を交わして、「富士千歳のしぼりたて、にごり酒」を頼みます。「にごり」は体に合わないけど、ついつい頼んでしまいます。とろとろで口当たりは甘味が勝ったお酒ですが、思ったほど甘味が残らなく、くどくなく、良くできたお酒です。いつもの「大安吉日」の折敷ではなく、朱塗りに松の絵。黒塗りのカウンターには朱が映えます。さて今日のお任せの内容は
  • 突き出しには、えび、厚焼き、空豆、小魚?、木の芽 
  • 椀が、ぐじ、板人参、こごみ、松葉柚子
  • お造りが、ぶり、ひらめ、さより、防風、より大根、南京の細打ち
  • 炊き合わせに、あいなめ、湯葉、花菜、木の芽
  • 焼き物が、諸子、筍、付け合わせに、蕗の薹、香り付に木の芽、酢味噌と木の芽酢
  • 雲子・ポン酢・一味唐辛子・穂紫蘇
  • 揚げ物が、あわび・タラの芽、塩、すだち
  • 湯葉雑炊、香の物
  • グレープフルーツのシャーベット
この日は、厨房には山本君が一人のようで、出てくるのが遅い。仕込みも先斗町でしていたという話だ。しばらくは難しいシフトで落ち着くのはまだまだ先でしょう。
お椀には、山本君の拘りのグジ。その性か、出汁が極めて淡い。ぐじに対する思い入れのあるお味として許容しておきます。黒塗りの椀に金で模様が入って、龍がそれとなく描かれてますが、キレイ。
お造りの器は四方鉢で、外側にはこれも龍が描かれている。大明嘉靖年製と裏書きされている、本物だとしたら、16世紀、日本では室町だな。赤絵で有名な万暦の一つ前の年号だ。先斗町より良いのを使っているようです。
赤に金で模様が描かれた磁器はクタニだろうか?炊き合わせの旨煮の鮎並の出汁は旨味たっぷり。それも含んだ湯葉も旨い。花菜に木の芽もあるめいた趣向で気に入る。
昨年なら、カウンターの前で焼いてくれる諸子も、今日は厨房で焼かれて出てくる。カウンターの客の目の前で焼く店が増えている中で、復活して貰いたいものです。これも漆で、平皿ですが金彩が美しい。
酢の物には雲子ポン酢。てんぷらで供するお客もいましたが、この雲子なら、どう料理しても美味しいでしょう。
籠に盛られてきたのは、揚げ物。アワビを揚げたのを食べたのは始めて。先月も食べた、湯葉雑炊は出汁がシンプルになった。やっぱり出たシャーベット。持ってきたときにナナちゃんが笑っていたのが、意味深だ。
今宵は、大原の夜の営業で、厨房には山本君、麻衣子ちゃんとナナちゃん、それに今日始めて粟田口で接客するというイナミちゃん。緊張して言葉も堅い。先斗町が案外片づくのが早かったというので最後は憲子さんもやってきて、懐かしい顔ぶれの勢揃いだった。大原が夜の営業をしないときは、主人の義郎さんと大原のカオルちゃんが来るという話だった。でも今日のような日は、先斗町の厨房は若い3人で賄っているらしく、心配してはります。
昨日の先斗町は、粟田口再開に合わせて、2階の座敷は落語会を催していてと言う話。どうも麻衣子ちゃんが、弁当とお酒を持ちながら落語を聞きたいという思いつきらしく、素人の落語家さんを呼んで、取りあえず知り合いを集めて盛り上がっていたらしい。今後も続けたいとか。詰め込んで30人くらい入れるらしい。
2002年2月22日

再開です


2001年3月24日

夕食はお決まりのコース、「粟田口・卯菴」です。この季節の掛け軸は日本画家「戸田勝久」氏の画による「酔客見立ての義郎氏(ご主人)」に蕪村と又平の短歌が賛としてとして書かれているもの。一年ぶりの再会。本日の献立は

  • 赤米のお酒が先ず出て
  • 鳥貝、車エビ、タラの芽の酢味噌和え
  • 穴子寿司には、酢取り茗荷
  • 椀が、アブラメ、ヨモギ麩、こごみ、ウグイス菜
  • 向付が、甘カレイ、サヨリ、赤貝、ひも、肝、より大根、防風
  • 蒸し物が銀餡の百合根まんじゅう、中には鴨のソボロを仕込んで、摺り山椒に青菜
  • 焼き物は、諸子とばちことを、目の前で焼いてもらって木の芽酢で
  • 汲み上げ湯葉、海胆のせ、花山葵があしらいで摺り山葵
  • 稚鮎のてんぷら、蕗の薹のてんぷら、粗塩
  • 御飯・ちりめん山椒・香の物・止め椀が味噌汁
  • グレープフルーツのシャーベット
で、お酒は「加賀鳶・山廃仕込み辛口(使用米:山田錦25%・五百万石75%)」で通します。 いきなり、穴子寿司でビックリするが、四条のデパートの地下で、穴子寿司に舌なめずりしてしまったぐらい、今日は縁がある。蒸し穴子を1匹使った寿司でとろりと口の中で溶けていく柔らかさ。思わず、お持ち帰りで作って頂く。女将は「アマガレイ」というけど、なんなのか聞くのを忘れた。「マコカレイ」かな?縁側も美味。百合根まんじゅうは、百合根本来の甘味だけでも、上品なお菓子のようだ。今月も、火をおこして女将が焼いてくれた「諸子」は子持ち。淡白な味わいに木の芽酢がいい。むちゃの家では酢味噌だが、生姜醤油もある。でも木の芽酢の方がお上品。湯葉の濃厚な味わいと海胆の甘味と山葵の辛みと香りが、たまらない組み合わせです。白魚くらいの大きさの稚鮎は、淡白で、塩の香りにも負けるほどの味わい。蕗の薹の苦みとの組み合わせも嬉しい。
さて、「粟田口・卯菴」は3月末をもって、移店の為、閉店。寂しいネェ。岡崎に寄れば、ここと決めていただけに、これからの店選びが苦労します。ナナちゃん卒業で、卯菴に就職、おめでとう。

2001年2月2日

もっといい感じと思えるのは「粟田口・卯菴」の玄関です。玄関を入ると、餅花と羽子板のお出迎え。坪庭横のカウンターの前は、寛永の三筆・烏丸光広の手紙を装幀した掛け軸。講釈を受けようとするが、女将も詳しくは分からないようだ。内容を聞きたがるむちゃのような客がいるので、読み下しのレポートがある。読めれば格好いいですなぁ。
  • 口取りに「赤米のお酒
  • 前菜が「蒸し牡蛎(殻付き)」「このわた」「菜花」
  • 水引の柄の椀が、すっぽんの粟麩まんじゅう、芽ネギ
  • 乳白色の青磁に盛られたのは、穴子の薄造り、アサツキ、おろし、防風、ポン酢
  • 諸子の炭焼き、木の芽酢
  • 凌ぎに、塩風味大豆入り焼き餅
  • 蕪蒸し、山葵
  • アワビを船に見立てた意匠の古めかしい漆器に盛られたのは、まる雑炊、香の物
  • グレープフルーツのシャーベット
赤米のお酒は、京都?の伊根町で醸されたらしいが、香りからするとワイン酵母かな。ちょっとアルコールが高いので食前酒で出して人気だそうだ。お酒は「加賀鳶」だ。赤米より日本酒の方に力を入れて欲しいが。椀種の粟麩饅頭であるが、すっぽんの香りより、粟麩の香りが強い。お出汁は、生姜の香りも利いた「沢煮仕立て」で美味。お腹の中から暖たたまる。思い出す限り、穴子を生で食べるのは始めてだ。ナナちゃんが、カウンターの目の前で焼いてくれる諸子を木の芽酢で頂く。琵琶湖育ちのむちゃにとっては、オヤジが釣ってきて、皿に点呼盛りで出てくる雑魚であったが、食べたのは3年振りかな。まだ腹子が育っていなくて小さいけど、嬉しい香り。腹子が育った丸々したモノになると1匹700円もしたらしい。琵琶湖も貧しい池になりましたわ。憲子女将が自画自賛する蕪蒸しは、ねっとりした舌触り。繋ぎに卵白かな。でも蕪の香りがいいし、素材に自信があるせいか、木耳と百合根が1切れ程度で蕪の邪魔をしません。蕪の下には若狭の「ぐじ」。蟹が出てきたのはビックリですが、季節もんですねぇ。これも若狭から来る「かつぎ」の品物。数ある雑炊でも、一番は「まる」と改めて思う。廊下まで寒々とした天候ですが、まるのおかげでポカポカ。なのに最後はシャーベット!ちょっと寒いやん。
寺井家のお引っ越しの話から、坪庭の灯篭の話になった。この家は、住居だったので、この灯篭は骨董屋さんからやってきたそうだが、5分割されて屋根を乗り越えてクレーンで入れたそうだ。造園士の方の話では、「この灯篭は火に当たってない」そうだ。「火」って何?そうだ「応仁の乱」だそうだ。つまりそれ以前の灯篭だと言うことだよ。座敷は江戸で。庭は室町だ。1200年は重い。


2000年12月2日

暗くなって、夕御飯はいつもの「粟田口・卯菴」です。暗い住宅地の中に「寸居・卯菴」の暖簾が掛かる、灯り一つのぼんやりと暗い玄関なんですが、実は上には看板が光っていて、これは趣がありません。
献立は

  • 先付が、湯葉豆腐に海胆、山葵の天盛り
  • 椀は、すっぽんの微塵を粟麩で挟んだ椀種に、生姜の香りの吸い地に、白髪葱の吸い口
  • 向付は、しび、ヒラメのお造り、長芋の短冊、防風、山葵、
  • 穴子の笹巻きの蒸し寿司、梅紫蘇の風味の寿司飯
  • 焼き物は、一汐の「のどぐろ」、カラスミをまぶした青根大根、松葉銀杏、すだち
  • ぐじの蕪蒸し、山葵の天盛り
  • 鴨ロース、柿、蕪の水菜サラダ、粒々マスタード風味のドレッシング
  • 御飯、赤だし、ちりめん山椒、香の物
  • グレープフルーツのシャーベット
  • おまけに、塩味の大豆の豆餅の焼いたん
という順番です。お酒は「フジ千歳・しぼりたて・原酒」を先ず頂くことにしましたが、出荷が12年11月でアルコール度が20%未満というバックラベルを見れば、「キューッ」という感じ。山本カンポウ画伯の江戸時代の考証風の美人画がかかるカウンターで頂きます。椀が「すっぽん」と聞くだけで、思わず顔が綻んじゃうのがいけませんなぁ。粟麩が大きいので食べるのに苦労しますが、出汁の風味も冬らしくて、暖まります。刺身の「しび」の口中での溶け具合など堪りませんし、ヒラメもねっとりした食感が、旨味を増す感じです。蒸し寿司も暖まる、お凌ぎの1品だ。刺身の後の脂っぽさを、消すような寿司飯の味付けが、穴子であってもさっぱりと頂けます。なんといっても嬉しいのは、思いがけない「のどぐろ」だ。身の崩れやすい魚ですが、一汐して身を締めている工夫が嬉しいし、それでも、ホロホロと崩れてじわっと旨味がにじみ出してくる焼き加減が何とも。このあたりで「越州朝日山」に変えます。「蕪蒸し」の下は「ぐじ」。冬らしくていいですねぇ。前回、「水菜なんか日本料理でサラダにして注文する人がいるの?」と言ったのを、憶えてはいないだろうが、やられてしまった。鴨のロースに辛子を付けるわけで、この味付けのドレッシングはなかなかいけました。配合は内緒といわれちゃった。シャーベットが歯にしみた。隣のお客に「お餅」を焼いていたので、こっちにも、食事が終わっているけど、廻ってきた。ありがと。ほんまの大豆がごろごろ。
京都一の「ふぐや」と言うお墨付きの、「ひばなや」を聞き出したがちょっと不便。「年が明ける前にもう一度来て」といわれたが・・・。
2000年9月1日

さて、夕御飯は「粟田口卯菴」だ。1番乗りのようだが、なぜかカウンターには料理が出ていた。ばたばたしていたのは「Saita」の取材が長引いていたそうだ。城戸真亜子がレポーターとして秋の料理を食べているということだが、本人は始めてきたそうだ。どんな内容なのか楽しみである。岡崎周辺を歩いた後の食事として紹介されるようだ。9月という事で「簀巻きの折敷」から「塗りの折敷」に本日から衣替え、鉄線の絵額のかかる正面のカウンターは坪庭の横。一番に入店の特等席。出てきた料理は、取材に対応して秋の素材がちょこちょこ出てきます。

  • アワビ、車エビ、柿、漬け物のゴマペースト和えにザクロの実をあしらった先付(城戸スペシャル)
  • 椀種はすっぽんの(卵)豆腐の沢煮椀
  • 向付は、メイタカレイ、ボタンエビ、細打ちの南京、撚り胡瓜、防風
  • 焼き物は、保津川の鮎の自家製一夜干し、松茸、銀杏、落子芋の衣被
  • ニシン茄子に添え物の隠元
  • 海胆湯葉に山葵醤油
  • 御凌ぎに、ハモ寿司
  • 稲庭うどん
  • ココナッツのシャーベットにブルーベリーのソーズ
と言う内容。もちろん「ハモ寿司」は持ち帰りします。お酒は「加賀鳶」「富士千歳・しぼりたて」であるが、少し苦みが舌に残りますな。添えられた箸は焼き色を付けた箸でしたが、名前を忘れました。ザクロとか柿とか走り(過ぎ)の素材に取材も大変やと、城戸真亜子スペシャルの先付で、恩恵を賜る。すっぽんというのはやはり出てくると嬉しいものです。微塵に刻んで卵豆腐のように蒸しあげたものです。メイタカレイもヒラメの縁側のような脂の乗りで、海老も甘さたっぷりで、かなり嬉しい濃い向付でした。カウンターの窓を開けると生け簀の水槽を置いたということで、アワビや岩牡蛎とかいるそうですが、端っこだったので確認できず。やっぱりむちゃは「はもずし」大好き。お隣りになったのは、常連さんの弁護士の先生。開店当時「オール関西」とかいう雑誌で女将の憲子さん、料理長の山本典央、と先生が写真に出てはったそうで、雑誌の切り抜きを見せて貰う。なぜか最後は入れ歯の話になって、空豆3個で入れ歯が台無しになったとか、ゴマ粒は入れ歯の天敵とか笑い話。空豆1個が10万円だそうだ。隠居の道はまだまだや。
2000年4月8日

神宮道を下って、粟田神社の参道を経て、寸居の暖簾の掛かる「粟田口・卯菴」で春の特別点心を頂きます。既に東京からのご夫婦が、カウンターにおられたので、掛け軸の前の席は座れず。本日の掛け軸は日本画家「戸田勝久」氏の画による「酔客見立ての義郎氏(ご主人)」に蕪村と又平の短歌(憶えきれなかった)が賛としてとして書かれている。料理は

  • 筍、ゴマ豆腐、こごみに木の芽のたれに木の芽の飾り
  • 向日付の刺身は、葉わさびの上に盛られた鳥貝、桜鯛、あしらいが紫芽、穂紫蘇、より人参、より大根
  • 鴨そぼろをくるんだ百合根饅頭の葛仕立ての椀盛り、青菜はさやインゲン、木の芽をちらしてます
  • 手提げの付いた竹籠に盛られた点心は 鴨ロース、ぐじの焼き物、蒸し海老、稚鮎の南蛮、ホタルイカの酢味噌、海老のアラレ揚げ、こごみ、茗荷、筍、青海苔で覆った出汁巻き、烏賊分葱の和え物
  • 御飯は、筍山菜御飯に赤だし
  • お薄に、永楽屋の「柚こごり」
お酒は「富士千歳・しぼりたて」。花見の余韻に浸って、落ち着いて和んでしまいましたわ。今まで聞かなかったが、壁に掛かるスケッチは「堂本印象」の「葵祭り」の「南蛮人」の衣裳デザインだそうだ。流石は「お茶屋・うづき」さんだ。そういえば、先月同席したご婦人方は、旧家で有名な「吉田家」と「杉本家」の方だったそうだ。杉本家は。4月号の「ラセーヌ」で紹介されていたけど、ご立派!麻衣子ちゃんが先日、西川流のおどりの本舞台だったそうで、そんな話をしつつ、「鴨川をどり」に「いかはるなら、お席をとらせてもらいますへ。ごいっしょしますへ」とかいわれるが・・・。おどりを一緒に習っているご婦人が清涼寺(嵯峨釈迦堂)内の「竹仙」の女将だそうで、行かはったら「名前を出してもうたら、お葱さんでもサービスしてくれはると思います」とか。「白川通りの真如堂前バス停のラーメン「一休軒」が、怪しげな店で結構な味だそうだ。
2000年3月4日

夕御飯は粟田神社近くの住宅街に佇む「粟田口・卯菴」の暖簾をくぐった。だから、まぁ近くの神宮道で憩っていたのだあるが。川喜多半泥子が娘のために書いたと言われる内裏雛飾りの絵の掛け軸のかかる正面で頂いた献立は

  • のれそれ、トリ貝と赤貝の黄身酢あんかけ
  • アブラメの葛打ちの椀、ウグイス菜、木の芽
  • 鯛、サヨリ、ヤリイカの造り、防風、より大根、わらび、葉わさび
  • 真魚鰹の幽庵焼き、雲子、エリンギ、アロエの芽の焼き物、茗荷
  • エビ入り百合根饅頭のあんかけ、タラの芽、木の芽
  • 稚鮎・空豆のてんぷら・塩
  • こごみの白和え
  • 鯛茶漬け・香の物
  • 三宝柑のゼリー(三宝柑釜)
で、お酒は「富士千歳・しぼりたて」をご主人(大原・卯菴主人)のナマコ釉の徳利で頂く。この日は「麻衣子」ちゃんが重役出勤、「ナナ」ちゃんが大原へヘルプ、「アッコ」ちゃんは厨房で「おいまわし」と、始めは女将さんの酌を受けます。この日の献立は「もうすっかり春の気分」を堪能できましたなぁ。むちゃは「百合根」が嫌いな方なんですが、本日の百合根饅頭はまるで「和菓子の饅頭」のような甘味を感じさせるもので、エビのすり身のピンク色が饅頭に花を添えた綺麗な1品。大きく育てば腐っても「穴子」!春の息吹を心して頂かねば。漆黒の漆塗りのカウンター越しに女将と若女将が接客していると、まるで祇園のバーやなぁ。その割にこの店はご婦人方が多いのですわ。「淡交」「なごみ」といった茶道雑誌の影響かな。お昼営業の「春の点心」の期間は今月20日から1ヶ月間だそうです。


1999年11月20日(土)

先月案内を頂いた粟田口卯菴で、お昼を頂くことにした。流石に行楽・観光シーズンで予約でいっぱいのご様子。秋石画伯の掛け軸の前で頂いた料理は

  • スモークサーモンと柿の黄味酢添え
  • よこわの造り、長芋、防風
  • 鴨と蕪の炊き合わせ、柚の天盛り
  • 竹籠に盛られた八寸(汲上湯葉に海胆盛り、カマスの塩焼き、子持ち鮎の甘煮、揚げ物(海老、かます、紅葉の形のサツマイモ、栗)、みょうが、栗の渋皮煮、衣かつぎの味噌田楽添え、ムカゴの炊き込みご飯)
  • 生麩とスッポンの椀盛
  • ワインのシャーベット
  • お薄、卯菴さんオリジナルデザインの亀屋伊織の焼き菓子
で、お酒は「越州朝日山」(といっても2種類しかない)とした。器の多くは、伊賀焼きの「水谷洋」氏の作品が目立った。店の人間をご主人が引き連れて、この窯元へ作陶に行くような話であった。さて本日の目的である紅葉の場所を若女将の麻衣子ちゃんに聞くが、今年は暑い日が続いて赤く色づく前に縮んでしまって紅葉が汚いそうである。永観堂を薦められたが、昨日のお客は「むっちゃ混んでいるから真如堂へ行く」と話していたということである。遠いけど高雄が空いているらしい。思案。玄関には不矩画伯のサリーを着た女性の絵。


1999年6月24日(木)

夕食は「粟田口・卯菴」の予約。1番客なので、坪庭近くのカウンターに座る。

  • 深泥池のジュンサイ
  • 鳥貝、エビなどゼリー寄せの酢の物
  • 鯛、夏マグロの造り
  • 広島産早松茸とハモ葛叩きのお椀
  • 子芋、なす、カモの炊き合わせ
  • 冷製フカヒレの茶碗蒸し
  • 太刀魚の幽庵焼き
  • 早松茸のハモ巻きの天ぷら、コーンのかき揚げ、(赤・緑)万願寺の揚げ物、海草入り荒塩
  • ハモ雑炊
  • 抹茶ムース、ゴマ風味練乳がけ
いずれの品も美味しいですが、ジュンサイの大振りなこと。深泥池があまりにも身近なもので想像してしまいますが、食感がたまりません。「あさ川」さんよりいい。今年既に2回目の「松茸」も嬉しい1品。フカヒレの茶碗蒸しも夏らしくあっさり酸味のあるタレが乗せられていて、これも旨い。幽庵の拵えも素晴らしい味わい。別に大したモノではないけど、珍しい「赤万願寺とうがらし」も有り難く頂戴する。雑炊も言わずもがな。最初に頂いた、エビスが「ラッキーエビス」とかで、カウンターで盛り上がってしまう。初めて知った絵柄の秘密。以後は「朝日川」で通す。お土産として「はもずし」を用意していただいていたのであった。これは「藤久」さんよりいけてる。山椒の葉ををひいて、煮付けた実山椒をたっぷりと乗せハモを敷いたもので、粉山椒の品より強烈にうまい。2階の座敷には、舞妓さんが三味線の芸伎さんなど4名を呼んでの宴会。少しだけ眼福に預かる。


1999年4月3日(土)

お昼は「粟田口・卯菴」で点心を頂く。盛り籠に盛られた春の景色は、美味しそうなことこの上なし。「フジ千歳・しぼりたて」を冷酒で2合。最後は薄茶で締める。「亀屋伊織」の菓子に「柳桜園」の抹茶。女将には桜の穴場として、南禅寺野村別邸周辺を奨めてもらう。若女将には、甘味どころの「祇園小森」を挙げてもらった。


1999年2月17日(水)

夕御飯は「粟田口・卯菴」へ。女将がおられず、若女将の寺井麻衣子嬢とカウンター越しにお話する。面白い内輪の話を聞く。「にいさん」と京都弁で話しかけてくるので、いい気分。(客にはすべてそうなんだけど)。献立は極めて怪しいし、順番も不確かであるが

  • 先付は忘れた
  • 椀盛りはスッポン(まる鍋風味)
  • アブラメの刺身、芽ネギ
  • しらさエビとぐじのオイル焼き
  • 梅蒸し
  • 鴨と大根の炊き合わせ・フォアグラはさみ
  • 白魚・稚鮎の天ぷら
  • まる雑炊
  • 水菓子
だったと思う。スッポンも美味しいし、フォアグラも美味しい。言葉なし。お酒は「フジ千歳・しぼりたて原酒」。このお酒は昔の印象ほど悪くない。京都はいいなぁ、という口福、眼福の1日であった。
map
至 平安神宮
    ││
    ││
 ───┘└──────────────
地下鉄
 東山駅      三条通り

 ───┐┌───────┐┌─────
    ││       鳥居
    ││神      ││
    ││宮      ││
    ││道      ││
    ││   粟田  ││ 粟田口・卯菴
    ││    小学校││   ▼
 ───┘└───────┘└────────
 ───┐┌─────────────────
    ││        ≡
    ││               ≡
    ││         粟田神社
    ││
    ││
    ││
    ││
    至 青蓮院
三条通り神宮道の観光客で賑わう交差点を南へ下がった1筋目を蹴上の方に向かいますと、粟田小学校を左手に粟田神社の鳥居を見つけることができます。更に閑静な住宅地の中のすすみますと、ご自宅を改造したお店「粟田口・卯菴」があるんでございます。先斗町で「うづき」を営む寺井さんが、大原の「卯庵」を開業されまして、その支店として「粟田口・卯菴」を97年秋オープンしたお店でございます。綺麗に打ち水された玄関から暖簾をくぐり、玄関につきます。
1坪ほどの内庭の見えるカウンターは総漆のテーブルで10席ほど、1階に座敷で数名、2階では2室、開放して20人あまりのキャパ。丸椅子に座って女将さんが厨房から運ばれてくる料理を提供してもらえるし、お酒など用意してくれます。お酒は数は多くないものの、器は選べるし、雰囲気はようございます。私はカウンターの方が好みですな。厨房の様子は見えませんが、もともと普通の家を改造してますんでしょうがおません。舞妓さんや芸妓さんも呼ぶことができます。
カウンターは、一品から注文が可能ですが、その中からお任せが組まれているので、そちらの方が楽。お薦め料理は8000円から。器は、ご主人が自ら焼くモノが主で、楽しめるし、掛け軸などの丁度も素晴らしい。お昼は3人以上集まれば快く受けて下さるようですが、基本的に夜の営業のみ。ただし、春と秋の1ヶ月間はお昼の特別点心の期間があり、その時は1名からでもOKです。

ショップリストに戻る inserted by FC2 system