てら川

adrress東山区松原通り大和大路西入る弓矢町25
call075(531)0208
open/day/昼の御料理¥5000〜
open/night17:00-22:00/夜の御料理¥8000〜
off不定
capacityカウンター7席・座敷2
memo/impression 2004年7月4日
ぶらぶら寺町を歩いて、夕ご飯へ向かう。河原町を下って、途中から木屋町に、松原まで下って、宮川町の方へ橋を渡る。1年半ほどご無沙汰の「御料理」屋さん。
おいしい食事をしたいと思ったら、毎回違う店を選んで食べ(歩き)散らかして「青い鳥を探す」のがいいか、ここと決めて通う方がいいか、と聞かれたら、後者だと言うだろう。じゃ、何軒通う店があればいいかと考えたら、2、3軒でしょうねぇ。だからといって、行かないから美味しくないかとか、は言えない。この店も、松原まで歩くのが面倒くさいし、・・という些細な理由で、足が遠のくが、今日は日曜日だということもあって、選んだわけだ。
  • 先付け1・長芋と湯葉の豆腐、ウニ、叩きおくら、アワビ、肝
  • 先付け2・ジュンサイと長芋の微塵
  • お造りは、焼霜の鱧、スズキ、車
  • 鱧とエビ・枝豆の玉子真蒸の椀
  • マグロのお寿司
  • 鮎の焼き物、たで酢
  • 鱧の子、小豆レンコン、枝豆の炊き合わせ
  • 牡蠣の揚げ物
  • 鱧と松茸の鍋
  • 豆ご飯、シジミ・芽ネギのみそ汁、漬け物
  • メロンゼリー、水蜜桃、無花果、きなこのアイス
お酒は、依然とずいぶん変わっているようだ。どこかで聞いたような「想天坊」を頼む。どこかで見たような竹酒。竹自体が冷凍庫で凍らせてあるので、注げば冷酒のできあがりということだ。呑んでいて思い出したのは「酒の細道」に出てきたんだ。ちょっと枯れたような熟成臭を感じたけど、すっきり。
先付け二品が並びます。
お造りは、焼霜といっても、焦げ目もないほどの加減で、ほとんど生。
銀も鮮やかに輝く椀。今日も鱧の包丁が素晴らしい。秘訣は、「慣れ」だとか。鱧で出汁を取って、エビとかの味も移って、旨味たっぷり、ため息がでる。
どうも最近は2本ぐらいが気分がいいようです。で「桃の滴」を頼みます。
器も鮮やか、ピンク色も鮮やかなお寿司のネタはインド洋。見ていると握りではなく、手まり風に酢飯を丸めて乗せているだけ。人気の一品らしい。付け合わせのショウガまで、花びら風に盛りつける丁寧さ。
出汁で炊いただけのような鱧の子。炊いた枝豆もおつ。派手なところはないけど、美味しい。
利尻だったか厚岸だったか忘れたけど、牡蠣。素揚げしておろしで和える。牡蠣殻に盛りつけて出てくる。そうか、岩牡蠣のフライなんかもおもしろいかもしれんなぁ。て、もうあるかもしれないけど。あるだろうな。
カウンターで、ご主人が鱧を切っているのでまだ出てくるのかと思っていると、どきどきしちゃうのが「松茸」の姿。さすがに国産の「早松」ではないけれど、長生きできそうだ。ご主人がカウンターの中で赤楽の土鍋で作ってくれて、よそってくれはる。出汁もたっぷり呑む。
そのまま雑炊でもしてほしいけど、出てきたのは「豆ご飯」。ご飯が粘らずふっくらとむちゃ好み。豆ご飯は好きじゃないけど、お米が美味しくて、おかわり。

派手さはないけど美しい。奇をてらっているわけでもなく、ありがままに普通に美味しい。ちょっとわくわくしながら、出て来るままに安心して食べられる。寡黙な主人がもっとベシャリになってくれると、もっと魅力的なカウンターになるだろうけど・・。


2002年12月14日
四条通りを東へ進む。万亭の横で花見小路を南へ下ります。花見小路を歩くのは久しぶり。人の賑わいも歌舞練場まで下るとまばら。ちょうど建仁寺さんの北口に当たります。すっかり日が暮れた境内は、当たり前だが近くの通行人だけ。南口に出ると「八坂通り」になります。東には「丸山」さんの提灯が点っておりますが、今日は西へ。大和大路へ出て一筋下ると、松建商店街という松原通りに出て、更に西へ。看板も上がらない目新しい料理屋さんが、今日の夕ご飯「御料理・てら川」さんだ。
黒塗りのカウンターは、ついたてもなく、ご主人の包丁さばきが、よく見えます。黒の塗りの折敷が置かれている。真ん中に座らせて頂いて、献立は
  • からすみのそぼろ
  • 雲子の長芋羹、ウニ、防風、防風の軸の酢漬け
  • お造りが、まぐろ、たい、あまえび、芽甘草、岩のり、大葉の細打ち、わさび、醤油が2種
  • 椀に、甘鯛の蕪蒸し、隠元、人参、降り柚子
  • お凌ぎに、お寿司が2種類(鯛の手毬、カニの千枚漬け巻にイクラ)、しょうが
  • 酢の物に、かに、カニ味噌で和えたカニの身、生姜酢
  • 焼き物に諸子の塩焼き、木の芽酢、子持ち鮎の煮浸し、赤かぶの酢漬け
  • 炊き合わせは、エビ芋、鯛の子、壬生菜、柚子に生姜
  • くみ上げ湯葉の磯辺餡、ウニ入り
  • カニの甲羅揚げ(中身は卵けんちん)にはレモン、松葉銀杏、カマスの揚げ出しに木の芽おろし、松葉むかご
  • カニご飯、なめこと蛤の赤だし、香の物
  • パパイヤゼリー、柿、林檎蜜煮、ざくろの粒
だ。冷酒は10種類ほどあって、まず奈良の「天下一・純米吟醸」にした。清課堂さんの錫の急須ででてくる。
何か魚の卵かと思ったのは「からすみ」だった。最初に出たけど、酒につまみに最後までちびちび頂く。
で、突き出しになるのが、長芋羹。長芋の白、ウニの黄色、防風の緑、軸の赤色、目を惹く鮮やかさが、青磁のもられてくる。雲子の味と香りがちゃんとする。ウニには少し苦みがあるが、ウニのソースは長芋羹に良く合います。スタートダッシュで酒が進んじゃいます。
お造りには、マグロと鯛。インド洋の生マグロだそうです。黄瀬戸の器。これも、彩りが目を惹きます。早くもお酒があいて「月桂冠・あわい・大吟醸」にした。打ち出しの銀の徳利に、銀の猪口だ。むちゃくちゃ呑みやすい。
蕪蒸しが出てくるのが早くて、お造り途中で、食べる。大変立派な大きき手脂の乗った甘鯛で、塩味がちょっときつめ。蕪には銀杏とかキクラゲとか一切入らない混ぜモノなし。ここでも隠元、人参が綺麗。
お凌ぎ、酢の物のポンポン出てきて、焼き物もでたので、順番とは異なるが、暖かいモノ優先で、焼き物から。備前にもられたのは、さっき送られてきましたという諸子で、今シーズン始めての食べます。もう子持ちの大きさ。琵琶湖育ちのむちゃは破顔。淡いお酢も美味しい。
二人以上だと、お凌ぎは預け鉢で出てきます。そのためカウンターの後ろに、飾り気がない棚ではありますが、お鉢が数個並べられて目立ています。ずいぶん前から作家さんとはつきあいがあったそうで、いろいろお持ちのようです。
丁寧に六方に剥かれたエビ芋。たっぷり欲しいところですが、小振り。出汁はすべて淡く上品。
蒸し物は、湯葉。器の下にくみ出し湯葉を置いて、ウニを置いて、海苔を混ぜた葛餡が惹いてある。かき混ぜると海苔の香りと湯葉の甘みが、良く合う。どうしようかと迷った3本目は、滋賀の「萩の露・原酒」にした。これも清課堂さんのちろりで、沢村陶裁(?)さんの絵付けの猪口。原酒の割に、ひねている。
出てきたときは、カニコロッケかと思いましたが、具まで丁寧にご説明してもらった。甲羅揚げはしっかり、カマスはさっぱり。
お客さんに併せて炊かれているかどうかは怪しいけど、釜で運ばれてきて盛りつけてくれるのが、少し堅めがむちゃ好みのカニ飯。遠慮なくお変わり。カニの香りたっぷり。止め椀の赤出しがまた美味しゅうございました。ご飯の盛り方が、いかにも茶懐石で有名な炭屋さん風です。

一つ一つの料理の量は少なめと思っていましたが、書き並べると多いですね。出汁加減が淡目で、素材の滋味がじんわりと味わえました。椀の味は奥の調理場から玉じゃくしで運ばれてくる猪口でその都度あたりを付ける丁寧さ。すべての料理で、彩りが鮮やかで、手が抜かれておりません。ほとんどの料理が、カウンターでご主人が盛りつけるのを見られますので、飽きません。寡黙そうな主人は、寡黙で話しかけてきませんが、気むずかしくはない。
3月に炭屋旅館を辞め、11月に開店。先斗町や乙部では、妙な店が増えてもう風情がないし、甲部はお値段の事情で、少し離れた所ですが、民家に手を入れて、外観はまっさら。京の家らしく細長いので、カウンターの奥に座敷が2部屋。庭があるのも店選びの重要なポイントのようです。2階は物置だそうだ。飾り気がない玄関に、「御料理てら川」と書かれただけの店。定休日とか、営業時間とか、お値段とか、聞くの忘れた。
奥様は洋装で、座敷は仲居さん任せ。少し楽しみがありませんね。知人の紹介とかで、今日も満席のようですが、来月の家庭画報に早くも登場。しばらくはご繁昌でしょう。
お土産にちりめん山椒まで頂いてしまいました。

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