くずし懐石・縁
adrress京都府京都市上京区烏丸通一条下ル龍前町589
call075(411)1822
open/day12:00〜14:00
¥3000〜¥8000
open/night18:00〜21:00
¥10000〜
off木曜日 月末の水曜日
capacity
memo要予約
impression 平成27(西暦2015)年9月15日
体調がすぐれないと遠くまで出かける気が失せるせいもあって晩御飯は、5か月ぶりの烏丸一条下ルの「」(3.93/20)でご飯です。志摩観光ホテル出身で北区でフレンチを提供していたシェフ夫妻が先客。流石に裏事情にお詳しい。黙って聞いておきます。珍しく女性のお一人様。途中から久しぶりの女将さん登場。流石に三組が揃うと、大将一人では目が行き届きませんからね。

  • 先付けが四品、渡りカニの内子、ワラビの白和え、ホタルイカと菜の花の黄身酢和え、ゴリの揚げ南蛮
  • お造りには、鯛、赤貝、醤油、花穂、紫芽
  • お椀は、鯛の白子の真丞、タケノコ、よもぎ道明寺麩、菜の花、木の芽
  • 琵琶湖産子持鮎、柚子酢、自家製ゆべし、ミョウガ
  • 無花果の揚げ出し
  • 生鱧のお寿司
  • アワビ・汲み上げ湯原・小芋・紅葉麩の炊き合わせ
  • 鴨のミルクソテーには、シメジ・エリンギ、青唐
  • からすみの飯蒸し
  • 牛乳葛仕立てのパンナコッタ

まず一本目は「鶴の友・上々の諸白」です。お店定番の新潟酒。

先付けが、先付けが四品、シャキとした梨の胡桃和え。ウニに山葵と醤油。すっぽんの煮凝り。自家製蘇の糟漬け。蘇は一気に食べるのは惜しいので、料理の間にチビチビ。

お造りには、鯛、トロ、皮霜の鱧。直前に鱧に串を打ち、皮目だけ炙り、すぐに氷へ。程よい甘味を残す温度になっております。
お椀は、鱧、松茸、生麩、胡瓜の水晶とじ。細切りに胡瓜を刻んで少しの葛で固めた青味。淡い吸い地。
焼き物は、琵琶湖産子持鮎。他の店と同じのを嫌うだけに蓼でなく柚子酢。自家製ゆべし、ミョウガ。焦げ目がついていない見事な焼き加減。

二本目は「鄙願・大吟醸・たかね錦精米歩合50%」です。これもお店定番の新潟酒。

無花果の揚げ出し。川喜田半泥子の弟子・坪島土平の作品らしく、糸井シェフと盛り上げっておりましたわ。
皮目を炙った生鱧のお寿司。梅肉に酢橘を絞ってと言われたけど、少し塩分強く感じた。
京風の甘いが程よいアワビ・汲み上げ湯原・小芋・紅葉麩の炊き合わせ。
このところ体調優れないということを話していたので、日頃よりポーション少な目。鴨のミルクソテーには、シメジ・エリンギ、青唐。実は青唐辛子が好きではない。嫌いじゃないけど、食べた後ででてくるゲップが唐辛子臭くなるのが嫌なだけ。

からすみの飯蒸し。見ていると他のお客さんには鴨を使っているようですが、先に鴨がスペシャルで出してくれたようで、カラスミ。いつもならまだご飯を作ってくれてますが、体調を慮ってここで、食事は終わり。
デザートは美山の牛乳葛仕立てのパンナコッタ。黒糖。お腹110%ほどの満腹感ですが、とても口当たりのいい甘さ。


平成27(西暦2015)年4月20日
晩御飯は、今年初めての烏丸一条下ルの「」(3.86/16)でご飯です。久しぶりに知ったお客さんだったけど、言われるまで分かりませんでした。

  • 先付けが四品、渡りカニの内子、ワラビの白和え、ホタルイカと菜の花の黄身酢和え、ゴリの揚げ南蛮
  • お造りには、鯛、赤貝、醤油、花穂、紫芽
  • お椀は、鯛の白子の真丞、タケノコ、よもぎ道明寺麩、菜の花、木の芽
  • サクラマスの味噌漬け、自家製ユベシ、花山椒煮
  • 長岡京奥海印寺産タケノコの木の芽醤油焼き、蕗味噌
  • 三宝柑釜には、ゴマ豆腐、田楽味噌
  • 炊き合わせにタケノコの直煮、蕗、若芽、木の芽
  • 鴨の油焼き醤油ダレ、花山椒
  • ワタリガニと胡瓜の酢の物
  • タケノコご飯、止め椀(生麩・椎茸)、香の物
  • プリン

まず一本目は「鶴の友・純米」です。サラリとスッキリ。

先付けが、先付けが四品、渡りカニの内子、ワラビの白和え、ホタルイカと菜の花の黄身酢和え、ゴリの揚げ南蛮。八寸という提供の仕方ではないけど、川の物(ゴリとかイサザとか川エビとか)が入っているのが、ちょっと嬉しいのです。

お造りには、鯛、赤貝、醤油、花穂、紫芽。
お椀は、鯛の白子の真丞、タケノコ、よもぎ道明寺麩、菜の花、木の芽。緑に彩られた椀種で、道明寺麩というのは道明寺糒が入った麩で、蒸されてヘターとしております。ほとんどが白子の真蒸(じゃないかもしれない)です。美味しい吸い地。美味しい昆布の香りと味は元気になれます。

焼き物は桜の葉っぱをまとったサクラマスの味噌漬け。味噌の旨味いっぱい、自家製ユベシ、煮た花山椒もあしらい。
続いて、長岡京奥海印寺産タケノコの木の芽醤油焼き。最近醤油がきつく感じるなぁ。余るほどの(余らないけど)木の芽が嬉しい。蕗味噌がタケノコに合う。蕗味噌でも酒が呑めます。

二本目は「鄙願・大吟醸・たかね錦精米歩合50%」です。二本目にしては、さらりとしすぎるようです。

名残というか、なかなか取ってくれないそうで、三宝柑をつかったゴマ豆腐の鋳込み。田楽味噌と混じって旨みアップのゴマ豆腐です。

炊き合わせにタケノコの直煮、蕗、若芽、木の芽。炊き合わせの鰹の香りの直煮が一番美味しいように感じます。構成からすれば若竹煮でもあります。
鴨の油焼き醤油ダレに、たっぷりの花山椒がテンコ盛り。フライパンで焼いた鴨に醤油ダレをさっと掛けて焼くそうで、鴨が固くならず焼き上げたいという仕事。これだけ花山椒があってこそ、ピリッとするのですが、ピリッとすれば、日本酒と合すのが難しいようです。味が分からなくなる。まだ、どこかで食べられたらいいんだけど・・・。
先付に出たカニの親・ワタリガニの身と胡瓜の酢の物。これも甘く優しい加減酢。
土鍋で焚いたタケノコご飯。一膳食べて、いつものように折詰。止め椀は、生麩と椎茸。
デザートはプリン。


平成26(西暦2014)年12月9日
雨は幸いに上がり、烏丸線の御池駅まで歩いて、北へ。烏丸一条下ルの「」(4.08/14)でご飯です。今日も独占のカウンター。

  • 先付けが三品、晒し酒盗の長芋微塵の和えもの、柿・利休麩・胡瓜胡麻和え、根室の焼きウニ
  • お造りには、鯛、山葵、醤油、紫芽
  • 替りに、勢子かに、酢橘
  • お椀は、丸、生庄内麩
  • サワラの味噌幽庵焼き、酢橘、酢取り蓮根、ゆべし
  • 柚子釜には、鯛、海老、シメジ、水菜
  • 炊き合わせに河内のエビイモ、焼きアナゴ、菊菜、
  • 雲子の蒸し揚げ、ししとう、椎茸、酢橘
  • 自家製カラスミとウニの飯蒸し
  • ウズラ飯、牛蒡、生実山椒
  • 亀山

まず一本目は「〆張鶴・金ラベル・大吟醸・山田錦精米歩合35%」です。サラリとスッキリ。

先付けが、晒し酒盗の長芋微塵の和えもの、柿・利休麩・胡瓜胡麻和え、根室の焼きウニ。先月と大きく変わらないというか、ほとんど一緒。

お造りには、鯛。腹の脂の乗ったところを出してくれます。いい具合に熟れております。
替りに、勢子かに、酢橘。木成りの酢橘で黄色。津居山産。

まず一本目は「鄙願・大吟醸・たかね錦精米歩合50%」です。淡麗でさらりとした中にも、ジンワリと旨みが感じられる味わい。

お椀は、すっぽんに、生庄内麩。酒やショウガをほとんど感じない丸仕立てでした。ようやく体が温まってきます。
焼き物はサワラの味噌幽庵焼き。たぶん酢橘、酢取り蓮根。自家製ゆべし。今年も知り合いの塔頭から柚子が400個も送られてきたということで、今秋の定休日独りでに仕込むそうです。
柚子釜には、鯛、海老、シメジ、水菜。餡ではなくお出汁がはられた柚子釜。一番底には昆布が敷かれて蒸しあげてあります。

炊き合わせに河内のエビイモ、焼きアナゴ、菊菜、今シーズン初めてのエビイモです。端っこは筋ぽさが残るけど、粘りも旨みも十分。京風というか、甘みのあるお出汁がはってあります。たぶんこれは柚子皮。
雲子の蒸し揚げ。雲子を海苔で巻いて蒸し揚げた後で、揚げたそうです。オリーブオイル使用。初めての食べ方です。海苔の香りが高くて、むっちり度が上がった雲子。添え物がししとう、椎茸、酢橘。
ご飯の前に飯蒸しも最近のお決まりのようです。蓋を取るとチーズのような発酵臭が立ち上がります。これはカラスミと言えども、嫌いな人もいるのではないかと思えるほどです。擦ったカラスミは少量でも香ります。主人曰くカラスミパスタをイメージしたということです。ウニはたっぷり。

今日のご飯はウズラ飯。ウズラの骨から出した出汁で炊き上げ、ウズラの臭い消しには、冷凍保存している生の実山椒を軽くたたいて散らしてあります。しっとり焚かれたご飯に鳥さんの旨みたっぷりで、山椒がピッリピリ!刻んだ牛蒡が気持ち入っております。お替りして、あとは折に詰めてもらいます。
デザートは亀山。甘味処と重なった。


平成26(西暦2014)年11月4日
今晩はた烏丸一条下ルの「」(4.08/13)でご飯です。連休は忙しかったそうですが、嵐が去ったようで、独占のカウンター。

  • 先付けが四品、柿・椎茸・胡瓜胡麻和え、晒し酒盗の長芋微塵の和えもの、根室のウニ、温い生蘇
  • お造りには、クルマエビ、かんぱち、ひらめ、山葵、醤油、紫芽、焼いたエビの頭
  • お椀は、鯛真蒸、庄内麩、しめじ、軸菜、松葉柚子
  • アワビのたれ焼き、酢取り蓮根、ゆべし
  • 穴子・百合根のとろろ蒸し
  • 丸いちじくの揚げ出し
  • かぶらの焚いたん、紅葉麩、柚子
  • うずらの油焼き、揚げサツマイモ、ししとう、椎茸
  • 穴子とキノコのご飯、止め椀、香の物
  • 栗餡

まず一本目は「鶴の友・上々の諸泊」です。新潟のお酒の中では、一番好みのお酒です。香も味も上品。

先付けが、四品。胡麻和え(胡瓜・椎茸・柿)は季節の果物が替って出てくる。北海道根室の赤ウニは山葵盛り。なんだか食べても分からないのは酒盗を刻んだ長芋に乗せてあります。聞けば、塩辛さを抜くために工夫してあるそうです。聞いたけどやる気をなくすので、聞き流してしまいました。むちゃの冷蔵庫には30年物の瓶漬け酒盗があるはずなんですが・・・。
少し遅れて蘇。暖かく温められております。一般的な蘇は、ほんのりキャラメルっぽい色とミルキーさが強いのですが、ここのはいわば「生蘇」で、これを煮詰めて水分を飛ばして固めるのが、市販品だそうです。一人ではそこまでの手を掛けられないというし、この方がオリジナリティが感じられますな。

お造りには、かなり大きいクルマエビ、かんぱち、ひらめ。先付を食べながら眺められるカウンターです。向椀に飾りとして置こうとしたエビの頭でしたが、すぐに焼いてくれます。足は包丁でざっくり落としてくれます。きっと口に刺さらないようにということでしょう。海老の殻に残ったエビ味噌が、エビ殻の香ばしさと合わさって旨い一口です。
お椀は、鯛真蒸、庄内麩、しめじ、軸菜、松葉柚子。硬めの真蒸は、すり身を加える手順で手を抜いて、不出来な固さになったと反省しきり。先月中旬から松茸は使わなくなったということで、シメジでした。
焼き物はアワビのたれ焼き。微かに甘味を感じる醤油タレ。酢取り蓮根、ゆべし。

二本目は「〆張鶴・純米吟醸・純」を出してくれます。

真っ白の泡だった蒸し物は穴子・百合根のとろろ蒸し。山の芋を使ってあるそうです。お出汁の効いたトロロは暖かく蒸し上げると、粘りが無くなるようです。大羽百合根。
最近気にいっているという、丸いちじくの揚げ出し。城陽のイチジクを素揚げにして、揚げ出しにした料理です。ヘタを取らずに揚げるのが肝要のようで、イチジクの中身を閉じ込めるのが工夫のようです。油物でイチジクというのは、天ぷら以外では初めて。コースの中で、甘いものが出るというのは、サプライズ感があります。
オーソドックにかぶらの焚いたん。
最後はうずらの油焼き。付け合わせに短冊の揚げサツマイモ、ししとう、椎茸。天つゆ風のタレが出てます。

お釜で焚いたご飯は、穴子とキノコのご飯。味がご飯にしみ込んで美味しい。久しぶりにお替りして、残った分は折に詰めてもらいます。いや、言う前に詰めてくれてます。止め椀は椎茸、香の物。
栗餡は、丹波栗を半分使いましたという説明。餅も白玉もない餡だけ。

とうとう、今年の年末は、おせちの販売を止めたそうです。蔓の声というべき女将さんが「手伝だわへん」という言葉を、天の声と判断したようです。それに。「人を頼んで作らんでもええやん」ということ。で、28日まで営業して、家族用のおせちだけ作るそうです。ここの「おせち」は食べてみたかった気分で惜しい。手に入らなくなったお客さんは、お困りであろうと想像しますが、お眼鏡にかなうおせちの作り手は、新規の注文に回す分がないと嫌がられるそうで、紹介してないそうです。


平成26(西暦2014)年9月16日
アフターヌーンティー・ティールームで休憩し、時間が来れば、予約していた烏丸一条下ルの「」(4.14/13)へ地下鉄で移動。他に二組で、久しぶりに女将とも。

  • 先付けが、胡麻和え(胡瓜・椎茸・なし)、漬けいくら、ウニ
  • お造りには、目板カレイ、皮霜のハモ、カンパチ、梅肉、山葵、醤油、紫芽
  • お椀は、はも、庄内麩、松茸、壬生菜、へぎ柚子
  • 琵琶湖の子持ち鮎の塩焼き、山椒酢、酢取り蓮根、ゆべし
  • 丸の稲庭うどん
  • 炊き合わせに紅葉麩、海老、小芋、サツマイモ、南京、レンコン、アナゴ
  • 宮城産鴨の油焼き、南京、椎茸、蓮根、粒マスタード
  • 刻み鱧と椎茸甘煮の飯蒸し
  • 松茸のご飯、キスの塩焼き、香の物
  • 温かい亀山、白玉

まず一本目は「鶴の友・大吟醸・出品酒」です。瓶底に残った分も頂きます。新潟のお酒にしては味のしっかりした出品酒で、まだアルコールのドライさが残っている印象です。鶴の友は、「平成25酒造年度 全国新酒鑑評会」の金賞受賞酒であります。馴染みの酒屋さんだけにしか出せないという、一般には出回らない出品酒。一般に売る気が感じられないラベルです。

先付けが、胡麻和え(胡瓜・椎茸・梨)、漬けいくら、ウニの三品。ネットリ浸かったイクラでした。淡路のウニ。

織部の器のお造りには、目板カレイ、皮霜のハモ、カンパチ。コリコリの目板。皮を火床で炙った生ハモ。自家製の酸っぱい梅肉。分厚く切ったカンパチ。
お椀は、はも。その上に載っているのが庄内麩。松茸。青味が壬生菜。へぎ柚子。最近は葛を感じさせない(打たない)ほろりと崩れるハモが多くなりました。いい香りの吸い地です。
琵琶湖の子持ち鮎の塩焼き。まったく焦げがなく綺麗に焼かれて、切れ目を入れたお腹から子がプックリ顔を出しております。史通りした腹子。焚いた実山椒を使った山椒酢。同じにゆべし。辛い物がダメというご主人ですが、山椒の辛味が鮎を引き立てる味わい。というのも最近の蓼は香りが弱くて使いたくないという事です。むちゃは蓼をほとんど使わないのですが、山椒はいい香り。

丸の稲庭うどん。オスのスッポンらしく、黄色いのは卵ではなく、脂の部分。少しトロミが付けてあるようなウドンツユ。
まず二本目というか、ほとんど三本目ですけど、「鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」です。

炊き合わせに紅葉麩、海老、小芋、サツマイモ、南京、レンコン、アナゴ。甘みが旨みになって炊かれた小芋など、優しい美味しさ。
ちらちら見えるキッチンで、フライパンで焼かれていたのは宮城産鴨でした。南京、椎茸、蓮根に、粒マスタード。脂は美味しいしけど、身は美味しいけど合鴨ですね。11月のジビエのシーズンが待ち遠しい。この店で何度も話題にしているお友達のフレンチがお休みされるそうなので、ジビエの解体の仕事も減るみたい。あくまでお休みということで、お勉強という意味合いの休業だそうです。
刻み鱧と椎茸甘煮の飯蒸し。ほぼ椎茸の味です。

他のお客さんと一緒だと、気付くことがあるのですが、どうも飯蒸しでお腹が満足して食事が終わっているようです。むちゃはしっかり松茸のご飯まで。といっても一膳だけで、折詰。香りの弱い松茸でも、季節のご飯ですからでると嬉しい。珍しくおかずにキスの塩焼き。
小豆大好きの御主人の温かい亀山にフワフワ白玉。ただ、小豆に古いのが混じると茹でむらができるということです。硬いのもあります。

今年は、お手伝いお弟子さんが田舎に帰ったということで、おせちを作ろうかどうかを迷ってはるみたいです。女将は手伝う気はないようで、常連さんにはピンチ。毎年、節操なく注文先を変える人と違って、ここでないというお客さんには重大事件。

先客がお土産にと用意してあった「ゆべし」を忘れはったようで、廻ってきました。ありがと。


平成26(西暦2014)年7月22日
京阪電車のワンディチケットで今出川まで地下鉄で移動して、下る。烏丸一条下ルの「」(4.14/13)へ。「長」の文字の長刀鉾の扇子が飾られておりました。

  • 先付けが、とうもろこし、ごり
  • お造りには、タコ、梅肉、山葵、醤油、紫芽
  • 蒸しウニ
  • お造りの替えに、鱧の落とし、河霜の鱧、目板カレイ、梅肉、山葵、醤油、紫芽、花穂紫蘇
  • お椀は、ボタン鱧、庄内麩、椎茸、ジュンサイ、輪違、柚子
  • 天然鮎の塩焼き、山椒酢、酢取り花山椒、ゆべし
  • 竹流しのゴマ豆腐、山葵、割り醤油
  • 刻み鱧の飯蒸し、椎茸の甘煮、枝豆
  • 炊き合わせに湯葉、鱧の子、小芋、振り柚子
  • アワビ・肝、賀茂ナス、万願寺、ししとうの「いしる」焼き
  • 天然アユのご飯、三つ葉、香の物
  • あらかわの白鳳

まず一本目は「鶴の友・上々の諸白」ですが、新潟の酒ですが、旨みもあって、さばけもいい。

先付け一品目が、とうもろこし。蒸してほぐして冷たく甘いツユにひたしてあります。夏の一品目に、酢の物が出ることがありますが、甘いのも涼めるようです。二品目はごりを焚いたんです。甘辛く炊いてあるんですが、これも甘さが勝つようになってます。

お造りには、目の前で引いてくれたタコ。味噌のような色をした梅肉。山葵、醤油、紫芽。
蒸しウニがでました。
お造りの替えに、鱧の落とし、皮霜の鱧、目板カレイ。シンプルに湯に落とした鱧。皮目を炙って、炙った部分を氷で粗熱を取った皮霜。梅肉、山葵で食べます。生鱧かと思ったけど旨すぎるのは目板。

二本目のお酒は「〆張鶴・純米吟醸・純」です。すっきり。

お椀は、ボタン鱧、庄内麩、椎茸、ジュンサイ、輪違、柚子。三種類目の鱧は葛打ちのボタン鱧。比べてみると暖かい鱧の旨味は格別です。脂が乗ってくるまでは葛を打つんだそうです。そろそろ名残のジュンサイ。
釣り好きのお客さんが友釣りで釣ってきたという天然鮎を分けてもらったようで、その塩焼き。活けの鮎を、急速冷凍させた鮎のようで、活けに引けを取らないという事です。焦げ目をつけずにパリッと焼き上げ、しっとりほっこりした身に焼がってますし、内臓の脂も焼き切ってます。まだ骨は食べても大丈夫な大きさ。サイズはいろいろ混じってるところが天然ぽい。へそ曲がりな対象は蓼を使わずに山椒酢。申し訳ないけど、酢は要りません、

なんだか久しぶりに竹流しのゴマ豆腐。七月から八月の夜だけの定番。見た目は簡単そうですが、手間かかるんで昼は出したくないという事のようです。熱々のゴマを茸に流し込むのは一苦労なんだそうです。

刻み鱧の飯蒸しに椎茸の甘煮を刻んだもの。椎茸が加わることで旨みがグンとあがった印象です。
炊き合わせに湯葉、鱧の子、小芋。大きい鱧の子にびっくり。これも甘目のオツユです。トウモロコシと一緒かな?美味しい」んですが、美味しいという印象があればあれほど、今日の料理は甘いのが多いなという印象になるのは否めない。湯葉は大豆でできているというのが実感できる代物でした。
アワビ・肝、賀茂ナス、万願寺、ししとうの「いしる」焼き。油(以前聞いたときはオリーブオイルだった)で焼いたアワビですが、自家製の「いしる」を加えて、さっぱり風味に仕上がってます。初めての風味。カツオの内臓などで自家製の「いしる」を作るそうです。

最後も今日は天然アユのご飯。出所の同じ鮎ですが、入った時に焼いておくそうです。ご飯用ですかね。二匹が釜の中で、ほぐしてくれて、一膳。あとは詰めてもらいました。
水菓子は、あらかわの白鳳


平成26(西暦2014)年5月27日
四条烏丸から今出川まで地下鉄で移動して、下る。「」へ。カウンター独占。

  • 先付けが、じゅんさい・生姜酢、白ずいき・海苔・旨出汁、ウニ、炙ったバチコ
  • お造りには、目板カレイ、赤貝、紫芽、花穂紫蘇、茗荷
  • 替えに、生鱧、山葵
  • お椀は、あぶらめ、庄内麩、椎茸、蔓菜、花柚子
  • 鮎の塩焼き、蓼酢、ゆべし、はじかみ、酢取り花山椒
  • 蒸しゴマ豆腐、蕗味噌
  • 炊き合わせ、穴子、小芋、湯葉、絹サヤ、木の芽
  • 油物に、あぶらめのてんぷら、ししとう、椎茸
  • あったかい酢の物には、酒蒸しのアワビ、クルミ酢、胡瓜
  • 焼き鱧丼・錦糸、香の物
  • イチゴシャーベット

まず一本目は「菊姫・にごり酒(普通酒)・吉川町山田錦」ですが、濁ったのを嫌がって「上澄み」にしてもらいます。昨年11月のお酒。
可もなく不可もな味わいだし、料理を邪魔することもない。普通酒にしては良くまとまっているなぁという印象。

先付けが、三品並んで、じゅんさい・生姜酢、白ずいき・海苔・旨出汁、ウニ。遅れて、炙っていたバチコが並びます。苦酸っぱいジュンサイ、甘い口当たりの白ずいき。細いバチコのようですが、乾している途中でグッと握れば三角形ではなく太長い形状になります。身が厚くなった分、炙ればソフトな食感になるようです。細いようですがバチコ半分はしっかりある。

お造りには、目板カレイ、赤貝。いい魚がなかったようです。でもカレイは美味しい。
替えに、生鱧。串に刺して、さっと皮目を炙ったものです。山葵。淡路産のようですが、脂はまだまだ。このくらいのボリュームがあると、嬉しい。
お椀は、葛うちのあぶらめ。これはいいサイズだったようです、磯臭さもほんのりと加わって美味しい。上の手から水も漏れるのですが庄内麩が、食べられないほどではないけど、戻り切れてなかった。まだ柚子はこんなもんですと吸い口が花柚子。

二本目は〆張鶴・純米吟醸・純・精米歩合50%ですが、一本目がちょっと足りなかったこともあってか、味見にと雪中梅・純米・精米歩合63%を出してくれはります。久しぶりの雪中梅ですが、最近見かけたことがなかったなぁ。きりきりと苦味を感じる一口目だったのが不思議。微かにミントのような爽やかな香りが深みに通じる味わい。〆張鶴はバランスの取れた甘さを感じ、素直な印象。新潟は端麗辛口と一般に呼ばれるけど、甘さは日本酒の旨味のベースなんだと思えるのです。

安曇川の鮎の塩焼き二匹。蓼を刻んだ蓼酢。お馴染みのゆべし、はじかみ、酢取り花山椒。 今月はまだ暖かい、蒸しゴマ豆腐のようで、蕗味噌つき。少し甘い目の蕗味噌がゴマ豆腐に合います。味噌と合わせることで酒に合うようにもなっている。小皿で、蕗味噌が出て来たけど、フキノトウの味噌和えと思えるのは、丸っぽのフキノトウが入っているんだということ。
炊き合わせには、穴子、小芋、湯葉、絹サヤ、木の芽。いつも感心するのは微妙な砂糖の加減。

油物に、あぶらめのてんぷらです。アブラメの香りを閉じ込めた天ぷら。レモンを絞っってくれたと思うけど、塩の方があうな。 あったかい酢の物には、酒煎りのアワビに、クルミ酢。アワビの出汁で、クルミペーストを割って、酢を加えてあります。初めてで面白い味。冷たい胡瓜がアクセントになっているようです。
お釜のご飯は、鱧の付け焼きのタレを混ぜて炊きこんだ色ごはんに、焼き鱧、錦糸を乗せた鱧丼。鱧も炊き込んでくれてもいいのにな。一膳で折詰にしてもらいます。杉折にも錦糸を散らして、木の芽を散らして、立派なご飯。香の物にはタケノコがあった。長岡京の奥海印寺のタケノコだそうです。
デザートは、イチゴシャーベット。無垢のシャーベット。少し煮詰めたジャムになりかけのシャーベットということ。

最近、料理人さんが、わざわざ東京から勉強とか研修とかで結構来られて、困られておられます。妙なところに世界文化遺産の影響が出ているようで、改めて京料理を知ろうとしているかのようです。付け焼刃の日本料理が増えても困りものだなぁ。たぶん今の子は素材から拵えるという事をしたことがないようです。特に昆布のピンチに、これからはグルタミン酸ソーダの使い方が肝要になりそうな、笑い話のような話もでてきた。
週末は、そんなお客さんを含めて、予約を断るほどのようです。


平成26(西暦2014)年3月18日
地下鉄で烏丸一条の「」へ。梅が香る玄関。
久しぶりにマダムもいて、びっくり満席。数分待ちましたよ。
賑やかななのは、漁師さん仲間だったようですが、どうも医者というのは射撃が好きなような気がする。撃って食べてるようですが、料理には詳しくないようです。

  • 先付けが、ウルイの海苔和え、茹でホワイトアスパラ・蕗味噌、蒸した鯛の白子、半生バチコこのわた
  • お造りには、トロ、ヒラメ、赤貝
  • お椀は、タケノコ、はまぐり真蒸、菜の花、木の芽
  • 焼きモロコ、柚餅子、酢取りの花山椒、木の芽酢
  • デコポン釜蒸しのゴマ豆腐、田楽味噌
  • 焼き物は、若狭のグジ、ししとう、椎茸、レモン
  • 炊き合わせ、タケノコ、蕗、鯛の子、湯葉、木の芽
  • 酢の物には、白魚、クルマエビ、菜の花、黄身酢
  • 穴子の飯蒸し、花山椒煮、昆布
  • タケノコ、香の物
  • 亀山、桜麩

今日は愛想のないラベルの「鶴の友・大吟醸・出品酒」でした。雑味のない、甘みも含めて必要最小限の味わいを残した上品なお酒という印象。

先付けが、ウルイの海苔和え、茹でホワイトアスパラ・蕗味噌、蒸した鯛の白子、半生バチコこのわた。海苔の香りのきいたシャキシャキのウルイ。旨いのは蕗味噌に、白子、とりわけ面白い半生バチコ。しっとりと旨味がにじみ出てきて元の姿をとどめるほぐれ具合。干してある状態の糸付。今日は「蘇」が出なかったな。

お造りには、トロ、ヒラメ、赤貝。熟れたヒラメ。お客さんの人数が多いと魚の種類が増えるのでしょう。
お椀は、タケノコ、はまぐり真蒸、菜の花。忙しい大将に聞けなかったけど、たぶん薯蕷芋のつなぎを使わずに、魚のすり身だけで刻んだハマグリを包んでいるのでしょう。食感がボソッとしております。鯛のすり身でしょう?木の芽。
焼きモロコ三匹。真っ黒柚餅子に酢取りの花山椒。木の芽酢。

まだまだ冬の気分のデコポン釜には暖かい蒸しのゴマ豆腐。田楽味噌。
焼き物は、若狭のグジ。焼いてから鱗の皮目に熱い油を流しかけて、ぱりぱり。はずして食べちゃったけど、一緒に食べるべきだったのかな。ししとう、椎茸、レモン。
炊き合わせには、タケノコ、蕗、鯛の子、湯葉。春の定番の組み合わせ。忙しい大将にタケノコの産地を聞くのを忘れた。甘みのあるオツユに絡んだ湯葉がとても旨い。木の芽
酢の物には、白魚、クルマエビ、菜の花、黄身酢。彩が鮮やか。
穴子の飯蒸し。花山椒煮、昆布が刻んである。モロコの時にも出たけど、花山椒が出回っているんでしょうか?これも聞くのを忘れたわい。

ご飯はタケノコでした。香の物に見慣れないものがあったけど、守口大根。一膳だけで、折に詰めてもらう。
甘味は亀山、桜麩入り。

大将の住む伏見から、京都の繁華街などに食べに出るより、石山あたりの方が近いということで、むちゃの近くの鶏料理屋の名前が出て来た。びっくら。
上七軒の老舗「萬春」が、4月15日で閉店だそうだ。後継者がいないということでしょうか?

始まりが遅れたせいもあって、いつもより食後の話を控えて、帰ります。
傘を忘れたぁ、と今出川の駅で気付くが、最終電車も気になるので、預かっておいてもらいましょう。


平成26(西暦2014)年2月11日
地下鉄の今出川まで移動して、烏丸一条の「」で晩御飯です。今年も、豆花が飾られております。1月の下旬からもう少しの間飾られております。大豆に穴をあけて、柳に通していくのですが、今年は造りが丁寧なようです。

  • 先付けが、いさざ豆、このわた、あたたかい蘇
  • 粕汁、タケノコ、木の芽
  • お造りが、鯛、赤貝、いか
  • いちご煮、木の芽
  • 焼き物は、フグの白子、ゆべし、れんこん
  • 焼き穴子の養老蒸し、銀杏
  • 炊き合わせ、煮穴子、カブラ、菜の花、柚子皮
  • 焼き物が短角牛ランプ
  • からすみ餅
  • ウニご飯、まつのはこんぶ、香の物
  • お菓子が、市田柿の白餡鋳込み

最初に出てきたお酒は「〆張鶴・大吟醸・金ラベル・精米歩合35%」です。
料理に合うとか合わないとか考える必要がなく、料理が味わえる酒質といえるかな?最近は食中酒というキーワードがあって、売りにしている若手の蔵もありますが、新潟のお酒はそういうお酒の典型ですな。ということに気付いたのも、日本料理に通い始めてですけどね。日本料理が世界遺産でブームになれば、端麗辛口のお酒が細部レクするかもしれないと、思えます。

先付けが、いさざ豆、このわた、あたたかい蘇。
琵琶湖八珍のイサザと大豆を焚いてあります。色は悪いけどもっとピンク色をした海鼠腸。酢の物に仕立てられておりました。縁の名物として「蘇」を必ず入れると決めたそうです。冬は、どこもしないというという暖かくして出すそうです。ハードに固めてないので口当たりはボソッとしてます。ほんのりクリーミーな味。
お椀が出てきて、蓋を取れば、白い。今月も白味噌かと思ったんですが、粕汁です。といっても、ご主人は酒が呑めないので、白味噌たっぷり。酒粕と白味噌を裏ごししてあるので、ポタージュ風です。徳島のタケノコ。温まります。
お造りが、鯛、赤貝、いか。寒くて締りが早かったというけど、旨みは十分の鯛。昆布〆にしてあるのかという味わいも感じます。イカはコリコリ。
どれがお椀なのか悩んじゃいますが、いちご煮。たぶんこれが椀物。濃厚な味の様に思われるけど、上品に鰹節とマグロ節を混ぜた吸い地。夏に向けてマグロ節の比率が上がっていくそうです。昆布も入手難が予想されるけど。カツオもマグロも危ない。マグロ節にするよりシーチキンで売ってしまうそうです。中国人が食べ始めたからだそうですけど。写真では黄色いウニですが、実際はもっと赤味が強いのです。

2本目のお酒も定番、新潟の「鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」です。冬の鄙願は凛とした清冽なキレを感じて、瑞々しさにあふれているイメージ。

焼き物は、フグの白子に、自家製熟成ゆべし、れんこん。とろーりとろけるフグの白子。
焼き穴子の養老蒸し、中には銀杏。珍しい蒸し物ですが、山芋を使ってあります。山芋の上には焼いたアナゴですが、蒸している間に柔らかくなって、煮穴子のように柔らかくなっております。刻み海苔と、グチュグチャにして、ズルズル食べたのでした。
三回目の椀ですが、炊き合わせ。煮穴子、カブラ、菜の花。ここでは煮穴子ですが、乾燥させてあったような固さになってます。トロトロに煮られたカブラ。ここまで汁物が多いですが、煮物椀のように出汁がはってあるので飲み干します。柚子皮
焼き物が短角牛ランプ。塩をして強火の遠火で焼いた外側をそぎ落としてサービスです。昔はミスジとか焼き物に出してはった頃がある事思えば、刺しの少ない部分を使うようになるとは・・。色は旨く再現できていないけど綺麗なピンク色。外食で牛さんを食べるのは、久しぶりな気分です。

京都の日本料理屋で肉料理?と思ってしまいがちですが、大将の修業時代には、すでに外人さん向けにアスパラ巻きの様な料理は既にあったそうです。で時代を遡れば、江戸時代の寛文年間には蛸薬師あたりに「翁亭」という老舗があって「すき焼き」を出す店があったとか。京都の牛肉料理の歴史は長いということのようです。(聞いたまま。当時のすき焼きは鳥だったかもしれないなぁ)

海苔で巻いたからすみ餅がでてきます。思えば、カラスミ餅を最初に食べたのは、姉小路にあった頃の「くずし懐石・縁」でした。塩気と魚卵の香りが餅に合わないと思ったのですが、舌が変わったのか、カラスミが良くなったのかいい塩梅の餅です。
今日の釜で焚いたご飯はウニ。茶碗に盛って「まつのはこんぶ」。昆布からにじみ出る醤油の香りと塩味が、いいアクセントになってます。二膳食べて、折に詰めてもらいます。
お菓子が、市田柿の白餡鋳込み。白小豆で嬉しい。


平成26(西暦2014)年1月7日
今年最初の日本料理は、烏丸一条の「」です。おせちめいたお正月料理が出てくると分かっている松の内の日本料理屋ですが、同じ正月でもここはちっと違うだろうと期待感があるお店です。
今年も神馬堂の鏡餅、麩嘉さんの善意の花、がお出迎え、神馬堂さんが、鏡餅やら作っているとは知りませんでしたし、年数回は「焼き餅」いがいの季節菓子を作っておられるんだそうだ。

  • 先付けが、ブドウ豆、このわた
  • お盆に、本モロコ煮、龍飛巻、八幡巻き、イカの小川、柚子カマにはイクラ・紅白なます
  • 雑煮、餅、雑煮大根、金時人参、のしカツオ
  • お造りが、鯛、つくばねに酢取り大根の羽子板
  • 赤飯
  • お椀が、ハマグリ、タケノコ、菜の花
  • 焼き物は、ぐじ、はじかみ、自家製ゆべし
  • カブラ蒸し、ぐじ、えび、百合根、山葵
  • グジの骨蒸し
  • 炊き合わせに、小倉蓮根、堀川ゴボウ、生麩、慈姑、きんこ、木の芽
  • イノシシとキノコのソティ、ちょろぎ
  • ハマグリご飯、香の物
  • お菓子が、市田柿の餡鋳込み

1 本目のお酒は、定番と言える新潟の「鶴の友・上々の諸白(五百万石精米歩合50%以下?)」です。

先付けが、ブドウ豆、このわた、と松の家らしい先付。そうだと思い出したのは、おせちの別瓶の「黒豆」がまだ残っていたのを思い出した。ということは、これが今年最初の黒豆だ。美味しい塩梅の海鼠腸。
続いてお盆に並ぶのは、本モロコ煮、龍飛巻、八幡巻き、イカの小川、柚子カマにはイクラ・紅白なます。まだまだ知らない料理があるもので「イカの小川」という料理は、カラスミをイカミンチでくるんだ料理。手の込んだ料理をするお店が減ったなぁということでしょう。

まずは白味噌雑煮。各餅ですけど煮込み。雑煮大根と金時人参は輪切り。お得意の「熨斗カツオ」。甘みは強いですが、慣れた味だけに、こうでなくっちゃという味。
お造りが、鯛。板前ですから柵が見られるんですがいいサイズ。つくばねに酢取り大根の羽子板。
めでたい赤飯。
お椀が、ハマグリ、タケノコ、菜の花。徳島・阿南のタケノコ。ハマグリの香りと、エキスの浸み出た白い吸い地をみると、微笑んでしまいます。

2本目のお酒も、定番、新潟の「鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」です。

焼き物は、若狭物のグジ。うろこ付の皮ははぎとられてます。できれば「せんべい」が嬉しいですけどね。塩控えめでグジの旨さがジンワリと。脂もしっかり出てます。お得意さんが「グジの某寿司」を注文したという事です。来年頼んでみようかな?結構利益の出ない商売をされているようです。グジのグジもとれて、めでたい。
京都の冬の定番と言えばカブラ蒸し。ネタはぐじ、えび、百合根。山葵の天盛。グジの出汁で獲った餡かけは上品で薄味。たっぷりのグジ。
せっかくですから、塩焼きのグジに出汁をはってもらいます。ガラ入れに熱々の出汁をはって、上澄みのスープを出してくれました。うす塩だっただけに、これも薄味。塩を足してもらえば良かったかも。
グジは回遊魚らしくて、長崎や山陰で獲られちゃうと、若様までやってこられないというので、漁獲量が減って高価なんだそうです。回遊魚だとは、初耳だけど、少なくなったことは確かなようです。

炊き合わせに、小倉蓮根、堀川ゴボウ、生麩、慈姑、きんこ。レンコンの穴に小豆を鋳込んである小豆蓮根。太い牛蒡。松毬の形に包丁を入れた慈姑。角は目立たたないけどキンコナマコ。プルプルの可愛い奴。丸っぽの慈姑って、なかなか美味しいと思える時は少ないなぁと、失礼なことも言っちゃった。
今日もイノシシとキノコ(シメジ・椎茸)のソティですが、シンプルに醤油だけ。それでも旨いイノシシ。ちょろぎを添えるとは・・・・。まな板からはみ出るほど60キロのイノシシを捌いたそうです。骨やらなんやら半分が、フランス料理屋が奪っていったそうです。手間賃が出ないと、利益の出ない商売をされているようです。

〆は、ハマグリご飯でした。途中で、ご飯を変えてくれたようです。で最初考えていたの「しし飯」だったようです。それはそれで頂きたかったご飯です。ハマグリの香りがしているのは、ハマグリの出汁で焚いてくれてあることもおおきい。ちょっとヌメリのような食感もするのですが・・・。いつも一膳でもうお腹いっぱいですので、すでに用意してくれている折箱に詰めてくれます。
お菓子が、市田柿の餡鋳込み。甘い柿に、甘い小倉餡。


平成25(西暦2013)年12月24日
晩ご飯は地下鉄で今出川まで移動して、食べログの優良店(京都ベストレストランで27位)に認定された(大将は待った壽意味を理解されてないぞ)という烏丸一条の「」です。クリスマスの飾りなど一切ないうえ、今日で今年最後だそうで、今年最後の客となったようです。残飯整理という役割を担った食事です。

  • 先付けが、洋ナシと椎茸のあえ物、アンキモとすっぽんの卵の粕漬、唐墨、自家製蘇の柚子窯蒸し、勢子カニ
  • お造りが、ヒラメの白板昆布〆、加減酢、山葵、もってのほか、紫芽
  • お椀が、丸、生麩、ネギ
  • 焼き物は、まながつおの味噌漬け、はじかみ、自家製ゆべし
  • 暖かいゴマ豆腐、柚子味噌
  • 柚子カマに、粟麩、雲子、シメジ
  • 西山のイノシシとキノコのソティ
  • カブラと菊菜、柚子皮
  • ウニの飯蒸し
  • アナゴめし、香の物
  • お菓子が、白玉ぜんざい

1本目のお酒は、ここでは珍しい三重の「若戎・大吟醸・全国新種鑑評会金賞酒・三重山田錦精米歩合40%」です。金賞受賞酒という わりに、派手さは全くなく、雑味がないのはいいけど、旨みも感じないのが不思議。ある意味凄い味です。まるで水のような口当たりです。ここまで綺麗だと物足りないものです。

先付が順々に五品。先ず、洋ナシと椎茸のあえ物。洋ナシが自然と発酵しているようで少しアルコールを感じる和え物。不思議な味。
アンキモとすっぽんの卵は粕漬。とても味がしっかりしみて酒の肴。玉子がネートーとして、歯にくっついて取れないほどの粘りのある糟漬けでした。
自家製唐墨
毎年南禅寺から送られてくる柚子の小さいものをくり抜いて自家製「蘇」を入れて蒸した一品。最近のお気に入りだそうです。
勢子カニ

お造りが、ヒラメの白板昆布〆です。昆布〆と聞いただけで、どうも嫌な気分なんですが、白板昆布を使うと上品に仕上がるようです。媚の旨みは出てますが、苦さとかしつこさはないようです。昆布の上に並べて、上にも昆布を重ねてあります。端っこには縁側も乗っております。山葵だけでも十分美味しいし、昆布締めを見直しました。
お椀が、丸。まさにすっぽんのスープという味。ネギの香りもよく合う。
焼き物は、まながつおの味噌漬け。しっとり。南禅寺の柚子の大きいのんが「ゆべし」になります。

2本目は、新潟村上の「〆張鶴・純米吟醸・純・精米歩合50%」が出てきました。若戎に味を感じなかった分、優しい甘みのするする滑るような柔らかさ。

暖かいゴマ豆腐に柚子味噌です。ここではゴマ豆腐は3種類のレシピがあるようです。夏の竹流しに比べて硬めに練ってあるそうです。柚子味噌がとても美味しいのです。
二品目の柚子窯になりますが、粟麩、雲子、シメジ。あれ?先月と同じだと気付く。そういえば丸もだ。美味しいからいいけどね。底には昆布が敷いてあるし、柚子は白い部分を残してくり抜くのが、特徴ですかね。柚子の皮の苦みが出ないようにしているそうで、残ったお出汁まで美味しい。

京都西山で罠をつかって生け捕りにしたメスのイノシシのロースをキノコとソティ。フライパンのお仕事。ミルクと酢橘を使っているそうです。詳しくはないけどフレンチの仕事だそうです。
炊き合わせにカブラと菊菜。すっと箸の入る溶けそうなカブラ。柚子皮
今日も、ご飯の前にウニの飯蒸しです。

お釜で焚いてくれたのはアナゴめし。福井県産のコシヒカリだそうです、玄米で買って、近くで5キロ単位で精米しているそうです。
お菓子が、白玉ぜんざい。

たった二本だけど、いい気分に酔ったようです。出てくるものが壺にはまって美味しいのです。また3時間ほど。
明日から「おせち」の準備のようで、ほとんど一人でこなされるようで、苦労がしのばれます。正月3日の夜から営業。


平成25(西暦2013)年11月12日
晩ご飯は地下鉄で今出川まで移動して、烏丸一条の「」です。独占のカウンター。

  • 先付けが、揚げ麩の和え物、せこがに、自家製蘇、根室のウニ・山葵醤油、自家製カラスミ
  • お造りが、目板カレイ、肝、紫芽、もってのほか、山葵
  • お椀が、丸、生麩、ネギ
  • 焼き物は、サワラの味噌漬け、はじかみ、自家製ゆべし
  • 柚子カマに、雲子、シメジ
  • カブラうどん、鴨出汁
  • 海老芋の炊いたん、菊菜、柚子皮
  • アワビの和風ソティ、椎茸・シメジ
  • イクラの飯蒸し
  • ハンターライス、香の物
  • お菓子が、栗・栗ペースト

1 本目のお酒は定番「鶴の友・上々の諸白(五百万石精米歩合50%以下?)」です。派手さは感じ取れないけど、しみじみと旨みの広がるお酒。

先付けが、順番に出てくるけど揚げ麩の和え物はリキュールで仕上げたもので、料理にお酒が効いていると日本酒そのものより効く気分。解禁まなしの津居山の「せこがに」。今シーズン初めて。今までカッテージタイプだったものを、蒸し缶で抑えてカード状のクリームチーズ(自家製蘇)を作っちゃった、今日がデビューだそうです。ミルクの味しかしないというのは変かな?ちょこちょこ味わって、後後まで残しながら食べるのでした。根室のウニには山葵醤油。自家製カラスミも上出来。皮がめくれにくいというのが難点のようですが、魚椀の粒粒が完全に一体化して硬くネットリとしていい色合いの、いい塩梅。たぶん自家製を歌っている数多の料理店の中でも一番ではないかというほど上出来です。

お造りが、目板カレイの薄造。豆皿に肝。ちょっと遊びでクリームチーズを試してみますが、カレイでは負けてしまいますねぇ。やっぱり肝は旨いということです。

2本目は、新潟村上の「〆張鶴・大吟醸・金ラベル・山田錦精米歩合35%」が出てきました。ふっくらとした味わいながら、新潟らしい瑞々しい端麗さ。どんな料理にも合いそうです。

お椀が、丸。一般的なすっぽんの香りは極々控えめ。香りは控えめだけど、体はてきめん、一気に温まるのでした。しっとり油が浮いているのは揚げ麩のようです。
焼き物は、サワラの味噌漬けです。味噌漬けの焼き物は冷めればカチカチになってしまうので、カウンターでしか出せないというのが持論のようです。ということで最近は味噌幽庵にしがちなんだという解説でした。自家製の黒ゆべし。今年の分はこれから仕込むんだそうです。
柚子カマに、雲子、シメジ。底には昆布が敷いてありました。柚子のペーストと醤油が出ております。柚子や醤油だけではちょっと味が弱いかな?

お造りの後、まな板で小カブラを桂剥きしてはりまして、新しい料理を出すというのです。桂剥きした鏑を粗い千切り風にザクザク。奥へ持って入っていたんですが、出てきたのは、うどんに見立てた「カブラうどん」だそうです。脂いっぱい浮いているんですが、鴨汁仕立てです。呑めば脂も加わって濃厚だけどあっさり鴨汁です。粉山椒。最後のお汁も旨い。
富田林の有名な海老芋の炊いたん。さっくり箸が入るけど、むっちりネットリの食感。甘い出汁は味醂味で菊菜にしっとり絡みます。エビイモの上には柚子皮。
奥の調理場で、フライパンがジュージュー炒ってます。出てきたのはアワビの和風ソティで、椎茸・シメジ。酒・醤油・柚子とか聞いたような記憶。脂は使ってないようで、浮いてない。乳化したのかな?
イクラの飯蒸しです。プチプチの弾力のあるイクラです。失礼ですが失敗したのかと聞いちゃったりしますが、シーズン最後は硬くなることが多いという事を言うてはります。母親のお腹の中で育っちゃっているんでしょうか?歯で噛みしめて飛び散るイクラというのもまた「いとおかし」。

アワビにバターを使わなかったのはハンターライスにしたからです。「かぶらうどん」に使った鴨の出汁を使って炊き上げ、それにバターを加えてあります。バターと鴨の脂でつやつや。解禁前なので合鴨だと思いますがたっぷり。脂と一緒に旨くなる椎茸。シメジのキノコも一緒。季節に一度は食べたい鴨ごはんのアレンジですが、もともとは猟師さんが山で仕留めたカモで作ったというようなネーミング(というのは本当かどうか知りませんけどね)。飯蒸しの後にご飯というのも、メニューに悩んだ結果の順番だそうです。まぁ、いつも一膳だけで折詰してもらうんですけど。

お菓子が、栗・栗ペースト。たぶん栗だろうと思っていたけど、栗だらけの一日という印象で締めくくり。渋皮煮栗を緩いペーストに仕上げて、栗が乗ったものです。「うんこさん」じゃないよ。

季節感のある食事をしたなぁという食後の感想です。15日が解禁になるという近在のジビエもこれからの楽しみですから、冬は楽しみな料理屋です。出てくる料理に合わせて、食材や料理の話をしながら、楽しい時間で、ゆったり3時間。


平成25(西暦2013)年3月17日
晩御飯は烏丸一条の「」です。日曜日は混んでいるかと思っていたんですが、今日の昼が混んでいたそう。今日も贅沢なカウンター。

  • 前菜に、さよりの塩焼き、ウルイのお浸し・モミノリ、蘇、バチコ、蛍烏賊と独活・酢味噌
  • お造りが、鯛、シマアジ、いか
  • お椀は蛤の潮仕立て、タケノコ、生麩、道明寺麩、菜の花
  • 焼きものは、川マスの味噌漬け、ゆべし、蕗の薹
  • 三宝柑に熱いゴマ豆腐、田楽味噌
  • 炊き合わせで、イイダコ、ふき、タケノコ、湯葉、木の芽
  • 仔鴨の炭火焼き、吹き味噌、?
  • 蛤ご飯、止め椀(鯛の白子・味噌汁)、香の物
  • 暖かいぜんざい・道明寺麩

珍しく京都のお酒が出てきました。「月の桂・立春朝搾り純米吟醸・生原酒・精米歩合50%」です。なんだか懐かしいお酒ですが、妙に瑞々しい清楚な香りと味わい。酒屋ではなく自然食品のお店で売っていたので買ってしまったような口ぶりでした。発酵飲料ですから自然食品なんでしょうか?

前菜は、異例(?)に五品並んでしまいました。淡白なサヨリ。焼くと言うより乾燥させたという食感。ウルイには海苔。自家製の蘇、ソフトで厚い新物のバチコはホンノリした暖かさ、ぷっくりした蛍烏賊には薄くスライスした独活。晒しただけ独活は薄すぎて、酢味噌が旨すぎて、素材が分からないくらい。

お造りは、ちょっと早いけど桜鯛。本当に桜が咲く頃は身が痩せ始めるので使わないのです。まだ十分美味しいですが。シマアジとイカ。珍しく紅蓼ですが、紫芽がないのだそうです。
白濁した吸い地をみるとなんだか嬉しい。鰹と昆布の吸い地以外では、丸と蛤が美味しいですなぁ。タケノコ入り。農家さんが言うには、今年は不作だそうです。たぶん今日のは徳島。サイコロサイズの生麩とピンク色の道明寺麩が浮き身。ピンクの麩と、菜の花の色合いが春めくイメージ。

二本目のお酒は定番銘柄ですが、今日は「鶴の友・純米酒・精米歩合59%」です。純米酒と言うのは珍しいけど、重たいイメージは全く感じないし、いつもの「上々の諸白」に通じる味わいです。

焼き物は「川ます」。味噌付け。いつもの「ゆべし」ですが、昨年のもののようで、熟成させたものよりジューシーでした。もう一つ、蕗の薹を甘く炊いてあります。
三宝柑の中は、蒸されていたゴマ豆腐。田楽がかかった、冬の定番。とても気分が落ち着く味。
炊き合わせには、タケノコ、イイダコ、蕗、湯葉。ふんわりとした甘いのあるオツユは和める味。木の芽たっぷりが嬉しい。
もう猟期は終わっておりますが、仔鴨。じっくり炭火で焼き続けてくれてました。付け焼き。蕗味噌と一緒に食べます。コリコリした漬物みたいなのもついてます。酢の物なのかな?

お釜で炊かれた蛤ご飯。木の芽。止め椀の味噌汁には、もう育った鯛の白子。身が痩せるのは納得ですな。二膳頂いて、折に詰めてもらいます。
蓋付きの湯飲みサイズのお善哉。大きな桜色の道明寺麩。


平成25(西暦2013)年1月8日
烏丸一条の「」です。今日も贅沢なカウンター。
大王松を添えた餅飾り。カウンターの端っこに紅梅。今年も餅花。

  • 先付け三品、ブドウ豆、干し柿の紅白なます、生このこ
  • 雑煮湾、餅、雑煮大根、金時人参、熨斗鰹
  • てっさ、みかわ、テッピ、紫芽、おろし、葱、すだち
  • ふぐ白子のみぞれ汁、柚子
  • 八寸に、イカ巻きカラスミの粕漬け、ちしゃとう、ウナギ八幡、あわび、鴨ロース、チョロギ
  • 焼き物はマナ鰹の味噌漬け、はじかみ、ゆべし
  • 炙りばちこの赤飯蒸し
  • 仔鴨の油焼き、酢漬け大根
  • タケノコとキンコの炊き合わせ、木の芽
  • 鴨牛蒡ごはん、香の物
  • 干し柿に黒豆餡鋳込み

一本目は、新潟村上の「〆張鶴・大吟醸・金ラベル・山田錦精米歩合35%」が出てきました。ふっくらとした味わいながら、新潟らしい瑞々しい端麗さ。どんな料理にも合いそうです。

先付け三品が並びます。美しい淡いオレンジ色の生コノコ。磯の香りも控えめなコノコです。お正月らしい二品。

熨斗鰹が小皿にでてきて、後からお椀が登場。蓋を取って、自分で鰹を乗せます。今まではお椀に乗って出てきましたが、鰹のライブ感がでる演出。真っ白で見えませんが、大根と人参です。山利の味噌だと思いますが、微妙に塩分が違っているらしい。下請けにだしているような雰囲気です。例年、縁起物のでかい手毬麩のお椀を期待していたんだけど、お腹が膨れるという常連さんの不評を買い、出したことのあるお客さんには控えているそうです。
養殖物のフグらしいけど、一日寝かしたフグは旨味をましたような色合い。目の前で心持厚めの薄作りで扇状に並べてくれます。酒肴にたっぷりに、三河と鉄皮。
みぞれ仕立てにしたフグの白子のお椀。白子は天然物だそうです。ちょこんと柚子。旨いなぁ。出汁の旨味としっくり馴染んでます。
八寸。面白い仕事が、カラスミの粕漬け。イカをミンチにしてカラスミをくるんで粕漬けにしたものだそうです。しっとりとしたカラスミに微かに甘味が乗っております。

二本目は「鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」。より端麗でさらりとした口当たり。

」 焼き物はマナカツオ。白味噌の味噌漬けです。甘味控えめのようです。どうやら味醂を控えているようです。いつもの真っ黒ゆべし。
飯蒸しが赤飯。乾燥コノコのバチコを裂いて砕いて乗せてあります。
保津川で撃った仔鴨。野鳥らしい香りがいいな。オリーブオイルで焼いてあります。散弾を噛まないように慎重に食べなきゃいけません。
炊き合わせは、京都のタケノコ。おせちにも入れたそうですが、寒さのせいで例年の倍の値段だったとか。でもタケノコより嬉しいキンコです。干しナマコはゆっくり戻してプルンプルンに仕上がってます。今日はナマコいろいろです。これぐらいの木の芽があると、うれしい。

ご飯は土鍋で炊いてくれてます。いい香りはオリーブオイルで焼いて出てきた鴨です。ご飯に脂がしっとり艶々にコーティングされているようで、旨味のコーティングです。しっかり晒した牛蒡のようで、上品な香り。全体に薄味ですが、鴨と牛蒡がよくあってます。二膳頂いて、詰めてもらいます。

デザートは、見栄えの悪い黒豆を利用した餡を干し柿にいこんであります。


平成24(西暦2012)年11月27日
晩ご飯は地下鉄で今出川まで移動して、烏丸一条の「」です。独占しがちな火曜日のカウンター。
今出川駅から地上へ出ると、寒さが肌を刺す感じ。このあたりは冷えるなぁ、と実感する訳ですが、大将に言わせると、御池あたりから冷え始めて、一℃くらいは下がるそうです。その理由が御所の放射冷却という話です。あり得ない話ではないなぁと頷いておきます。

  • 先付けが、続いて、自家製鮎の馴れずし、自家製カラスミ、大徳寺麩の柿汚し(柿酢)、百合根の茶碗蒸し
  • お造りが、いか、たい、まぐろ、紫菊、紫芽、花穂
  • お椀が、丸、麩、ネギ
  • 焼き物は、サワラの味噌漬け、はじかみ、栗の蜜煮
  • 蟹の飯蒸し
  • 煮アナゴ、降り柚子、自家製ゆべし
  • 海老芋の炊いたん・のし鰹、菊菜、柚子皮
  • 保津の仔鴨、椎茸、銀杏、ししとう
  • せこ蟹、スダチ
  • 鯛ごはん、止め椀(ヒラメ・椎茸)、香の物
  • お菓子が、ぜんざい葛湯
一本目は「鶴の友・上々の諸拍」です。さらりとした料理に寄り添って、引き立てる淡麗なお酒。

一品目が自家製の鮎の馴れ寿司。1ヶ月くらいで出来あがると言う話で、酸味も匂いも穏やか。普通にバクバク食べられる味で、初心者でもOKでしょう。不思議と淡麗なお酒にも合います。子持ち鮎でした。
二品目に、自家製のカラスミ。塩分控えて9%だそうです。もう少し水分が抜ければネットリ感が増すでしょう。塩分を押さえただけに魚卵の味も微かに。そのせいで酒の味わいが変わります。
割り山椒の小鉢に大徳寺麩を柿で和えて和えてあります。柿の実をすりつぶして、お得意の「柿酢」で延ばしてあるそうです。言われれば微かに後口に残っているようです。流石に大徳寺麩を作ることはしないようです。
暖かい茶碗蒸しも出てきます。すり柚子。百合根だけのシンプルな茶碗蒸しです。関東の茶碗蒸しには百合根は入れないんだっけ?

お造りは、いか、たい、まぐろ。

二本目は「鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」。微かに、ほんのわずかながら古酒っぽいキャラメルのようなコクを感じますが、

」 話の発端はなんだっか忘れちゃったけど「大市」とか「北村」の「たん熊」のすっぽん料理屋の世間話というか、世間の評価をしていたのですが、それは、お椀のネタづりだったようです。で、よく分からない「中間の味」という丸のお椀です。白ネギや焼き餅を使わないのが、世間と同じ物をしたくないという気持ちの表れだそうだ。香りも味も控えめ。食べ終わった後でも、あっさり。生姜は使ってないようです。今まで聞かなかったけど、出汁や煮物の沸騰させて使い水は「麩嘉の慈野井」なんだとさ。
焼き物は、サワラ。味噌漬け。山利さんだったかな?

津居山の蟹を使った、飯蒸し。海が荒れてお困りのようです。
穴子を白く煮てあります。煮アナゴと言えば醤油を使って煮るのが普通で、白い煮穴子は始めてみた。柚子を散らしていい香り、心持甘い煮付け。しっとりした穴子は、焼きアナゴより好き。真っ黒はお馴染みの柚べし。今年はこれから漬けこむようです。一個3000円ぐらいで買ってくれたらいいのにと・・・。
河内の海老芋の炊いたん。菊菜。お馴染みの熨斗鰹は厚めで、なかなか丸まってくれない。刻んだ柚子皮。優しい甘味のおつゆもしっかり呑んでおきます。
今朝届いたという保津川で撃って取ったという仔鴨が焼き物。新鮮な鴨なら、毛は抜きやすいんだそうだ。羽毛は一旦舞い上がると始末に負えないそうだが、店内でバケツに突っ込みながらむしって行くそうです。ノウハウがあるようです。散弾で出てくるかもしれないので、慎重に噛み噛み。葉懐式は銀杏。烏丸通りの銀杏のようです。最近は実を付けない銀杏に植え替えているそうで、残念そうです。
津居山のせこ蟹。蟹酢はでなくてスダチ。日本料理屋らしい姿のせこ蟹。言う前から「折」を用意してくれて、詰め初めてくれます。入りきらない分は食べないとというプレッシャーでお替わり。

デザートですが、奥でシャカシャカ音がしておりました。なにが出てくるのかと思っておりますと、葛を練っていたんですな。小豆餡に流しかけて熱々です。栗の甘煮に生麩で作った紅葉。風情として立田川です。小豆餡は熱くないので、グリグリかき混ぜれば濁ってしまいますが、ぜんざい風になります。温度も適温。控え目な甘味。

冬の食材の話をしておきます。期待にこたえてくれるのではないかと・・・。ゆっくりですが、あっと言う間の3時間半。


平成24(西暦2012)年9月14日
今出川で下車して、烏丸一条へ。晩ご飯は日本料理屋の「」です。贅沢なカウンターの中央。

  • 先付け四品。ワタリガニ、目板カレイの自家製干物、無花果の胡麻和え、ゴリの佃煮
  • お造りに、ウニを巻いた鯛、シマアジ、タコ、山葵
  • お椀は、ハモ、松茸、三つ葉、柚子
  • カマスの酒塩焼き、ゆべし、はじかみ、スダチ
  • 新イクラの飯蒸し
  • 炊き合わせには、小蕪、子芋、穴子、絹さや
  • 夏鴨の塩麹漬の焼き物、
  • 丸の吸い物
  • アワビご飯、止め椀(生麩・椎茸)、香の物
  • スィートポテト、黒蜜

一本目のお酒は「鶴の友・純米酒」。日本酒は米でできているなぁ、と改めて思い知るお酒。お米のふんわりした甘さがあって、喉越しも切れる美味しさ。

蟹味噌で食べるワタリガニという一品。乾物屋で見かけなくなって久しいとおっしゃる目板カレイの干物。無くなったら無くなったで自分で作っちゃうんです。無花果半分にゴマダレ。ゴリの炊いたん。カラカラに煮詰めてあります。

お造りは、生でも柔らかいタコ。コリコリしまあじ。贅沢にウニを巻いた鯛。完全に鯛が負けてます。
お椀は定番の鱧松。松茸が出ると、もうハモも飽きてるだろうけど、ださなシャーないという口ぶり。ハモもたぶん今月いっぱいだな。しっかりした出汁だというんだけど、味がほとんど感じないほど薄味。香りつけに追いガツオもしているというから、舌が鈍感になっちゃったかな?それとも「鶴の友」でマスキングされた?
焼き物はカマス。酒塩にしてるそうです。真っ黒ゆべし。

二本目は「鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」。まだ夏の鄙願だそうです。よりフルーティ。
話のタネに「越乃寒梅・特選・吟醸酒」というのを頂く。お客さんの中には、これときめたらそれしか飲まない方がおられるようです。お手軽な「越乃寒梅」に比べて穏やかでバランスがいいのには、ちとびっくり。ただ、最後にアルコールっぽい粗さが残るようです。徐々に消えるのかもしれない。

新いくらは少々小さいようです。口の中で押しつぶせる硬さに仕上げてあるイクラです。今シーズン最初のイクラですが、美味しい。痛風でなくて良かったぁ。
暖かい炊き合わせには、小蕪、子芋、穴子。煮しめられた子芋が抜群。蕪がでるようになってきましたなぁ。
合鴨ですけど、塩麹に付けた鴨を焼いてくれてました。鴨の臭みが全くないのは、血抜きのせいか塩麹のせいか分かりませんが、淡白。山葵が合う。付け合わせは?シャキシャキでした。塩麹は酒で伸ばしたものに1時間くらい漬けこんだだけとおっしゃる。そんなもんでっか?と自分で作り気もないので、軽く聞き流しておきます。
ご飯の前に、夏バテ(してないけど)の栄養補給(無駄に蓄えてしまう)の為と「すっぽん」がグロテスクに出てきた。エキスが濃いわぁ。

ご飯は。持ち帰り分も含めて、たっぷり炊いてくれた「あわび」。アワビの出汁で炊いてくれたんでしょう。止め餡には生麩と椎茸。ちと辛かった。

お菓子は、スィートポテトに黒蜜。補糖してミルクを加えたポテトを直前に焼いてくれて、熱々。少々緩めのポテトで甘さ控えめ。本当は熱々のスィーツだったんだろうなと、目ウロコ。

ゆったり時間を過ごして、3時間。


平成24(西暦2012)年6月26日
今出川で下車して、烏丸一条へ。晩ご飯は日本料理屋の「」です。贅沢なカウンター。

  • ゴリの佃煮、梅の蜜煮、焼きウニ
  • タコ刺し、梅肉、山葵、塩、醤油
  • 鱧の落とし、焼き霜の鱧、つぶ貝、紫芽、花穂
  • 餅鯨の袱紗味噌仕立ての椀、牛蒡
  • 鮎の塩焼き、べっこう生姜、煮花山椒、たで酢
  • 刻み穴子の飯蒸し、実山椒
  • 鷹が峰茄子の田楽、柚子味噌、木の芽味噌、ゆべし
  • 穴子、絹さや、湯葉、子芋の炊き合わせ、振り柚子
  • 短角牛ロースの炭火焼、花山椒
  • 鱧とジュンサイの煮物椀、胡瓜、柚子
  • タコ飯、香の物
  • ミルク羹、いちごにコンフィ
一本目のお酒は「鶴の友・上々の諸白(五百万石精米歩合50%以下?)」。抑制された香りに、料理を引き立てる味わいのお酒。

先付けに三品。大きさはバラバラですけど、琵琶湖のゴリの佃煮。いくらでも箸がすすむ君なゴリ。綺麗なウニの焼きもの。梅の蜜煮。

タコの足一本を薄造り。綺麗にイボイボが剥かれています。コリコリの吸盤も好きなんですけどね。10年物の梅肉、山葵、塩が出てきます。潰しただけという風情の梅肉は裏ごししてあっても団子状に凝縮した逸品。
替わりのお造りには、鱧とつぶ貝。めったに使わないというつぶ貝はここでは初めてです。鱧は落としと炭火で皮目だけを炙った物。火が通れば焼いた皮だけを氷で熱を取ってました。比べて食べれば、落としは味が抜けた感じ。
昨年もでた鯨の味噌仕立ての椀ですが、すっかり忘れてました。脂の臭みは無く、牛脂を滑らかにした生麩を柔らかくした感触。赤白の味噌を合わせた吸い地も旨いし、牛蒡が甘く感じます。
鮎二匹。天然だそうですが、産地は聞き忘れ。天然と言っても、放流して間もない鮎なら天然とは言い難いという言葉に納得。炭火でじっくり頭を下にして斜めに焼いてます。お腹の脂がジワリと溶け内臓を抜けて頭に回って揚げるように焼く。その為、串の打ち方も違うそうでし、片面だけしか焼かないのです。味が違うと評判なようです。べっこう生姜は懐かしい味。思い出したのは「生姜板」というお菓子。生姜の和風コンフィですな。炊いた花山椒に、ほとんど必要ない「たで酢」

二本目は「〆張鶴・純米吟醸・純・精米歩合50%」。味の幅が広がります。

飯蒸しは、焼きアナゴを刻んだ物。実山椒の香りがいい。
賀茂ナスとは微妙に違うみたいな「鷹が峰茄子」。よく似てます。皮が厚いようで食べにくいですが、甘い味噌とナスが合います。茄子は素焼のようです。今年は柚子の出来が悪そうで、数が取れるか心配のご様子です。
炊き合わせ。穴子、絹さや、湯葉、子芋。甘味を感じる旨いツユ。
ズーッと火床で炙られていたのは、短角牛のロースでした。花山椒は炒めてありますが、その分香りが飛んでしまっているせいか、辛味が優しい。牛さんは文句がありません。じっくり焼くのは、フレンチでもしますが、焦げ目がないように焼いてあります。

ご飯は、たっぷり「タコ飯」。お腹十分ですので一膳だけで、詰めて貰います。
デザートは、ミルクだけで作ったゼリーです。かなりハードに出来あがってました。イチゴの炊いたん。プリザーブっていうのかな?

消費税が10%になったら、外食を控えようかなと思うのですが、小さなお店もお困りのようだ。お店を〆ようかと言う話も冗談に聞こえなかったりする。


平成24(西暦2012)年4月6日
今出川で下車して、烏丸一条へ。晩ご飯は日本料理屋の「」です。店頭の「梅」もしぼんでしまいました。先客はご兄弟の一組。今日は賑やかで、マダムもカウンター。

  • 先付けの三品は、ホタルイカの酢味噌掛け、ウルイの海苔和え、蘇
  • 半生このこの炙ったん
  • イチゴ煮、吉野仕立て、木の芽
  • 焼き霜のアブラメと赤貝、イカのお造り
  • アブラメ、よもぎ餅、わらびのお椀・木の芽
  • マスの幽庵焼き、ゆべし、はじかみ
  • 淡路のアナゴのの桜蒸し
  • 短角牛の塩焼、タラの芽、山葵
  • タケノコの直煮、木の芽
  • ウニご飯、香の物
  • ヨモギ麩と小豆
一本目は「鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」。

先付けは、蛍烏賊は前回と同じ。山菜のウルイ揉み海苔で和えたん。久しぶりの「そ」です。もそもそとした食感。
前回は、レアな糸付きの干す直前(?)の「このこ」でしたが、今日は、分厚く半生のようで、硬さもあります。三角になるように干したものは裂き易いですが、太い分ポキポキ折ったほうが早いという固さ。
小吸い物が出て、アワビです。アワビの優しい出汁で出来てます。おや?!黄色い・・・ウニがありました。いちご煮でした。葛を引いてトロミがついて、まだまだ寒い日だけに、美味しい。

お造りは、皮霜のアブラメに赤貝とイカ。
お椀には、葛打ちしたアブラメに、ヨモギ餅。
焼き物は、マス。幽庵地に漬けたもの。幾分漬かり過ぎのように感じます。自家製のゆべしは、真っ黒。

二本目は「〆張鶴・純米吟醸・純・精米歩合50%」。

桜蒸しの飯蒸しには、淡路のアナゴを焼いて刻んだもの。
今宵は、牛さんを炭火で焼いてくれました。赤身の美味しい短角牛は、脂も軽く、肉の味はしっかり。山葵が良く合います。
シンプルにタケノコが直煮。
前回、美味しくないといった淡路のウニが入ってきて、生ではまた文句いうと思ったようで、ご飯に仕上げてくれます。どんな状態か分かりませんけど、ご飯は美味しい。
お菓子は、熱い餡子にまん丸ヨモギ。兄弟さんのお土産上賀茂の「神馬堂の焼餅」をおすそ分けで頂きます。

今宵はマダムもいて、お話に拍車がかかるというもの。なんだかんだで4時間くらい。「縁」は最近の派閥(招福楼系とか、佐々木系とか)いうものとは「無縁」というのが実は面白くって、若い店の評判はともかく、楽しい話がいっぱい。ミシュランにも興味がないというけど、☆の「夕やけ・善哉(よきかな)」は弟子(?)だったそうです。まだまだ聞きだしてないことは多そうです。


平成24(西暦2012)年3月27日
河原町六角でタクシーに飛び乗って、烏丸一条へ。店名は言わなかったが、真正面に止めてくれた日本料理屋は「」です。店頭に「梅」。でかいよ。火曜日はカウンターを独占。

  • 先付けの三品は、ホタルイカとウルイの酢味噌掛け、ウスイエンドウの炊いたん・木の芽、淡路ののウニ。
  • 半生このこの炙ったん
  • イサザと豆の炊いたん・木の芽
  • 焼き霜のアブラメと赤貝のお造り
  • 物集女のタケノコ・鴨・よもぎ麩・タラの芽のお椀・木の芽
  • もろこの焼き物、ゆべし、はじかみ。木の芽酢
  • 北海道ウニの飯蒸し、揉み海苔
  • タケノコの直煮、鯛の子、木の芽
  • シャコの暖かい南蛮風炒め物、菜の花
  • 暖かい酢の物で、蛤の葛仕立て、木の芽
  • タケノコご飯、香の物
  • イチゴ・コアントロー
一本目は鄙願・大吟醸・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%

なんだか小鉢がいっぱい出てきた。いつものように三品が並びます。ホタルイカとウルイの酢味噌和え。酢味噌は白呂味噌ベースの色合いで、奄美のある酢味噌。豆の旨煮を逃がさないように工夫をしたという煮豆。出汁に豆のクリーミーなコクが加わって、とても美味。残念なのは、色の良くないウニ。色合いも良くないし、甘味も全然。身が崩れている訳ではなし、新鮮なんだろうけど、全然旨みが無いねぇ。気の早いウニなんでしょうか?

乾燥物のバチコはよく出てくる珍味ですけど、半生のバチコもあるんだそうだ。干してる止め糸つきで、ふっくらしたバチコ。味は乾燥品の方が優れているかもしれないけど、香りは半生の方が立つ。
琵琶湖の春の珍味の雑魚のイサザを豆で炊く定番料理。お昼に食べたイタリアンでも出てきたけど、スーパーでパック売りされていると伝えると、悔しがっています。京都までは出回ってこないのでしょうか?難しいようです。
お造りは、焼き霜のアブラメに赤貝。赤貝のひもは大葉に巻いてあります。
二本目は〆張鶴・純米吟醸・純・精米歩合50%

お椀は、タケノコに鴨、よもぎ麩、タラの芽と、盛りだくさん。それでも、吸い地は濁りのない薄味。シャキシャキの歯触りのタケノコで、物集女産。
焼き物は、モロコ。串に打って焼いてあります。ここでは木の芽酢。だんだん大きくなっているようで、腹子も大きくなっているようです。

ウニのリベンジとして出てきたのが、北海道のウニを使った飯蒸し。まともでした。
今日はタケノコ一般味わえます。シンプルなカツオの直煮。もう若竹でもないでしょうと言うことです。穂先の部分と根元の部分。ともに硬めの歯触りで根っこを食べてる感じがいい。合わせてあるのが真子(鯛の子)。小振りだけどい、集めてくれてたようで沢山です。
奥でジュージューとフランパイで焼く音がしていたのが、シャコ。暖かい甘酢・南蛮風で、仕事は中華風のようです。でも見た目、芋虫のようでグロテスクな感じ。そう伝えると、苦笑いされちゃった。菜の花は、暖かいおひたし。シャコの味を比べて、ほっこりできる和風の出汁。
小吸い物かと思って聞き流したけど、暖かい酢の物でした。微妙な酢の加減で、ほんのり。蛤の旨みが暖かい葛をひいた中に溶けだしてくると、酢の香りに旨みが勝ってしまいます。一度で二度の味ということかな。

ご飯は、お釜でたっぷり炊いてくれたタケノコご飯。美味しいんですけど、一膳で持ち帰らせてもらいます。
デザートはシンプルにイチゴにコアントロー。

今日はタケノコと木の芽の日でした。特に香りのいい木の芽がたくさん出てくると、飽きることなく満足感が高いのです。料理には香りが大切。
花見の話とか、食べ終わってからが長引いて反省。
三月いっぱいで、藤久を辞めて開店準備に入る幸代ちゃんの旦那が勤める日本料理屋が、焼失した時にデザイン・施工をした工務店さんがこの店を施工したそうである。という知り合いで新店はその工務店さんが手がけるのだけど、旦那も幸代ちゃんもこのお店に来ているそうだ。旦那の人柄の評判がいいようです。むちゃは一度、バッロッタであったきりですが・・・。開店が楽しみですな。


平成24(西暦2012)年2月7日
地下鉄の四条烏丸から、今出川へ。晩ご飯は「」です。カウンターを独占。土日月の三日間は大入りだったけど、今日明日はさびしいんだとさ。むちゃの火曜日は独占状態になる比率が高い印象です。
カウンターの正面には、椿に豆花。今年もお麩屋さんが、豆花を作ってくれはったみたいです。

  • 先付け三品、堀川ごぼうのクルミ和え、フグの風干し、炙ったばちこ
  • お造りは、おこぜ、皮、浮き袋、ポン酢
  • お椀は、合馬のタケノコの粕汁、木の芽
  • 白魚の旨煮
  • アマダイのネギ焼き、はじかみ、柚べし
  • ゴマ豆腐の柚子釜蒸し、田楽味噌
  • 炊き合わせは、海老芋、穴子、菜の花、柚子皮
  • 丸鍋、焼きネギ、焼き生麩
  • 餅入り丸雑炊
  • 黒糖ぜんざい

一本目のお酒は「鶴の友・上々の諸白(五百万石精米歩合50%以下?)」です。軽やかな旨み。

先付けは、堀川ごぼうのクルミ和え。京都の東山あたりで作られているとか・・。焼いたフグの風干し。昨日の残りでしょうかね。冷たくなっているのが残念かな。スダチをふってあります。ヒモのとしたら冷たくてもいいか?暖かいのはバチコ。むちゃは「バチコ一つでお酒が一本飲める」という安上がりな酒飲みでないのです。

お造りは手間をかけて作ってくれてあったようです。熟成したような黄色がかったオコゼの身。薄造りという薄さでない微妙な厚み。ポン酢もしっかり旨い。ゼラチンの皮も、浮き袋も、いいけど、とにかく肝ですなぁ。しっかりお腹に溜まるボリュームです。
お椀は、白味噌でまだ雑煮かと思ったら、粕汁でした。九州合馬のタケノコに木の芽。岐阜(どこか忘れたそうだが)の吟醸粕を使って、ポタージュのようなトロミ感。白味噌が隠し味だそうだ。
白魚の煮物と言うべきかどうかわからないけど、甘く炊いたもの。玉子をいれたら「玉子とじ」になるんでしょう。玉子を入れるのがもったいないくらいの白魚だったという説明です。暖かい一品です。

二本目のお酒は「〆張鶴・金ラベル・大吟醸・山田錦精米歩合35%」でさらに軽い味わい。若い頃は「水みたいな酒」を馬鹿にしていたけど、水では絶対に料理は美味しくないんだよねぇ。水みたいな酒でも、水なんかより、お茶なんかより・・・日本酒があれば絶対に料理が美味しい。日本酒が呑めない人は可哀想だねぇと考えちゃうようなすっきりした味わい。

焼き物はアマダイ。「ネギ焼き」って言ってたと思うんだけど・・・。既にウロコは挽いてあって、塩焼じゃないアマダイは珍しい。塩焼や酒焼きで、ウロコを経てない「なかむら」流のアマダイの焼き物が有名だけど、ウロコを経てない時は、皮をはがして、揚げて煎餅にしてもらうのが通(?)もしくは正しいのだそうだ。既に揚げて出てくる店が手間がかからなくていいねぇ。

夏のゴマ豆腐は「竹流し」ですが、冬は熱々の柚子釜。田楽味噌。柚子の蓋をギュッとね。
炊き合わせは、海老芋、穴子、菜の花。先っぽは見た目少し筋っぽいけど、肌理の柔らかい炊き具合。少し甘めの出しに合ってます。煮崩れることなく食感を残した穴子。
鍋敷きが折敷の出てきて、運ばれてきた鍋は、丸だ。生姜は使っていないそうだ。じゃあっさりかと言うと、丸ですから・・。焼きネギに、焼き生麩。すっぽんはケチってなくて、十分なボリューム感のある量ですが、食べるとゼラチンで口がべたつく感じ。丸の出汁は残しておきます。
で、まる雑炊。刻んだネギに溶き卵。残さず完食。「ふぐ」と並んで二大雑炊だと思います。赤カブと山田大根の漬け物。
デザートはぜんざい。和歌山の人は「でんだい」っていうんだろうな。黒糖の甘味しっかり。


平成24(西暦2012)年1月10日
地下鉄の四条烏丸から、今出川へ。晩ご飯は「」です。カウンターを独占。女将は後からやってきはりました。
カウンターの正面には、鏡餅と松竹梅。その松の間にあるのが、この年になって初めて現物を見た「仏手柑」だ。いい香りだけど、見ようによっては気持ち悪いねぇ。今年もお麩屋さんが、餅花を作ってくれはったみたいです。笹飾りはまだ昨年の分です。

  • 黒豆、このわた
  • 雑煮椀で、手毬麩、煮餅、金時人参、大根、のし鰹
  • フグの白板昆布〆、遠江、ポン酢醤油、おろし
  • おせち風の八寸、モロコの炊いたん、八幡巻き・はじかみ、鴨ロース・カラスミ
  • お椀は白子豆腐、みぞれ仕立て、柚子
  • マナガツオの幽庵焼き、龍眼(柿にウズラ玉子を鋳込んで揚げた物)、ゆべし、ちょろぎ
  • 焼きカラスミの飯蒸し、赤飯風小豆入り
  • 炊き合わせが、小豆蓮根、松毬慈姑、きんこなまこ、タケノコ、木の芽
  • 南山城の天然イノシシの肩ロースとバラ、堀川ごぼう、椎茸、粒マスタード
  • 蛤ご飯、香の物
  • 粟小豆

お酒は、福井の「一本義物語・平成22年大吟醸・山田錦精米歩合30%」です。フルーティな香りより白米や麹の素朴な香りがホンノリ。キレがいいので軽い喉越し。昔から、一本義のイメージは「米の旨みを感じるキレのいい酒」。

お正月らしい二品がまず出ます。かなり甘味の利いた柔らかな黒豆。塩分控えめに感じるコノワタ。
雑煮椀が出た。赤と緑の糸に見立てた手毬麩に丸の煮餅。紅白の人参と大根。山利の味噌だけど、熨斗鰹も加わって出汁の利いた白味噌仕立て。

長皿に、白板昆布がべローンと出てきました。昆布〆のようです。ヒントは小皿に盛られた遠江。フグですな。3時間程度という締め具合ですが、白板を使うことで昆布臭さがでないそうです。それは納得の味に仕上がっております。おろしの中の唐辛子もフグを殺さないようにちょっぴり。好みの量です。おろしにはネギも混ざってあって、個性的。
八寸風に盛られたのは、モロコの炊いたん。あっさり目。八幡巻きにはじかみ。鴨ロースにはカラスミ。
お椀がここで出てきました。フワフワの椀種は白子豆腐、柚子のペースト。みぞれ仕立て。

焼き物は、マナガツオの幽庵漬け。ちと漬かり過ぎかな。初めの珍味は柿にウズラ玉子を鋳込んで揚げたもので「龍眼」ちゅうてました。柿の甘味と玉子とが不思議な味。中国の月餅の正月バージョンに玉子入りがありますから、甘いものと玉子とはいい相性なんでしょうね。むちゃは玉子入りの月餅は口に合わなかったけど・・・。ちょろぎにゆべし。
飯蒸しは小豆で赤飯風に焼きカラスミ。
野菜の炊き合わせには、蓮根の穴に小豆を鋳込んだ小豆蓮根。松毬慈姑。トロトロの「きんこなまこ」は味がしゅんでおります。キンコ特有のイボイボは目だ立たない。タケノコはこりこり。
お肉料理が出て、「いのしし」。ロースとバラ。冬は美味しい物が多いなぁ。暖かい牛蒡というのも美味しいものだ。
ご飯は蛤を炊きこんでくれます。ちょっと酒の香りが残っております。お持ち帰りします。
デザートは、粟に小豆。粟餅ではなく「粟」です。クスクスみたいな感じでグリグリかき回して食べます。

前に働いていたトキワ君が今回のお節にも手伝いに来てくれたそうですが、相当厳しい作業だったようで、今年の年末は止めることも含めて見直しするそうです。デジカメに行楽庵の写真が残っていたので、比較しながら、お節話。
マダムが遅れてやってきてからは、話の相手を引き受けてくれて、料理のペースも速くなってくる。で、いつもより少々早く店を出られました。


平成23(西暦2011)年12月6日
地下鉄の烏丸御池まで歩いて、今出川へ。晩ご飯は「縁」です。贅沢なカウンター。
  • 柿のゴマ汚し、自家製からすみ、雲子の柚子釜蒸し
  • 越前蟹、レモン
  • お造りが、しまあじ、ひらめ、いか、もってのほか、紫芽、ワサビ
  • お椀は、丸仕立て。すっぽん、生麩、青ネギ
  • サワラの西京焼き、菊花かぶら、自家製ゆべし(2007年製)
  • 海老芋の炊いたん、柚子、のし鰹
  • うずらのオイル焼き、焼きびたし、椎茸、ししとう、おろし
  • うずらご飯、香の物
  • 栗ペースト
一本目は「〆張鶴・金ラベル・大吟醸・山田錦精米歩合35%」です。どんな料理にも寄りそう旨さ。若い頃にはきっと頼りなく感じるんでしょうけど、飽きの来ない味といいましょうか?

先付けは、柿にゴマダレ。お馴染みの柿酢に浸ってます。
自家製の新物のカラスミ。新物でも熟成感がでていて、旨く作ってあります。なんでもお上手。カラスミで思い出したのは、和久傳の「カラスミ餅」。一個1470円だっと思うが、高い!もともと三友居さんの茶菓子だったそうだが、お客さんの強い勧めで三友居さんに仁義を通して造り始めたのが、縁の大将。その後、あちこちで出回ったとか。もうその頃には仁義も減ったくれもなくコピーされちゃうんですな。むちゃは昔、姉小路の店でたべましたわ。
雲子を柚子釜で蒸した一品。柚子の底に昆布が敷いてあるだけ。蓋の柚子をギュッとね。今日は、味に一工夫あればと感じます。客は我儘なもんです。

なぜか順番を悩まれておりましたが、黄色のタグの蟹が出てきました。目の前でさばかれていくのは、やっぱり楽しい。決して、蟹を包丁で飛ばすような、不届きな行儀の悪い包丁ではありません。蟹の半身を出してくれます。足の下には、足の元の部分(どう呼ぶのか知らないけど)も半分が四つ割。蟹酢を付けるのは嫌なようなので、納得です、レモンが添えてあります。何も付けないのが一番蟹の美味しさを味わえると思います。味を変えたいときは蟹味噌で、手前味噌に和えるとかで十分。でも、レモンで食べる蟹は初めて。悪くない。ボリュームがあるので、口が変わって、新鮮。
蟹をむしった後は、贅沢な話、手が蟹臭くなります。お手拭きを取り換えてくれるのは、そこそこの店なら当たり前ですが、レモンを一切れ出してくれまして、指で潰して匂い消し。マメな心遣い。(蟹タグを貰ったけど、置き忘れちゃったのかな?)

お造りは、シマアジ、ひらめ、いか。イカは細かい包丁。俎板の上に「縁側」が置かれてましたが、出ませんでした。賄いだそうです。仕舞うと食べ忘れるんだとかいうて、魅せるだけでした。
二本目は「鄙願・大吟醸・たかね錦精米歩合50%」です。イチゴや二十世紀のようなフルーティな香りがじんわりと舌に残る綺麗なお酒。同じ酒でも、酒の味を引き出す料理というのがあるんでしょうな。

お椀は、すっぽん。ここじゃ、初めてだった気がします。日頃から薄味ですが、すっぽんも抑制した吸い地。それでもジワーと暖まってくる思い。餅も白ネギもないのが、店の主張です。

サワラの西京漬けの焼き物。味噌味控えめ。2007年物だという真っ黒の柚餅子。今年200個以上の柚子を仕入れているということですが、人手が足りないとかで悩んで張ります。旨いと唸るものでもなく、不味いと嘆くものではないけど、あればあったで嬉しい添え物。日本料理ですなぁ。
河内の海老芋を炊いて出てきました。出す時に乗せるお得意の「のし鰹」が踊ります。海老芋が美味しくなってきましたねぇ。ねっとりとした舌触りに、芋の甘味が、冬ならでの季節感をだしてます。柚子皮もたっぷり。お汁も飲みます。

今日もジビエ?ウズラをオイル焼き。それを焼きびたし風に吸い地がかけられてます。柔らかくて、しっとり。焼き鶏でも出汁をかければ旨くなるかなと考えちゃう料理でした。焼いただけの知ったけより出汁を吸ってより美味しく感じます。
ご飯はウズラを炊きこんでくれました。冬はウズラ粥で有名な所で修業してはったさかい、慣れたもんなんでしょう。ご飯がうっすら色づいているし、ウズラの脂で艶々。お米がウズラの骨から取った出汁で、旨みを吸っています。生姜の風味もよろしいなぁ。二膳食べて、折につめてもらいます。

デザートは、栗ペースト。聞けばそうだと気付くブランデー風味。


平成23(西暦2011)年10月18日
晩ご飯は、烏丸一条下ルの料理行司・縁」です。贅沢なカウンターになりました。
今日は珍しくコンロに炭が入ってませんね。

  • ワタリガニ、自家製酥、自家製カラスミ、平種柿・ゴマダレ・柿酢
  • 珍味に、天然浜地の燻製のほぐし身、カツオ海苔、梅肉・醤油・ワサビ・カツオ
  • お造りが、目板カレイ、はりイカ
  • お椀が、鯛真蒸、松茸、焼き麩、青菜、柚子
  • カマスの塩焼、自家製柚べし、はじかみ、スダチ
  • イクラの飯蒸し、大葉
  • 蕪の炊いたん、田楽味噌、のし鰹
  • 鴨ロースの丹波焼、万願寺
  • 蒸しアワビ、黄身酢掛け、胡瓜、柿酢
  • 白ごはん、仔鴨・椎茸のソティ・マスタード、香の物(蕪の葉・蕗味噌)
  • 栗ペースト
一本目は、「鶴の友・上々の諸白(五百万石精米歩合50%以下?)」。かぐわしい味が口に広がって、さらりと消えていきます。

先付けのように二品が続きます。旬のワタリガニんは雄。ほぐしただけのシンプルな味。
続いて、真っ白の古代の(原始的)乳製品「酥」。美山の牛乳で作ってみたという代物。作れば簡単にできるものを、どこも造らないのが不思議なようですが、できるできないの問題じゃなく、料理の食材とは思ってないからでしょう。そのうちに、バターにも挑戦するつもりのようです。アゲレッシブです。

折敷の上の料理を食べれば、続いて二品。自家製の新カラスミ。塩分控えめな味。
柿・ゴマダレ。珍しい食材は柿酢。柿の糖分が発酵して、更に酢酸発酵したもののようだ。ただし一仕事してあって、酸っぱいというより甘い。

さらにチマチマとした珍味が出る。珍味というより「ごはんの友」だな。天然のハマチをコンロの天上で3日ほど燻製させ、ほぐした身。子のままでも珍味だけど、ご飯に乗せて食べても行けるでしょう。食べ切ってしまったけど。
「縁」流の振りかけ。昆布と削り鰹から作ってあるそうだ。もう少し塩を足せば立派な振りかけになりそう。これは、最後まで残しておいてご飯にパラパラ。
順序はてれこになるけど、お造りの残った醤油に梅肉をたっぷり彫り込んで、削り鰹を入れ、グチャグチャと練ったもの。梅風味の鰹も肴にもなるし、権何も合う。

志野風の葉皿には、目板カレイ。イカ。白一色。
お椀は、鯛真蒸に松茸。フワフワの真蒸が多い中、鯛の身が多くてボソッとした食感です。鯛の香りが口に広がります。真黒な柚べしは自家製。

身の厚い大きなカマス。

二本目は「〆張鶴・純米吟醸・純・精米歩合50%」。味はもっと軽くかんじます。水のようで、水臭くなく、料理を引きたてもしないかわりに、損ないもしないという奥ゆかしい味わい。

飯蒸しは「新いくら」。イクラにも熱が程よく入った微妙な温度のイクラでした。
蕪の炊いたんには、味噌田楽。その上に特注のし鰹。4時間かけて煮たカブラは橋がすっと入って、口の中で溶ける柔らかさ。田楽は無くてもよろしいようです。お出汁が美味しい。
鴨ロースに、裏ごしした栗のそぼろを乗せてオーブンに入れたんでしょうか?丹波焼。栗のホクっとした食感が、ボソボソした感じになります。鴨よりはもうちょっと脂っぽい食材の方が合ったかもしれないなぁとは思いました。
蒸しアワビに黄身酢。黄身酢を出してほしいというリクエストがあって、作ったそうです。アワビを黄身酢で食べた記憶が思い出せない。ちょっと柿酢を使ったそうです。

ご飯の友が残っておりますが、おかずに「仔鴨(冷凍物ですが)」を椎茸と一緒に焼いてくれました。

デザートは、栗ペースト。しっかり甘さがあって、〆の甘さにふさわしい。かき氷に白玉が付き物のように、餅とはいいませんが、せめて白玉ぐらいあった方がより美味しいように思えるのではないかと。


平成23(西暦2011)年8月16日
晩ご飯は、烏丸一条の料理行司・縁」です。先客二組。毎年、送り火に合わせてこられというご夫婦も。マダムと会うのも久しぶり。お客さんが多い時は、料理に手を取られてカウンターに誰もいないという不調法なことになりますからね。カウンターの後ろは「大」の文字。
  • 先付け
    • 賀茂ナスの炊いたん(エビ殻の出汁)
    • ささげのクルミ和え
    • 海胆
  • お造りには、あこう、鱧の皮霜、おとし、紫芽、花穂紫蘇、梅肉、ワサビ
  • お椀は、鮎、ネギ
  • 鱧のつけ焼き、はじかみ、ゆべし
  • ごま豆腐の竹流し
  • 稲庭うどん、すっぽんの煮凝り、ネギ
  • アワビのオイル・バター焼き、肝、ししとう、椎茸
  • 炊き合わせに、鱧の子の玉締め、子芋、絹さや
  • えび・胡瓜・長芋素麺の酢の物
  • 鱧丼、香の物
  • 牛乳プリン、小倉餡
今日のお酒は「鄙願・大吟醸」です。今日はなぜか冷蔵されてなくて、ひや(常温)で出してきました。それでも癖のない綺麗なお酒。

エビの殻で獲った出汁で炊いたという賀茂ナスが一品目。海老とか貝とか、ひと味加わると美味しいです。
お得意のクルミ和えで、ささげ。
北海道だと思うけど、ウニ。

お造りは、夏のツートップと思っている、アコウと鱧。淡路の鱧もようやく脂が乗ってきたということで、ようやく「落とし」で出せるようになったとおっしゃる。もう一品の鱧は、炭火で炙った皮霜。ちゃんと串に刺して炭火で焼いて、皮目だけ氷で荒熱を取る。という一連のお仕事がカウンターで眺められます。鱧の落とし程度の料理は、食べる頃合いを見て造るということが当然だとおっしゃる。なかなかそうでないところが多いんです。冷やし過ぎは、もってのほかですな。
お椀は、鮎。焦げ目がないなぁと思ったんだけど、ちゃんと焼いてあるそうです。その後、頭としっぽを落として中骨を抜いて、酒蒸しにしたということです。鮎だけというシンプルさ。
焼き物は、鱧です。よく総菜として見かける鱧のつけ焼きとは違いますなぁ。お求めやすい値段のつけ焼きは、そもそも鱧が違うそうで「スズハモ」という種類だそうです。特徴として身がしまりやすいといことらしい。ちゃんとした鱧のつけ焼きの記憶がないけど、焼き物として美味しかったんですなぁ。自家製の柚べしとはじかみ。

夏の定番のゴマ豆腐は、竹に流して固められています。半分に割って、ちびちび箸でつまんで食べられる硬さ。
ちょうど、送り火の時間になったので、マダムとお客さんが出て行かれます。近くによく見える場所があるそうです。京都ゆかりのご先祖がいないので、カウンターで食べ続けます。

箸休めに、稲庭うどんが出てきました。すっぽんの煮凝りがグシャグシャに乗せてありますが、お出汁は張ってないので、煮凝りと絡めて頂きます。美味しいですけど、よくを言えばすっぽんの玉子があれば、もっと宜しゅうございますな。
アワビが焼かれて出てきました。オリーブオイルと少々のバターだと思います。旨い旨い。肝は少し苦かったな。
炊き合わせには、鱧の子の玉子とじ。子芋、絹さや。甘いお出汁が、いかにも関西(京)風な味わい。甘さの加減がとても心地よい味わい。
酢の物。長芋は晒してあるのか、粘りがそれほど。それにちょっと太めで、食感がザクザク。
ご飯は、鱧丼を出してくれました。ご飯は、焼きだれがまぶしてあります。これもほんのり甘味を感じる仕上げで、ご飯が美味しく感じられるギリギリかと・・・。

デザートは牛乳プリン。牛乳羹、ラッテコッタですな。粒餡。


平成23(西暦2011)年6月7日
今出川まで来ているのですから、メインダイニングはわざわざ繁華街に戻るまでもなく当然のように「料理行司・縁」です。
美術館の閉館に合わせて、入店が早かった分、いつも真っ暗な玄関だけど今日はまだ明るい写真。これでもマンションの一階。

  • 先付け四品、じゅんさい・ワサビ、青梅の蜜煮、タコの柔らか煮、椎茸と胡瓜のクルミ和え
  • 小吸物には、皮鯨の袱紗味噌仕立て、牛蒡
  • 車エビの炙ったん
  • お造りが、川焼き霜の鱧、車エビ、シマアジ、ワサビ。紫芽、花穂紫蘇
  • 煮物椀には、鱧、じゅんさい、蔓菜、花柚子
  • 小鮎の塩焼き、はじかみ、自家製ゆべし
  • 信太蒸し(鰻入り茶そばの揚げ巻き)、ネギ
  • 鱧の有馬煮、巻き湯葉、三度豆、木の芽
  • 短角牛の炭火焼、マスタード、酢取りチョロギ
  • 海老のパエリア風炊き込みご飯、煮昆布
  • 杏仁豆腐、黒蜜
面白いお酒があるというので、グラスで試さされます。「稲葉山・御土(おんど)・活性生酒・純米・精米歩合60%」というのん。「千代の亀」を醸す(なぜか)愛媛の亀岡酒造のお酒です。
(なぜか)岐阜の稲葉山の神社裏山の土から取り出した酵母で、どぶろく風に仕上げたお酒。ブクブクしていたんでしょう、720mlの四合瓶ですが600ml詰めだそうです。もう活性は収まっているようです。濁っている部分は嫌だと言って「上澄み」を一杯味見。黄色っぽい上澄みで、果実の香りはしないけど、甘味は果物。それでいて、喉越しはくどくありませんね。梅酒に近い果実酒のようです。甘すぎるけど、食前になら、いけるでしょう。

その果実酒に合わせるかのように、秋田産のジュンサイの酢の物を頂きます。蜜煮の青梅も稲葉山は負けてないね。青梅を青く炊く銅の力。塩もみして水分を絞り切った胡瓜のクルミ和えはとても美味しい一品。

一本目は「鄙願・大吟醸・21BY・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」になります。稲葉山の後では、まるで水のように、何も感じずスルスルと喉を滑ります。だんだん味が戻ってくる。日本酒の難点がなく、問題ない食中酒。

小吸物という位置づけらしいですが、古い料理とおっしゃる皮くじら(オバけだな)の袱紗味噌仕立てのお椀。たぶんこの漢字だと思うけど、僅かに赤みそを混ぜた白味噌の吸い地。初夏から夏にかけての滋養強壮に使っていたという皮鯨は、古い京料理の献立だそうです。すこし鯨の癖のある香りを残してあります。面倒くさい下拵えが消えていった理由の一つかな?
これから出るお造りの車の頭が、炭火で炙られていました。骨が喉に刺さって以来、ちょっと怖々。

お造りは、韓国産の鱧を骨切りして、皮目を炙って、氷で荒熱をとった焼霜の鱧。車エビは、脱皮を終えて旨みを増してくる時節らしい。シマアジ。どこの店でも鱧には五月蠅い事を言わはるので楽しい。この季節の鱧はまだ脂が少ないので、落としには向かないということらしい。皮だけを炙っても火は身の方にも廻って、うっすら身が白っぽくなる頃合いがいいのだそうだ。フムフムと面白く聞いてます。それにカウンターでは、骨切りが見られるのか板前の楽しみですが、ここでもそうですが大概の店では、必要な分量しか骨切りをしません。ですから知らなかったんだけど、身と尻尾とでは骨切りの包丁の向きや角度が違うそうだ。(なぜかというと、書かないよ)。ということをいろいろ答えてくれるので、飽きない鱧です。
煮物椀というお椀は、鱧とジュンサイ。定番ですな。管牛蒡に蔓菜。吸い口は花柚子。
塩焼きは鮎二匹。木の芽酢です。まだ出ている蓼は、温室(?)栽培ものが多くて、苦くないらしい。画から切れちゃったけど、ほんのり暖かい自家製の柚べしが添えられてます。

二本目は「〆張鶴・純米吟醸・純・精米歩合50%」です。派手さはないけど旨いお酒。

俵のお揚げさんが出てきたので、しげしげと眺めれば「茶そば」だ。どうやって食べれば品がいいのかを考えれば箸が止まってしまった。蕎麦の向きに箸を入れてお揚げさんを裂くといいみたい。でもやっぱりグチャグチャになるね。バラして見て気付いたのは、鰻入りでした。流石に茶そばはご主人のpて家ではありませんでした。暖かい側つゆという味で、しみじみと美味しい蒸し物でした。聞けば、時間のかかる料理だとか。
鱧の炊いた料理は有馬煮。山椒の産地としての有馬が使われているのですが、有馬は「実山椒」、鞍馬は「木の芽」と(ここでは)使い分けるそうだ。湯葉半の巻いた湯葉が添えられてます。湯葉の中心は豆腐のような柔らかさで、炊くのも難しそうだ。実山椒は、洋食でいえばケイパーみたいなイメージ。
炭火で焼いてくれていたのが、宮城の短角牛のフィレ肉。震災後、出荷が始まったようです。出来るだけ使ってあげたいということですが、牛タンは県外に回るほど無いら しい。とにかくゆっくりではあるけど、復興の味が増してきているようです。

食事の途中で、作ってもいいですかと聞かれたのは、パエリア。断り理由もないし、興味津々。土鍋で作ってくれました。海老ガラのスープを使って、海老のパエリア。オリーブオイルに、バターも使っているかな?すこしアルデンテが強いかなと思うけど、芯が残っているほどでもなく、とにかく香りと味がいい。食べまくった一日だけど、お代わりしてしまう旨さ。サフランなんかは入れてないので、淡い色合いが、より和風に感じさせてくれます。上品でした。

デザートは杏仁豆腐。


平成23(西暦2011)年4月26日
晩ご飯は、今出川の「料理行司・縁」です。
玄関脇の藤が見ごろ。デジカメのオートで撮ると、藤色が青色になっちゃった。お昼がいいでしょう。
まだ震災の影響でお客さんが戻ってこないそうで、ゆったりのカウンター。

  • 先付けに、アブラメの新子の南蛮、ウスイ豌豆、鳥貝(酢味噌)、ソフトくちこ
  • お造りには、焼霜のアブラメ、イカ、サヨリの昆布〆、ワサビ、五年物の梅肉
  • お椀は、アブラメ、タケノコ、ワラビ、木の芽
  • アブラメの木の芽焼き、花山椒煮
  • 刻みアナゴの桜蒸し
  • 炊き合わせに、タケノコ、若芽、ふき、一寸豆、鯛の子、木の芽
  • タケノコ寿司、生姜
  • 宮崎牛のロース炭火焼、花山椒、自家製ゆべし
  • タケノコご飯、ちりめん山椒、香の物
  • 杏仁豆腐、はちみつレモン生姜ソース

日本酒好きのご主人だけに、東北のお酒を用意してあって、一杯だけ出してくれます。福島の「愛宕の松・純米吟醸・冷卸・精米歩合55%」です。落ち付いた味わいで、「究極の食中酒」を意識して醸したという裏書に納得の味。

先付けは、小鉢で次々と出て、折敷に並びます。最初に橋を付けたのが、ウスイ。昆布出汁に砂糖・塩で味をつけただけの出汁で、煮汁ではなく漬け汁なんだけど、豆のクリーミーさが浸み出したような汁。ウスイ豆が霞んでしまうくらい美味しい。
アブラメの新子というのが流通しているんだ。
半生のクチコはこれから干してバチコになるというもの。ただ、炙ると収縮してみみっちくなるようです。裂いた時に絡み合うナマコの腸管ぐあいが、糸を引く納豆のようです。味わいはバチコと変わらないね。
宮津産の生鳥貝。酢味噌が出たけど。お造りも出てきたので、醤油でも味わいます。

お酒はいつもの「鶴の友・上々の諸白」。
お造りから、アブラメ3品が続きます。お造りには、焼き霜。それだけ皮に脂たっぷり。梅肉も悪くない。コリコリのイカ。昆布〆のサヨリは平造りの身を立てて並べて扇のようにしてあります。
椿のお椀に、アブラメとタケノコ。淡い吸い地。アブラメからいい味が浸み出してきて、どんどん旨くなる吸い地。
木の芽焼きのアブラメ。お造りよりは火が通った方が、美味しいと思いますねぇ。花山椒を炊いたんが添えられているけど、甘め。ちょっと予想外だった。

飯蒸しは、季節ならではの桜蒸し。刻んだ煮アナゴ。アナゴの甘味が桜の香りとマッチして、美味しい桜蒸しになってます。グジなんかの上に道明寺糒と桜の葉を置いて蒸して餡かけにした桜蒸しとは違いますよ。桜風味の刻みアナゴの飯蒸しと言った方がピンと来るかな。
二本目は佐渡の「金鶴・特別純米酒「風和(かぜやわらか)」・佐渡産五百万石(減肥栽培米)精米歩合55%」。前には感じなかったけど、少し古酒っぽい香りが嫌味。でも温度が上がってくると甘味が香りをマスキングして気にならなくなった。香りに不満をいうと、「鶴の友・大吟醸」を一杯出してくれた。愛想ないラベルの正体は、出品酒だといういう。危険な酒のひとつ。これを五年寝かしたものが、昨年11月2日に頂いた薄茶色のラベルの「鶴の友」になるんだそうだ。全然古酒っぽさを感じなかった。「上々の諸白」でも十分美味しいのだが、ちょっと例えようがないな。

炊き合わせは、木の芽が主役といいたくなるような炊き合わせ。多いようですが、これくらいあった方が絶対いい。タケノコを一口頬張る時に一枝というくらいが好き。タケノコの根元の部分も筒切りにして、陰に隠れて見えないけど粉カツオを振って入ってます。
タケノコをカツラ剥きにして、細巻きにしてあります。美味しゅうございます。生姜はむちゃには辛すぎる。渋れてしまって他の味が分からなくなるくらい。
たくさん美味しいタケノコ料理を食べていると、原産地(だったと思う)中国では、どういう食べ方をしているんでしょうと、頭をよぎるわけです。経験した中国料理からは、単なる食材のひとつとして使っているだけで、タケノコそのものを食べる料理というのは思いつかない。中国の二十四孝の「孟宗」の話は、病気になった母親が食べたいといったタケノコを彫りに冬の竹林に探しに行って、涙ながらに雪の下を掘れば、雪が解けて、タケノコが取れたという伝説。汁物だというのだが・・・。(浄瑠璃『本朝二十四孝』でも「勘助住家の段」の「筍堀」の場面があって、慈悲蔵が雪の積もる竹林で「何ぼ掘つても筍があらう様はなけれど、親を思ふ一心を憐み天より授くる事もや」と鍬をふるう映しいシーンがある。もっとも探しているのタケノコではないけれど・・・)。日本料理っていいなぁと思うのです。
古い話(40年ほど前までは?)京都の筍産地というのは洛西ではなく、伏見の稲荷山というところだったらしい。人の手が入らなくと竹林も荒れてしまったらしい。

三陸から牛が入ってこないので、宮崎牛のロースを焼いてくれてました。花山椒たっぷりが嬉しゅうございます。今年は格別収穫期間が短いようで・・・。自家製のゆべし。

ご飯はタケノコご飯にしてもらいます。土鍋炊き。二膳いただきます。
デザートは、杏仁豆腐。

先月もアブラメがでたなぁと、帰って思い出した。美味しくもありーの、変えて欲しかったなぁと思いーの。
すべての料理をご主人一人で作ってくれますから、当然ながら食事はスローペース。スローといっても結果的に時間がかかったと後で思うだけで、食べてる間は、楽しい時間で、もうこんな時間というわけです。食べてからも喋ってしまって、すまんこってす。3時間を越えてしまいました。


平成23(西暦2011)年3月15日
晩ご飯は、烏丸一条の「料理行司・縁」です。
東日本大震災の影響でキャンセルがでていて、お嘆きの大将。今日も一組キャンセルだそうで、カウンターは独占。仕入れとかには影響がないそうだけど、高く買い付ける関東に商品が回りがちになるかもしれないという懸念はあるようです。こういうときこそ、自粛で引きこもってないで、お出かけするべきかもしれませんな。

  • 摘み菜のクルミ和え、ヒラメの味噌〆にワラビトロロ掛け、ホタルイカの黄身酢掛け・菜の花、鯛の蒸し白子
  • お造りには、アブラメの焼き霜、アブラメ、赤貝、赤貝のヒモの大葉巻き、赤貝の肝、イカ、土筆、防風、紫芽、ワサビ
  • お椀は、アブラメ、三色生麩、ワラビ、木の芽
  • 焼き物は、マスの味噌漬け、蕗の薹の甘煮、はじかみ
  • アナゴの三宝柑蒸し寿司
  • 諸子の塩焼。オリーブオイル風味、ゆべし
  • 炊き合わせが、飯ダコ、タケノコ、ふき、うど、木の芽
  • 油通ししたすっぽんの時雨、白髪葱、生姜
  • 白ごはん、いさざ豆、香の物
  • 柿の白餡鋳込み。ホワイトチョコレートの隠し味
一本目は「鶴の友・上々の諸白」。いつも変わらない味を出しているということが凄いねぇ。膨らみはあるけど、癖のない素直な味わい。
ポンポン続いて珍味が出てきます。摘み菜は壬生菜の間引きのようです。クルミはミルキーなコクのある味。ヒラメは面白い仕事。味噌に漬けていたそうだ。ヒラメらしい味わいは無くなるけど面白い。それにワラビを摩り下ろしてトロロにしてあるのだが、とてもいい味。醤油にワサビの香り。悪が残るというので、見た目は悪いけど、旨い一品。大きくなったホタルイカ。大きく育った鯛の白子。暖かいうちに出してくれます。柚子風味。フグのそれにも劣らない味だ。

お造りは、アブラメ。まだ脂が乗り切ってないというけれど十分美味しい。40cmほどの大物だったそうです。皮目のコリっとした焼き霜もいいけど、ヘギ造りの生も柔らかいけど熟れて旨い。赤貝一揃えにイカ。
梅のお椀に、葛打ちのアブラメ。桃の節句らしい三色の生麩。吸い地は、むちゃが通っているお店の中でも一番の薄味。
焼き物はマスの味噌漬け。先付けの頃から、じっくりと炭火で焼いてくれてました。蕗の薹を甘く炊いたん。
二本目は「鄙願・大吟醸・21BY・新潟県山北町たかね錦精米歩合50%」になります。キリッとした味。もう少し味がある方が好きなんだけど・・・綺麗な口当たり。
箸休めは、蒸し寿司。(お昼と重なった!)好みで三宝柑の蓋を絞ります。柚子を使うと苦味が出るというので、これには三宝柑を使うんだそうです。

焼き物は諸子。オリーブオイルを振ってあるそうです。最近お気に入りの食べ方らしいですが、慣れない味。自家製ゆべし。
炊き合わせには、合馬のタケノコ。飯ダコ。蕗に独活。タケノコには木の芽!いっぱいの木の芽を乗せてくれてるのが嬉しいなぁ。こういうのはケチってはいけません。食べずに残すなんて論外です。
珍しいのが出てきました。時雨にしたすっぽんを油にさっとくぐらせたようです。香ばしい醤油のいい香り。こういう仕事をしてもすっぽんはすっぽんの香りがするんですなぁ。足一本分でした。ニュルンとした皮の部分がそのままで噛み切れずに食べにくいという点は、もう一つだけど、旨いなぁ。味もしっかりしたもので、ご飯だっていけちゃうだろう。
ご飯は、お釜で炊いた近江産コシヒカリの白ごはん。ご飯のおかずにイサザ豆を出してくれました。今年2回しか入荷しなかったというイサザ。琵琶湖の川魚ですが、こういうのは食べ慣れてないのです。家では小アユや諸子を飴煮にする(釣ってきたオヤジの仕事)ことはありましたが、名物の「えび豆」とかは食卓に上らなかったんです。だから、あまり思い入れのない料理。おかずというより酒肴にしたいくらい。
最後のお菓子は白味噌餡を鋳込んだ干し柿。ホワイトチョコが隠し味だそうで、口の中で微かに残ります。言われなきゃ分からなかった。コクのある白餡になります。

今日も、二本(二合)で収めたけど、珍しいのがあるといって最後に味見させてもらったのは「賀茂泉・終の栖(ついのすみか)・寂聴撰酒・純米吟醸・精米歩合60%」というのん。寂聴撰酒というのが、妙味。可もなく不可もなく、悪くもないのだが、特徴も感じられなかった。癖がないので料理(すっぽんだけど)には間違いなく良いようです。
裏ラベルに寂聴尼のお地蔵さんの絵でしょうか?表ラベルの文字は違います。藤原新也。
料理の合間や、食べ終わってから、また話しこんで、3時間を越えちゃいました。むちゃはここ数日テレビばっかり見ていたせいで、時間を掛けて人と喋るのも久しぶり。気が紛れました。とは言うもののご主人には迷惑しちゃいました。と思いきや、深夜のテレビにはまっているそうで・・・。


平成23(西暦2011)年2月1日
晩ご飯は、烏丸一条の「料理行司・縁」です。先客一組。不思議なことだけと、食べ物にかかわるお商売人さんが目立つ。
  • 先付け二品、いさだ豆・木の芽、カラスミ
  • フグ刺し(てっさ)、ネギ入りポン酢醤油(一味唐辛子)
  • お椀は、山城産筍の白味噌仕立て、酒粕風味、木の芽
  • 柊の飾りの珍味に、「吉」の香合にこのわた、鴨ロース・ワサビ、八幡巻き、柚子味噌入り鬼面の生麩
  • 諸子の焼き物、自家製の柚べし、はじかみ、木の芽酢
  • 三宝柑釜の蒸しゴマ豆腐、田楽味噌
  • 炊き合わせは、海老芋、アナゴの干瓢巻き、春菊、振り柚子
  • イノシシのロースの炭火焼、粒マスタード、酢蓮根
  • イノシシの首下一番のスペアリブの醤油焼き、ししとう
  • ウニの飯蒸し、揉み海苔
  • きんとん、お薄
一本目は「鄙願・大吟醸・21BY・新潟県山北町産たかね錦精米歩合50%」。障りなくスルスルと滑る酒。
先付けは、ポンとポンと出る。イサザ豆は琵琶湖のイサザ(琵琶湖固有種のハゼ)と豆の炊いたん。イサザは環境省の汽水・淡水魚類レッドリストでは「絶滅危惧IA類(CR)」となってしまった貴重な淡水魚だけど、今年は特に不漁だそうです。豆と炊くのは郷土料理です。この豆、丹波の黒豆と大豆のF1交配種だそうで、調べると「タマフクラ」というものらしい。もっちり感のある食べ応えのある豆。
羊羹からすみ。

お造りは、ふぐ。そういえば今シーズン初めてのテッサです。ポン酢醤油があっさり目。ヒーヒーするほどの一味唐辛子ではないけど、いまだに唐辛子の風味をたす理由が分からないなぁ。もう少し旨みが出てほしいところだった。長皿に盛り付けるのをみるのは初めてだ。
お椀は、白味噌に筍。甘味を酒粕で抑えてコクを足した感じの味わい。「〆張鶴」の酒粕だそうです。シャキシャキノの食感も残して美味しいゆで加減。
珍味四品。ほんのり温かい八幡巻き。鴨のロースにワサビ。このわた。柚子味噌入り生麩の鬼のお面。生麩は「麩嘉」さんの。お面の押し型というのがあって、そこへギュッと押し付けるそうだが、ネットり粘るので、熟練の技らしい。特注らしい。麩といってもグルテン100%という生麩はなくて、餅粉とブレンドするそうだが、グルテンの比率が高いのが特徴という御説明であった。

焼き魚は、諸子。今年はスーパーで一杯買ってるんで有難味は少ないけど、食べ方はいろいろ。むちゃは面倒くさいので焼いて醤油煮浸すくらいだけど、ここでは木の芽酢。木の芽はいいよねぇ。
二本目は佐渡の「金鶴・特別純米酒「風和(かぜやわらか)」・佐渡産五百万石(減肥栽培米)精米歩合55%」。鄙願が軽すぎるんで、ふっくらとしたお米の味わいが強いようだけど、そんなに重たい酒でもない。
三宝柑の中で蒸されたのは、ゴア豆腐。豆腐の葛が熱で溶けて、中身がとろとろ。田楽味噌に、蓋の果汁を搾って、グリグリ。定番で出しているそうだが、運悪く今日が初めて。面白いゴマ豆腐でした。冬は冬で、夏は夏で趣向を変えはります。
炊き合わせは、海老芋、穴子干瓢巻き、春菊。甘味のある旨みの強い出汁に柚子の香りが引き立つ。海老芋は少しパサつく感じだけど旨みは十分。

冬の縁さんに期待しちゃう「肉」。今日焼いてくれたのは「イノシシの肩ロース」。今月半ばには禁漁期に入るらしいけど、悪さをするのも増えているから、長く食べられるかもしれないな。一頭買いだったそうで、骨からスープも取ったんだそうだが、事件があったようだ。骨スープの牡丹鍋とか美味しそうだ。
店で捌くとでてくるスペアリブ。首下のところを醤油・味醂に付け込んで焼いてくれました。食べにくいけど、ワイルドにガシガシ。客を選ぶ一品なので、今日も他のお客さんには出てなかったようです。
ご飯替わりに、飯蒸し。ウニに揉み海苔。欲を言えばしっとり感が欲しいところ。

お菓子に、お客さんが貰い物と言って持ち込まれた松屋常盤のきんとんを、おすそわけ。銘は分からないけど、二月だと「雪の下萌」でしょうか?昨日貰ったとか言ってはったから、一月の名前が付いているのかな。ユルユルの金団地。溶ける。今宵は久しぶりにマダムがおられたので、お菓子に合わせてお薄も出る。

カウンターの後ろには「餅花」ならぬ「豆花」の柳。実は、これを作った息子さんがカウンター。福豆を小さなドリルで穴をあけ、接着剤を塗って柳の枝に通して固めたそうだが、大変な労作。


平成22(西暦2010)年11月23日
晩ご飯は、烏丸一条の「ねこや白河・縁」です。耳に聞こえてくる話では、この連休が紅葉と重なって祇園四条界隈は大賑わいと言うことですから、観光客ずれしてないところへ食べに行こうというわけです。まぁ連休が終われば落ち着くでしょうけど。先客一組。俳人の先生や能面師の方。
  • 酒肴三品が順に、アンコウの肝の粕漬け、柿梨のクルミ和え、せこ蟹・柚子
  • お造りが、カワハギの薄造り、肝、醤油、柚子
  • お椀は、焼き目を付けた鯛真蒸に初氷、シメジ、三つ葉、柚子
  • グジの若狭焼き、贅沢煮、菊花膾、ゆべし
  • 雲子の柚子釜蒸し、椎茸
  • 海老芋と春菊、熨斗かつお、柚子
  • 亀岡産鹿肉のバター醤油焼き、ワサビ、ししとう
  • 松葉蟹の飯蒸し
  • モンブランに渋皮煮
一本目は「〆張鶴・大吟醸・金ラベル・精米歩合35%」だそうだ。さらりとした日本酒。料理の後口を綺麗に洗い流すようです。喉越しの余韻もなく、食べ物が進みます。
一品目は、アンコウの肝。普通は蒸して(おろしを足したりして)ポン酢を掛けたりするんだけど、ここでは手間を掛けて粕漬けにしてあります。粕のコクが加わって、味だけでなく香りも高い一品。
二品目は、柿・梨・椎茸・三つ葉のクルミ和え。クルミで和えるのは、ゴマはどこにでも出てくるので嫌い(真似したくない)という御主人の頑固さ。梨は酢洗いしているそうで、くるみに酸味が加わってます。初めての味。
三品目は、越前のせこ蟹。日本料理屋らしい風情で出てきます。ここまでで随分とお酒がすすんでしまうのが困りもの。

お造りは、甘いカワハギ。肝は別皿で、生生しい色だ。たっぷり出してくれました。薄いと書いたけど、こりこり感は感じられる微妙な厚み。
お椀は、鯛真蒸。ぼそっとした食感だけど、ほとんど「肌理の粗い鯛蒲鉾」と言う感じ。表面を軽く炙って焦げ目。その上から大根のスライス。「初氷」という趣向らしい。そういえば、どこかでも聞いたなぁ。「みぞれ」にすると「初霜」ともいうらしい、ゆかしいねぇ。淡いんだけど、じんわりと旨みの広がる吸い地。ここも美味しいお椀です。
派手なりっぱな「ぐじ」が、ゆっくり炭火の遠火で焼かれてました。ちゃんとウロコも焼けてますので、パリパリ食べる食べる。

雲子の柚子釜は前回も出たけど、今日の方がしっかり火が通っているのが、好みと違うな。柚子鴨の底に昆布を敷いて、出汁を張って雲子を入れて蒸してあるようです。蓋になった柚子をギュッと絞って・・・

二本目の「日本酒」の名前を聞き忘れる。「鶴の友」かな?
炊き合わせは、河内の海老芋に春菊。目の前に出てから「熨斗鰹」が乗せられ、クルンと丸まってくるのを楽しく眺めるんです。海老芋が美味しくなってきたなぁ。炊いた出汁が上品に甘いのですが砂糖は使ってないとおっしゃる。正体は「越州」とか日本酒を醸している朝日酒造さん(そうとは書かれていないけど)が、別会社を通して販売している「越後酒やのかくし味・越のみりん」 です。ペットボトルでした。本みりんより濃厚な褐色で甘い。
また炭火で焼いてくれていたのが、亀岡で獲った「鹿」。醤油バター味。炭火でじっくり焼くと、赤味を残して火をじっくり通しても、パサパサにならないそうです。しっとりジューシーで臭みのない鹿です。まだ亀岡ではイノシシは獲れてない(回ってこない?)ようです。てな、話をしていると、雉だの、雷鳥だの、ツグミだの、サンショウウオだの・・・。
越前蟹の飯蒸し。浜茹でのもの。艶々で透明感のあるもち米です。美しいものは美味しいに決まってます。白いご飯も用意してあると言われたけど、もう十分。別バラを残して・・・
今日のモンブランは、渋皮煮付き。ブランディーたっぷり使った栗ペーストだそうです。


平成22(西暦2010)年11月2日
晩ご飯は、烏丸一条の「料理行司・縁」です。秋から春にかけてとてもメニューが楽しみなお店。
贅沢なカウンターでのお食事。

  • 自家製「酥」、鮎の真子の塩辛・黄身練、胡瓜・柿・梨のクルミ和え
  • お造りは、鯛、車エビ、イカ、花穂紫蘇、紫芽、海老の頭の炙ったん
  • お椀は、銀杏真蒸(鱧・鯛のすり身)、大根、軸菜、黄柚子
  • 鰆の幽庵焼き、スダチ、はじかみ、ゆべし
  • 菱蟹の飯蒸し
  • 裏海胆(椎茸の裏にウニを載せて焼いた一品)、菊花蕪、スダチ
  • 柚子釜に白子蒸し、柚子の割り醤油
  • 蕪の炊いたん、振り柚子、熨斗かつお
  • 合鴨の丹波焼、シシトウ
  • 丸(すっぽん)入りの暖かい稲庭うどん
  • 煮栗に栗ペースト
最初の一本は「鶴の友」。出品酒らしいです。ありがたやありがたや。マスカットのような香りの後にレモンやスダチのような柑橘系の香りに変化するようです。後味の甘さも柔らか。
先付けが三品並びます。

  • 真っ白いのが自家製「酥」。古代のカッテージチーズ?ほとんど味はしないせいか、スダチを絞ってくれます。日本酒でも大丈夫。最近は市販のものが入手できるけど、これくらいは出来ると作っちゃう御主人です。これもチーズと考えれば、それを使うことも日本料理の食材としてヘンテコではないと思えますね。
  • 黄色い珍味は、「鮎の真子の塩辛」。黄色い色は塩辛いのを和らげるために黄身を練り合わせたそうです。玉子くさくない微妙な塩加減。だからやっぱり日本酒がいいですねぇ。
  • どこでもゴマを使うと言うので、クルミを使うという和え物。柿の甘味は分かりますが、梨は言われるまで分からなかった。

お造りは、車エビ、鯛、イカ。生きてる車エビ二匹を目の前で剥き剥きして、頭は櫛を打ってコンロへ。分厚く切られたイカ。頭は別皿。
お椀は、四角い真蒸。すり身も蒲鉾屋のそれではなく、自家製。鯛だけだとぼそぼそでまとまらないと言うので、鱧で粘りを出すそうです。銀杏はおまけみたいな真蒸です。吸い地は、淡く仕上がってます。通ってる大概の店は薄味ですが、その中でも角が取れて滋味たっぷり。香りはあるんだけど、喉に残らない味わいで、真蒸を崩していくと、鯛や鱧の味わいで、どんどん旨くなる。真蒸ひとつで満喫。
焼き魚は、さわら。自家製の「柚べし」。

二本目は「〆張鶴」。秋から冬にかけて日本酒が美味しくなるなぁ。際立った個性があるとは思えないけど、ほんのりした味にすっきりした香り。ちょっと引きを感じる。
飯蒸しはワタリガニ。
大分の椎茸の裏にウニを乗せて焼いた「裏海胆」。面白い組み合わせ。
柚子釜煮は雲子。いきなり柚子の蓋を絞るのは避けましょう。柚子を絞り出汁で割った醤油が用意されているのでそちらを使います。雲子の下、柚子釜の底には昆布が敷いてあるので、飲んでおきましょう。旨みはあまさず頂きましょう。
蕪の炊いたん。どこかで見たようなデジャブ。美山の蕪。降り柚子して出てきて、最後に熨斗かつお。
初めてみる料理が出てきました。丹波焼きというから「栗」ですな。そぼろにしてあります。栗を食べてる「イノシシ」かと思いましたが、狩猟解禁が今月中旬だそうで、いまは鴨。鴨には、甘味が合うという選択のようです。ジビエの季節が近づいてきましたねぇ。

次にいつ入荷するか分からないと言うので、ふたたび「鶴の友」を猪口で頂いて、利く。ラベルをみせてもらっても、名前だけ。偽物が作れそうなラベルだ。
今日は、ご飯の代わりに麺類と言われて、出てきたのは「稲庭うどん」。いい香りと思ったら、すっぽんが入ってました。暖かかい稲庭は、たぶん初めて。素麺がにゅうめんでも美味しいように、稲庭も暖かくても美味しい。素麺に比べて伸びにくいので、むしろ好ましいかも。
デザートのお菓子は「栗栗」。ペーストはミルク風味で、洋菓子風。

御主人一人で料理をされてますから、むちゃのように喋ってしまうお客にも話相手をしてくれるので、厨房でこもって料理をしている店に比べて、時間がかかります。そんな手持無沙汰とも思える時間が、心地よいお店だなぁと改めて思えてしまうお店。
それに、他の店にはない、「何が出てくるかわからない」楽しみがこの店にはまだあります。


平成22(西暦2010)年6月23日
晩ご飯は、烏丸一条まで移動して「料理行司・縁」です。
大阪のお店で知り合った方を紹介したんですが、ちょくちょく利用していただいているようで、嬉しい。昨日も7人で貸し切っておられたようで、申し訳ない気分。

  • 先付け三品、煮梅、炙ったバチコ、ゴリのつくだ煮
  • 鴛鴦の器に、お造りが、マグロ、かんぱち、皮霜の鱧、いか、たこ、紫芽、花穂紫蘇
  • お椀は、鱧とじゅんさい、粒柚子、蔓菜
  • 鱧の源平焼き、はじかみ、新生姜の甘煮、レモン
  • ウニの飯蒸し
  • 竹流しのゴマ豆腐、ワサビ醤油
  • 子芋と湯葉の炊き合わせ
  • 短角牛ロース肉の炭火焼、トリュフ塩、マスタード
  • 塩き鱧のお寿司、レモン、甘酢生姜
  • 牛乳羹・黒蜜
お酒は「鶴の友・上々の諸白」が出てきます。
ポポン、ポンと出てくる先付け。入店と同時に、炙り始めてくれる「高いするめ」。煮梅がでて、その後で「するめ」が丸っぽ一枚でてきます。ハイペースで呑んでしまいそうなことろを自粛するものの、さらにゴリが出てきちゃいました。どれもいい塩梅です。

食材について、しゃべりながら、鱧を骨切りして、炙って、氷に載せて皮霜にしてます。鴛鴦の染付に、マグロやカンパチ。鱧は梅肉は出ず、ワサビ醤油でした。今日は韓国産らしい。
お椀も鱧、大きい鱧だったようです。半割にした粒柚子が吸い口。淡い吸い地は、物足りないかなと思うけど、飲み干した後にはしっかり旨みが口に残っているというお出汁。
二本目は「〆張鶴」。
カウンター後ろのカマドで、じっくり焼いてくれていた鱧が源平二色で焼き上がります。シンプルな塩焼が、ジューシーに焼き上がってます。粉山椒の手塩が出ます。数回醤油を塗って焼きあげた醤油焼きより、塩焼きの方が鱧本来の味がどんと出てくる白焼きの方が旨い。それも焼き立ての熱々ならでは。料理の順番にその都度骨切りしてくれるのも、それを見ているのも楽しいカウンターです。はじかみは少し辛いですが、新生姜を炊いたのは和風コンフィチュールという感じ。

お凌ぎに、北海道のウニを使った飯蒸し。出汁を張ったりしてません。そこに竹(バラン)を敷くこともしないシンプルなお皿。
夏の天板は、竹に流し込んだゴマ豆腐。十数年前に作り始めたという話ですが、まだ真似されていないという話です。でも、最近柚子を使ったデザートで同じようなことしてる店が「専門料理」にあったねぇ。
炊き合わせもシンプルに、湯葉と子芋。京風といいますか、ほんのりとした甘めの味。降り柚子。
なんだか、カマドでお肉が焼かれ始めちゃいました。京都には入ってないという短角牛を出してくれるようです。昔のお店で「みすじ」を焼いていたのが、懐かしく思い出されます。焼き上がってから、脂の部分を切り取って、さらに焼きましてくれます。スペシャルに「トリュフ塩」ってのが出てきました。それだけ味わうと確かに香りは違うんですが、使っても微妙でした。脂の嫌いな人もいるでしょうが、脂の旨さは麻薬みたいなもんだな。
今日は、昨年と同様に「鱧寿司」を一本お願いしてありますが、源平焼きでの白焼きだ美味しいということで、白焼きの鱧寿司を急きょ用意してくれはります。骨切りから初めて、串に刺し、カマドでゆっくり火を通して、ふっくらさんの鱧に実山椒を乗せて、寿司飯を起き、巻き上げて出してくれます。醤油の助けがないだけに、熱々の出来たて出ないと、味が変わってしまう恐れがあると言わはります。塩、山椒、レモンも加わって、鱧とは思えないミルキーな味わいも残ります。鱧の旨みの逃さずに焼きあげた白焼きって、美味しい。

デザートは牛乳羹に黒蜜。苦味のない黒蜜。

翌日のお昼ごはんは、昨晩、持ち帰りで、いただいた「鱧寿司」。美味しおす。山椒が効いてます。痺れるような香りがたまりまへんなぁ。骨切りの美しさは、もう辞めちゃって祇園の「○●本」へ移ったというトキワ君の方が、綺麗だけど、味は変わんない。


平成22(西暦2010)年4月6日
北山から鴨川沿いに下って、御所を横断して烏丸一条まで、桜を追いかけてきた最後、晩ご飯は「料理行司・縁」です。
30分近く早く入店してしまって、急かすことになってしまったようです。カウンターには、女優さん(気付かず)。御前様の娘役・マドンナだった方のようです。全然分かりませんでした。

  • ウスイエンドウの炊いたん
  • 鴨ロース、マスタード
  • ウルイ・海苔の暖かいお浸し
  • お造りが、炙ったアブラメ、赤貝
  • お椀は、麩嘉さんの桜麩(百合根・木耳・ウズラ丸入り)、ワラビ、木の芽
  • 鯛の頭の花山椒焼き、空豆、はじかみ
  • 桜蒸し(道明寺)、空豆
  • 焼きタケノコ、醤油つけ焼き(レバーペースト・リコッタチーズと木の芽醤油)
  • 夏鹿のフキ味噌焼き、花山椒、はじかみ
  • タケノコご飯、止め椀、香の物
  • 杏仁豆腐、ドライフルーツ
一本目のお酒は「鶴の友・上々の諸白」。歩き疲れた体にしみこむ慈雨のように優しく喉を滑る。ほのかな甘みも甘露。特A地区の五百万石で醸しているそうですが、山田錦並みの値段がする酒米だと・・・。山田錦といわれてもおかしくない出来。
先付け三品は、順々に出てきます。甘いお出汁に、ミルクを思わせるような味を感じるウスイ。木の芽の香りも旨し。平戸嘉祥と書かれた磁器製の蓋椀。
ほんのり暖かい鴨ロース。美味しい。
冷たいお浸しは、どこにでもあるという理由で、ウルイをゆがきたてのお浸し。ウルイの苦味はちゃんと残っているし、暖かいからといって違和感はない。でも、見ようによっては「お浸し」と言われても「炊いたん」と一緒やんと思えちゃうね。

扇面の器に盛られたお造りは、炙ったアブラメと赤貝。炙りたてのアブラメを目の前で切るし、盛り付けの直前に赤貝を向いてくれます。一人で賄っているとはいえ、作り置きはしはりません。まぁ、無理に大勢のお客は取らはらへんでしょう。美味しいアブラメですが、もっと脂が乗ってくるそうです。そういえば、赤貝は叩きつけてはりませんねぇ。
お椀は、どんと椀種が真ん中。真蒸のように見えますが、生麩のようです。麩嘉さんの手作りの桜を練りこんだ桜麩だそうです。生麩でくるまれているのは、百合根・木耳・(たぶん)ウズラの丸。極めて淡い吸い地。
後ろのかまどでゆっくり焼かれていたのは「タイの頭」。仕上げに「花山椒」をたっぷり乗せてくれはります。今年初めての花山椒が嬉しい焼き物。今日も「タイノタイ」。
二本目は「鄙願」。

道明寺を使った桜蒸し。中には海老のそぼろ。
塚原産のタケノコも、かまどで焼いてくれてました。時折、醤油を塗ってくれてました。お皿の上には、半分に割って、片方はそのままで、木の芽醤油の手塩が出てきます。もう半分には、レバーペーストを乗せ、さらにチーズが微かに溶けてます。本日のスペシャリティ。塚原産のタケノコは、やはり他とは違うのだそうだ。丸っぽ焼いてくれてますので、姫皮の先っぽから根元まで、味の違いを感じさせてくれはります。普通なら出さないレバーペーストで仕上げてくれましたが、これは前回に頼んでおいた、「変わった焼きタケノコを」との注文に応じてくれた仕事です。レバー嫌いならどうかわかりませんが、好きです。普通に食べても美味しいのは当然なんですが、印象からすれば霞んじゃいます。今日もタケノコ一杯食べましたが、食べ過ぎると敏感な人にはよくないんで、心配してくれはります。大丈夫でっせ。
次にお肉が出てきました。害獣駆除の鹿肉。木の新芽が出始めるこの時期に、害獣駆除される鹿だそうです。フキを巻いて(くるんで)焼いてたそうですが、周りに刷り込んだ味噌の香りがいい風味。イメージとして蕗味噌風。しっとり柔らかに焼かれて、臭みは当然ありません。かまどの遠火で焼いてくれてますので、妙に堅くなることもないそうです。ここでも花山椒がでて、嬉しい一皿。

ご飯食べられますか?と聞いてくるので、(当然)いただきます。炊いてくれたのは「たけのこご飯」。タケノコだけのタケノコご飯。二膳ほど頂けば、折に詰めてくれはりました。
デザートは前回と同じく杏仁豆腐。

一人で料理されているので、遅くなるのは当然のこと。とはいえ飽きずに楽しい3時間半。気分満点のお食事でした。
予約の時に電話に出た、若い女性の声はどうやら娘さんのようです。女将さんと交互に手伝っているらしい。娘さんは裏千家にお世話になっているということで、なんとなく世間は狭い街。


平成22(西暦2010)年3月9日
晩ご飯は、地下鉄烏丸駅から烏丸を下って「料理行司・縁」です。のれんは「円」で、ちいさく「ねこや」と書かれています。
予約の電話をご主人が受けたので、嫌な予感がしたのだが、若い子が他の店に移ったそうで、一人で全部やられるようになった。マイペースの仕事と割り切って楽しそうだが、カウンター7席をこなすのだから大変だぁ。

  • 先付け、氷魚の炊いたん生姜風味・木の芽、ホタルイカ・酢味噌、ウニ、このわた
  • お造りが、ヒラメ、ミル貝、赤貝、ワサビ、紫芽、防風
  • 梅のお椀に、鯛と海老の真蒸、菱餅麩、タケノコ、菜の花、木の芽
  • 焼き物が、モロコ、付け合わせが、柚べし、蕗の薹の味噌漬け、はじかみ、木の芽酢
  • ごま豆腐の柚子釜・田楽味噌
  • 炊き合わせが、イイダコ、ふき、うど、タケノコ、湯葉、木の芽
  • 蒸しアワビ、椎茸、菜の花
  • 白ごはん、止め椀、香の物、ちりめん山椒
  • 杏仁豆腐、ドライフルーツ
一本目は「鶴の友・上々の諸白」。腰のあるどっしりしたお酒。フルーティでもあるしミルクのようなコクもある。燗でもよさそう。
先付け二品、火魚とホタルイカとがでて、後はゆっくり拵えてはります。活けの氷魚を仕入れて、お店で炊くそうだ。もうずいぶんと成長しているので、もう最後だね。ホタルイカはぽってり太っています。酢味噌は甘口。ゆっくり食べているとでてくるウニと海鼠腸。ウニにはワサビが乗って醤油が掛けられているが、海鼠腸はそのまま。ウニに醤油は掛けない方がいいと思うな。好みの量というものがあるしね。

お造りは三種。これから旬を迎えるミル貝。鳥貝とならんでむちゃの好物。生でも焼いても美味しい。
梅の描かれた蓋をとると、木の芽と菜の花の緑が鮮やか。三色の生麩は、菱餅風に麩で作ったものをスライスしたものらしい。麩嘉製。真蒸は、鯛と海老を使ったものだが、堅めでぼそっとした食感。木綿豆腐のような食感に、ほんのり海老の香り。山城産のタケノコ。香りや味でシャープな吸い地が多くなった気がするけど、ここのはその対極に位置しそうな味わい。
鄙願」。ほんのり甘い口当たり。
串ざしで焼かれたモロコ。自家製の蕗の薹の味噌漬けと三年物だというゆべし。

あたたかいごま豆腐が、柚子釜で出てくる。田楽のお味もいいし、ギュッと絞った柚子の香りが加わってもさらに旨い。そうだ柚子味噌田楽だな。
炊き合わせは、瓔珞の絵柄の蓋椀。熱々かと思ったけど、ほんのり。一人仕事の悪い点が出たかな。丸っぽの「うど」というのも珍しいや。
ちょっと時間がかかって、奥の厨房で仕事してはります。カウンターの端っこからちらちら見えますが、煮てるのか焼いてるのか・・・あれ?「明治のおいしい牛乳」パックから注がれてますよぉ!具材を盛り付けた後、煮汁を煮詰めてますねぇ。期待いっぱい、わくわく気分でまっていると、出てきたのは、アワビだった。蒸しアワビでもあるし、ステーキでもある。柔らかで、不思議と牛乳の香りなどしない。旨い。一緒に煮られた椎茸も美味しい。こういう料理を楽しそうに作って、出てくるところが好き。

釜で炊かれた御飯が蒸らされているのを、しゃべって待ちます。止め椀は椎茸の味噌汁。来月はタケノコご飯だという話。タケノコご飯が炊きあがったときに、バターを加えるととっても旨いそうだ。簡単な話だし、今度やってみよう。
最後に、デザートが杏仁豆腐だった。見ためはブリュレとかパンナコッタみたい。言われてみると、確かに杏仁の香りがホワーンと残る。食感は、中華料理屋のゼリーのようなそれとは違って、絹ごし豆腐みたい。こういう出し方と食感であるだけに「豆腐」といわれて納得できる。シロップもかかってないけど、いろんなドライフルーツの味が豆腐に交じっていい風味。こちらのデザートは、日本料理屋とは思えないけど完成度が高くて、おもたせにもいいだろうな。(注文があれば、持ち帰り用のカップを探してきて作りますというから、脱帽。)来月は何を作ろうかと聞かれて、思い起こすのは「桜餅」ぐらいしか急には思いつかない。

食材について聞けば、なんでも答える御主人に、ついつい長居。まだこれから洗い物をしなくちゃいけないのに、申し訳ないことしちゃった。


平成22(西暦2010)年1月6日
晩御飯は、地下鉄に乗って、烏丸一条にある、あまから手帖の1月号で「寿司遊び」という裏メニューが紹介されている、「料理行司・縁」へ伺います。少し前には「ごはん遊び」と紹介されていただけに、同じようなコピーをつけるライターにも呆れるけど、遊んでばっかりの店のように思われたら迷惑じゃないのかね。むちゃとしては、普通のお任せでも十分、楽しみな冬のメニュー!
立派な門松が飾られた料理屋さんも、今は少なくなったような気がします。末広がりの注連縄が飾られた暖簾が新しくなって、真ん中に「○」の文字。「円」すなわち「縁」というわけだそうです。向かって左には(見えないけど)「ねこや」の文字。
カウンターはゆったり。後ろには、鏡餅にお客さんからの餅花。

  • 先付け、ぶどう豆、カラスミかまぼこ、鯛入り紅白ナマス・いくら、後から、コノワタ
  • お椀が、白みそ仕立ての雑煮、人参、大根、餅の上に熨斗鰹
  • おつくりが、とろ、鯛、シマアジ、いか、芽甘草、防風、紫芽
  • 煮物椀に、手毬麩(うずら丸・木耳・銀杏)、大根、人参、鶯菜、木の芽
  • 焼き物には、マナカツオの味噌漬け、ちょろぎ、栗の渋皮煮
  • 炊き合わせは、タラの子、アナゴの干瓢巻き、生麩、梅人参、キンコナマコ、小豆鋳込みのレンコン、絹さや
  • 焼き物が、保津川で撃った仔鴨のつけ焼き、甘酢大根、はじかみ
  • カラスミ餅の焼いたん・のり巻き
  • ごはん、香の物、止め椀
  • 白餡鋳込みの柿
まず、お屠蘇がいただけます。実はちゃんとした屠蘇は初めて。お酒と味醂とを用いているそうで、コクのある甘味で聞いているより美味しい味になっている。

お酒は「鄙願」。
先付けが、三品、いつも通り。黒豆には違いなのだそうだが、灰汁を使うことで脱色され、ぶどう色になるそうだ。黒く炊くより面倒くさいそうだ。初めてのは「カラスミ蒲鉾」。勝手に名付けちゃいましたが、カラスミにすり身を巻いて、酒粕に漬けこむのだそうだ。カラスミの塩辛さが適度に抜けるという。おせちの一品らしい。珍しいのが入っていそうである。お正月らしく紅白。少しあとから、海鼠腸がでますが、ちびちび酒の肴に残しておきます。
お椀は、白みそ。上にべろんと乗っているのが「熨斗鰹」。こういうのを使う店もないそうで、鰹屋さんへの特注品だそうだ。鰹の中心部分でしか作れないとかで、なかなか作りたがらないということなんでしょう。最近では「糸鰹」に変わったということですが、本来はめでたい熨斗にしていたんだということです。餅の下に、大根と人参で紅白。当然ですがシガシガ噛んでいると、鰹の旨みが出てきます。
お造りが、とろ、鯛、シマアジ、いか。京都というのは、元日であろうと、魚があるそうで、担ぎさんの苦労が忍ばれます。大阪でも魚屋が休みだと料理屋は休むんでしょうが、どうも立場が逆のようです。ちゃんと水槽やらで活かしてあるところもあるし・・・。正月らしい芽甘草。

鶴の描かれた澄まし仕立ての煮物椀。塩味の勝った濃いめの塩梅。でかい手毬麩。安もんの料理屋の吸い物のお飾りの手毬麩とは、まったく違います。中にはうずらの丸、ユリネ・銀杏を厚さ1センチほどありそうな生麩でくるんであります。生麩の職人さんの熟練の技でまん丸に仕上げて、緑・赤・黄、朱の四色を手書きで糸を描いているそうです。これも正月の特注品だそうです。ムチムチで箸でも割れなくて食べにくい生麩ですが、崩れていくにしたがって、塩味が和らいでいきます。ウズラの旨みが欠かせないと思います。グルテンでお腹が膨れちゃいます。
 鶴で思い出しましたが「鶴吸い」という「鶴の肉」を使った吸い物があるんですが、ご主人同様、むちゃも食べてみたいものです。歌舞伎の「五大力恋緘(ごだいりきこいのふうじめ)」では薩摩の島津家(劇中では千島家)の献立として出てくる。用意する大阪新地の「富田屋」の料理風景の中に出てくる。江戸時代は、(食べられる人間は限られていたとしても)どこにでもいる普通のジビエだったんでしょう。鶴は使えないけど、鳥の白い羽根を椀の上に添え、カモ肉を使ったものが、修業先の瓢の料亭で作っていたそうである。今も献立にあるかは疑問?
二本目のお酒は「〆張鶴」。
焼き物は、味噌漬けのマナカツオ。正月らしいチョロギ。栗の渋皮煮。
色鮮やかな、炊き合わせ。もうキンコが使われている。トロトロのナマコになっとります。
保津川の一部では、人家のないとある地域では狩猟が許されているそうです。そこで撃たれた仔鴨。今日は散弾が出てこなかった。

昔の姉小路のお店でもいただいた記憶が蘇ってきたカラスミ餅の焼き物。醤油焼き。持ちやすいように海苔巻き。昔の記憶より、美味しい。
白いご飯。
干し柿に白餡を鋳込んだお菓子。お酒の香りもします。

崩し懐石と昔は名乗ってはりますが、ゆかしい料理をいただきました。とっても貴重な仕事、そして食材をいただいた気分で、楽しい食事でした。まだまだいろんな手札をお持ちのようで飽きません。そんなこんなで、美味しい料理を、料理の話を交えていただいたわけです。
「寿司遊び」と紹介されていても、お馴染みさんは、餅は餅屋という言葉通り、寿司は寿司屋で食うと歯牙にもかけない様子です。実際の注文はないけど、問い合わせはあったようだが、「表」を食べずして「裏」もないものだ。このことはライターのテラシタも書いておりますので、納得の文末でした。。(あくまで立ち読み)


平成21年12月4日
晩御飯は、烏丸一条の「料理行司・縁」へ伺います。冬のメニューは期待大!
行楽シーズンも過ぎて、落ち着いたカウンター。

  • 先付け三品、こっぺ蟹、菊菜と海苔、アンコウの肝の粕漬け
  • お造りが、オコゼの薄造り、肝、皮、胃袋、おろし、ポン酒醤油
  • お椀が白味噌仕立て。南京麩、スライスした大根
  • 焼き物が、イノシシのバラ肉・塩焼き、粒マスタード、菊花かぶら、ゆべし、レモン
  • 柚子釜に、雲子、シイタケ、銀杏
  • 炊き合わせが、かぶら、あなご、ホウレン草
  • シカ肉のてんぷら、揚げだし風に甘酢あんかけ、ししとう、おろし、しょうが
  • 猪のほほ肉の煮込み、下仁田ネギ
  • 白ご飯、香の物、止め椀にオコゼのアラ
  • アップルパイ
カウンターから、山積みの漬物用の山田大根や、見たことのない大きさのボラの卵巣が並んでいます。鵜の目鷹の目で観察しちゃう。
お酒は岐阜の「三千桜・特別純米・愛山精米歩合60%」というのん。一口目は、ガツンとくる甘くて重い酒だったけど、慣れてくる。知らない蔵だけど愛山とは、驚き。
先付けは、三品。綺麗に蟹足が揃えてあります。津居山。こういうことをちゃんとしてくれるのが日本料理屋だと思うんですよねぇ。こってりアンキモ。
面倒で時間のかかる薄造りだけど、目の前で切ってくれます。並べられていくのを見ながらお酒を呑んで待ちます。肝は生、胃袋・皮は湯引きのようです。オコゼの肝も旨いですねぇ。コリコリの胃袋、グニュグニュの皮。さっきまで生きていたというオコゼ。
お椀は、山利の白味噌。修業時代からの慣れたお味噌だそうだ。濃くても辛くならないというのが特徴だそうです。椀種がお出汁に隠れてしまっているので、素っ気ない写真なのでパス。
カウンターの後ろでゆっくり焼いてくれていたのが、イノシシのバラ肉。脂身しっかり、旨味たっぷり。猪だって、鹿だって、お店の厨房で解体しちゃうそうです。今日入ってきたそうです。♪僕のあだ名は分解くん、なんでもかんでもバランバラン!♪ばっん!ばばばばん♪だ。

柚子釜が、運ばれてきました。中には雲子。どこでも巧く捌いてあります。見た目に崩れた所がない。美しいものは美味しい。
蓋椀に、炊き合わせ。アナゴに蕪。
二品目の獣が出てきました。シカ肉を天ぷらにして、あんかけ。紅葉狩には出かけてましたが、思いがけないところで「もみじのてんぷら」が食べられました。食感からしてヘルシーさを感じる淡白なシカ肉を揚げることで旨味を足してあるわけです。新しい食べ方をさせてもらうのは嬉しいものです。
大将自ら奥で作ってくれていたのが、煮込み。時間をかけて煮込んでくれていたのがほほ肉。洋皿でサービス。オリーブオイル。塩?コショウ?も効いて、柔らかくて、旨い。下仁田は焼いてあります。下仁田より甘いのが賀茂ねぎだそうだ。

お釜で炊いた白いご飯。止め椀には、お造りででたオコゼのムナビレとかのアラが入っております。
熱々の紅玉パイ。最後に残った紅玉だそうで、名残のアップルパイ。

今日も、期待通りの美味しいものが出てきました。立派な「ももんじや」。休業していた時も作る続けていたというおせちは、八寸(?)2段に¥55000だとか。ぎっしり詰め込んであるそうです。


平成21年11月10日
晩御飯は、あまから手帖11月号で「ご飯で遊んでいる」烏丸一条の「料理行司・縁」。最近では、料理行司という冠をつけているようです。
  • 先付け三品に、渡り蟹・蟹味噌、雲子、柿・きゅうり・椎茸の胡麻和え、ついで自家製カラスミ
  • お造りが、とろ、たい、いか、もってのほか。紫芽、ワサビ、塩、花穂紫蘇。壺壺に蟹の内子の塩辛
  • お椀が、鯛真蒸と鯛の身の博多、大根、軸菜
  • 鰆の味噌漬けの焼き物、ゆべし、菊花かぶら
  • 蟹の身・おこわの柚子釜蒸し
  • 炊き合わせに、アナゴ、海老芋、菊菜、黄柚子皮
  • 油物に、ウナギのてんぷら、御所銀杏のてんぷら、れもん、山椒塩
  • なま蛤、スダチ
  • ごはん、香の物、止め椀
  • アップルパイ
最初のお酒は確かめてはいませんが、「鄙願」でしょうか?
先づけに三品が同時に出てきます。渡蟹をほぐしたものに、蟹味噌。温かい雲子にポン酢醤油。和えもの。その後で、自家製のカラスミ。塩辛くもなく、水っぽくもなく、熟成感はないけど柔らかい味。ご主人は羊羹切りというてますが、厚く切ってそのまま食べるに適した塩梅にしているのだそうだ。

お造りは、南洋のマグロ。鯛、いか。脂たっぷりのマグロ。旨みのたっぷりの鯛。イカには斜めに交差するように細かく包丁が入っています。
お椀は、シンプル。かと思ったのだが、タダものじゃなかった。焼いた鯛の解し身を鯛の真蒸で挟んで蒸したものが椀種。焼いた鯛の香りと味が、サンドした下側の真蒸に移っております。真蒸というより蒲鉾に近い食感だ。いろんな鯛の食べ方を提供してくれはります。それがまた目鱗で美味しいわけです。吸い地は、昆布とか鰹とかどちらが強いわけでもなく、渾然。淡い味だが、水臭いわけでなく美味しい。
2本目は「〆張鶴・純」のようです。鄙願が、少し熟成香を感じるコクがある分、すっきり。
焼き物は、鰆の味噌漬け。心持みその香りが強いです。綺麗な色に焼けてます。自家製のゆべし。今年のゆべしはまだなので、まだ去年のを使っているそうです。置けば置くほどまろやかな味わい。

あまから手帖の取材(9月撮影)の裏話を聞いていた中で、オレンジを使っていた飯蒸し(雑誌ではウルチ米?)を、季節ならではの柚子釜で再現してくれはります。とてもいい香りが立ち上りますが、それだけじゃなく渡り蟹にも香りが移って心地よろしオマス。
炊き合わせには、海老芋・アナゴ・菊菜。香り付けは黄柚子。柔らかく炊いた海老芋に、焼きアナゴ。菊菜の香りもいい。
伊賀風の長皿に揚げものがでるが、見た目はなんだかよく分かりません。魚の筒切りのようで、衣が邪魔しているのですが、子持ち鮎?いやいや、ウナギでした。ウナギをぶつ切りにして焼く(煮たんだったかな)と骨がするっと抜けるそうで、味が含んだ鰻を天ぷらにしたそうです。始めての食べ方のウナギですが、旨いものです。もう一つの天ぷらは御所銀杏のてんぷら。三個を串に刺して、揚げてから串を抜いたようだ。この御所銀杏というのは、店の前の烏丸通りに面した銀杏の銀杏だそうだ。地産地消ですな。月曜日の「冒険チュートリアル」で、「餃子の王将」を取り上げていた時に、登場した「から揚げの粉」を思い出す。塩と山椒を1:1でフライパンで煎るというものでしたな。
御主人が、板前で、蛤を割り始めた。焼くのかな?と思ったサプライズは、スダチで生蛤。初めてです。サプライズですなぁ。始めたなのでなんとも言えませんが、独特の風味は嫌いじゃない。でも好き嫌いは出そうだ。生で食べられないと思い込んでいたし、どこも出さないし、駄目なんだとおもっていた一品。食べられますやん!ギリシャとか地中海の方では、こういう風に食べることろもあるそうだ。ならオリーブオイルとかでも、いけるだろうな。タブーな食べ物を食べたような気分で、一抹の不安も残りますが・・・。

ごはんは、お釜。
デザートは、紅玉のアップルパイ。熱々でバターの香るパイ生地。

見た目はシンプルだけど、手のこんだ仕掛けを盛り込んだり、始めての食べ方をさせてもらったり、最後までおもしろ楽しく頂きました。
蟹が出るかなと思ったけど、6杯で30万したとか・・・。そんなのは、遠慮します。
「ご飯遊び」の取材の様子を聞いていたら、今月13日にまた「あまから手帖」の取材があるそうだ。「裏メニュー」で「寿司」などを取り上げるそうで、12月発売の1月号に掲載されるそうだ。最近、同誌への掲載が多いようですが、急で無理な取材に答えられる店が少なくなったのか、あまから手帖が嫌われ始めているのか・・・。「瓢亭」「伊勢長」の後に寿司屋にもおられたそうである。懐と引き出しの多い店には違いない。
さて、15日から四足が解禁になるそうで、楽しみな季節です事。冬の献立は、嫌いじゃなければとってもお薦め。


平成21年9月22日
晩御飯に、烏丸今出川まで移動して「ねこやしらかわ縁」。エレベータから出るともう日が暮れて、方角がわからなくなって、西に歩いていた。御所が左手に見えるはずなのにと気づいた時には、もう数分歩いておりました。
  • ごりの飴煮、イチジクのゴマだれ・ワサビ風味、とうもろこしのお浸し・木の芽、鴨ロース
  • お造りは、イカ、車えび(頭は蒸してある)、ヒラメ
  • お椀は、ハモと松茸、ほうれん草、へぎ柚子
  • 太刀魚の塩焼き、ゆべし、またたび
  • 小芋の鴨射込み、銀杏、すり生姜、あんかけ
  • 油ものが、自家製「蘇」をくるんだエビ団子、ししとう、レモン
  • 美山産鮎の土佐煮、カツオ節・ネギ
  • 握り寿司に、炙った煮アナゴ、昆布〆かんぱち、焼き目の鯛、ウニ
  • 白ご飯。香の物。止め和
  • 和風モンブラン

まず「鶴の友」を出してくれはる。
先づけにポンポンポンポンと4つの小鉢が並ぶ。ここんところよく出くわすイチジクだけど、ピリリとワサビの利いた一風変わった趣向。トウモロコシを一粒づつ撮って出汁に浸したもの。スプーンが出るけど箸で摘む方が美味しいと感じられます。

長皿にkお造り。ヒラメ、イカ。海老の身は生、頭の部分は蒸して(茹でているのかな?)殻をむいて添えられております。
お椀には、そろそろ名残のハモと松茸。シャープな味じゃないけど円やかで薄味の吸い地。はんなり。たぶん「ハモ出汁」だな。

四方皿に、太刀魚。縁側の脂が滴る。ふっくら。姉小路の頃のお弟子さんが送ってくれたという、マタタビの実は甘酢漬け。マタタビは生涯初めて。
二本目は「鄙願」。微かに古酒の熟成香がする。
蓋のついた器の温かい餡かけは、子芋の中心をくり抜いたところに鴨を射込んだもの。芋名月に因んでひと工夫というところです。(今日は旧暦の8月4日で後11日)
天ぷらには、ししとう。それにエビ団子。中にはチーズと思ったけど、正確には、自家製の「蘇」だそうです。カッテーズチーズのようなものだとも。市販のチースを使わないところが、この店ならでは。
美山産のアユを焼き粉カツオ・ネギを乗せた、煮びたし。カツオを使うので「土佐煮」ということだそうだ。カツオの味と葱の香りで、しっかりした味になってます。苦味のある腸の苦みが邪魔してるようにも思える。子持ちの方がきっと美味しいのではないかと・・・。しかし鮎というのはいろいろ品を変えて出てきますが、どれも好きだ。

今日は、お寿司を握ってくれるようだ。(そう言えば前はハモだった。)煮アナゴを軽く炙ったん。昆布〆のかんぱち(スダチ)。皮目を炙った鯛(スダチ)、うに(だけ)の握り。
釜で炊いた白ご飯。

デザートは和風モンブラン。シャンティクレーム(栗入り?)を底に敷いて、栗をそぼろ風に刻んだものを乗せてある。使っているものは確かにモンブランです。


平成21年7月7日
晩御飯は、烏丸今出川下ルの「ねこやしらかわ縁」。
花街から遠いけど、団扇が届いております。

  • 椎茸と三つ葉の胡麻和え、生タコ・塩、自家製鮒寿司
  • マゴチの薄造り、皮、紫芽、ネギ、花穂紫蘇、山葵、唐辛子
  • 冷やし椀は、うに、違瓜、ハモ出汁のジュレ、降り柚子
  • 八幡巻き、花山椒、ゆべし
  • 水貝、胡瓜、加減酢、ワサビ
  • ドジョウの柳川に小芋、きぬさや、木の芽
  • グレープフルーツ、ピンクグレープフルーツ
  • 海老のすり身詰め万願寺の焼き物、南京麩、レモン、粉の葉山椒
  • 焼き霜ハモのお寿司、甘酢生姜
  • 生ハモ、山葵
  • ご飯、止め椀、香の物
  • 白玉小豆餡
お酒は和歌山の「龍神丸・斗瓶囲い大吟醸・生原酒・山田錦精米歩合40%」というアルコール18度のん。
ポンポンポンと先付けの三種類が、折敷に並ぶ。自信満々の出来というフナ寿司だけど、こちとらも琵琶湖の水をを産湯に使っただけに、ハイそうですとは、言いづらい。食べ慣れた者には、独特の香りは控えめだし、しっとり感も不足してパサパサ。その分、食べやすいし、切り口も綺麗で巧く出来てる。

板前で造ってくれたのが、コチの薄造り。客数を絞った故にできる目の前の仕事です。サク取りはしてあるので、皮を引くところから丸見え。カウンターならでは。コチも夏の魚ですが、ハモと鮎のスターがいるので、なかなか巡り合えない。小皿に薬味が出てきたので、なんじゃらホイと口に入れたら、唐辛子の粉だった。ヒーヒー!
ガラスのお椀に、冷たいジュレ。煮凝りではなくセラチンを使ってプルプル。味の方は、舌がヒーヒーなのでよく分からない。大失態。氷水をもらってクールダウンするも、ヒーヒーは収まらない。
ヒーヒー状態が続いて、八幡巻き。当然焼き立てだし、粉山椒。あしらいに花山椒も。
2本目が「〆張鶴・純」。
ようやくヒーヒー状態も和らいで、出てきたのが、アワビ。水貝。胡瓜と一緒に泳いでおります。コリコリの水貝だけど、そこは食べやすいように包丁が細かく入っております。抜かりがない。

炊き合わせの蓋椀には、柳川。ちゃんとドジョウを使ってあります。ゴボウと一緒に玉子でとじる。甘めの出汁がゴボウの香りやドジョウの香りとよく合います。六方に向かれた小芋にもよく味が含んでいる。
フルーツは、箸休め?2色のグレーうフルーツ。
カウンターの後ろで焼かれていたでっかい万願寺。出てきてみれば、海老のすり身を詰めてあった。海老100%のようです。黒コショウがかかっているのかな?小鉢で葉山椒の粉末も出てくる。辛味より香りがいい感じに風味を加えてくれる。南京麩。
途中で、骨切りをして、串打ちをして、焼き霜にしたハモを、お寿司に仕上げて出てきます。
話の成り行きで生ハモのお試しを出してくれて、試食します。

白いご飯で〆。
丹波大納言の餡子に白玉。

この店では、初めて「はも寿司」をお持ち帰り。長い棒寿司は、なんとか「一澤」に窮屈そうに収まった。


平成21年6月2日
晩御飯は、研究所所長が取材にランチに押し寄せた烏丸今出川下ルの「ねこやしらかわ縁」。
  • 先付けに、白ズイキ・揉み海苔、ごりの佃煮、青梅の蜜煮、ハモの干物・天神さんの微塵
  • お造りが、焼き霜のハモ、タコ、鯛、マグロ、花穂紫蘇、紫芽、茗荷、ワサビ、梅肉
  • お椀が、ハモと管ごぼう、蔓菜
  • 鮎の塩焼き、ゆべし、花山椒の炊いたん
  • 竹に射込んだゴマ豆腐、ワサビ
  • 炊き合わせが、アナゴ、絹さや、湯葉、里芋、木の芽
  • グレープフルーツ
  • 帆立の貝焼き、万願寺、茄子、南京麩、バター醤油
  • ハモの握り鮨、甘酢生姜
  • 白ごはん、味噌汁、香の物
  • パウンドケーキ、レモンクリーム、大徳寺納豆
お酒はまず「鄙願」。
先付け三品が折敷に並びます。琵琶湖の魚・ごり。ほのかに甘い出汁に浸った白ズイキ。でっかい青梅。佃煮というか飴煮というか、旨い甘味。甘味の三品の後から、自家製のハモの干物の炙ったのが出る。これは塩味で甘味の三品とメリハリが効いた一品。天神さんを砕いたのが乗っております。

扇面の器にお造り。皮目を炙った温いハモ。足の部分の皮をむいたタコブツ。鯛にマグロ。梅雨までは、ハモにはワサビを用いるそうです。といいつつ、五年物の梅を使った梅肉を出してくれます。(これはまた後でも出てくる。)
お椀には、ハモ。韓国産らしい。葛打ちしてるんでしょうが、ほとんど舌に障らない。で、むっちりした食感ではなく、崩れるような柔らかさでもなく、白身の魚だったんだぁと味わいを残す骨切りの厚みで、ちょっと記憶にないハモ。(一夜干しして味を濃くした白身魚のような味)。吸い地は、円みがあって淡い。じんわりと旨みがこみ上げるようだ。柚子の実。
鮎2匹。お米のとろみを使った蓼酢。自家製のゆべし。お馴染み。ちょびっとだけ花山椒。
竹筒に流しこんだゴマ豆腐は一年ぶりのご対面。ちょうど箸で掴めるギリギリの柔らかさ。お持たせによろしい意匠。

炊き合わせに、アナゴ。六方に向いた里芋。ゆば、きぬさや。甘さの利いた出汁。
二本目に「〆張鶴・純」。ちょっと刺々しさが残っていました。
口直しに、水菓子。
焼かれた貝の上に、ホタテ・万願寺・南京麩・ナス。バターの風味、醤油の香り。ソースがとても旨いのです。ホタテの旨味がでたスープが残るので、最後にぶっかけしましょう。
食べてるスピードを見計らって、ハモを骨切りして串にさして炙ってくれて、お寿司になって出てきます。先ほどの梅肉がトッピング。梅の酸っぱさが抜けてパンチはないけど、旨味を感じます。
お釜で炊いた白いご飯。味噌汁には、椎茸と粟麩。粟のブツブツがこんなに残っているのも始めて。ご飯の二杯目には、残しておいたバター醤油をぶっかけ飯にしちゃう。とても旨い。お家でもやってみようかなと思う旨さ。
最後のお菓子は、パウンドケーキ。刻んであるのが大徳寺納豆ですが、塩味の大人しい納豆でした。


平成21年3月31日
山科から、京阪電車、地下鉄烏丸線を乗り継いで、今日も「今出川」に向かい、晩御飯は「ねこやしらかわ・縁」。玄関脇の藤棚は来月中旬には咲くという。
毎日出ていないというが、遭遇率が高いマダムです。賑やかな場所から離れているだけに、観光客のような客はほとんど会うこともなく、常連さんばかり。ゆったり。
  • 碓井豌豆・木の芽、いさざと豆・木の芽、ほたるいか、焼きフキ味噌、ウニを巻いた焼いた鯛
  • お造りが、アブラメの焼き霜、さより、いか、土筆
  • 桜のお椀が、アブラメの葛打ち、タケノコ、蕨、木の芽
  • 諸子の塩焼き、蓼酢(?)、ゆべし、はじかみ
  • アブラメの飯蒸し
  • 炊き合わせが若竹。鯛の子、空豆、蕗、湯葉、木の芽
  • 瓜坊のスペアリブ・レモンピールの砂糖付、小鴨の炭火焼・酢レンコン
  • 蒸しアワビの黄身酢掛け、菜の花
  • 干しリンゴ、グレープフルーツ、オレンジ
  • ごはん、香の物、止め庵
  • イチゴのババロア
カウンターの端っこ。まず「〆張鶴・金ラベル 大吟醸酒」を出してくれます。スルスルと喉を滑る。
3品が折敷に出て、その後、ぽんぽんと出てくる。のっけから酒を進めます。豆が多いような気がしますけど・・・たっぷりだし。後から出てくるのは暖かい先付け。味噌はタケノコの皮に貼り付けてある。鯛とウニとの組み合わせもオツ。こういう素っ気ない見せ方・出し方に、派手な飾りのお店が増えた中、京都の割烹らしさを感じさせてくれます。
お造りが先に出るのは、他の店と違いますね。細かく包丁の入ったイカは布地のような細かさな技。脂ののったサヨリにアブラメ。自家製の蕗味噌。
桜が描かれた椀。ここでもアブラメ。葛で閉じ込められたアブラメの旨さ満喫。
焼き物は、諸子三匹。横櫛を打って、焼いていたようです。ちょっと小さいけど、子持ち。もう腹子が崩れていると聞きますが、なかなかいいんじゃないでしょうか?自家製のゆべし。 飯蒸しが出て、ここにもアブラメ。付け焼きして解してあるんでしょう。あまり焼いて出てこないんですが、いいものです。

そろそろ飽きてくる若竹。
日本目は「鄙願」。結構、味にばらつきを感じるのですが、今日は好みの味で当たり。
炭火で焼いてくれていたのは、もう今年最後のウリボウのスペアリブ。骨に着いた部分をシガシガしてかぶりつく。骨の回りが一番美味しいということが理解できます。縁さんらしい食材に、ひねった一品。とは家、骨だけなら、犬扱いかと突っ込みたくなるところ、今年最後という小鴨もでてきて、安心。鴨独特の臭みもないし、堅くもない。名残惜しい。
織部の器に蒸しアワビ。菜の花が淡い黄身酢に生えます。たっぷり空気を含ませて泡立ててクリーミーな黄身酢。

ご飯の前に、なぜかフルーツ。自家製の干しりんご。一休み。
一辺陶さんの土鍋で炊いたご飯。
洋風にババロアがデザート。


平成20年12月2日
地下鉄烏丸線を北へ「今出川」に向かった晩御飯は「ねこやしらかわ・縁」。笑いに巻き込まれる賑やかなお客さんと一緒のカウンター。
  • 先付けに、こっぺ蟹・すだち、ほうれん草と生のり、鯛ちくわ
  • 酒の肴に、アンコウの肝の味噌漬け、鮎の熟れ寿司
  • お造りが、しび、ひらめ、いか、紫芽、もってのほか、わさび
  • お椀が、鴨の丸、庄内麩、拍子うど、水菜
  • 焼き物が、鹿のロースの塩焼き、鹿モモ肉のつけ焼き、菊花かぶら、ゆべし、すだち
  • 豆腐、雲子、椎茸の柚子釜蒸し
  • 炊き合わせに、海老芋、アナゴ、菊菜、ゆず
  • キジのオイル焼き、ししとう、シイタケ、マスタード、すだち
  • 白ご飯、ちりめん山椒、香の物
  • アップルパイ
まず出してくれたのが、「鄙願」。
折敷の上にぽぽぽんと3品が出る。蟹の甲羅に綺麗に並べてくれます。日本料理ならではの気配り。お得意の山椒の入った自家製の鯛竹輪。出来たてで熱々。
少し遅れて、味噌漬けのアンキモ。味噌の香りとこってりしたアンコウの味。旨いねぇ。
タッパーから取り出したのが鮎の熟れ鮨。今年漬けこんだという自家製。始めての割には、酸味も程良く万人受けする香り。いわば京風?フナ寿司の出来もいいので、自分で「天才」と自画自賛。今日はこれで十分なので、次回にお願いしておく。

先付けと珍味で一合なんてあっという間。で続いて「鶴の友」。
お造りが、しび、ひらめ、いか。シビはカマ先。ヒラメだって旨くなって来ている。イカに刻まれた包丁の仕事が細かい!
お椀が、鴨のガン。噛みしめた瞬間から鴨の旨味がじわりと口の中に広がる。旨味を吸った庄内麩。

月曜の夕方にやってきたという2歳のバンビちゃんのお肉が焼き物。当然、予約の時にジビエを所望しています。2種類のお肉は、ロースともも肉。赤身で筋肉質で淡白でヘルシー。生肉と内臓は、万が一(寄生虫)のことがあってはだめなので、出さないようにしたという。
ここでは柚子釜は蒸して出てくる。豆腐(ざる?)と雲子が一緒に入っているけど、臭みのない雲子は豆腐と勘違いしそうなくらい。お上品。
九谷の絵付けの大鉢に盛られた、炊き合わせ。大きさにびっくり。煮込まれていても型崩れしない海老芋。海老芋も脂と出会うととても旨くなると思いますな。
続いて焼かれたキジが出てきて、ためらっていたお酒を注文。銘柄は「聞くの忘れた」。3本の中では一番穏やかな味わいで、綺麗なだけでなく好みだった。
中から散弾一個がでてきたキジ。皮の部分は脂があるんだけど、身は淡白。マスタードでも美味しいけど、肉と絡まるソースやタレの方が旨いかもしれないなぁと思った。

ご飯は、釜で炊いた白いご飯。ちりめん山椒を出してくれます。
デザートでびっくり、アップルパイ。洋菓子店で習ったそうである。和食ならではの工夫もしてあるという。

面白い食材を扱いながらも、美味しく食べられて、楽しい。


平成20年10月07日
JR「京都」から、「今出川」。烏丸を下って、数カ月ぶりの「ねこや白河・」で晩御飯。
、 お酢屋さんの講義もあって愉快なカウンター。
  • きゅうり・シイタケ・柿の白和え、イカとトンブリ、自家製鯛ちくわ
  • ハマグリの酒蒸し
  • お造りが、鯛、かんぱち、はりいか、花穂紫蘇、紫芽
  • お椀が、はも、松茸。軸菜
  • 子持ちアユの塩焼き、蓼酢、栗の蜜煮、自家製ゆべし
  • いくらの飯蒸し
  • 炊き合わせは、里芋、南京、きぬさや、えび、レンコン、建仁寺麩、湯葉
  • アワビのオイル焼き、イチジク、マコモ、ししとう
  • えび、トリ貝、幸水の酢の物
  • ご飯、香の物、ちりめん山椒
  • 栗のムース
日本酒と注文すると「〆張鶴 大吟醸金ラベル」が出てくる。
ぽんぽんぽんと小鉢で3つ、先付けが出る。和えものは目の前で合えるし、竹輪は焼きたて。とても心地いい仕事。鯛のすり身を練って作った竹輪は贅沢ですなぁ。練り込んであるのは実山椒かな。料理屋ならではのアクセントだ。
前菜といって出てきたのがハマグリ。イタリアン風とおっしゃる。エキスたっぷり酒蒸し。大ぶりのハマグリがうれしい。
お造りが、鯛、かんぱち、と美味しいところ。包丁が細かく入ったふんわり食感のイカ刺し。今年は、晩夏から鯛が美味しいと思っていたら、どうやら瀬戸内海の水温が低かったせいもあるのではないかとおっしゃる。紅葉鯛という旬が早まっているのかもしれない。日本海では、エチゼンクラゲが発生してないとか、海の様子はちょっと怪しい。クラゲが発生しない分、冬の味覚はええんじゃないかな?
お椀は、はもと松茸。角の取れたような柔らかな出汁。

焼き物は鮎。お腹に穴を開けて焼くと、鮎の子がぷっくら飛び出して、食べてちょうだいと言わんばかり。骨まで食べられる大きさ。蓼酢はシンプルな刻んだ蓼と酢。食べやすいように子持ちでも小さく育てているという話も聞いたことがあるが、やっぱり不自然に思いますねぇ。
〆張鶴・純・純米吟醸酒」。すっきりした味わいに変わる。比べると幅がない。
イクラの飯蒸し。
炊き合わせは、里芋、南京、きぬさや、えび、レンコン、建仁寺麩、湯葉。建仁寺麩というのは、クチナシで色をつけたものを指すらしい。いろんな呼び方があって、麩って面白い。ほのかに甘いお出汁は最後の一滴まで頂く。
酒蒸しもそうだったけど、今日はフライパンのジュージューいう音が何回も聞こえてきて、出てきたのはアワビのソティ。酒?醤油?バター?誰でも出来そうに簡単にいうてくれます。「真菰(まこも)」っていう葱の茎みたいな稲科の食べ物。焼いたイチジクは初めてかな?
酢の物には、千切りにした梨の「幸水」。言われれば酢にも甘味を感じるし、面白い使い方。
流行りの炊飯用の土鍋で炊かれた新米。
最後のデザートは、微塵に刻んだ栗をトッピングした、栗のムース。驚き。

この季節は、端境期で食材に乏しいという話でしたが、それを補うサプライズな料理で、そういう料理も楽しいでしょうと話してくれます。以前の「くずし」の面白さはまだまだ残っているようです。
ご主人の語り口の柔らかさや、会話の距離感は、この店の味に表れているようで、最後まで座りのいい時間でした。


平成20年6月4日
地下鉄「市役所前」から、「御池」乗り換えで、「今出川」。烏丸を下って、「とらや黒川」を越え、今日の晩御飯は、「ねこや・白河・」。おやぁ、貸し切りだぁ!
  • 先付け三点。ごりの佃煮、きゃらぶき、アブラメの新子の南蛮・焼きネギ
  • 蒸しエビのいしる和え
  • お造りが、焼き霜のハモ、鯛、タコ
  • お椀が、海老入りの白玉に、うすいエンドウのすり流し吉野仕立て、木の芽
  • スモークサーモン、ゴマで化粧した厚焼き、鯛の漬けのお寿司、岩梨
  • 鮎の塩焼き、ゆべし、花山椒、蓼酢
  • 竹筒に流しこんだゴマ豆腐、ワサビ、醤油
  • 炊き合わせが、破竹、小芋、えび、湯葉、さやいんげん
  • 合鴨の炭火焼、焼いた白ネギ、粒マスタード
  • アワビ、きゅうり、長イモの加減酢
  • 焼き霜ハモの握り鮨、生姜
  • 白いご飯、香の物、生玉子
  • ほうじ茶のアイスクリーム、抹茶の寒天
ここでは「鶴の友」を頼みます。
先付けが3品。続けて、イシルで和えた海老が酒の肴・珍味。ごりの姿も美しい佃煮。
サザエの形の磁器に盛られたお造り3点。余裕のあるカウンターで、板前での仕事を眺める。旨みの乗った鯛のヘギ。細かく包丁を入れてからぶつ切りの大きさにしたタコ、目の前で骨切りをして、焼き霜にしたハモ。薄造りや落としは冷やした方が好きだが、焼き霜は少し熱を持っている方が、脂の旨味を感じられて好きだ。茗荷、花穂紫蘇、紫芽。オーソドックスにワサビ醤油。

お椀は、緑に白のコントラストが麗しい。赤色のエビのすり身を隠した白玉。薄いエンドウのすり流しを出汁で割って、葛でとろみをつけた吸い地。春先ならどろどろにするそうだが、この季節は色合い。出汁で割るだけだと豆が沈むというので、葛を加えるんだそうだ。出汁の香りもしっかりと、豆の香りも程良く感じる。
八寸。美味しい玉はこれも出汁がしっかり。鯛のお寿司には、昆布〆に漬けと一手間二手間。
カウンターの後ろで焼いてくれていた、稚鮎。蓼酢はお米のとろみで白く濁ったもの。酢が強い。蓼酢のというのは関西特有のものらしい。そういうものかと聞いておく。むちゃは塩焼きした上に酢まで必要ないじゃん、と思うので使わないけど・・・。温かい花山椒。ゆべし一片。

笹で一方をふさいだ竹筒が出てきたので、何だろう?と悩んでいると大将が笹の葉を抜いて竹筒にしてくれた。左右に割ってあるというので、二つにすると、ごま豆腐だった。艶々と光った見た目も美しいゴマ豆腐。ワサビ醤油。
炊き合わせは、破竹・・・。大将曰く、この時期美味しい破竹なのに、タケノコに飽きたころに出てきて、可哀そうだという。納得できます。いっぱい合わせているので、隠れて見にくいけど。ほんのり甘い出汁がほっとする味。
合鴨も串に売って炭火でゆるゆると焼いてくれていたもの。しっかり火のとった白ネギは甘い。
酢の物はアワビ。この酢の加減は好みで、きっちり呑みます。
ちょっと変わったことをしましょと、急に骨切りを始めて、出てきたのが、はもの握り。

ご飯は、お釜で炊いた白ご飯。一杯はお漬け物、お代わりしてお勧めの「たまごかけ」にする。城陽の平飼いの玉子の黄身だけ。堅そうなプルプルの黄身で、後味がいい。
デザートはアイスクリーム。見た目「黒糖」かと思ったけど、「ほうじ茶」だそうだ。クリームが濃厚だが、かすかにお茶の香り。


平成20年4月29日
京都駅から地下鉄に乗って、今出川。地上に出たら、方向が分からなくなった。恥ずかし!御所と同志社とを確認して、ようやく方角を認識できた。
烏丸通りの西側を南へ下る。「とらや」を越えたところ。「とらや」と「金剛能楽堂」の中間あたりに、今日のごはん屋「」を見つける。姉小路からこの2月に移転してきたばかり。2年ぶり。掻き落としの壁、マンションの1階だけど数寄家。信三郎帆布製の暖簾からは、以前の「くずし」の文字が消えている。
変形のL字型カウンター8席のみの店内は、以前より大将との距離も近くなっている。煮物は奥の厨房で作っているが、板前での仕事も見られる。
  • 先付けに、鯛の白子、うにの漬け・ワサビ、きゅうりとシイタケの胡麻和え、アブラメの新子の南蛮
  • お造りが、いか、しまあじ、たい、まぐろ。炙った鯛皮。
  • お椀が、あぶらめ、うど、わらび、木の芽
  • 鮒寿司
  • 諸子の炊いたん、松風風厚焼き、鴨ロース・焼きこのこ
  • アナゴの八幡巻き、焼いた柚べし、花山椒煮
  • 白魚、焼いたアブラメの桜蒸し
  • 炊き合わせが、タケノコ・鰹節、鯛の子、わかめ、ふき、ソラマメ、木の芽
  • ホタテの貝殻で焼いた、ホタテ、イカ、南京生麩、ししとう
  • 鯛の桜寿司、しょうが
  • 白ご飯、お漬け物
  • ちまき
お酒は「鶴の友」。変わらず新潟のお酒(鄙願・千代の光・越の寒梅)が用意されているが、大将の好きな酒を注文しておく。
折敷の箸の上には、ふきんが置いてあって、「縁・飛龍山・ねこや・白河」の文字。このフキンはいただけるのだそうだ。

先づけには、温かい蓋つきの器に「鯛の白子」。黒の器の中が、アブラメの新子。新子としては食べた記憶がない。初めてかな?きゅうりの青臭さがゴマで消されて巧い。とても細い包丁で、きゅうりだけとは思えない味。

お造りが、4種。鮮度のいいシマアジ。ワサビ醤油。鯛の皮を炙ったんがでます。
お椀は、アブラメ。身の締まったアブラメで葛うち。脂がしっかり浮いている。しっかり出汁を出していた記憶があるが、かなり繊細な加減。美味しい。
お隣さんの会話で、取りだしてきたのが鮒寿司。「家で漬けてます」という自家製鮒寿司。あっぱれ!ただ、発酵が弱いようで、ご飯はアルデンテとまり。そのせいか匂いは抑えめで、万人受けするでしょう。身の方も漬かりは浅いけど、これはこれで良く出来てます。飽きずにバクバク食べられます。ただニゴロではなくゲンゴロウだそうです。
八寸(珍味?)には、分厚い鴨ロース。炙ったコノワタが添えられている。ひょっとしてこれも自家製?玉子の厚焼きは表面に白ゴマが降ってあって松風風。諸子の炊いたん。

焼き物は「八幡巻き」と「ゆべし」。焼きたての八幡巻きは、ごぼうの香りと、アナゴの旨味が口にパッと広がって旨いものです。「ゆべし」も自家製。穏やかな味わい。あしらいに花山椒。
桜蒸しが出る。献立は完全に4月ですね。桜の葉の下に「白魚」。下のほうに焼いたアブラメ。餡の地も淡い。
炊き合わせは定番、王道。木の芽たっぷり。お隣さんは、木の芽を全然食べてないようですが、勿体ない。
カウンターの後ろに焼き台があって、そこで焼いてくれていたのが、ホタテ、イカ、ししとう。うまい味は「いしる」だそうだが、このいしるも自家製。流石になんの魚を原料にしているかは企業秘密のようだが、ピンク色の醤油。黄色い生麩は、カボチャの色。正式な名前は忘れた。
すし飯を鯛を巻いた桜寿司。生姜は生姜の辛味を残した味。

黒楽の土鍋(?)で炊いたご飯。もちろんお漬物も自家製。菜の花、赤カブ、柴漬け、昆布の炊いたん。すべて自家製にするということは「味に責任を持つ」「ということだそうである。
お菓子は、近くの「とらや」の粽。水仙粽。羊羹粽もあるが、くじ引きみたいなもん。粽だけは自家製でない。

サプライズな食材や派手な演出はないのだが、今まで通りの魅力的な食材は変わらないと聞くと、出される料理の丁寧な味わいに加えて、魅力的なのは、大将の饒舌で愉快な会話だ。週に2回程度しか来ないというものの、今日は女将も参加してのにぎやかなカウンターでした。大将の割烹着が温かい感じを醸して、敷居を下げて家庭的でもある。
イメージ的には、京都の古風な割烹スタイルに近いし、出汁の加減は、京風。

店内は数寄家の棟梁に任せたというし、器は作家もの。以前の長いカウンターでは目が届きにくいというので、カウンターだけの店にしちゃったそうだ。板前の大将は、楽しそうに包丁をふるって、しゃべり続ける。照っても魅力的なお店になっておりました。
「飛龍山・ねこや・白河」の意味は・・・対象に聞きましょう!



2008年移転


2006年2月24日
日も暮れて晩ご飯に向かったのは、ご無沙汰もご無沙汰、今世紀始めての訪問になる「姉小路・縁」。新しい暖簾になって初めて。
珍しいものを食べさせてとは伝えていた。さて
  • 氷魚の酢の物+木の芽、いさだ豆+木の芽、このわた
  • とろ、じまあじ、ひらめ、いか
  • 筍の粕汁
  • イノシシの塩焼き、蕗の薹、はじかみ
  • 三宝柑釜の蒸し寿司
  • 炊き合わせが、筍、飯蛸、湯葉、フキ、うど、木の芽
  • 白魚・タラの芽の天ぷら
  • トリ貝・帆立・菜の花の黄身酢
  • 唐墨入り焼き餅
  • ごはん、香の物
  • クリームブリュレ
一本義・純米大吟醸」から始める。
先付けの八寸は3品。川魚だ。「氷魚」は鮎の子ども、「いさざ」は琵琶湖の小さい魚。水が温んできたという春の装い。
お造りは4種。どれも美味しい。気になったのは、信楽の器だと思うけど、普通陶器の器は、湿らせて盛りつけるモノだと思っていたんだけど・・
椀は、酒粕の香り。白味噌も入っている。椀種は、合馬の竹の子。市販されていない酒粕だという。お酒にはとってもうるさいご主人。京都の酒は置かないと言うことだが、「蒼空」は誉めてはりましたな。
焼き物がイノシシ。この15日に既に禁漁となっているので、これはもう最後の貯蔵品という。なんとかジビエに間に合った感じ。シンプルな塩焼きで、豚に負けない脂が美味しい。付け合わせは「蕗の薹」だけど、甘い。砂糖漬け?蜜煮?
鄙願・大吟醸
蒸し寿司は三宝柑ででる。具は穴子。
炊き合わせにも竹の子、甘い出汁。
天ぷらには、海苔で巻かれた白魚とタラの芽。藻塩。でも、白魚には使いません。揚げ物には柑橘も使いません。
3本目を頼むには残りの料理も少ないしと思案していているとご主人がグラスで出してくれたのが「鶴の友・上々の諸白」。これが一番好きと言うお酒だそうだ。「鶴の友」を始め新潟のお酒がお好み。
酢の物は黄身酢。貝の中に微塵に切った果物!酢と重なって「リンゴ」と思ったほどだが「ばなな」なんか使うとは思いも寄りませんでした。噛んだときに広がる甘さが面白い味。嫌いじゃありません。
海苔で巻いた焼き餅は手を使って頬張る。中には唐墨。昔もありましたね。
白いご飯にお漬け物。
最近の好みはプリンだそうだ。中はトロトロだったよ。いいのかな?キャラメルに微かな醤油の香り?不思議。
派手な演出はないけど、ここかしこに個性のあるメニューで、期待を裏切らない。らしい仕事と食材で通う価値有りがあるんだけど・・・気持ちのいいお店がいっぱいあって困る。
台湾からの女性が修業に来ている。スタッフも「くずし?」。がんばりやぁ。


2000年2月5日

夕御飯は姉小路「くずし懐石・縁」である。この日ご主人は、東京でお客さんと対応だそうだ。なんのことかは分からないけど、出前料理だろうか?日曜日は「久保田」の蔵によって帰るとか。今度行ったときには、話題に出来そうだ。だから、この日の味は「鈴木健夫」ではない。

  • 最初に若竹の椀は木の芽風味
  • お造りが、鯛、烏賊、芽甘草、紫芽
  • 八寸風に、五目豆、鰯の煮付け、カラスミと大根
  • 椀盛りは、鯉を油通ししたものの鯉コク
  • 鹿の脳味噌の味噌漬けの焼き物、はじかみ、酢蓮根
  • 穴子の蒸し寿司、三宝柑釜の蒸し物仕立て
  • 炊き合わせは、京芋、アワビ、菜の花で木の芽風味
  • タイラギ、エビ、赤貝、胡瓜の黄身酢和え
  • 餅にカラスミを載せた焼き餅
  • 御飯、香の物
  • 三宝柑のシャーベット、コアントロー風味
実はこの時点でも、お腹は減っていなかった。いきなり、お椀が出たときは、ビックリして、献立を疑った。お昼とかなり料理が重なるような予感がこの時する。八寸もだ。で「どちらがお好みか?」と言われれば「味舌」だ。「鯉コク」大好き。白味噌と鯉の合わさった濃厚な味わいが好きであるが、臭い消しのためか、油を通しているので、香りが乏しい。山椒がないのも寂しい。でも嬉しい一品。始めていただいた「鹿のセルヴェル」は、味噌漬けにして焼き上げたそうで、曰く言い難い。クリームチーズの感触にフグの白子の味わいと鮒鮨の臭みを足したような、かつ味噌の塩気が残っている、濃い味。「はじかみ」がもう少し欲しいほど。お凌ぎの「三宝柑の蒸し寿司」の香りがまた格別。柚よりは甘味がのって、食べ終わってもその甘味が恋しくクンクンする。カラスミとはいえ、魚卵の臭さと塩気が焼き餅には少し合わないような気がする。お酒は姉小路に移転2周年という事で、「一本義の樽酒」のサービス。当然ではあるが樽臭い。その後は「〆張鶴・純米吟醸」「鄙願」とした。 お腹はいっぱいだったが、帰るとお腹が減っている。


1999年11月27日(土)

夕御飯は、姉小路の「くずし懐石・縁」さんである。料理は

  • 先付は柿、椎茸、菊菜の和え物
  • しび、たい、えんがわ、いかのお造り
  • キジの塩焼き、千枚漬け添え
  • 椀盛りはフォアグラ、百合根、銀杏の生麩包みを椀種に、蕪の薄切り、壬生菜、わさびの天盛り
  • ぐじの西京焼き、柿巻き、酢ダイコン
  • ゴマ豆腐の柚釜蒸し、田楽味噌添え
  • 蕪と穴子の炊き合わせ、菊菜の添え物、柚の吸い口
  • 鶉のあぶら焼き、銀杏、シシトウの焼き物、出汁をはったもの
  • タイラギ、えび、山クラゲ、胡瓜の黄味酢
  • 鯛の手鞠寿司、生姜
  • 洋梨のシャーベット・コアントロー添えと洋梨のシロップ漬け
という内容であります。この日も注文を付けていて、キジとウズラが用意できるというのでお願いしていた。カウンターのまな板の前に座れたので、面白い食材を拝見する。ここは懐石、日本料理の店と違うんかいといいたくなるような「みすじ」のブロックから一杯30000円のカニ、など。ここもけったいなお店ですわ。それ以上のわがままな客がいるという事かな?今年はノガモがまだだという話を聞いて、ちょっと不安。暖冬の影響でっしゃろか?椀盛りはお気に入りだ。フォアグラの臭みを取るためか、ブランデーの香りも残る。澄んだ出汁に華やかな香りと椀種の濃厚な味わい。堪能できました。最近他の客の食べ方が気になってしょうがないのであるが、今日も変な食べ方を見てしまった。ご夫婦であったが、同じ年ぐらいだろうか?椀盛りの吸い地を味わうことなく椀種を食べるのは、百歩譲って、箸をナイフとフォークのように生麩(だよ!)を割るのはビックリした。最後の挨拶まで、ご主人と話しもしなかったようだが、「美味しいかったです」とはいうものの、はてさて。わしも暇やなぁ、ともいいつつも気になるもんです。お酒は「鶴の友・純米」「一本義・大吟醸」「緑川・大吟醸」といったところでおます。


1999年9月26日(日)

お昼ご飯は、姉小路の「くずし懐石・縁」へ行く。お昼のミニ懐石で

  • ゴマダレの無花果
  • 鯛のお造り
  • 萩真蒸、松茸の清汁仕立ての椀
  • カマスの塩焼き、付け合わせ
  • 炊き合わせは、鶏、子芋、南京、隠元あと忘れた
  • 酢の物は、コハダ、海老に豊水のミジンを加えた黄身酢
  • ご飯、みそ汁、香の物
  • 無花果のシャーベット
という内容で、お酒は「曙光・純米吟醸」「雪の五合庵・吟醸」といったところ。昼からしっかり食べたし、しっかり飲んだ。リーチインには10本以上の地酒があり、これは期待できます。ご主人の「鈴木健夫」さんは愉快。素材についていろいろ面白いものを使われるようで、これからの季節楽しみです。味噌は山利だった。東京から修業に来ている若い衆に、京都で話題の店を聞き出したら「草喰・なかひがし」の名が上がった。行かねば!最近は手提げショルダー両用の一澤のバッグを持ち歩いているが、ご主人と息があった。「日本のルイヴィトン」とおっしゃるご主人と感性があったようで嬉しおます。
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