懐石・祇園松むろ

松むろ
adrress東山区古門前通大和大路東入ル元町362
call075(531)0300
open/day11:30-14:00
お昼のお弁当は予約
open/night17:00-21:00
off
capacity一階カウンター7席、二階座敷二部屋
memo調理師専門学校に通いながら「祇園鳥居元」でバイト、卒業後「瓢亭」を経て独立された、ご主人「松室 治隆」さんのお店。
impression 平成24(西暦2012)年10月31日
開店三日目の「松むろ」に、古くからの日記のお馴染みのお姉さんと待ち合わせて向かいます。(え!三年ぶりか!?)夜になるとめっきり静かでくらい古門前。骨董屋さんの倉庫を借りうけ改装したお店だそうだ。まだ二階はゆっくり手を入れている様子で、カウンターで営業開始。(昼間に見かけた大工さんは二階の内装をしてはったんやね)。胡蝶蘭一杯。若い数寄屋の工務店さんに任せた店内は、台湾ヒノキの7m弱のカウンターが目立ちます。モダンな木造のデザインに、一部の天上まで聚楽で仕上げてあります。
後から一組という贅沢な空間のカウンターですが、来週あたりから団体の予約も入っているそうです。移転の案内を出していないようで、雑誌では婦人画報だけみたいな口ぶり。花見の頃に雑誌に載れば店も落ち付いていいんじゃないかという思惑のようです。雑誌で知ってはじめて来るお客さんより、馴染みのお客さんに来てほしいという気持ちのようです。調理スタッフ三人。

  • 先付けの八寸に、菊菜と松茸のお浸し、車エビのあられ揚げ、松茸の餅粉揚げ、蒸しアワビ、銀杏、渋皮煮、鯛の千枚漬け巻きずし、はじかみ、芋紅葉
  • お椀には、淡路のハモと丹波の松茸、水菜、松葉柚子
  • お造りは、しび、鯛、いか、もってのほか、岩茸
  • 焼き物が、グジ。菊花カブラ、スダチ
  • 鮎の飯蒸し、煮びたし風、松茸、腹子、蓼おろし
  • 炊き合わせが、海老芋の揚げたん、湯葉、すけ子の黄身揚げ、インゲン、黄柚子
  • カブラ蒸し、鯛、銀杏、木耳、ウニと海苔・山葵の天盛り
  • 白ごはん、止め椀、香の物
  • 水菓子が、洋梨とピオーネ
  • 末富の銀杏餅、お薄

今宵のお酒は「田酒・純米大吟醸・斗瓶取り(山田錦精米歩合40%)・22.12」とします。お酒は六条の酒屋から。京都のお酒もありますが、神聖は無くなったようだ。際立った香りは特になく全体的に穏やかな香りと、深まった味わい。温度があがると味が膨らんできて、喉に残るようになるけど、滑らかな口当たり。

先付け八寸から、以前と変わらない姿に安心。ぶれてませんね。銀杏や紅葉のチップはともかく、揚げものはちゃんと熱い。
一枚板のカウンターだけど、俎板の手元が下がっているため、見にくい。でもどうやらハモの骨切りをしてます。せっかくの銀杏の俎板を見せる竹に、ここも手を入れるようなことを言ってます。小振りの淡路のハモ。日によって値段の上下する松茸ですが、今日は丹波産だそうです。もう名残の椀ですなぁ。
お造り三種。しび、鯛、いか。奇をてらわずに、山葵醤油。

お隣のお客さんが注文した、京都のお酒として一押しの「蒼空・純米酒・美山錦精米歩合60%」を味見させてもらう。500mlサイズで注文しやすい容量だし、京都では珍しいサイズだそうだ。キリットしているけど、少々野暮ったさの残る味わいは、精米歩合からしてしょうがないかな?甘いイメージのある伏見のお酒とは、味わいが違うな。

四方皿にグジの焼き物。皮が無いのがさびしい。「ぐじのぐじ」を取り損なったのも残念。
鮎の煮びたし?と思ったら、背中を裂いて骨を抜いて、飯蒸風にしてありました。松茸の下に隠れている黄色いのが、子持ち鮎の「腹子」で、その時に出して一緒に蒸したようです。薄緑色のおろしが蓼おろし。カウンターの後ろの桐の扉の奥に器が並べてありますが、まだ出し切れていないというか、整理がついてないというか、笑ってはります。鮎のサイズに合わないお皿であります。扉が開くと青色の染付が目立つようで、整理がついていないのは事実のようです。今までちょっとずつ集めてきた器も順次出していきたいというから、通わないと巡り合えないな。
写真では分かりにくいけど現代の作家さんのモダンな蓋椀で炊き合わせ。今シーズン初めての海老芋です。クリーミーな海老芋。甘く炊かれた湯葉。すけそうだらの子で「すけこ」。
カブラ蒸しも今シーズン初めて。焼き物でグジがでたので鯛のようです。カブラはまだ近江カブラ。秋を通り越して冬の味わい。

ご飯は、白いご飯に味噌汁、香の物。丹後のこしひかり。
水菓子が出て、胡蝶蘭の送り主の一人である「末富」さんのお菓子にお薄。銀杏餅というか銀杏大福というか・・・。餅皮に銀杏二個で案をくるんであります。

ミシュランの裏話をチラッと聞けば、ミシュラン側から移転もあることだし不掲載にすれば次回は新規獲得ということで目立ちますよという提案があったそうだ。そういう口ぶりを聞けば☆☆以上ってことか?修業先に肩を並べるのは困るような顔をされた。
ジャンボ煎餅「松寿」。


平成21年11月3日
四条のデパートでうろうろして、四条通りを祇園へ。今番は「祇園花見小路のビルの6階の☆」へ入店。京都でいちばん高い場所に輝く☆!?
座敷は詰まっているけど、カウンターはゆったり。

  • 八寸には、ホウレン草と松茸のお浸し、松茸の餅粉揚げ、鴨ロース、千枚漬けのお寿司・甘酢茗荷、栗きんとん、銀杏
  • お椀は、蓮根餅、マイタケの白味噌仕立て
  • 永楽の椿のお皿にお通り。つばす、鯛、いか
  • 古染付の器に、子持ち鮎の塩焼き、鰆の味噌幽庵焼き、菊花かぶら、蓼酢
  • 松茸・ハモの飯蒸し
  • 萬暦赤絵の蓋椀に炊き合わせで、鯛のあら炊き・エビ芋の素揚げ・三度豆・湯葉、柚子皮
  • 蕪蒸し(赤アマダイ・近江かぶら・うに・刻み海苔・わさび)
  • ごはん、止め椀、香の物
  • 水菓子が、ラフランス、巨砲、さがほのか
今日のお酒は「善知鳥・大吟醸・百四拾・華想い精米歩合40%」としましょう。お家で呑んでいる「善知鳥」とは、酒米が違うバージョンです。林檎のような爽やかなニュアンス。
先付けの八寸には、お浸し、揚げ物、鴨、千枚漬け、栗きんとん。予算によって揚げものの食材が異なるようだ。先付けとはいえ、お浸しは直前で和えているし、天ぷらと銀杏は熱々。津の壺も永楽。

昨日から寒くなって来て、白味噌仕立てのお碗も、気温に合わせて美味しく感じるようになります。椀種はシンプル。舌の上で溶ける蓮根。11月がら白味噌だ。寒い時期だからありがたい白味噌を、年中出されても嬉しくないからねぇ。
お造り3種。巧く熟れた鯛。あまり食べないツバスなんだけど、脂が乗ってきたそうです。ブリになるまで育ってほしいものですけど。あしらいに、黄菊、紫芽、
綺麗な呉須の染付。ちょっとづつ皿の淵の波打つ模様の縁が欠けてきてますね。養殖じゃない琵琶湖の鮎だそうだが、もう禁漁期間だと思うし、畜養だと思うんだけど・・・。この大きさなら頭からガブッといけますな。琵琶湖の天然鮎は子持ちの時期でも大きくならないと言われれば、そうかなとも思うけどね。名残の鮎で、値段も手頃なんだそうだ。サワラは味噌幽庵。脂が乗って旨い。

暖かい飯蒸しも、寒くなってくると嬉しい一品。この寒さで、もう最後になるだろうという松茸と名残のハモの飯蒸し。松茸は青森産らしいが、立派な大きさ。細かく骨切りされたハモは、一見お米とくべつがつかない。青華さんの蓋椀だったかな?
萬暦年製(写しでしょうが)と書かれた中国風の人物を描いた蓋椀。蓋を取ると、鯛の目玉とカマの荒炊き。素揚げしたエビ芋。ゆば。青柚子のピールの細切り。程良い甘味が絡んだアラ炊き。エビ芋もむっちり感が増してきました。尻尾が包丁で切られてしまってますが、タイのタイを取る。
もう冬の定番、かぶら蒸しだ。早いよ。聖護院蕪ではなく、近江蕪。美味しい銀餡。きけば聖護院蕪というのは貴重らしく、千枚漬けに使われているほとんどが近江蕪だそうで、食べられる可能性はとても低いそうである。期間も短いらしい。誰の器だったか忘れた。

ごはんとみそ汁。どっちもいい香りをしてます。
仁清写しの善五郎の器に、水菓子。今年初めて使うというイチゴは「さがほのか」。

御主人がまだ30代の1999年からちょこちょこお邪魔してますが、料理がぶれないお店。独立して15年余り、コンサバティブな料理と献立だけど、それを続ける力量と、それを支持する谷町がいるというこは、素晴らしいことです。若い料理人が、独立まなしにマスコミに取り上げられて人気になっているようですが、10年たっても同じスタイルで営業し続けられるか、楽しみですわ。


平成21年7月1日
雨に濡れながら、汗をかきながら、だるい足を引きづって、「松むろ」へ入店。カウンターはゆったり満席。

  • 八寸は、ガラスにハモの子の煮凝り・オクラ、ハモの南蛮・万願寺、海老せんべい、タコの桜煮、鯛の粽、酢取り茗荷
  • お椀は、葛打ちのはも、ごま豆腐、管ごぼう、シイタケ、蔓菜、ジュンサイ、輪柚子
  • お造りが、ハモの落とし、鯛、いか、おかひじき、芽紫蘇、莫大、ワサビ、梅肉
  • もう一つ、カクテルグラスに、生はも、ボタンエビ
  • 焼き物は、鮎の塩焼き、鼈甲生姜、賀茂ナスの白味噌田楽、酢取りレンコン、蓼酢
  • ハモの照り焼きの飯蒸し。実山椒
  • 冬瓜蒸し、冬瓜で包んだ具材は百合根・木耳、おくら、すり生姜、あんかけ
  • 冷やした讃岐そうめん、うに、椎茸、刻み海苔、茗荷、ネギ、わさび、そうめんつゆ
  • 生姜ご飯、止め椀、香の物
  • デザートは、白桃、巨砲、さくらんぼ
今宵は「松の司・純米吟醸2008(20by)・AZOLLA・生・竜王町山田錦(環境こだわり農産物認証・栽培期間中無除草剤栽培)精米歩合50%・金沢酵母(自社保存株)・限定(1800ml660本&720ml360本) 」。緑系メロンのような香り。バランスのイイ呑み心地とキレの良さ。
八寸は、涼しげなものが並びますが、汗がひかない蒸し暑さ。えび煎餅だって湿気ってるような歯ざわり。

松の描かれたお椀には、定番のハモ。八寸の進み方を見て、直前に骨切りを見せてくれるわけです。いつもの淡路のハモ。柚子の香りとゴマの香りとが高いお椀。
お造りも、お客さんの前でサク取りしたものから切って見せます。生ハモとボタンエビとが、盛きれないというので、二つになってます。締まった落としに比べると生のハモは、グニュグニュで好き嫌いが出るかもしれません。キリット冷やせば、食感も変わります。緑色の芽紫蘇というのは初めてのような記憶。
備前の長皿に、塩焼2匹。2匹ぐらいは欲しいですねぇ。鼈甲生姜という言い方は初めてですが、生姜の蜜煮。絡みが全くない。賀茂ナスの田楽も当然焼き立て。暑いうちに食べたいけど・・。

飯蒸しのは、ハモの照り焼き。実山椒を割って香りを高めてあります。とっても好きな香りですが、ハモにはよく合います。
蓋椀がでてくる。暑ッ!冬瓜包みというてます。中に包んであるのは海老とか、木耳とか、百合根とか。可愛いオクラに生姜が天盛りされて、熱々の餡かけ。今日の天気には、地獄の料理に思えましたわ。とはいえ、手が込んでいて、冬瓜には細かく包丁が入っていて、味が染み込むようになっております。できれば冷たく仕上げてくれれば、今日はより美味しく感じられたような気がしますな。
手桶に盛られたのが、讃岐のそうめん。小豆島?ちょっと太めの素麺で腰があります。贅沢にウニ。薬味に海苔、茗荷、ねぎ、ワサビ。冷たい素麺も嬉しいのですが、氷が心地よくて、コリコリと食べたくなります。氷を食べて、ようやく体が落ち着いた気分。

ご飯は、珍しく炊き込みで、新生姜。生麩の赤出汁。香の物。バスから見た四条通りの商店街には、祭りの提灯が上がってますが、香の物には、おきて破り(?)の胡瓜!
水菓子は、白桃、巨砲、さくらんぼ。


平成21年3月30日
だるい足を引きづって、「松むろ」へ向かう。前回は紅葉の帰りだった。ご無沙汰やったね。
  • 先付けの八寸、イイダコ、酢漬け稚鮎、菜の花、三色団子(鶏・青のり百合根・海老)、車海老とタラの芽の餅粉揚げ、ホタルイカの沖漬、鯛の桜寿司、甘酢、花びら百合根、茗荷
  • 宝尽しのお椀には、揚げハマグリ真蒸、椎茸、タケノコ、蔓菜、松葉黄柚子
  • 永楽の桜の皿にお造り、鯛、赤貝、いか、紫芽、生海苔、ワサビ
  • 備前の長皿に、稚鮎の塩焼き。蓼酢、酢うど
  • 白魚の飯蒸し、空豆、桜の葉、海苔
  • 陶哉の雲錦の絵付けの蓋椀に炊き合わせ、タケノコ、わかめ、鯛の子、碓井豌豆
  • 古染付に、鯛にゅうめん(?)、鯛の酒蒸し、そうめん、シイタケ、ねぎ、暖かいそうめんつゆ、レモン
  • ごはん、止め椀、香の物
  • 水菓子が、いちご、でこぽん
喜楽長・三方良し・純米吟醸・麹:山田錦精米歩合50&掛:渡船精米歩合60%」とします。面白い米の使い方にどんな事情があるんでしょう?喜楽長のイメージと少し違うすっきり軽めの飲み口。香りはねぇ・・・煙草をすうおばさんに邪魔されて、分からんかった。
窯印「正山」の細かい桜の猪口。酒杯に描かれた桜が季節にふさわしいですな。こういうのんはカウンターでないと使わないそうだ。

先付けの八寸。揚げたての餅粉揚げ。
宝尽くしの絵が描かれたお椀。真蒸をいったん揚げてから使ってます。蛤の出汁が強すぎないようにしているのですが、いつもよりは全体的に旨味の濃い味のようです。油のコクも加わっているのかな?
お造りには、鯛、赤貝、イカ。そろそろ、白子や真子が大きくなってくるので、身がやせてくるのですが、いい脂。

稚鮎がドーンとでてくる。バリバリ食っちゃいます。しかし、まだ三月ですから、早いねぇ。
お決まりの飯蒸しには、白魚にソラマメに桜と彩華やかな、景色。
季節の炊き合わせは、若竹。真子、碓井。初代の沢村陶哉だそうだ。
デンと鯛の頭は、蒸しもの。レモンは付いているけど、鯛の旨味だけでむちゃには十分。細いそうめんに、温かい麺つゆ。鯛の鯛が取れましたぁ。綺麗に取れるとなんだか嬉しい。

白ご飯
フルーツには、永楽得全。

来年には、独立して、もう20年になるそうです。この店舗で長いですねぇ。ちょこちょこ座敷などいじくっているですが、きっぱり心機一転もええんじゃないかな?


平成20年11月27日
予約した時間には早いけど、靴を脱いで、くつろぎたかったので、「松むろ」へ向かう。
油断していたようで、主人は留守だった。

  • 先付けの八寸は、鴨ロース、しめじ餅粉揚げ、揚げ銀杏松葉、栗の蜜煮、千枚漬けのお寿司、紅葉南京、紅葉人参、茗荷、壺壺にお浸し
  • カラスミ大根
  • 白味噌仕立てのお椀は、蓮根豆腐、へぎ大根、人参、辛子
  • お造りは、こしび、鯛、いか、黒皮茸、黄菊
  • 鰆の味噌幽庵焼き、菊花カブラ
  • 松葉蟹の飯蒸し、刻み海苔
  • 炊き合わせが、鯛の粗(目・カマ)、揚げ海老芋、湯葉、隠元、ゆず
  • かぶら蒸し、ぐじ、銀杏、百合根、木耳、ウニ、ワサビ
  • 白ご飯、止め椀、香の物
  • 水菓子が、ラ・フランス、柿、いちご
今宵のお酒は、「磯自慢・大吟醸・愛山精米歩合50%」にした。柔らかな甘みがゆっくりと消えていく穏やかな酒質。旨味に感じられてとても美味しい。
八寸。柔らかな鴨には辛子。揚げたてのシメジと銀杏。栗の入れ物になっているのは昆布で編まれた駕籠で、食べられるというので、パリパリ。食べられることに気がつかないと、ごみ箱に行くんですから、勿体ない。

待たせたお詫びにということかな?カラスミ大根が手塩皿。新物のカラスミ。大根と一緒でも酒肴として十分。
冬らしい、白味噌のお椀。甘い味噌が心まで温めてくれるようで、慣れた白味噌だけに、癒されるお椀。とりわけ冬になると旨みがアップします。山利さんのとろりとした吸地。昆布とカツオを使っているそうだ。昔は関東の人は残す人がいたようだが、最近ではそういうことはしなくなったそうである。蕪の蒔絵。
お造りは永楽の器に、しびまぐろ、鯛、イカ。早くに入店したおかげで、鯛を捌くところから見られた。板前ならでは。
吉見啓一作の器に、鰆の味噌幽庵。脂もしっかり、幽庵もしっかり。

板前で、蟹をさばいていた。浜坂産らしいが、ちゃんと蟹を使ってますということで、必ず板前で捌くそうだ。決して蟹のカラを飛ばすような下品なことはしない。蟹をそのまま出すこともないという。蟹足をそのまま出したら怒るお客もいるというから京都は怖い。その蟹を使った飯蒸し。蓋を取ると海苔の香りが立つし、食べると蟹の甘味が口の中に広がる。清水六兵衛。
黒の塗り椀に炊き合わせ。今日も鯛のあら。あら滝になっております。身はタンパクでほっこり、しっとりしているが、焼き誰は京風に甘い。いい加減で美味しい。海老芋の揚げ出しやね。今日もちゃんと鯛の鯛が外れた。
かぶら蒸しには、ぐじ。やはり、今年はお高いぐじ。葛がしっかりでトロリもしないほどシッカリ。定番の組み合わせ。三浦竹泉。

白いご飯
水菓子3種。


平成20年9月09日
晩御飯に向かったのは「松むろ」へ向かう。
  • タコの子、イチジク胡麻和え、海老のあられ揚げ、煎り銀杏、焼き栗、鯖寿司、茗荷
  • 丸豆腐の椀、焼生麩、白髪ねぎ、蔓菜
  • お造りが、いび、たい、いか
  • かますの幽庵焼き、木胡椒、菊花大根
  • ハモと松茸の飯蒸し
  • 炊き合わせに、菱蟹、湯葉、揚げ小芋、インゲン
  • ぐじの蓮蒸し、木耳、銀杏、百合根、ワサビ、刻み海苔
  • 白ご飯、赤だし、香の物
  • 二十世紀梨、洋ナシ、巨峰
ススキの塗り。秋の食材がちらほら。銀杏、栗。とっても綺麗な鯖。切れ目から覗く鯖のコントラストもみごとで、美しいものは美味し。本当に締めてあるのか分からないほどの浅漬け。(ちょっと寿司飯は柔らかかったけど)。イチジクには永楽。
カウンターでは、先付けの八寸とお造りの盛り付けが見られて、先付の出る少しの間、目で楽しめるのです。

六条の酒屋でチョーお勧めだったという「開運・能登流・波瀬正吉・斗瓶取り大吟醸・無濾過生酒・兵庫特A地区/山田錦麹米40%精米&掛米35%精米・静岡酵母HD-1」を頂くことにする。(メニューには載っていないが、酒好きが尋ねれば出てくることがある)マスカット、バナナのような高い香りで喉越しもすっきり。時折白桃のような甘味が感じられる。

お椀は、丸豆腐。よくある焼餅の代わりに生麩を焼いたの。
お造りには、しび(まぐろ)、鯛、イカ。
焼き物は、かます。付け合わせの青物は「きごしょ」の炒めたん。葉トウガラシ。

飯蒸しは、ハモと松茸。太った淡路のハモ。飯がハモに隠れて見えない。いつものようにツユダク。
炊き合わせには、菱蟹。いったいなんのなのか見ただけでは分からないスベッとした蟹の身。癖のない蟹。小芋は揚げ出しやね。
蒸しものが、蓮蒸し。京都でお馴染みの「かぶら」蒸しの、「レンコン」バージョン。

白いご飯、えのきの赤出汁
和洋の梨比べ。巨峰。

ひそかに「重陽」らしい料理屋演出を期待したけど、残念。
webの京都美食散歩だけど、アクセス数では「瓢亭」を上回るアクセスで、2位だったそうだ。でも瓢亭は独自でweb持ってはるからねぇ。というものの、実際にwebを見て来たと明言されたお客は1組だったというから、まだまだこれから宣伝しなくちゃ。雑誌では、購読者層(年齢とか)とお客さんとが合えば影響があるそうで、一番効果があるのは「サライ」だそうだ。そういういみでも、ここのお客さんの年齢層は高い。


平成20年7月22日
で、晩御飯に向かったのは「松むろ」へ向かう。
鶴太郎の「鮎」の掛かるカウンター。
  • 先付・八寸に、タコの子、アワビ肝の餅粉揚げ、海老せん、シシトウの焼き浸し、ハモの子・海老・はも皮・オクラの煮凝り、鯛の粽寿司、茗荷
  • お椀は、アワビ、ごま豆腐、シイタケ、管ごぼう、じゅんさい、輪柚子、蔓菜
  • お造りが、はもの落とし、鯛、イカ、おかひじき、莫大、ワサビ、梅肉
  • 焼き物は、鮎、酢レンコン、賀茂ナスの白みそ田楽、蓼酢
  • 焼きハモの飯蒸し
  • 冬瓜包みのあんかけ、えび・百合根・キクラゲ、あんかけ、天盛りの生姜、刻んだししとう(?)
  • 冷麦、焼きナスの寒天寄せ、シイタケ、茗荷、ネギ、海苔、ワサビ
  • ご飯、香の物、赤だし
  • 完熟マンゴ、巨峰
今日のお酒は「松の司・2008・純米吟醸AZOLLA・無農薬無化学肥料栽培「環境こだわり農産物」認定山田錦50%・金沢酵母」とした。ヤマモト君とこは熱心にチラシをお店に配っているようで、それを見て大将も見に行ったそうである。「醴泉」が進められて入っているようだ。これからちょっとラインナップが変わるかもしれない。

タコの卵を炊いたのが美味しく出来てます。ホクホクとしながらもニャーとした舌ざわり。サクサク揚がったアワビの肝も美味しい。この季節・祭りにちなんで粽が出る。でも平日だった今年は、客足はよくなかったようである。不思議と6階のこの店には「お神酒」の札が上がっていない。1階しか来ないとか・・・?
お椀は、アワビ。1週間ぶりのお椀らしいお椀。随分と久しぶりのような気分。
今日もひょっとしたら「はもがない」献立になるかというのは杞憂。ちゃんと落としが出た。淡路産のハモ。旨みを引き出しているのだが、夏の鯛。

保津川の鮎。まだまだ頭からバリバリ。苦味はまだ少ない。鮎は苔を食べてスイカや胡瓜の香りが出ると言われてきたが、間違いのようで、香味成分は加齢臭みたいなもので、大きく育つと出てくるという。甘味のある田楽味噌の賀茂ナスとの対比がいい。備前の器は動画でも使われている。
ハモを照り焼きにした飯蒸し。粉山椒。

餡かけの炊き合わせ。温かい餡で冬瓜を包んだもの。冬瓜の中に、えび・百合根・キクラゲ。
氷の上に冷麦。焼きナスを寒天で固めたの珍し。
白いご飯。 水菓子は、マンゴーだった。巨峰。

昨年から取材をしていたという動画サイトであるが、年4回のインタビューが最初に撮りだめしてあって、1年かかって順番に出てくるらしい。製作者の好みの店を集めたということらしくて、増えないらしいというからちょっと残念。なんかどんどん増えていって、フレンチやイタリアンも加わったそうだ。
持ち帰りに作ってもらったのが「はも寿司」。目の前で、骨切りして、串打ちして、巻いて、竹皮に包んでくれる。


平成20年5月7日
晩御飯に向かったのは「松むろ」へ向かう。
カウンターは満席。後で一部2回転して、久しぶりに賑やか。すべてのお客さんが、常連さんで、GWで観光客がいなるのを待っていたかのようである。常連さんはカウンターをお好みである。
タイワのバイトの子が新しく入っている。
  • 先づけ八寸に、タコの桜煮、ソラマメ・海老のあられ揚げ、アブラメの新子の南蛮、きゅうりの白子和え、鯖の粽寿司、茗荷
  • お椀が、はも、ごま豆腐、椎茸、管ごぼう、ジュンサイ、蔓菜、輪柚子
  • お造りが、鯛、カツオ、はりいか
  • 鮎の塩焼き、花山椒、蓼酢
  • カレイとウニの飯蒸し、海苔・ワサビ
  • 炊き合わせは、タケノコ、鯛の子、うすいエンドウ、木の芽
  • スズキの塩焼きとにゅうめん、シイタケ、そうめんつゆ
  • ご飯、味噌汁、香の物
  • チェリー、グレープフルーツ、びわ
今日のお酒は、津乃喜さんで買った常きげん・山廃純米大吟醸無濾過生原酒・山田錦精米歩合50%・金沢系自社酵母。ガッツんとくる味で余韻たっぷり。
カットガラスには胡瓜の和えもの。白酢?まさかマヨネーズ?と考えたけど、鯛の白子を使うとは・・。いろんな使い方があります。粽をはがすと鯖だった。しっかりした旨み。
派手なお椀の絵。早くもハモ。今日から使い始めたという。葛は打ってないようで、出汁が骨の間に浸みこんでとても美味しい。今年はまだアブラメも脂が乗って使えるそうだし、椀種に困らないようだ。ジュンサイも今年初めて。
永楽正全の向皿。満開のボタン。旨みを引き出した
古伊万里の染付に、鮎の塩焼き。添えられているのが花山椒。
今日の飯蒸しは、カレイとウニ。蓋を取ると乗りの香りがたつ。
炊き合わせが、タケノコ・鯛の真子・エンドウ。タケノコは竹の根っこの外側から生えてきて、最後に真ん中の部分から出てくるそうだ。で、シーズンの終わりに出てくるタケノコが一番おいしいという。でも最近は、使うのが早くなった分、使い終わるのも早いようで農家はお嘆きだそうだ。白子はやっぱり白く炊きあげてほしいもんです。

夏の魚のスズキももう脂が乗っているという。釜揚げ(?)のにゅうめんに、温かいそうめんつゆ。
白いご飯に、生麩の味噌汁。

予約で「端午の節句らしい食事」という注文は?・・肩すかしのような気分。

最後に「風露・純米大吟醸・山田錦精米歩合40%・山形酵母」というノンを少し頂く。甘味はあるもののすっきり。遊佐の高橋酒造店ということは「東北泉」のお蔵やね。トックリに注ぎそうだったが、猪口にしてもらう。飲み過ぎです。座っていても、一瞬目が回るような感じがした。
デザートは3種。好みでないのが並んだ。鳳凰の青こうちは、東光の印。


平成20年4月1日
で、晩御飯には、「温かい大将の気遣いが、お客様だけでなく、一緒に働くメンバーにも伝わる人間味溢れる懐石料理店」「松むろ」へ向かう。
先週まで「TV放送」をしていた割に余裕の客席。当然ながらカウンター好き。
  • 八寸が、菜の花、イイダコ、白魚のてんぷら、稚鮎の南蛮、鶏肉・百合根・エビ団子の串、サヨリの小袖寿司、花びら百合根
  • 水引のお椀には、あぶらめ、ヨモギゴマ豆腐、シイタケ、水菜、ニンジン、タケノコ。柚子
  • お造りが、鯛、いか、赤貝、つくし、新のり、茗荷のけん
  • 鱒の木の芽幽庵焼き、タケノコの木の芽田楽、
  • 桜蒸し、鯛の白子、ソラマメ、葛庵
  • 炊き合わせが、タケノコ、わかめ、鯛の子、うすいエンドウ、木の芽
  • 鯛そうめん、シイタケ、わらび、ねぎ、おろし
  • ご飯、香の物、止め椀、釜揚げシラス
  • 水菓子が、イチゴ、文旦、マンゴ
今日のお酒は「松の司・2007純米吟醸・AZOLLA・しずく斗瓶囲・竜王町産山田錦精米歩合50%環境こだわり農産物認証(栽培期間中無除草剤栽培)・金沢酵母(限定42本(1800ml)」というのん。刺々しさを感じないまろやかな味。味があっても喉越しは淡麗。1年たって華やかさはないが、とても美味しい。
八寸には、白魚とアユ。走りのアユは嬉けど、まだまだ白魚の方が旨い。菜の花の豆皿は永楽印。

水引の碗の蓋をとると、蝶と鳳凰の豪華で雅な柄。立ち上る香りは、ゆず!なんだか冬に逆戻りしたような香りなんだけど、季節がら木の芽ばっかり続くことを嫌がったそうです。なるほど、そういえば、出てくる料理が木の芽ばっかりの時もありますわなぁ。じきに花柚子も出てくるまでは、使うようです。妙にインパクトのある柚子の吸いくち。それだけでなく、アブラメの脂の乗りが素晴らしい。焼き目をつけてお造りで出るのが増えてきたけど、皮目の脂の旨さは暖かいのが一番おいしく感じられる。清汁が脂で濁るほどに旨さが増す感じ。
お造りには、鯛、赤貝、いか。旨みの乗ったタイ。歯ごたえしっかりのイカ。
焼き物は、桜マスの幽庵。木の芽を散らしてある。これも脂の乗った鱒。幽庵の甘味。格別のおいしさ。器は中村東洸作。
雲龍の蓋椀には、桜蒸し。ちょいと桜の葉を持ち上げると、白子!思わず笑っちゃう。旨いに決まってるじゃない。インパクトのある桜蒸しにご満悦。器は須田青華作
炊き合わせは、テレビでもでていた出会いのもの。3月末の放映に合わせて、収録は2月初めだったそうで、素材集めが大変ですねぇ。1日がかりの収録で、営業時間中も撮影したらしい。昔「京都チャンネル」で30分の放送で取り上げられたことがあるというが、どうもテレビは苦手なようだ。慣れてもらっても困るけど。
酒蒸しした鯛の頭とカマ。茹でたそうめん。出汁は別の器。出汁を張って「鯛ニュウメン」にすると、そうめんが伸びちゃうので、釜揚げのそうめん。三輪のとっても細いめん。

ご飯は白いご飯。頂き物だそうだが、釜揚げシラス付き。
水菓子には、珍しい文旦。

2月ごろから、ミシュランの調査員が京都をうろうろしてるらしい、という口火を切ったら、2月の初めにすでに来ていたそうだ。ミシュランと名乗ってやってきたのは日本人だったそうであるが、店の写真やら内容の承諾書をとって帰ったそうだ。星が取れるかどうかはわからないが、載せてもいいよと店が了承したという意味。ヤカタならともかくカウンター主体のビルのお店を、ミシュランが対象にしていたとは、正直びっくり。それを受けたことにもビックリだ。とにかく、料理だけを評価にしているということで、内装だの、トイレだの、ワインの品ぞろえとか、あまり重視してないと話していたそうである。個人的には載ってほしくもあり、載ってほしくもない。いいお客さんが増えればいいけど。


平成19年12月18日
晩ご飯は花見小路の神聖ビルの「松むろ」にいく。エレベータから玄関まで、下まで見通せる廊下になっていて、高所恐怖症のむちゃは、いつもビビるのだ。
今日も座敷は詰まっているが、カウンターはガラ。
  • 先付けには、壺壺に椎茸菊菜、車のあられ揚げ、黒豆松葉、ちしゃとう、唐墨大根、千枚漬けで巻いた鯛の寿司、茗荷
  • 白味噌のお椀には、ヨモギ麩、菜の花、薄切り大根、からし
  • 清風与平の向皿のお造りが、よこわ、鯛、イカ、生青海苔、黄菊
  • 平安三葉の祥瑞に、マナカツオの味噌幽庵焼き、菊花カブラ
  • 大日本永楽造の蓋付き椀に、ぐじの飯蒸し、黄柚子
  • 炊き合わせが、鯛のアラ煮、揚げ海老芋、湯葉、隠元、木の芽
  • 永楽の蓋椀に、鰆の蕪蒸し、海胆、海苔、百合根、木耳、わさび
  • 白ご飯、味噌汁、香の物
  • 水菓子が、マンゴと苺、これも永楽
今日のお酒は「七本鑓・雫斗瓶取り大吟醸・平成19年全国新酒鑑評会金賞受賞酒・山田錦40%精米」。バナナの甘い香り、マスカットの酸味のある香りが混じったようなイメージ。サラッとした口当たりで旨いけど、少し余韻が残る。
漆盆の先付け
このところ続けて出てくる白味噌のお椀。この13日が祇園では事始めというので、もう新年同様。春めく「よもぎ」「菜の花」。流石に「筍」は年明けだそうだが、気が早い。でも、もう京都・長岡産の筍も出ているという。

清風与平の赤絵カブラの向皿に、お造り三種盛り。珍しい生青海苔。よこわにもしっかり隠し包丁を入れて丁寧。
祥瑞の器にマナの焼き物。大振りのマナ。美味しい。
ぐじの身の乗った飯蒸し。蓋を取ったときの海苔の香りがいい。松むろ流の飯蒸しは、魚の時には出汁を張るそうだ。その方が食べやすいというのだが、あまり変わらないような気がする。外側は金赤の派手な永楽。
漆の煮物椀に鯛のアラ。頭とカマ。うれしおす。ほんのりと甘くあっさり京風?海老芋美味しおす。

蕪蒸しには鰆。そら「ぐじ」より脂ののった「さわら」が旨いに決まってるやん。これも永楽。なかなか器も楽しめる。
ごはん。お漬け物に「すぐき」が付いていたけど、全然スグキらしくない。
水菓子の皿まで、永楽。

密かに期待していた、諸子ちゃんは、おとといまで入手できたけど、きのうからの寒波の性か獲れない(獲らない?)ようで、残念。注文しても市場に出てないとしょうがないので、密かに楽しみにしていたのだが、残念。
お土産に、雑煮用の白味噌を頂いちゃった。


平成19年11月27日
晩ご飯は花見小路を北へ歩いたビルの6F。祇園「松むろ」にいく。
座敷はイッパイのようだが、カウンターは不人気。
  • 先付の八寸が、銀杏、唐墨、ちしゃとう、栗の渋皮煮、平目縁側のあられ揚げ、シメジのあられ揚げ、菊菜と松茸の和え物、銀杏と木の葉はさつまいもチップ、鯖の小袖寿司
  • お椀は、蓮根豆腐の白味噌仕立て、三つ葉、マイタケ
  • お造りは、しび、たい、いか、黄菊、岩茸、針茗荷
  • ヨコワの血合いの生姜醤油漬け
  • ぐじの酒焼き、菊花蕪、檸檬
  • 松葉蟹の飯蒸し、海苔
  • 炊き合わせが、揚げ海老芋、エビ天、湯葉、隠元、柚子皮
  • 蕪蒸し、木耳、銀杏、百合根、平目、海胆、わさび
  • ご飯、生麩の止め椀、香の物
  • ラフランス、あまおう、ピオーネ
今日のお酒は「磯自慢・中取り純米大吟醸・愛山40% 」とした。角が取れた丸い味。喉の奥から微かにライチや桃のよう香りが立つ程度に抑えられた香り。
漆のお盆に先付け。揚げ物が2種類で熱々。銀杏の熱ったか。塩分が抑えられた唐墨が旨い。料理屋の鯖寿司は旨い。こうして出てくるすし飯との量のバランスだろうな。
今月も中旬から、白味噌に変わったという。やっぱり冷え込んでこないと、京都とはいえ、白味噌も感激がないだろうなぁ。プルプルの蓮根豆腐。
お造り4種。沓皿とか言うていたかな。丸の器をぐっしゃと内側へ折り曲げるようにするのだそうである。

カウンターのいいところは、大将の仕事が見られるところ。明日は市場がお休みということで、明日のヨコワの下処理中。使わない血合いの部分を出してくれはります。カウンターのいいところ。
頭が出てきたのは、ぐじ。ほっぺたから頂いた。「鯛焼きをどっちから食べる?」という同じ悩みだが、熱いウチに骨の廻りのゼラチンを頂いた方がいいと思うのです。目の廻りとか、カマとか暖かいウチが旨いと思います。
楽しみな飯蒸しは、浜阪の松葉。海苔の香りが立つ。越前、津居山、間人、浜阪のだいたいの使い分け方を聞いた。距離的に大して変わらないようだが、ちゃんと使い分けされるようだ。
柿釉の四方鉢の炊き合わせは、旨い海老芋。
もう蕪蒸しだ。焼き物でぐじが出たので、ここでは平目。ちょっと百合根がコリコリと固い。
白ご飯、生麩の赤だし。
洋梨、葡萄、苺。

年末は30日まで営業するそうで、元日から営業!凄い。というか、予約が入るそうである。30日の営業が終わってお節の仕上げをするそうで、大変だあぁ。限定10個程度。無理して数を増やそうとしない姿勢。それだけに年末で食材が高くなる時期に買うもんだから、儲けにならないとおっしゃる。


平成19年10月11日・木
晩ご飯は花見小路を北へ歩いたビルの6F。祇園「松むろ」にいく。
  • 先付けの八寸は、キス・松茸の餅粉あげ、サツマイモチップ、銀杏、ほうれん草と松茸のお浸し、鯖寿司、甘酢茗荷、栗きんとんに大徳寺納豆
  • 土瓶蒸しは、ハモ・松茸・三つ葉、スダチ
  • お造りは、鯛、こしび、つばす、香茸、黄菊、土佐醤油、わさび
  • さわらの幽庵焼き、焼き松茸、甘酢大根、スダチ
  • 笹カレイの飯蒸し、振り柚子、永楽和全
  • 炊き合わせが、海老芋、海老、湯葉、隠元、木の芽、永楽和全
  • はす蒸し、ぐじ、木耳、わさび、のり、萬暦年製
  • 松茸ご飯、生麩の味噌汁、香の物
  • メロン、ピオーネ
今宵のお酒は「醸し人九平次・別誂純米大吟醸・山田錦35%」というのん。ライチのような淡い甘味が余韻として残るが、甘味のある出汁や醤油などと喧嘩することもなく、旨味が増すお酒。
塗りのお盆に八寸。白く揚がっているのが餅粉をつけた、キスと松茸。料理屋さんの鯖寿司は、どこも美味しい。栗きんとんに大徳寺納豆が載っているのだが、甘味が勝てしまっている。

お椀代わりに、土瓶蒸し。実は、あんまり好きじゃない。ちゃんとお椀が欲しいところ。
お造りは、三種。

焼き物はサワラの幽庵。二日漬け。漬けているところを板前で見せてくれた。案外簡単にどぼどぼ漬けている。「○に啓」のスタンプはダレだっけ?
蓋付きの磁器で飯蒸し。「大日本永楽造」というペインティングは「和全」だそうです。一塩の笹カレイの飯蒸し。微かに出汁をかけてある。塩加減と出汁加減が絶妙の塩梅。
炊き合わせの蓋椀も「大日本永楽造」で永楽さんが続く。赤地に菊の柄。煮染めた海老芋は揚げてある。海老さんも玉子を漬けて揚げたぁる。味の沁みた湯葉と一緒に食べると格別。徳島産だが海老芋が出て、冬を感じる一品。
三つ目の蓋椀は、「萬暦」。子供が遊ぶ赤地の派手な絵柄。「ぐじ」を敷いた蓮根の蒸し物。海苔と山葵の香りが際だつあんかけ。ぐじの出来はまだあんまりよくないらしい。こういう温かい蒸しものが出てくると、そろそろ「蕪」と思うのだが、まだまだカスカスで甘味が全然出てこないと言う。

ご飯は注文をつけて、焚いてくれたのが松茸ご飯。
水菓子は、メロンと葡萄。

萬暦の蓋椀について聞いていたら、古染付けの皿の店開きとなった。珍しいものに触れさせて頂く。街場のお店でも、懐石の店だけに、器はええもんを揃えておいて欲しいですなぁ。


平成19年9月13日・木
晩ご飯は祇園北のビルの6F。祇園「松むろ」にいく。
当然カウンターの板前。
  • 先付け八寸が、車エビの餅粉揚げ、焼き栗、銀杏、焼きカマスの小袖寿司、イチジクのゴマだれ、酢取り茗荷
  • ススキの椀が、丸豆腐、焼麩、椎茸、白髪ネギ、丸仕立て
  • 永楽の武蔵野の丸皿にお造り。つばす、鯛、イカ、
  • 仁清写しの松の絵は半七の角皿。焼き物が、ぐじの酒焼き、鰆の幽庵焼き、とうがらしの葉、スダチ
  • 今日の飯蒸しには、松茸とハモ
  • 炊き合わせに、渡り蟹、湯葉、揚げ小芋、隠元
  • はす蒸しは、鯛、木耳、百合根のあんかけ
  • ご飯、赤だし、香の物
  • 水菓子が、洋梨、メロン、ピオーネ
今日のお酒は「奥播磨・鑑評会出品別仕込・大吟醸」。
金だけで無く赤(銅)も散らして秋の夕暮れのススキを蒔絵にした漆の皿に八寸。揚げたての海老さんと銀杏。目の前で出来上がる小袖寿司。巻いて切ってから炙ってある。四国の栗だそうだが、明日から丹波の栗が出始めるという。
椀の蓋裏にススキ。秋の器が続く。丸豆腐の椀。スッポンの身は少なく、玉子が濃厚。酒を使うのは好みじゃないとかで、生姜も押さえ気味で穏やかな香りの丸い味の丸仕立て。濃い口を使うというので穏やかだがこくのある出汁。とんがった味のない美味。
お造りは3種盛り。永楽の武蔵野の丸皿は、ススキの銀塗りの月に雲がかかる絵柄。乾山写し。つばすとは珍しい。イイ鯛。

焼き物2種。さわらは幽庵焼きで、ぐじは酒焼き。木山椒(?)って言ってたかな?とうがらしの葉っぱが出てきて万願寺も使わなくなるのだそうだ。黒と金で描かれた松は仁清写しの半七の器。
蓋椀に飯蒸し。松茸。その下に鱧の身。針柚子。ここのところ鱧の値段が取っても安いそうで、安いものだと1尾数百円だそうだ。居酒屋とかで、ハモだと有り難がって食べても、オヤジは大もうけで笑っているかも知れない。市場では買方次第でええもんが安く買えるのだそうで、感心して聞いてしまった。個人のお店はなかなか大変。
続いて蓋の器。炊き合わせは、蟹のとじたもの、香ばしい小芋、湯葉、隠元。小粒だけど旨い芋。
蓋物が続いて、フタを取った途端に香る海苔のはす蒸し。旨いあんかけ。京都いうのは、あんかけが多いのだと、つくづく思いますな。 ご飯。
水菓子。


平成19年8月14日・火
晩ご飯は祇園北のビルの6F。「松むろ」に参る。
毎年夏のお盆前後には「鱧・鮎の特別懐石」というのを提供されているんですが、無視してお願いしておいた。
賑やかな座敷だが、カウンターはゆったり。鶴太郎の鮎の絵。
  • 先付けに、蓮芋の茎と海老の胡麻和え、蛸の子の焚いたん、焼き万願寺、鱧の南蛮、えびチップス、鯛の小袖鮨
  • お椀が、アコウ、管牛蒡、胡麻豆腐、椎茸、蔓菜の葉、輪柚子
  • お造りが、鯛の松皮の湯通し、生ハモ、イカ、おかひじき、莫大
  • 焼き物が、鮎、賀茂茄子の田楽
  • 鱧の照り焼きの飯蒸し
  • 炊き合わせが、冬瓜包み(海老、ゆりね、木耳)、海胆、生姜
  • あこうの塩蒸し、素麺
  • ごはん、香の物、生麩の止め椀
  • 白桃、ピオーネ
今日のお酒は「松の司・2007純米吟醸・AZOLLA・竜王町産山田錦精米歩合50%環境こだわり農産物認定(無農薬無化学肥料栽培)・金沢酵母・限定1500本(1800ml)」にした。 先付けの八寸。ガラスの器が胡麻和え。蛸の卵は時々しっかりと固く詰まったモノがあるそうで、今日はそういう卵。コリコリとした食感。
椀種は大振りのあこう。もうちょっと皮目まで包丁が入っていれば、出汁が濁らなくていいのだが、見た目だけの問題。一匹仕入れたアコウだというので「頭が好きだぁ!」と語る。

お造りは、鯛。皮を付けたままサクの片身を湯に通して、引きつった皮に包丁を入れている。タタキ風。夏の魚は、表面に火を通すことで殺菌をしているという。古風な造り。でも、痩せた夏の身に皮の脂をつけ、加熱することで旨味を増すという意味もあるのかも知れない。カウンターだから、包丁仕事がよく分かるが、鱧を骨切りして、皮をすいている。皮1枚を残して骨キリするというが、その皮を引いてしまっても、ちゃんとバラバラにならない。皮2枚を残した骨切りということでしょう。皮の無い骨切りした鱧は、フワフワ。口の中でホロホロの溶けて崩れていく感触。始めての鱧の食感だ。生ハモの薄造りでは、鱧を食べた気がしないと言うことから、こういう仕事になったという。徳島産の鱧。かたくなに内地産を使う。
焼き物は琵琶湖の鮎2匹。蓼酢。賀茂茄子を白味噌の田楽。
毎回楽しみの飯蒸しは、鱧の照り焼き。山椒を散らしてある。
暖かい炊き合わせは、冬瓜。沖縄産。冬瓜をくり抜いて、海老・ゆりね・木耳を冬瓜で蓋をするように包んだあんかけ。
頭が好きだぁ!」と、言っておいたので、塩蒸しにしてくれた。カマも一緒。おおきにさん。アラというのは、鯛以外には使わないと言うか、好まない人が多いので、使いにくいと言うので、特にアコウは始めて出したとか・・・。汗を流して、来た甲斐があったサプライズな一品。
しろいご飯。
水菓子。


平成19年4月10・火
晩ご飯は祇園北のビルの6F。「松むろ」に参る。
座敷満席。カウンターに先客1組。行楽シーズンですが、サライに載った昨年ほどではないという。
  • 先付けの八寸、一夜干しメイタカレイの焼いたん、飯蛸、空豆、菜の花、花見団子見立の海老丸・百合根青海苔・鶏丸、竹の子の俵寿司、花びら百合根
  • お椀がアブラメ、よもぎの胡麻豆腐、竹の子、人参、水菜、椎茸、松葉柚子
  • お造りが、鯛、サヨリ、赤貝、イカ、わらび、茗荷
  • 焼き物が桜マス、竹の子の木の芽田楽、ウドの酢漬け
  • ぐじの桜蒸し
  • 炊き合わせが、若竹、ウスイ豌豆、鯛の真子
  • 天ぷらは、海苔で結んだ白魚、竹の子、タラの芽、鯛の白子、天つゆ、塩
  • ごはん、生麩入り赤だし、香の物
  • メロンとあまおう
お酒は、「東一・純米大吟醸にごり・生・山田錦39%」。濁った酒はとっとと呑む。メロンやマスカットのような強い甘味の香りで、余韻は長いが、キレがいいのクドくない。微かに発泡が残っているのか微かに苦みもあって、複雑。余韻のキレの良さは、流石に磨いただけはあるなという印象。
呉須の染め付けは先代の「正山」の桜の猪口。細かく描かれた桜が微かに濁って麗しい。黒の漆の器に彩りのいい八寸。自家製の一夜干し。今、干しているのを見せてくれたが、身も厚くて大きい。竹の子を巻いて俵型にし三つ葉でしばった寿司。

鶴のお椀はアブラメ。カツオしっかりの出汁。薄い竹の子と人参。
お造りは6キロあったという鯛。鯛はこのごろ随分と安いそうである。産卵シーズンで腹は痩せているそうだが、まだ背は身も厚い。
焼き物はマスの木の芽焼き。竹の子は炊いて下味を付けてある。
今日一番期待していたのは「桜蒸し」。勿論飯蒸しだからおこわ。ぐじの柔らかさが飯蒸しには一番相性がいいように思える。桜の葉を巻いて、花は3つ。桜の香りも加わって、情緒タップリ。
炊き合わせが、若竹。ちょっと出汁が甘くて濃い。ウスイ豌豆には少し葛を引いてそうだ。白子という竹の子は知っていたのだが、始めて聞いたのは「本子」という言葉。竹の子は山城の農家さんへ買いに行っているそうだが、いい代物は市内の有名な野菜屋に引き取られるそうだが、それでも、山ほどある竹の子の中には、見るからに素晴らしいのが何十本の内に、混ざっているそうである。目利きの出来る人は、料理屋さんに紹介して貰って現地まで買いに行けば、破格の値段で買えそうである。
天ぷら4種。
毎日精米して届く丹波産のコシヒカリ。白いご飯なので気になって聞いてみたのだった。お客さん毎に炊いているので、色ご飯もいって貰えれば出来るそうだが・・・そうだったのかぁ!
水菓子。


平成19年2月8日・木
晩ご飯は、路地から花見小路にでたところの「松むろ」。カウンターもゆったり。
  • 先付けが、飯蛸、畑菜、イカのコノワタ和え、白魚の天ぷら、蕗の薹のあられ揚げ、鯛の小袖寿司(木の芽)、茗荷
  • 椀は、揚げカニ真蒸、菜の花、椎茸、のし人参、黄柚子
  • お造りが、よこわ、平目、エンガワ、くるま
  • 焼き物が、マナガツオの味噌幽庵、ちょろぎ
  • スズキと唐墨の飯蒸し
  • 炊き合わせが、かぶら、人参、筍、海老、菊菜、木の芽
  • 蒸し物は、加賀蓮根の蓮餅の餡掛け、海胆、ぐじ、木耳、銀杏、百合根、わさび、海苔
  • ご飯、香の物、麩の味噌汁
  • 水物が、いちご、伊予柑のゼリー
お酒は「松の司」。本醸造クラスだったかな?
蛤の形の先付けの八寸。2月になって春めく食材。濃厚なコノワタの風味や、苦みのある蕗の薹には、濃いめのお酒が合うように思いますな。数日間にワインでコノワタを食べたお客さんがいたそうだが、合わへんかったそうだ。「何でもワイン」とはいかないけど、「ほとんど日本酒」は正しいと思うんですけど・・。
お椀は「白檀(?正式な漢字は知らない)」(蓋の表面と椀の側面)という塗りの、中国の奇獣を描いた器。器に目を取られちゃうけど、黒塗りに金で絵を描いて、タメ漆を塗った、ワイン色の微妙な陰影。唐獅子?龍?麒麟?しゆう(漢字が思い出せない)?正月以降、蟹の値段が下がっているという。そんなかに真蒸は揚げてあって、脂分が旨味を足しています。ところで、雑誌に載った「カニ鍋」は、問い合わせはあるものの、注文はまだ一組だけだそうだ。
漆の話をしていて、新しく注文したという山中塗りの猪口を出してくれる。朱ではなく臙脂。普通は「たる源」の木製の猪口だけど、それをそのまま漆器で作ったという。金属製のタガも嵌めてある。小さなビアグラスも出来ている。冷酒には、グラス・磁器がいいと思うのだが、漆も口当たりがイイ。これを見た象彦さんが発注したと言うから、春から店頭に並ぶそうだ。マークが付けば高くなるけど・・・。最近は京漆器も輪島も、山中に注文を出しているとか・・。
お造りはヨコワ、平目、クルマ。魚も正月以降お安くなっているそうである。一方マグロは上がっていて、京都ではよく見かける「しび」も上がっているそうである。立派な平目。板前は楽しい。皿は永楽だったかな。
焼き物にはマナガツオ。味噌幽庵。お腹の部分が出てきて、ぱっと見たところ「イカ焼き」に見えた。福文字の皿は九谷・須田セイ華
蓋付きの器でイイ蒸し。スズキといっていたけど、平スズキかな?
シンプルな炊き合わせ。
見た目はかぶら蒸し風だが、蕪の代わりに蓮根を使った蓮蒸し。 お麩の入った止め椀に白ご飯。
伊予柑の中にゼリーを鋳込んだデザートに、苺。

「百年の孤独のチョコレートぼんぼん」をお相伴させてもらった。レアな焼酎を使ったというだけで、味そのものはそれほどの物とは思えないけど、売れちゃうんだよねぇ。チョコの味が足をひっぱているンじゃないかな?ご大層に桐の箱に入って、1個400円ちょい。


2006年12月23日・土
晩ご飯は、「松むろ」。座敷は一杯。一室は2回転と土曜日はご繁昌。
久しぶりの女将。
  • 八寸は、車の餅粉揚げ、揚げ空豆、鴨ロース、チシャトの味噌漬け、唐墨大根、菊菜とシメジの和え物、鯛の小袖寿司
  • お椀が、かぶら、胡麻豆腐の白味噌仕立て、人参、ウグイス菜
  • お造りは、しび、ひらめ、えんがわ、いか
  • サワラの味噌幽庵焼き、大根
  • ほしこの飯蒸し
  • 炊き合わせには、鯛のアラ煮、揚げ海老芋、湯葉、隠元豆、柚子
  • ぐじの粟蒸し、銀杏、木耳、海苔、山葵
  • ご飯、粟麩の赤だし、香の物
  • マンゴ、苺
お酒は「醴泉・大吟醸・蘭奢待・フロンティア東条・山田錦40%」。
先付けの八寸。明るい漆盆に映える。
お椀は白味噌。薄くスライスした蕪の下には胡麻豆腐。まったりというに相応しい甘さと、トロンとした胡麻豆腐。
お造り三種。漁獲制限で話題になっているマグロの幼魚「しび」。淡いピンク色が麗しい。よくよく考えたらこういうのは食べるより「畜養」に回したり、「リリース」したほうがいいのでしょうけれどね。ハラミの部分を入れてくれた。トロとは違う旨味。そういえば最近平目にお目にかかれないけど、旬になっている。
焼き物は、鰆。
暖かい飯蒸しは、ほしこ(ばちこ)を細長く刻んだもの。タップリ。
漆の片口に、炊き合わせ。アラ煮が入っているので、びっくり。あっさり目の煮具合。炊いて揚げた海老芋。
蒸し物には「粟蒸し」。使っているのは「もちきび」だそうですが、料理名は「粟」。食感は、和風クスクスって言う感じ。魚は「ぐじ」
白いご飯に、味噌汁、漬け物。
水物が、マンゴに苺。

お持ち帰りにお願いしていたのは「ぐじの棒寿司」。脂が乗ってこないと作れないと言う季節限定で、兼ねてから念願の一品だった。


2006年11月1日・水
晩ご飯は、「松むろ」。座敷はともかくカウンターはゆったり独占。
予約の電話を入れたときに、若い子に名前を告げたときに、思い出してくれると、とてもいい気分。カウンターに座る前から、居心地がいい気分になれる。
  • 先付けの八寸、煮栗、揚げシメジ、揚げた海老、紫いもチップス、サツマイモチップス、松茸菊菜、千枚漬けのお寿司
  • お椀が、白味噌仕立て、蓮餅、マイタケ
  • お造りが、しびまぐろ、鯛、イカ、もってのほか、黒皮茸
  • ぐじの頭の塩焼き、酢取り菊花大根、スダチ
  • 松茸、鱧の飯蒸し
  • 炊き合わせが、海老芋、アワビ、ささげ、湯葉、木の芽
  • 海胆、鯛の蕪蒸し
  • 白いご飯、香の物、粟麩の赤だし
  • 水菓子が、柿、ラフランス、ピオーネ
お酒は「松の司・純米吟醸・AZOLLA・竜王産山田錦50%(無農薬・無化学肥料栽培・環境こだわり農産物)・総米750kg」というのん。常温に近い冷え具合で、酸味のある苺のような香りが立つ。含んだときの味の爽やかさや、喉ごしのキレは、松の司だ。冷えてるつれ、滑るような喉ごし。
先付けの八寸が塗りのお盆ででてくる。揚げた海老はフライ風。シメジも石附の部分にパン粉。チップスは銀杏に抜いてある。京都の著名な漬物屋は化学調味料が入っているとお嘆きの主人だけに、自家製の千枚漬けでしょう。お寿司の中の木の芽が効く。
お椀は白味噌仕立て。11月から3ヶ月は白味噌だそうで、「山利」さんのん。トロントロンのポタージュ並みだが、お家での雑煮はもっと濃いらしい。それだけ濃くても、辛くならずに上品さがあるのが、ここの味噌。葛タップリとおぼしき蓮餅は透明感のあってプリンプリン。もうちょっと寒くなればなお一層美味しいだろう。
お造り3種。旨味が十分に出た鯛。
ドンと焼き物が「ぐじの頭」。今年は暖かいのが原因か、脂が乗ってきてないそうだ。
この店の楽しみの一つが「飯蒸し」。今日は松茸に鱧。文句ないほど美味しい。板前は面白くて、料理が出来上がる前に食材を披露してくれるので、予想を立てることが出るのだが、鱧を骨切っているときは、まだ鱧の椀かと思ったほど。それが予想外の飯蒸し。松茸まで。本当は11月に入ったら使いたくないと言うのだが、この3連休も「土瓶蒸し」の注文が入っているようで、まだ苦労して仕入れるそうである。
炊き合わせが、海老芋とアワビ。暖かいせいでまだまだアワビがよく出ているそうである。柔らかく蒸してさっと炊くというけれど、しっかり味が付いて旨い。炊いた海老芋を揚げたもの香ばしさが出てとても旨い。
もう「蕪蒸し」。これももうちょっと冷え込んでくると、季節感がある。海胆が乗って、山葵が乗って、刻み海苔が乗って、エエ香り。銀杏・イクラ。キクラゲと定番。そこに置いた肴が「鯛」と贅沢。淡い銀餡がしみじみとした滋味。
京都では日本料理屋さんの白いご飯も久しぶり。お代わりしてしまった。
水菓子3種。

お酒の話になって、ここでもワインなるものが置いてあって、白は「シャブリ」で決まっているそうだ。赤はその都度変わるそうだが、値段はそこそこ。マンションの6階という立地では十分。日本酒の値付けは2倍程度なんだが、焼酎なんか、なんやかんや(氷を入れ水割りにして1升瓶で20杯も作ると)6倍〜8倍くらいになるそうで、申し訳ないという。それで料理に合うかというと、まぁはっきりとは言わないが、難しい。やっぱり日本酒が一番です。


2006年3月17日
晩ご飯は「ビル内にある個室中心の穴場の割烹」と「日経おとなのOFF」に書かれている「祇園松むろ」だ。
金子国義の舞妓さんの絵が掛かるカウンターを独占。他のお客は座敷のようです。
来週から新しい調理スタッフが一人増えるそうだが、今は二人に減っている。どこでも女性は辛抱強い。
  • 八寸(いいだこ、氷魚の酢漬け、茗荷、鯛の小袖寿司、白魚の天ぷら、タラの芽の天ぷら、菜の花)
  • 椀が、蛤の真蒸の焼いたん、筍、椎茸、人参、水菜、松葉柚子
  • お造りが、鯛、まぐろ、いか、酢取り生海苔、紫芽、
  • 焼き物は諸子、うど
  • 唐墨の飯蒸し、甘鯛、一寸豆
  • 炊き合わせが、筍、若布、フキ、人参、鯛の子、木の芽
  • 鯛素麺
  • ご飯、赤出汁、香の物
  • フルーツが、マンゴ、苺
今日のお酒は「田酒・純米大吟醸」とした。
貝の形の塗りのお盆に盛られた八寸。
金銀の水引の椀の裏側は鳳凰に胡蝶。四角い焼いた椀種が入っていた。蛤の真蒸だけど、その滑らかな口当たりは初体験とも言える。濃厚な吸い地も蛤。
3種盛りのお造り。マグロは中トロの部分。昨晩は京都では雹も降ったらしいが、魚はあったようで安心。それよりも飛び石連休では漁師さんも休みたがるようで、週明けの方が心配だそうだ。
お刺身を引く前に、カンテキを出してきて目の前で焼き始めてくれたのが、本モロコ。10匹もある。今シーズン入荷できたのは5回ほどと言うから、運次第なんですが、嬉しいものです。もう立派な子持を選りすぐってあります。焼いた諸子は加減酢で頂く。焼けた物から次々と取り皿に取ってくれるので、パクパク、ぱくぱく。網に頭を突き刺して焼くんですが、焦げたところは、包丁で削いでくれるという丁寧な仕事。花粉症をおして食べに来て、よかったぁ。

定番の飯蒸しは、甘鯛の上に焼いた唐墨。僅かに出汁が張ってある。むちゃは松室さんの飯蒸しが楽しみなんでございます。
色鮮やかな人参が目を引く炊き合わせ。
鯛の頭は蒸しもの。細い素麺にはおろし、椎茸、ねぎ。暖かい出汁で頂きます。淡路の天然の鯛の頭とカマ。花粉症をおして食べに来て、よかったぁ。
白いご飯が出て、フルーツ。


2005年12月25日
四条通りを東へ、花見小路の「小瓢亭」さんへ寄って、幕間のお弁当を引き取りにいく。
ちょうど蓋をしているところであったので、お茶を頂きながら、カウンターで待つ。
お弁当だけの為に営業させたら悪いなぁ、と思っていたのだが、お昼に予約があったそうだ。ほっとしたけど、それがキャンセルになって、結局、申し訳なくも、お弁当だけの日曜日にさせてしまった。
実は「日本一の弁当」と言われる「菱岩」さんに電話したのだが、お節の準備で今日からお弁当はしてないというつれない返事。そんな話をすると、お節の準備に休養日を作っているという話も聞く。お弁当屋のお弁当と、料理屋のお弁当との違いとか、面白い話だった。

ちゃんと木で出来た折です。中身は、エビ芋、生麩、出汁巻き、サワラの幽庵、茗荷、酢取り蕪、湯葉、車エビ、ぐじのあられ揚げ、揚げたシメジ、ちしゃとう、菊菜の和え物、黒豆、唐墨、鴨ロース、鴨の丸、鯛の小袖寿司、炊き込みご飯の俵おむすび、奈良漬け。


2005年10月10日
晩ご飯は、祇園の「小瓢亭」さんへ「永楽尽くし」の懐石を頂きに行く。新地の料亭で修行中の二人組が先客。やっぱり料理人というのはどことなく判るな。
さて献立は
  • 向付:明石鯛へぎ造り、黒皮茸、酢取り菊花(正全・仁清黒掛絵替皿)
  • 煮物:松茸、丸玉豆腐、三つ葉、白髪ネギ
  • 八寸:焼松茸と若水菜のお浸し(妙善・染付菊絵小皿)、車海老餅粉揚げ、鯛小袖寿司、酢取り茗荷、焼栗、揚げ銀杏
  • 焼物:鰆幽庵焼・酢取り菊花かぶら(正全・呉須赤絵中皿)
  • 蒸物:ぐじ飯蒸し・柚子(和全・染付腰捻蓋茶碗)
  • 炊合:名残鱧、松茸、菊菜、海老芋(和全・赤絵鉢:河濱支流)(和全・染付八角皿)
  • ごはん、赤だし(胡麻豆腐)、香の物
  • 水物:メロン、ピオーネ(即全・黄交趾皿)
お酒は、美味しいのがあるというので、お任せしたら「立山・大吟醸(通称:雷鳥)」が出てきた。すっきり切れる。幅はないけど、バランスがよろしいようです。猪口は「和全:絵高麗酒杯・中川浄益:銀張り)」で頂くことになる。銹絵の柄だが上から見るとギンギラギンでよく分からない。
銀張りという仕事も今では途絶えた仕事のようで、イメージは「歯の銀のかぶせ」だ。焼かれた器をかたどって、銀をはめ込むという。古いモノは隙間が出てくるという。
もう一種類の銀張りの絵高麗も出してくれるし、赤絵の酒杯(誰のか聞かなかった!)もあった。お蔵だしで新品同様の綺麗さだった。
肝心の料理の向付は鯛だが、旨味たっぷり。3連休の最後で魚は期待していなかったけど、予想外に旨いのでびっくり。なんか気分的にお腹が満たされてしまった。
椀が松茸に、スッポンの玉子豆腐。松茸に丸という組み合わせは始めてのような気がする。癖の強い丸だけに首をひねるが、旨いモノは旨い。松茸がなくてもイイヤ。鈴木表斎作のすすき蒔絵椀という。これもちょっと古い椀。細かい仕事。京都の漆は分業ではなく、木地から塗りまで仕上げるそうだ。
昔の椀は、蓋をかぶせても裏返らないように口縁が僅かに楕円になっているそうだ。手が込んでますなぁ。
蒔絵の漆の皿に八寸を盛りつけ、お浸しの小皿が「妙善」さん。一つ一つ箱書きを見せて頂けるが、みんな「善五郎」。「妙善」さんだけ「悠」の字がある。蒔絵は「平安俊勝」と裏書きされていたかな?
焼き栗というのはあまり出会わない。
焼き物は「鰆」の幽庵。中皿の真ん中に「福」の赤絵。
蒸し物はお得意の「飯蒸し」にあんかけ。蓋を取ると出汁の香りと柚子の香りが立つ。グジの塩加減とごはんが良い塩梅。どうも他のお客さんは、理解できないようで「鯛ごはん」とか言っている。確か前も同じような(お茶漬けとか言っていたかな)お客さんがいましたなぁ。蓋を取った裏側と同じ柄が表にもある。デザイナブルな文様だ。モダン!
炊き合わせは「預け鉢」の大きさ。出汁で煮含ませた鱧も美味しい。菊菜の香りも芳しい。海老芋は煮た後、揚げているんでしょう。ふっくらのお芋さん。お芋さんはこのサイズでよろしいなぁ。
特に上出来の作品には、特別なバックスタンプが漬けられるらしい。「河濱支流」の文字と読める。これも真ん中に「福」。取り皿までも「永楽」!
ごはんは白いごはんに香の物。なんか普通すぎて・・かすんでしまう。
デザートの皿も、普通に見かける黄交趾と油断していたが、これも「永楽」だった。

カウンターは一部2回転。ルーブルを見に行ったそうだが、1時間の行列だったそうだ。お疲れ様。永楽のお食事は、10人限定だそうだが、カウンター限定でもあるそうで、そこそこのご予約という。すべて自前の器と言うから、大変なモノです。まだお金を払っていないモノもあると言うから、がんばらなくては。
今日は座敷も一杯のようで、若い女性と2人で切り盛りは大忙し。細い腕と体で、ご主人と対照的なのだが、パワー付けなくちゃあきまへんで。


2005年8月13日
3年ぶりというものの夏は初めてのようだ。祇園は北側のビルの「小瓢亭」で夕ご飯。少し前に入店されたような方々がおられるカウンターの隅っこ。
奥様が女将さんとして、お店に出るようになったようだ。若い女性もスタッフでいるようだが、細い腕で、大丈夫かいな?
  • 先付けの八寸、ぐじの餅粉揚げ、ササゲの胡麻よごし、万願寺の炒めタン、鱧の子、鱧の粽寿司、茗荷の甘酢漬け
  • 椀が鱧、胡麻豆腐、、水菜、椎茸、輪柚子
  • 鱧の落し、スズキの洗い、剣先イカ、松菜、梅肉、醤油、煎り酒、ワサビ、莫大
  • 鮎の塩焼き、賀茂ナスの白みそ田楽
  • 鱧の飯蒸し
  • 冬瓜包みのあんかけ(海老、百合根、キクラゲ)
  • 冷や麦、海胆、椎茸、刻み海苔、茗荷、ねぎ、ワサビ
  • 御飯、生麩のみそ汁、香の物
  • メロン。イチジク、巨峰
お酒はお手軽な「神聖・大吟醸」から。大振りの切り子の銚子だ。用心用心!
今日は季節外れだが、たいそう良いグジが入ったそうで焼き物にするか迷ったそうだが、揚げ物になったそうだ。鮎より好きだ。残念。
鶴のお椀には鱧だが、椎茸。「松茸はお盆が過ぎるまでは使わない」ということは「9月から」ということかな?そういう店があってもいい。それにしても「北朝鮮」の松茸はええそうだ。あんな国から買ってくる商社には憤りに感じるが、買う消費者やお店があるからイケナイ。お値段が上がると「あこう」になったそうだが、そちらの方が魅力的。今度から予算をあげよう。(というか今日はいつもよりお手軽なのを頼んでいたのだ)。でも今の季節は、食材での差別化が難しいのだそうだ。「予算が高くなった分は鮑で」というのはしたくないそうだ。料理人も百人百様。
メニューから「雛願」を注文すると「雛願・雪先花」だでた。飲み比べもさせて貰ったが、苦味のような雑味がなく冷酒向き。かねがね「雛願」は「ぬる燗」の方が良いという評価がよく分かる。蔵元の息子が戻ってきて、今までの「雛願」には納得いかないと、同じスペックでありながら醸造方法をを工夫したそうで、まだ僅かな出荷だそうだ。
真っ白のお造り。赤身がないというのは寂しいモノです。実のところ最近スズキが痩せているそうで、焼き物にも使いたいようだが良いのがないそうだ。カウンターでは「洗い」の作業を見せてくれる。見る楽しみも増えているようだ。梅肉も小皿で出るから、盛りつけたお造りはほんまに真っ白。最近は青梅を使った梅肉もあるそうだが、奇妙なことは嫌いだ。梅肉の作り方も気軽にお客さんに話しているけど、できひんデキヒン。
備前の器に美山の鮎2匹の塩焼き。賀茂ナスは田楽。田楽を鮎に付けると「魚田」の出来上がり。二通り楽しめた。最近は頭から食べられる小さい鮎が好まれているようですが、どうなんでしょうね?昔は骨をすっぽり抜く仕草が食べ慣れている「粋」さが、うらやましかったりしたんですが、面白くありませんねぇ。骨や頭まで食べられる方がお客さんの経済的なことを仰ってましたなぁ。その分完全な天然というのは、使いづらいようだ。
さて「タデ酢」というのは本当はどうなのだろうか?ここではさらさらの酢に磨り潰したタデが風味を付けている程度なのだが、いろいろ店によって説明が違うのは面白い。使わないので、どうでも良いけど、この時期のカウンターの話題にしたりするのだ。
ここでの楽しみの一品は「飯蒸し」だ。今日は鱧。上に乗った実山椒は、一つ一つ包丁で刻んだもの。香りが高い。
夏なのにあんかけで暖まる。包丁の細かく入った冬瓜は箸で砕けていく。冬瓜の中に具が入っている。
今年の夏はよく「麺」に出会う。今日は「冷や麦」とは、残るは「稲庭」ぐらいだが、たぶんもう秋になればでないでしょう。海胆は旨いが、冷や麦には勿体ない。
シンプルな白御飯。
市場も明日から休みだそうで、いつも出している宮崎マンゴも高騰したというので、メロン・・・

カウンター横の絵は「鶴ちゃん」の鮎。「祇園松むろ賛へ」と読める。マネージャーさんがアタッシュケースに絵具を持ち歩いているそうで、描いてくれたそうだ。
食事が終わって、話し込んでいたら女将から「ビール」を頂く。ごちそうさん。
お持ち帰りは「鱧寿司」。メディアに取り上げられたそうで「粽寿司」の注文があるそうだ。8本組。予約の電話をした時に「鱧寿司」と伝えると「8本・・・円」とか言われて、「8本も食われへんで!?」とびっくりしたモノだ。明石産の鱧。今の時期が、日本の鱧がやっぱり美味しいということだ。むちゃは骨が硬かろうが、皮が厚かろうが、それを包丁の仕事で美味しくするのが料理人の腕だと思うのだが、半島モノは使いやすいらしい。少し寂しい気分。
帰り際に「青梅を使ったという煮昆布」をおみやげに頂く。空堀の昆布屋さんのだ。
「鯛」で有名な修業先も最近では養殖モノで数をこなすという評判が聞こえてくる。館の佇まいや器(これもレプリカという評判がある)に拘らないなら、京料理のエッセンスを凝縮したような料理を気軽にカウンターで味わえるのがこの店。大柄で無口なような主人も、料理のことになると気軽に饒舌で飽きない。


2002年3月23日
四条通りをまた東へ歩く。ほんと今日はよく歩く。4月からの京おどりのアーチがかかる花見小路を一瞥して今宵は北へ向かう。北側の繁華街も賑やかさがありません。路地を入って、満席のお店をチェック。再び花見小路にでて、ビルの6階「懐石・松むろ」に入る。2週間前に坂道でこけた表紙に左手首を亀裂骨折したとかで、包帯姿の松室君。あと1週間で包帯がとれるという話だが、観光シーズンに不自由なことです。そういう理由で、厨房の中で、スタッフにも厳しい。「松むろ」にも新人がいるけど、夏まで持たない子が多いという。3年ぐらいすると、一通りのことができてそれで満足しちゃうそうです。しっかりした店で10年近くがんばって欲しいという気持ちがあるようですが、どこでも教育は頭の痛い問題です。八寸の盛りつけは、若い女性。がんばりましょう。
さて、今宵の献立は
  • 菜の花のごま汚しのおひたし、エビ団子・青海苔の化粧の百合根まんじゅう・鶏団子の三色団子、稚鮎の南蛮、一寸豆の餅粉揚げ、煮付けたイイダコ、タケノコで巻いた寿司、花びら百合根
  • ごま豆腐、葛打ちの油目、しいたけ、軸菜、短冊にんじん、松葉ゆず
  • お造りがたい、いか。ぜんまい、紫芽、わさび、醤油
  • 鱒の味噌幽庵、白ウドの酢漬け
  • 桜蒸し、
  • たけのこ、若布、鯛の子、うすい、木の芽
  • 天ぷらは、タケノコ、しらうお、タラの芽
  • 白ご飯、ヨモギ麩の赤だし、香の物
  • 水菓子に、メロンとさちのか
で、お酒は「神聖・松の翠」とします。久しぶりに「水のような」当たり障りのない酒に、感動です。
春の八寸。花見団子に見立てたエビ・青海苔・鶏の団子。感心させられたのは、海藻臭いかなと思う青海苔は百合根の味を壊していません。ちょっと手間をかけた一寸豆も餅粉を付けることで、味わいがふくらんできます。タケノコのお寿司は、瓢亭譲り。
椀には、油目。まだ脂が十分でないと言うのですが、脂が乗らないから椀種にもしやすいと思いますな。ごま豆腐は、おとなしい香り。
焼き物には、お得意の鱒。味噌幽庵焼きという、瓢亭譲りの焼き物。味噌漬けでも旨い、幽庵付けでも旨いが、それを味噌幽庵にするのがすごいと、菊乃井さんも誉めて張りましたなぁ。付け合わせの酢漬けがなか、いいマッチング。何でもかんでも「はじかみ」より、嬉しおます。
飯蒸しの変形になる、桜蒸し。餅米の中にはタケノコが忍ばせてあります。鯛を乗せて、桜の葉、桜の花びらと飾ってあります。三浦竹泉の器のふたを取ると、桜の香りが立ち上ります。うれしうれし。お酒を「水」から「鄙願」に変えます。「水」でもやはり酔ってきますな。いつもは「味気ない」鄙願も、ふっくらした味わいに感じます。
続いて炊き合わせは、タケノコ、鯛の子と季節もの。ところが、聞くと、今年はどうも変だそうで・・・。陽気のせいでタケノコは育ちすぎて、筒切りでしか提供できないくらいになっているし、桜にあわせて使いたい鯛の子には季節が早くて、養殖を使わざるを得なかったり、さりとて日本海の油目はまだ寒くて少し時期が早いとか、苦労されてます。でも、タケノコは旨かったす。ちょっと太いところの方が味は豊かですから。ほんのりと甘い出汁の加減もたまりません。
ご飯はお代わりして、水菓子がでます。
専門料理に話が出ていた、移転の話をちょっと聞きます。やはりビルの6階では、他の店から出てくる換気や空気が悪いそうで、季節の風が感じられないということで、坪庭のあるような一軒家を探しているそうです。一時期に比べると、半額ほどに下がっていると言うから、ゆっくり納得のいくのを探されるでしょう。あと10年ぐらいまでにはと、先を見た話を聞く。少し北の新橋あたりは、まだまだ風情のあるところです。あの「よねむら」の場所も下見に行ったそうで、5000万円ほどだったけど、間口の問題で止めたとか。店探しというのは、ぴたりとくる物がなかなかないようですな。そんな話をして、初めて名刺をおいてくる。鯖の棒ずし1本を「おもたせ」。龍皮昆布でまいたオーソドックスな一品。
2001年5月29日

デンワ一発!予約の夕御飯は、ビルの6階、懐石「祇園・松むろ」です。カウンターに案内されて座るが、とにかく「夏柑糖」と「水ようかん」を冷蔵庫で預かっていただく。これで一安心。本日の献立は

  • 先付の八寸には、ゴマ豆腐に生姜、枝豆、八幡巻き、ハモの餅粉揚げ、カマスの小袖寿司、はじかみ
  • 椀は、ハモ葛叩き、ジュンサイ、新ゴボウ、青採りの干しぜんまい、水菜、椎茸、花柚子
  • 刺身は、タイ、よこは、いか、防風、山葵、紫芽
  • シバ漬け飯蒸し、細打ちした大葉
  • 鮎の焼き物、酢蓮根
  • 炊き合わせが、石川芋、さやインゲン、海老の黄身揚げ、湯葉
  • スズキの蒸し物に絹巻素麺、素麺には葱・おろし・しいたけ、温かい付け汁、
  • ごはん、香の物、粟麩の赤だし
  • フルーツは、マンゴ、伊予甘、イチゴ
で、お酒は先ず「麒麟山・大吟醸・紫峰」、そして「鄙願・大吟醸(高嶺錦真精精米45%)」とした。
今日もハモの椀。というより、板前の(まな板の前に座っている)むちゃは骨きりしている松室君を見て出てくるのが、わかっている。大きいハモだが、そんなに大きいハモは今日の客数から見て、余っちゃうぞ、と心配。ちっちゃい蕾があるので聞くと、半月ぐらいしか取れない「花柚子」だそうだ。噛むと「ふわ〜ん」と口の中に柚の香りが広がった。京都ではジュンサイが取れないので、秋田のモノ。間引きのゴボウは「管ゴボウ」。最近は、灰汁抜きをしないでもいい生食用ゴボウもあって、サラダに使うらしい。
定番の「飯蒸し」は柴漬けとは、ちょっと残念でもある。東京の母子連れは、お茶漬けと思ったらしい。うふふ。
焼き物は琵琶湖産の鮎。もうすぐすると松室君は「美山」の鮎を使うらしい。鮎を捕りすぎ、使い過ぎとおっしゃるが・・・。
確かに「衣かつぎ」の小芋はおいしい。けど4個はちょっと多い。基本的にねっとりとした芋はあまり好きじゃない。海老の甘みはうれしいが、海老の臭みをちょっと感じた。
素麺の細さに驚いて、聞いたけど、若い子はよく説明してくれなかった。たぶん漢字は「絹巻き」だろう。冷たい素麺つゆで、つるつる食べたい。
白いご飯にこだわる松室君らしいから、お代わりしてやった。・・・食べすぎた。赤出汁は嫌い。今日もマンゴォ!これは「アップルマンゴ」?
さて、カウンターから聞こえてくる厨房が何故か寂しい。GW明けはどうも客足が落ちるそうで、接客の女性は居ず。厨房も一人減って、松室君を含めて3名でこなしている。料理から接客まで、白い服を着たスタッフが動き回るのは、座敷のお客には特に、良いイメージじゃないと思うな。どこも若い見習は居着かないようだ。そんな感触も伝わったのか、今日は感動が少ない。


2000年10月14日

「ふらっと」東山でも夕御飯は事前に予約済み。祇園神聖ビル6Fの「祇園・松むろ」にお邪魔した。エレベータの扉が開くと同時に、仲居さんの挨拶を受け、感心する。さすがに、仕込みが違う。たった5席のカウンターに居座る。献立は

  • 先付八寸が、「壬生菜と松茸」「煮栗」「焼き銀杏」「鴨ロース」「石突きをあられにしたシメジの香煎揚げ」「銀杏を抜いたさつまいもの揚げもの飾り」
  • 椀が、「焼き目を付けた生麩」「青味は菠薐草」「まる豆腐」を椀種にし、吸い口は白髪葱
  • 向付が、たい、いか、車エビ、つばすの造り、岩茸、針茗荷、黄菊、山葵
  • 焼き物は、鰆の幽庵、酢どり蕪
  • 蒸し物として、甘鯛の飯蒸し、針柚子の香り
  • 煮物が、鯛のあら焚き、炊き合わせ風に揚げ里芋と菊菜、葉山椒
  • も一つ、ハモの身の上に銀杏、百合根を練り混んだ蓮根饅頭に松茸をあしらった、あんかけ、針打ちした海苔に山葵
  • 御飯、香の物、青海苔の生麩の赤だし
  • 水菓子が、皮むき種ぬきの巨峰、マスクメロン、豊水
という内容でした。お酒は「麒麟山・大吟醸」「鄙願・大吟醸」とした。冷酒は6種ぐらいしかないので、選択肢があまりない。すっぽんというのはいい素材で、出てくるだけで嬉しくなる。豆腐の卵もよろしいなぁ。でも、焼き物までは、別段感心はしなかったのである。しかしここからの料理が松室君に期待して訪れる価値のある所である。まずは「飯蒸し」であるが、甘鯛の甘味が出汁と相まって、上品な丼のようである。また柚子の香りがそれに高めている。「アラ焚き」の甘味もすばらしい。目の下、唇のとろりとした食感がまったりと膨らむ絶妙な味わい。里芋は鯛の旨味を吸って旨くなるという出合の妙は感じられないが、もっちり旨い。菊菜の苦みも取り合わせとしていいですな。「蓮根饅頭」は旨く土臭さを消して食感を生かし、ハモと松茸の出合のすばらしさを増していますな。松茸と海苔の香りのハーモニーもまた柚子とは違った陶酔感がある。これらの3種の温かい料理が、京焼きの絵付けの器によって華やかさを持って供されております。食材も重ならないし、香りも重ならない。献立も素晴らしいと感心いたしました。ただ、松室君がかぜを引いて喉を痛めているとかで、カウンターには遠慮して出てこないので、その点で食事の楽しみが何割かが減っております。また今度。今日もお腹いっぱい。現金で支払いをお願いされたので、財布は軽くなった。
2000年3月4日

「祇園・松むろ」である。お昼のお弁当は予約じゃないとダメで、懐石と相成った。新橋通りを抜けて、店を確認すると電話番号が変わっているんや!そらでまへんわなぁ。「松むろ」さんのカウンターで頂いたのは

  • 先付の八寸は、押し寿司(鯛・エビ・青菜に木の芽)、菜の花の辛子ゴマ和え、エビとタラの芽のてんぷら、稚鮎の南蛮
  • 椀盛りは、蛤の真丈に焼き目を付けた椀種、椎茸、筍、芽ネギ、人参
  • 向付は、よこわ、ひらめ、いか、防風、紫芽
  • 川ますの味噌幽庵杉板焼き
  • 白魚の飯蒸し、針打ちした海苔の天盛り、笹敷の風味写し
  • 炊き合わせは、蕪、イイダコ、ふき、筍、人参、針柚
  • 鴨真丈の粟蒸しのあんかけ、銀杏、百合根、塩昆布と山葵の天盛り
  • 御飯、よもぎ生麩の赤だし、香の物
  • 水菓子はイチゴ、八朔
でお酒は、「神聖・大吟醸」「菊姫・大吟醸」とした。ここは大吟醸6種しかないんだ。他には座敷のお客だけのようで、弁当の盛りつけなんかを見て、ゆったりと昼酒を嗜む。造りに鯛がないので聞くと「桜鯛はまだ早くてヒラメの方が脂がのっていい」という弁。確かに肉厚のヒラメのサクを見ていると頷けます。松室さんの話によると、桜鯛は3月半ばを過ぎてからだそうですわ。(大阪とは話が違う?)蛤の真丈の肌理の細やかさがよろしいなぁ。焼き目を付けないと出汁に溶けそうな柔らかさだ。杉板の香りと幽庵地の香ばしい川鱒も好きですが、飯蒸しと粟蒸しの暖かさがまだまだ恋しいですし、実際のところ美味しい。炊き合わせの旨さに、出合の妙を感じますな。養殖でも大きく育てば腐っても「鮎」!間引かれた稚魚の命を心して頂かねばいけまへんな。器の多くは宇治田原の「吉見啓一」氏に依頼されているようで「○に啓」の文字が裏に見えます。清水の絵付けの器が本来ですが、いろいろあるようです。「松むろ」さんでは行楽弁当も、宣伝はしてないけど作ってくれるそうで、料理屋さんのお重を持って、外で食べるのって、いい気分でしょうなぁ。ほんまにおばさん趣味や。


1999年11月20日(土)

夕御飯は祇園の「松むろ」さんとした。

  • 先付は八寸仕立てで、菊菜の白和え、栗、銀杏、鴨のロース、鯛を千枚漬けで巻いた寿司、しめじ
  • 蓮根豆腐、むかごの白味噌仕立ての椀盛り
  • 造りは、しび、たい、いか、防風
  • さわらを味噌風味の特製のタレで焼いたもの
  • カマスの飯蒸し
  • 炊き合わせは、エビ芋を揚げたもの、海老を卵で絡めて蒸したもの、生湯葉、三度豆、山椒風味
  • 蒸しものは、たい、銀杏、百合根の蕪蒸し
  • ご飯、香の物
  • 水菓子は、洋梨、イチゴ
お酒は「鄙願」「菊姫・大吟醸」を頼む。来月号から1年間、「新古典主義」と題して家庭画報で連載をされるそうで、面白い内輪話を聞く。既に来月号のゲラが出来ているので(内緒で)見せてもらう。巻頭10ページの大特集だそうだ。なるほど大変な仕事である。9月頃に正月の材料を揃えてたり、季節外れの結び柳やら、コーディネーターも大変そうである。その特集の最後には「おせち」が載っているが、注文が来たらどうしようと悩んでおられる。乞うご期待。もう既に2月号まで撮り終えているというから、業界は凄い。白味噌の椀盛りが美味しいと訪ねると、山利さんであった。正月頃の白味噌が1番旨いとは、松室氏の弁。蓮根豆腐は、ゴマ豆腐のゴマを蓮根に替えたものだそうで、ニュルとした食感が面白い。いろいろ料理の素材や料理方法に付いて私は聞くのであるが、後から来た客は、松室氏とちっとも話さず、首を捻る。「あんたら何食べてるか知ってるの?」、それから、「いい大人が箸の置き方も知らないの?」。この観光シーズンは、京都の食通は、出歩かないそうだ。そうだ、こういう客と同席するのがいやなんだろうね?京都は意味深な町だ。


1999年2月25日(木)

訪れたのは祇園「松むろ」さん。予想通り、カウンターを占拠していたのは、おばさんだった。私は賑やかなおばさんのグループの隣。最後に「うるさくしてゴメンね」と言われて少し見直す。

  • 先付は白子の天ぷら、菜の花
  • ひらめ・いかのお造り
  • 蛤のしんじょの椀物
  • (本)鱒の杉(へぎ)板焼き
  • 鴨しんじょの泡蒸し
  • ぐじの飯蒸し
  • 淀大根とイイダコの炊き合わせ
  • ご飯・赤だし・香の物
  • 水菓子
素晴らしい。京懐石を堪能する。最後にお店を紹介してもらう。お客の評判ではと、ことわられた上だが、祇園「大神」、法善寺「本湖月」。大神さんは若いがしっかり頑張っている店と言うことで教えてもらった。お昼から「鄙願」2合を呑んで、いい気分でした。


map
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      白川南通      新橋
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 │ │          ││    │ │▲神聖ビル
 │ │          ││    │ │  6F
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 │ │          ││    │ │
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    末吉町通
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 │ │    ││    ││り   │ │
 │ │    ││    ││通   │ │
 │ │    ││    ││し   │ │
 │ │    ││    ││    │ │
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    富永町通
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 │ │          ││    │花│
 │ │          ││    │見│
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 │ │          ││    │路│
 │ │          ││    │ │
 │ │          ││    │ │
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                       四条通り
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