平成23(西暦2011)年11月24日
晩ご飯は、今月オープンした「卯柳」へ行ってみる。
カウンターは一人占め。トイレがなんだか事務的なパーテーションが入って、二分割。窮屈になりました。カウンターは変わりませんが、天井からの丸提灯や、背後の船箪笥、猪口のケースが無くなり広く感じます。でも、お軸もないし、風情は大きくマイナス。カウンターでは33歳の料理長ナカイエ君が仕切ってます。調理スタッフは二名です。四条大宮のホテル出身だそうだ。
厨房への入り口に「いけす」があって、フグ、はげ、鯛とか泳いでます。いけすの料理屋に旨いところないからなぁ・・・
初回ですから、コースをお願いしてます。いままでの料金のコースはなく、一段階お手軽な価格帯。
- 前菜には、ゴマ豆腐・紅葉麩、秋刀魚の甘露煮、フグの南蛮、アワビの酒煎り・ほうれん草のお浸し・黄菊、黄身の味噌漬け、逆さ海苔巻き
- お椀は、ヒラメ・雲子・シメジのカブラのみぞれ仕立て。軸菜
- 造里は、鯛、本鮪、間八、クエ、生湯葉、ワサビ、塩三種
- 焚合には、海老芋旨煮・生姜餡かけ、白髪葱
- 美山産京地鶏朴葉焼き、柚子風味朴場味噌、はじかみ
- 美山豚豆乳鍋、ブナシメジ、水菜?
- 油物は、車海老錦(あられ)揚げ、青唐辛子、なす、しめじ、天つゆ
- 秋鮭白葱射込み・黄身酢
- 御飯、煮昆布、止め椀
- バニラアイス・柿
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さて日本酒を頼みましょうとリストを見ると、松竹梅・松竹梅・松竹梅・玉乃光・玉乃光・玉乃光・神聖・・・全部、京都のお酒だぁ。観光客向けに迎合したラインナップ。悪い酒とはいいませんが、テンション下がるぅ〜。お勧めを聞いて「神聖・純米大吟醸・松の翠・精米歩合50%」にしました。カーンと甘い香りに、ガツンと甘旨い味が来て、比較的長い余韻。甘さが少々くどい感じですが、悪くはありません。伏見というイメージにはまります。
「卯柳」の文字の入った蓋つきのお重に先付け八寸。オーソドックスです。ごま豆腐は自家製かな?ちょっと疑わしい。海苔巻きなんか出すかなぁ?ちょっとテンション下がる。
お椀は、炙った雲子。ヒラメ。手が入ってないなぁ。吸い地は悪くないけど、温度が下がってる。僅かだけど減点が積もりそうだ。
お造りは、マグロ、カンパチがお決まり。他は網野港から送られてくるその日の魚になるそうだ。今日でいえば、鯛とクエ。塩でも食べられるように用意されているのが「琴引き浜の塩」三種で、プレーン、藻塩、にがり塩の三種。味わいが柔らかになっていくようです。びっくりしたのは、小さい鮫皮が付いてきて、自分でワサビをすります。嬉しいと思う人もあれば、客にそんなことをさせるなという人もいるでしょう。むちゃは後者。板前で客の目の前で手際よく摺って出すのが、日本料理屋の仕事だと思います。
炊き合わせらしいですが、海老芋だけ。餡は少し辛いかな。喉の調子かもしれません。
二本目は、メニューから「玉乃光・純米大吟醸・備前雄町50%」にします。メニューに載っていない日本酒があるのか確かめてみると、蒼空、富翁とか、やっぱり京都のお酒でした。より柔らかな甘味でふっくらしたイメージ。キレもいい。
コンロが出てきて、朴葉に乗せられた美山産京地鶏。既に焼かれて、乗せてあるだけですが熱々。朴葉味噌が一番大切ですが、醤油が効いてますなぁ。ストレートに言えば、辛い。どうも海老芋の餡もそうだけど、醤油を使った味付けが辛い。鶏の味がぼけてしまいます。
炭の入ったコンロが下げられて、パラフィンが出てきた。紙鍋が登場して、豆乳鍋。お肉は美山豚だそうです。これはいい味だ。豆乳鍋にしてはパラフィンの火力が強くなり過ぎるように思いましたな。ゆっくり食べている訳にはいきませんでした。
車エビにいろいろの色のアラレを付けた錦揚げ。天つゆで出てきますが、揚げ物のサクサク感とあられのカリカリ感が乏しい。天ぷらの、お上手ととは言えませんなぁ。カラっとしてません。
白ネギの中をくりぬいて、サケを叩いた身を詰め込んだ、急に手の込んだのが出てきました。いい組み合わせですが、ネギがもうちょっと太い方が、映えるるんじゃないかと思いますが、細い。
ご飯は・・・質素!白いご飯に、昆布の炊いたん少々だけ。貧相な具の赤出汁。漬け物でももうちょっと出すべきでしょう?!
デザートは、アイスに柿。キャラメルのソースかな?
京都でそこそこ日本料理を食べているなら、刺激されるような皿はなく、あくまで京都の食材・酒を提供する観光客向けというコンセプトのようです。一品料理もありますが、コースの中に出てくるものがほとんどですから、コースで良いんじゃないでしょうかね。
気になるのは、若い料理長に、決めた料理を作っているという感じを受け取ります。グループのひとつとして、経営を考えることが希薄なのか。料理に掛ける覇気というのが希薄。若手の店でも独立した店には、それなりの個性があって、それはそれなりにセールスポイントになるんだけど、雇われでは・・・。でも、それは、食べ慣れているから感じることでしょうから、一見の観光客にとっては、よろしいんじゃないかな?「さらば、先斗町」かな?
カウンターにかかっていた軸もなく、殺風景。まだ改装中だとか言ってマス。二階のバー。カウンターは無くなって、テーブルにしたというし、二階のでかい絵は、取り外したそうです。がらんとしているのかな。名残は、窓の外の欄干の堂本印象のデザインですな。
急いで開店した様子は、塗りの折敷にも表れていて、妙にヌメとしていて、指紋が付いてるようです。乾きが間に合わなかったんかな?器も、おざなりな、陶器の釉もヌターとテリテリです。料理長も個性を出すというところまでは出来てないようです。
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