京料理・うづき

卯月
adrress京都先斗町三条下ル
call075(221)2269
open/day11:30-14:00
open/night17:00-22:00(2F -24:00)
off無休
capacity
memo
impression 平成23(西暦2011)年9月29日
晩ご飯は閉店を明日に控えた先斗町の「先斗町卯月」です。
かねがねクレームが出ていたという玄関脇の柳が、12号台風を前にヨッシーに切られちゃってます。カウンターは常連さんのようです。

  • 先付けの八寸には、新いくら醤油漬け、海老の簑揚げ(ジャガイモ)、蓮根チップ、松葉銀杏とむかご、鴨ロース、甘酢茗荷、兎の中が冬瓜ゴマダレ
  • お造りが、淡路の鯛、明石のヒラメ、カマス、ツブ貝(肝も)、長芋兎
  • 土分蒸し、ハモ・松茸、三つ葉・銀杏
  • ハモと水菜の梅肉和え、鱧寿司
  • 焼き物が、子持ちアユ、海鰻、冬瓜のワイン煮
  • ぐじのキノコ餡かけ
  • 珍味に「ろば」
  • 白ごはん、止め椀(藻屑かに)、香の物
  • 林檎の紅茶煮、そのゼリー、練乳
今宵は、「松の司・2010(22BY)・純米吟醸AZOLLA・限定生原種・竜王町産山田錦(環境こだわり農産物)精米歩合55%・自社保存酵母・限定(200本/1.8L&200本/720ml)」にします。生酒らしい味の濃さがあって、火入れの松の司に比べると幅と深みが増したイメージ。

先付けの八寸には、秋の食材が増えてきました。青いけど銀杏・楓。スケルトンなホオズキ。柚子釜のイクラが色が濃いけど、青の通りの味。ちょっと辛い目。ジャガイモの千切りを衣にしたエビの揚げ物。「簑」というのか「大原木」というのか?パリパリの蓮根チップ。兎の香合の中が冬瓜でゴマダレ。

お造りは、たい、ひらめ、かます。カマスは皮霜で柚子を乗せてありますが、乗せているだけの風味。でかいツブ貝でした。コリコリの歯触りで味がしみ出してきます。鯛が明石ではなく淡路で、ヒラメが明石。バイトの子は床で説明するのに、苦労しているようです。そろそろ紅葉鯛と呼んでいいかも?有次の抜き型の兎さんも見納め。

思い出してみれば、今年初めての土瓶蒸し。もちろん鱧松。三つ葉、銀杏。

先月に鱧寿司を出してくれなかった「食い物の恨み」を感じたのか、今日は出てきました。骨切りは誰がしたんでしょう?失格!!鱧は秋に脂が乗って一番の季節という人もいるくらい。京都では松茸が終わればハモも食べなくなるけど、淡路や泉州では一年を通して鍋で食べてます。

コンロの上に焼き物が乗って出てきます。子が弾けそうな鮎、この大きさで頭から食べられる柔らかさですから、滋賀の畜養もの。もう一品が、海で獲れた天然ウナギ。これからマリアナ海溝に向かう途中だったのでしょうか?大変貴重なものらしい、というお触れ。どこで獲れた(瀬戸内?)かとか、どこで売っているかとか、緘口令?海の塩分の浸透圧の影響か、タンパク質に富んでいるかのように味が深い。それに筋肉質なのか思ったより脂が少ないようで身がしっかり。一番だと思っている琵琶湖産とは脂の乗りが違う感じ。皮はパリパリに焼いてあります。塩焼でそのまま食べるのですが、ワサビを出して貰う。
キノコの餡かけたっぷりサイズ。グジの身は焼いてありますが、厚い。子芋入り。
お隣さんと、妙な食材の話になった時、中国留学生の料理にむちゃぶり。なぜか「ろば」を食べますか?ということになった。作り方は知りませんが、塩ゆでしてハムにでもしたような姿。思った以上に塩加減が薄いので保存食でもないようだ。山東省の料理だそうです。てな話から、鴨川の川べりの木の根元を掘り返して獲った「羽化前の蝉」の動画を魅せてくれた。これをフライパンで炒めるのだという。恐るべし中国人。出されても昆虫は食べないよ。
今日は白ごはん。味噌汁には藻屑蟹。蟹味噌がちょっこと出てます。

デザートは林檎の紅茶煮とその煮汁をゼリーにしたもの。

今日が最後なので、預けておいたヘレンドのティーボウル「春慶」を持って帰ります。


平成23(西暦2011)年8月30日
晩ご飯は先斗町の「先斗町卯月」です。
お客さんは当然ながら床でお食事。カウンターは独占。時折、開けられた床の入り口から、蒸し暑い風が吹き込んでくるのに辟易して、皆さんがまん強いなぁと感心。
カウンターには、誰のか分からないけど「新内流し」の絵軸。

  • 先付け八寸の、兎の香合には、粟麩のトウモロコシ和え・アスパラ・ウニ。衣かつぎ、枝豆、丸十、ミニトマト・タコの子鋳込みの黄身酢和え、ハモの肝煮、ゴリの佃煮、ハモの寿司・ハモの子の塩辛乗せ
  • お造りには、渡り蟹・味噌醤油、若狭グジ・レモン、赤ホヤ
  • お椀が、葛打ちのコチ、素麺、玉子豆腐、松茸、柚子
  • 冷やし鉢に、子芋・蛸・南京・冬瓜・車エビ
  • 若狭グジの若狭焼き、赤・緑万願寺、はじかみ、スダチ
  • ハモの白子の東寺揚げ
  • 鯖の生寿司、蓮芋
  • ハモご飯・牛蒡入り、ネギ。香の物
  • マンゴムース、ジュレ
今夜のお酒は善知鳥・大吟醸・百四拾精米歩合40%にします。常温に近いと香りの高い甘さを強く感じる甘美なお酒。品がいいので甘くても切れは良い。温度が下がってくると、二十世紀ナシやデラウェアのような甘味が経ってくるけど、フルーティな酸味は押さえてあって、上品な甘味が口に広がって、サラッと消える。

先付けの八寸。本来八寸には、海の物、山の物、川の物を盛り込むのが本当と聞いたことがあるけど、叶ってマス。琵琶湖の側にいてもなかなかお目にかかれなくなった「ゴリ」。あっさり目に炊かれている。ハモのお寿司は、手毬寿司・茶巾寿司風に丸められていて、生ハモの薄造りが一緒にまん丸に握られてます。その真ん中にハモの子の塩辛が乗ってます。ちょっと骨を感じるけど、面白いお寿司。生鱧は昆布〆にしてあるそうでネットリしたハモ。兎の中には見えないけど、粟麩が潰したトウモロコシで和えてあります。トウモロコシの和え衣ってのは初めて。
お造りには、生のむき身のワタリガニ。蟹味噌を入れた醤油皿が出てますので、たっぷり絡めて食べます。そうかもうすぐ九月で、九月になると大阪〜兵庫は「だんじり」で、「だんじり」の祭りの食材となると「ワタリガニ」やもんねぇ。しかし生で食べるのは、記憶にない。冬の蟹より淡白なようだ。一汐のグジがお造りでも出てきます。糸作りだけじゃないんだねぇ。珍しい「ホヤ」。
日月椀の中は「こち」「そうめん」。葛打ちしたコチは脂もあって美味し。吸い地は松茸の香りがほどよく立ちあがります。コチもお造りに盛り込んでほしかったところ。

ガラスの冷やし鉢。定番のイモタコナンキンに、エビと冬瓜。
夏だというのに、あちこちで出てくる「グジ」は、今宵は「若狭焼き」。スダチが無くても、十分旨い味です。頭が出るとテンションが上がって、骨をバラバラに食べ尽くしてしまいますわ。
油物が出てきた。ハモの白子を湯葉で巻いて揚げてあります。京風春巻きって感じかな?天つゆ?割り醤油?
新潟で揚がった鯖の生寿司、青味に蓮芋の茎。

床のお客さんには、どこかで「鱧寿司」が出ているようで、一貫でいいので消耗したけど、きっちり使いきったようで、む・無念。
用意してくれていたのは、ハモご飯。五重歩百歩。笹がきゴボウが入ってます。ネギもたっぷり入れてあって、お釜の蓋を取ると蒸されたネギの香りがプーン。牛蒡の香りは控えめでハモの旨みを消さない程度。ハモは刻んで入ってます。美味しいご飯で、お代わりしたけど、鱧寿司には後ろ髪をひかれます。止め椀なし。せっかくグジの骨をバランバランにしたのに・・・!。
デザートはマンゴのムース。


平成23(西暦2011)年7月5日
晩ご飯を先斗町の「先斗町卯月」です。
西御座(錦神輿会)の御神酒の札が貼られてます。盛り上がってきてるようです。どこかで見たような「卯菴」の文字?津之喜の兄ちゃんか?
奥の床は盛況で、予約のないお客さんは、入られない様子。

  • サザエの味噌漬け、ホウズキの中はタコの子・長芋・枝豆・ウニにお出汁のジュレ。兎の中はマスカットの黒ゴマ掛け、ゴリ、タコの柔らか煮、丸十(レモン)、キスの粽寿司、生姜
  • 鱧の薄造り、鱧の落とし、岩牡蠣、ワサビ、梅肉、ポン酢
  • 鱧真蒸の椀、蓮根、鱧、蔓菜、柚子
  • 卯菴寿司、はじかみ
  • 焼き物は、カマス、鮎。スダチ、茗荷
  • ぐじ、冷やし素麺、七夕見立て、冬瓜、ナス、アワビ、オクラ、胡瓜の花
  • 鮎茶漬け
  • レモンシャーベット、パイナップルの甲州煮
料理長の出身地の「来福・純米大吟醸・超精米・茨城県産ひたち錦精米歩合8%」を頑張れ茨城という気持ちで、味わってみましょう。小袋に精米が添えられてますが、塩と間違えられました。開封直後は、味も香りもなく、酸味が口に残るアンバランスな酒。先付けの料理に合わない印象だった。しかし、向の鱧が出る頃になると、酸味が消え始め、徐々にフルーティーな香りと、甘さが、開いてくる。と同時に酸っぱさが消えてくる。随分と繊細に味の変わる印象です。最後は美味しい印象ですが、とはいえ8%まで磨いた味と言えば、「そこまでせんでもええンチャう?」ということです。でも、ここまで磨いた努力というか、技術が凄いですな。

銀皿の八寸。この季節は粽に「蘇民将来子孫也」の紙。中身はキスのお寿司。笹一枚で巻かれてますから、ほんの一口。マスカットに黒ゴマというのは見た目からして好きになれないなぁ。
向のお皿に、塗りのお盆に氷を敷いて盛り付けてあります。向に使ってある例をあまり知りません。八寸に使った銀の皿を使ったこともあったけど、この季節暖まりやすいそうだ。岩牡蠣。ここは食べやすく切ってくれないので、注文を付けて切ってもらいます。福井からでした。今日は韓国産の鱧だそうです。今年は産地に関係なく高騰しているそうです。タッパに入った鱧の落としもありますが、カウンターのお客には(?)、骨切りして落としてくれます。鱧出汁の中に落として、おか上げした状態で出てきました。冷えきった「おとし」より、熱で旨みたっぷりに感じます。焼き霜もそうだと思いますが、熱を残した時の方が好き。梅肉にワサビで旨い。今でも韓国産だと眉をひそめるお客さんがいるそうです。もう一つの鱧は「薄造り」。これはポン酢。
お椀は鱧真蒸。フワフワ。刻んだ鱧さんが入ってます。お約束で鱧の身も椀種。

久しぶりに「卯菴寿司」。三個お持ち帰りで3750円というお寿司。今日は上下から穴子でサンドしてあって、しば漬けまぶしの寿司飯。箸で割った断面写真です。好みを言えば、もう少し甘い方が好きだけど、。

焼き物は、カマスと鮎。どこの鮎か聞き忘れたけど、いい苦味が出てきた。脂も増えてきたようで、かぶり付くとお腹からジュワと・・・。ヒレも綺麗に焼かれてます。美しい姿。タデ酢。カマスにはレモン。
七夕の天の川見立ての素麺。色のついた素麺がくるくると巻かれて天の川で、オクラの切ったのが、星型で、ひこ星とおり星です。器は織部の緑釉の割竹。素麺ツユで頂きますが、その他のも素麺ツユを使って頂くようになっています。アワビ、ナス、冬瓜。それにグジ。飾りとはいえ食べちゃう胡瓜の花。
床は鱧雑炊が出ているようですが、鮎茶漬け。風干した鮎かな?鮎に「うるか」が乗っております、大葉。
デザートは、シャーベットと甲州煮。


平成23(西暦2011)年6月5日
京都まで出てきたので、晩ご飯を先斗町の「先斗町卯月」で食べちゃいます。先斗町は結構にぎわっておりますが・・・。
今日は新しい暖簾が掛かってます。どうやら一番客なので、床はがらがら。カウンターのお軸は不矩の下絵。以前に不矩さんの弟(?)さんから「下絵」を随分と分けてもらった一枚だそうだ。

  • 先付けの八寸には、アワビとジュンサイ・すり生姜、蛸の柔らか煮、海老・若牛蒡のずんだ和え・花穂紫蘇、百合根団子の桔梗仕立て、牛肉のお寿司・ゴマだれ、生姜
  • お椀は、ウニ真蒸・カイワレ・炙り海胆、青柚子、よもぎ麩
  • お造りが、焼き霜の鱧、中トロ、剣先
  • 鯛の蓮蒸し、ワサビ
  • 焼き物は、天然若鮎塩焼、琵琶湖産の天然ウナギの塩焼、青・赤万願寺
  • 鴨の旨煮。鴨ロース、鴨の丸、豆富、白髪葱
  • 油物が、小鮎、ナス
  • 新生姜ご飯に、焼き鱧、木の芽
  • ヨーグルトのパンナコッタ・ブルーベリーソース
一本目は粟田口のお店の頃から頂いていた「富士千歳・しぼりたて・原酒」を頂きましょう。度数18度の原酒の荒っぽさを感じるドライな味わい。

先付けは、ガラスのお皿。ジュンサイにアワビは肝入り。ずんだ和えには、海老・若牛蒡・ずんだ。空いた牛にゴマだれを乗せお寿司にしてあります。百合根金団で作った桔梗。

日月椀の吸い物は、ウニ真蒸によもぎ麩。乗っている炙ったウニはちょっと苦味を感じましたが、気のせいかな?フワフワが二つの椀種でした。

二本目からは「松の司・2010(22BY)・Part2・生もと仕込み・純米酒・無濾過生原酒・木桶仕込・ふゆみずたんぼ米・竜王山田錦(『冬期湛水不耕起栽培』:環境こだわり農産物認証:期間中無農薬無化学肥料栽培米)精米歩合65%・酵母無添加・限定750本/720ml 」にします。これも18度の原酒だけど、柔らかで穏やかな口当たり。

この季節のカウンターのいいところは、骨切りが見られたりすること。骨切りした鱧に櫛を打って、皮目を炙ってます。床のお客さんには、両面を炙ったものを出しているようです。焼き霜の鱧に限らず、おとしでも、店それぞれの工夫がなされて、奥深い一品ですな。六月から使い始めた鱧は沼島産。ほんのり暖かい鱧には梅肉。茗荷。剣先イカ。奄美のマグロだったかな、中トロを選んでます。
暖かい一品が出てきます。蓮蒸し。荒微塵のレンコンも混ぜ込んだ蓮根の饅頭に鯛の身を乗せて蒸してあるようです。餡かけ。
最近は、焼き物を八寸から独立させてくれてます。鮎の塩焼きには、サイズは小鮎(若鮎?)というくらいかな。赤と緑の万願寺が添えられてます。もう一品は琵琶湖産のウナギの、珍しい塩焼。白焼きは多いんですけどね。琵琶湖産は今年初めて。養殖物にありがちな泥臭さはありません。甘酢の茗荷。

合鴨ですが、鴨のお鍋。ロースに、丸に、お豆腐。今日の鴨の丸はツルンと柔らか。魚のすり身が混ぜ込んであるそうだ。色から濃そうな出汁だけど、意外と薄味でした。
塩焼きに出た鮎だけど、それよりも小さい「稚鮎?」を天ぷら。塩が出てます。ナス。今日は賀茂ナスが回ってこなかったなぁ。
ご飯は新生姜の炊き込みご飯に焼き鱧。
デザートはヨーグルトのパンナコッタ。

床を楽しんでいたお客さんも、パラパラ降り出して、カウンターや座敷に撤収。珍しい撤収現場を眺めます。床の上には日除けのヨシズで覆えるようになているんですが、雨避けに使うことは違反だそうだ。杓子定規なことだ。


平成23(西暦2011)年4月29日
今日の晩ご飯は、鴨川踊りの準備も終わって華やかに提灯がとぼる先斗町の「先斗町卯月」。
もう、奥では床の準備も終わっているみたい(昨日だったらしいけど)。五月らしい「鯉」のお軸に替わっております。カウンターは独占だぁ。

  • 先付けの、兎の香合には、鯛・筍・菜の花・鯛の白子のすり流し・加減酢、筍の皮に木の芽和え、鰻の八幡巻き、鴨ロース、鯛の卵巣の自家製カラスミ
  • お造りは、アナゴの薄造り、肝、皮、コシビの炙ったん、おろし、ポン酢醤油、ワサビ醤油、塩
  • お椀には、桜エビの真蒸、車えび、わらび、軸菜、木の芽
  • 子持ちモロコの醤油焼き、アナゴのお寿司
  • お凌ぎに、にしんナスに茶そば
  • 牛肉と筍の花山椒鍋、若芽
  • 油物が、ホタルイカ、こしあぶら
  • 海胆トッピングの焼きおにぎりの出汁茶漬け、ワサビ、海苔
  • イチゴとイチゴのヨーグルトムース
今日のお酒は福島の「愛宕の松・純米吟醸・22BY新酒・精米歩合55%」です。優しい酸味で次第に優しい甘味を感じる程度で、新酒とは思えない穏やかなお酒。裏ラベルには「東北地方太平洋地震の震災より無事救出されたお酒」というシールが貼られております。
先付けの香合に鯛・筍・菜の花・鯛の白子のすり流し・加減酢。これが旨い組み合わせ。面白いのは、鯛のカラスミ。造り始めたのが4月はじめということで、厚みがないけど、塩分控えて優しい味。塩分が少ないせいかネットリ感はなく、卵巣であることが舌でもわかるパサツキ感がまだ残っている。このシーズンあまり見たくない葉懐敷がヒノキ!

お造りは、薄造り。板前で包丁さばきが見られます。綺麗な身。今年は鱧を使うのは6月に入ってからにしようとか言うてはります。真黒い棒のようなのが鱧の皮。炙ったコシビも脂が美味しい。両方ともポン酢が美味しいようです。
お椀の裏は楓。表は京都の観光地が描かれてます。薄いピンク色をした桜エビの真蒸。軸菜が乗って、スライスした大根。海老の身を入っているけど、桜エビかなぁ?エビ殻が入ってないので、根気のいる仕事をしてくれたようです。海老の真蒸からほんのり甘味が吸い地に溶けだしてます。旨い吸い地。
コンロが出てきてその上に、焼いた諸子とアナゴのお寿司。味醂の甘味のある醤油でつけ焼き。刻んだ木の芽。お寿司を焼くんですねぇ。焼きアナゴ。詰めのタレをジュレにしてトッピング。アナゴの薄造りが出てくるシーズンにいなると、関東方面で流れたモルツだったかのCMで、先代の料理長が腕をふるっていたのを思い出す。

ここで一杯、味見させてくれたお酒は「環境こだわり農産物認証シール」付き「松の司・特別純米酒・2010(22BY)・竜王産米精米歩合65%・環境こだわり農産物認証・金沢酵母・限定2000本/1800ml・小仕込みの会」 。松の司にしては、少し肌理が荒くて、ワイルドなイメージ。

お凌ぎに茶そば。冷たいにしんナス。もうナスだ。夏野菜だと思うけどなぁ。乾物のニシンはいつでも食べられそうだが、春告魚というくらいで、今の時期に使うといことらしい。
蓋が閉じられたお鍋が出てきて、もうご飯かと思いましたが、山椒鍋。これくらいしっかり花山椒がはいっていると、ニンマリできます。牛さんと筍さんに若芽。花山椒だけに、ピリピリ感は弱い。その分出汁も薄味に仕上げたバランスが取れてます。しっかりお出汁も頂きますよ。
うっかり写真を忘れるという油物。ホタルイカと山菜のコシアブラ。塩。
ご飯は出汁茶漬け。
デザートがイチゴ。シャーベットが出なくなって歓迎!

ゴザが敷かれてない床を拝見。連休の予約はそこそこ入っているそうだ。


平成23(西暦2011)年3月22日
今日は、昨年末の顔見世と同じく「先斗町卯月」に南座の幕間のお弁当をお願いしておきました。
思いがけずに序幕が再開されていたので、料理長を玄関で待たせてしまいましたが、お弁当を受け取ります。他に配達されてないようで、寂しいことです。

  • 左上の桜の枝の場所には、出汁巻き、飯蛸の旨煮、鯛の焼き物・蕗の薹味噌、菜の花、鴨ロース、イカワラビ、空豆の白和え、土筆、もう一品
  • まぐろ、車エビ、タケノコのお造り、長芋兎、ワサビ、防風
  • 油物は、もろこ、蕗の薹、はぜ、レモン
  • 炊き合わせ風に、若竹、鯛の子、生麩、葛仕立て、木の芽
  • 焼き物は、アブラメ、タケノコ醤油木の芽焼き
  • ご飯は、チラシ寿司、マス、イクラ、椎茸、酢蓮根、ワラビ、木の芽
タケノコふんだんでしたね。マグロまで入れてくれて、予算大丈夫ですかね?ありがと。


平成23(西暦2011)年3月10日
今日の晩ご飯は先斗町の「先斗町卯月」。
エンドウちゃんが誕生日でした。事前に言うといてよ!
久しぶりの麻衣子ちゃんと旦那の清ちゃんにあう。三人目の子供を拝見して以来かな?

  • 先付け八寸に、白和え、鯛の子の炊いたん、白魚の黄身焼き、空豆、兎の器の中は氷魚のおろし和え、手毬寿司産種は、炙ったマグロのツケ・サクラマス・鯛
  • お造りには、トロ、あぶらめ、筍、兎長芋、防風、ワサビ
  • お椀が、蛤真蒸、蛤、ウルイ、大根・人参、木の芽
  • 焼き物は、和牛の蕗の薹味噌、アブラメの木の芽、はじかみ
  • ホタルイカと筍の柳川風鍋、若芽、木の芽
  • 油物は、はぜ、野甘草、塩、レモン
  • 鴨ロースの治部煮餡かけごはん、菜の花、香の物
  • 苺、イチゴシャーベット、練乳
今日のお酒は「初亀・岡田丸・純米・静岡県産誉富士精米歩合55%・静岡酵母」というのんで、県内だけで流通しているグレードだそうだ。ちゃんと火入れして落ち着いたお酒。香りもあるし、キレもいい。静岡らしい柔らかい口当たり。

八寸には、蕾の桜が一枝。手毬寿司三種。手毬も節句の仕事ですかね。
お造りには、奄美のまぐろ。春らしいアブラメも脂が乗っていて美味しい。詳しくは効いてないけど京都産の筍は湯がいた物。いい色している。
お椀は、蛤に蛤真蒸。

焼き物が、アブラメを木の芽焼き。和牛を蕗の薹の味噌で頂きます。旨い味噌でした。
卯月特製の鍋が出てきた。ホタルイカの柳川風鍋ですが、牛蒡はなし。ここでも筍ザクザク。もう富山湾のホタルイカ漁は解禁になっているみたい。十分大きく育っている。生のホタルイカが崩れて見栄えが良くないけど、旨いですねぇ。
油物は、ハゼの天ぷら。あまり関西では食べないんじゃないかなぁ?天ぷら屋にも行かないしねぇ。ムッチリした白身で美味しいもんです。早い時期には芽甘草をあしらいに使ってくれることがあるけど、伸びきってしまうと「野甘草」と呼ぶんだそうだ。山菜というのとは違って、苦味はないね。
今日のご飯は、丼。鴨ロースを治部煮風に煮て、煮汁を餡かけ風に丼。鴨を噛み切りやすいように工夫してくれると完璧。季節物の菜の花はここまで出ていなかったんだ。甘めの餡がご飯に絡んで旨いご飯。

デザートは、冷たいシャベーット。文句言う!


平成23(西暦2011)年2月13日
今日の晩ご飯も先斗町。今年初めての「先斗町卯月」。今日も古いのれん。新しいのんも、ええと思いますけどなぁ。鰻の寝床の奥へ奥へと、いつも通りのカウンター。先客一組。
お客さんも寂しいようで、厨房も交代で休みをとっているようで、今日は3人で賄ってはります。市域が低い店は増えたけど、いうなら先斗町の地盤沈下でしょうか?
カウンターのお軸は「印象」。こういうのんも書かはるんやぁ。

  • 蛤の茶碗蒸し、黒七味
  • お造りが、赤貝、焼き霜ののどぐろ、水前寺海苔、防風、うさぎ大根
  • お椀が、ホタテ真蒸、筍、ウニ、ウルイ、松葉柚子
  • 八寸の、兎の中がマグロのてっぱい、琵琶湖産ワカサギの醤油焼き、鯖の卯の花和え、すっぽんの時雨煮、梅人参、熨斗梅、黒豆松葉、サクラマスの手毬寿司
  • のどぐろの塩焼、菊花カブラ、はじかみ、スダチ
  • イセエビの具足煮風、蕪、菜の花、椎茸、筍、白味噌仕立て、溶き辛子
  • 牡蠣飯・とろろ・新海苔、香の物
  • 黒豆のアイス、白玉
今宵のお酒は「四季桜・大吟醸純米・花宝・兵庫県産山田錦精米歩合50%・明利10号酵母」。香りを抑えてあって、僅かにクリーミィさが喉に残るコクのあるお酒。ただ、生魚にはちと合わなかったな。餃子の町のお酒なんだけど、料理長の遠藤君が寿司や時代の若い頃に、デパートの物産展で「鯖寿司」や「巻き寿司」を出張販売していたそうだ。作ってる本人が美味しいと思わなかったそうだが、5000円ほどの鯖寿司が飛ぶように売れたそうだ。恐るべし京都ブランド。京都で食べる鯖寿司と、地方で買う鯖寿司は別物ということです。
先付けは、温かい茶碗蒸し。風味付けに振られた黒七味にむせた。そのせいか茶碗蒸しに張ったお出汁はしっかり感じる。

お造りは・・・今日は市場が休みとか・・・赤貝と皮目を炙ったノドグロ。抜き型で抜いた大根の兎。有次製?
お椀は、ふっくらホタテの真蒸。しっかり味を含ませてあります。京都産じゃない筍。今年初めてのウルイ。デパートとかでも見かけるようになった山菜だけど、量に比べて高いよなぁ。もう吸い口の柚子も名残になってきますなぁ。
蕾の梅の枝の八寸の中央には、琵琶湖のワカサギ。子持ちでした。天ぷらとかにすることが多くて焼いたのは珍しい。プロは串で焼くので、綺麗に焼けますねぇ。兎の香合(?)の中にはマグロのてっぱい。ワケギ、菜の花・・・。脂の多い腹身のマグロを使ったということで、黄身酢に負けない脂の香りがちゃんとマグロマグロしています。梅の枝が蕾なので人参と熨斗梅が花びら。もうサクラマスかぁ。

焼き物が出てきた。昨年は焼き八寸になることが多かったけど、今日は独立してます。この方が好感持てる。ただ、塩が強い。先斗町卯月の元料理長・堀口君が「いふき」で焼く「のどぐろ」の方が見た目に旨そうに見える。カウンターで焼いてみせるという効果もあるだろうけど・・・。
煮物にイセエビ。単純に海老の身を乗せただけではなく、青味とか混ざっているけど、判別不能。聞くのも忘れた。白味噌タレを掛けて、溶き辛子で縞模様が描かれている。付け合わせには、蕪、椎茸、筍、菜の花。確かてっぱいにも菜の花だったし、また筍。重なってるのが目立つなぁ。白みそスープは美味しく呑めます。
ご飯は、色濃い牡蠣飯、トロロが掛かって、新海苔。

冬の最後のデザートに冷たいアイスとは・・・。と文句をいっていた女性スタッフも随分と顔が変わってしまいましたな。

あまり宣伝しているようには思えないけど、お昼カウンタ9席のみで点心風のランチが用意されているそうだ。中居さんのサービスはないようですけど。


平成22(西暦2010)年12月30日
さて、晩ご飯の、先斗町へ足を向けます。年末で賑わう先斗町の「先斗町卯月」。今日は、新しい暖簾です。月に梯子を掛けて上る兎の絵。玄関の壺には大王松に紅白の水引。奥の座敷のカウンターには餅花が既に飾られております。

  • 先付けは、鰻の白和え、蟹の袱紗焼き、昆布〆の青味大根にカラスミ、スモークサーモンに蕪のお寿司・イクラ
  • お造りが、車エビ、昆布森の生牡蠣・レモン、舞鶴産のブリ・辛味大根、ワサビ
  • お椀は、蟹真蒸、蟹足、シメジ、鶯菜、松葉柚子
  • 柚子釜に入ったのが、和牛・牡蠣・蕪の柚子ソース掛け
  • 焼き物は、ブリ・海老芋・堀川ごぼうの照り焼き、おろし、はじかみ、水菜
  • すっぽんの蕪蒸し鍋、生姜風味、焼きネギ、焼き生麩
  • アワビのご飯バター炒め・菜の花、フグアラの味噌汁、香の者
  • 紅茶のシャーベット、林檎
今宵は「上喜元・大吟醸・吊り下げ斗びん囲い・山田錦精米歩合40%」にしました。柔らかな蒸し栗や洋梨のような香りに、僅かに米の甘味を感じる旨み、さらりとした喉越しは料理にも邪魔はしないし、個性は失わない。美味しい酒です。

先付けには、白和え、袱紗焼き、カラスミ大根、お寿司。
お造りには、生ガキをレモンで、車エビをワサビで、ブリを辛味大根で、いただけます。海老の頭は蒸してあります。魯山人写しだそうです。
お椀は、蟹真洋。高騰する蟹は浜坂?浜坂でも立派なお値段だそうだ。蟹殻から撮った出汁で伸ばした真蒸で、フワフワの卯月らしい味の深みのある真蒸。

柚子釜が出てきて、中身は牛肉・牡蠣・蕪。柚子の香りたっぷりの白味噌その他のソーズ掛け。まとまりの悪そうな組み合わせと思ったけど、ソースが上手い具合。
焼き物は、ブリの照り焼き。付け合わせは、海老芋に堀川ごぼうも同じ照り焼き。海老芋にはちょっと辛目。
卯月ならではの砲金の鍋で出てきたのは蕪蒸し。と言っていいのか迷うんだけど丸味。すっぽんの出汁のベッコウ餡。丸鍋風に生姜風味に焼きネギ。蕪蒸しと丸鍋の半々という妙な取り合わせ。新しい味になってる。丸の香りが薄まっているように思えるし、蕪の味が餡にまけてるようにも思える。慣れない味であることは確かです。
ご飯は、アワビを肝のソースで炊いて、バターでチャーハンにしたって、言うていたかな?刻んだアワビと肝もコロコロと入ってます。魏藩は美味しいけど、肝に苦味があるのがマイナスかな。止め椀は、フグアラの味噌仕立て。

デザート。


平成22(西暦2010)年12月18日
顔見世の休み25分で、大急ぎでお弁当を食べます
六マスの松花堂の「先斗町卯月」の観劇のお弁当は、見栄えのする布製の風呂敷に包んであります。ふきん風の敷物で包んでいるところもあります。あちこち頼むのも楽しみの一つですな。
  • 鰻巻き、スダチ釜には柿ナマス、酢取り茗荷に蓮根、モロコの醤油焼き、アナゴの笹巻き寿司、鴨ロース、芋団子
  • お造りは、ブリと鯛
  • 油物には、フグアラとグジ(?)、椎茸、ししとう、レモン
  • 蟹のほぐし身と蕪の餡かけ、しめじ、春菊、柚子
  • 牡蠣めし、木の芽、昆布の炊いたん
  • マナガツオの幽庵焼き、蓮根チップ、海老芋田楽、松葉銀杏・むかご、人参と大根の渦巻
汁物には、漏れないように餡かけが入っている。ただ、冷たくなっているけど。牡蠣を使うのは、ちょっとねぇ。もしもアレルギーがある人だったら・・・。お馴染みだから、ええんですけど。
食材的には、いいお食事をさせてもらった感がありました。有名弁当より手作り感があります。


平成22(西暦2010)年11月25日
晩ご飯の、先斗町へ足を向けます。「先斗町卯月」だけど、新しくなったはず暖簾が。元に戻ってます。不評?
カウンターのお軸は、六代目菊五郎の隈取りを軸装したもの。何回か見てますけど、顔見世の時のお軸です。
  • 先付けの八寸には、柚子釜がせこ蟹と水菜、牡蠣の時雨煮、松の実と慈姑の羹、松葉に銀杏・ムカゴ、柿玉子(卵黄の味噌漬け)、イチボの握り
  • お造りが、マグロ、鯛(+皮)、赤貝
  • お椀が、海老真蒸、マイタケ、軸菜、人参、黄柚子、車エビ
  • 焼きカニ、海老芋の柚子味噌焼き、かに酢
  • 蟹の蕪蒸し、かに味噌、蕪、ワサビ
  • 雲子豆腐と松茸のてんぷら、天つゆ、おろし
  • 鮭・イクラの親子丼・辛味大根、止め椀は蟹と豆腐、香の物
  • ラフランスと柿
今日のお酒は「松の司・2008(20BY)吟醸・純米しずく斗瓶囲・竜王町産山田錦(環境こだわり農産物認証)精米歩合50%・金沢酵母(1800ml339本)」。心地よい。調子こいちゃうなぁ。
先付けの柚子釜にはせこ蟹。浜坂産だそうだ。せこ蟹と水菜の組み合わせはいいけど、底上げじゃないでしょうね?牡蠣がいい味。柿玉子はウズラの黄身を味噌漬けにして昆布でヘタを作ってあります。当然、甘くはない。分厚いイチボのお寿司でした。生よりは火を通した方が、柔らかく食べやすくなるかも。
お造りは、三品。溶ける近海のマグロ。季節がら「紅葉鯛」と呼んでいいでしょうね。美味しい。
お椀は、出汁の旨みたっぷりの海老真蒸。卯月らしいしっかり味。吸い地もしっかり。

珍しく焼き物が単独で出てきた。蟹の足。蟹酢。付け合わせが海老芋。田楽風に柚子風味の味噌。
鍋仕立てで出てきたのは、蟹味噌色した餡かけ風の蕪蒸し。蕪の下には蟹のほぐし身。かに味噌の塩分がきいて、それで酒がすすみますなぁ。蕪を切ったのもゴロとゴロ。グジとは変わった趣向で美味しく感じますねぇ。
油物は、雲子の天ぷら。松茸の天ぷら。むっちりの雲子豆腐は雲子らしい香りもなく、ゴマ豆腐みたいに淡白。今年はいろんなところで松茸を揚げてましたなぁ。もう今年最後でしょう。
〆は、親子丼。醤油漬けが少し濃い。

水物は、洋梨と柿。

SMAPの中居君が昔演じたドラマ「味いちもんめ」の最新作のロケが先斗町で行われていた時に、たまたま料理長のエンドウ君が打ち水をしていたそうです。そのままエキストラとして撮影されたらしくて、使われれば登場するということだ。


平成22(西暦2010)年11月4日
さて、晩ご飯は、床も終わって落ち付いた先斗町の「卯月」へ伺います。おや?!暖簾が変わっております。(イトウ某?)
いつものカウンター。カウンターの先客2組。絵軸は奥谷秋石の「知恩院」の扇面画。秋らしく色づいた紅葉と知恩院の大屋根の構図。

紫明ができた頃からの馴染みのメグミちゃんがあがって、新しい女性が入っていた。シモチャにいたそうだ、

  • お麩と鰻の南蛮漬け、九条ネギ、とろろ芋、甘酢茗荷、防風
  • お造りは、とろ、車エビ、鯛、鯛皮
  • お椀が白子真蒸、白子、マイタケ、軸菜、人参、黄柚子、蕪みぞれ仕立て
  • 龍田川の焼き八寸。マナカツオの味噌漬け、ヒレの揚げたん。松葉の銀杏・ムカゴ、玉子の砧巻き・黄身酢イクラ、子持ちアユの有馬煮・木の芽、鯛とほうれん草のお浸し、蓮根チップス、牛肉の味噌田楽焼き、海老とジャガイモの簑揚げ、穴子寿司、柚子ゴマ豆腐の笹巻き、煮栗、ポップライス
  • 鰆の煮付け、海老芋、豆腐、ミニ青梗菜、針生姜
  • 鯖生寿司、箸生姜
  • 松茸ご飯、香の物
  • 代白柿、柿のシャーベット、生クリーム、ミント
今宵のお酒は「松の司・渡船・純米吟醸・2009(21BY)・渡船6号(環境こだわり農産物認証)・金沢(自社保存)酵母・限定800本/1800ml」。 リンゴやパイナップルのような香りに加えて白桃も加わったような丸い甘味。微かな酸味が甘味を引き締めて、すっきりしたのど越し。
先付けは鰻の南蛮にとろろ。ほのかな酢が心地いい先付け。

お造りは、マグロ、車海老、鯛。マグロは奄美から。綺麗な近海マグロの色をしている。いつもの大根兎がいませんねぇ。
お椀は、白子の真蒸。フワフワの真蒸は出汁の香りがしますな。白子のコクはあまり目立ってない。白子そのままもごろっと。マイタケ・軸菜・人参。みぞれ仕立てのお椀は、蕪のみぞれ。寒くなってきたなぁという趣を感じるお椀。
駕籠に岩萩(萩すだれ)の八寸。焼き物はマナカツオ。脂がいい加減に乗ってます。マナカツオの鰭が揚げ物。加減が難しいと言われる稲穂も綺麗に揚がってます。お造りの海老さんの頭がここに盛り込まれてます。海老の身とジャガイモを練ってジャガイモを簔に見立てた揚げ物。この飾りのすだれを「龍田川」とも呼ぶらしい。板場の符牒かな?初めて聞いた。いろんな呼び方があるようです。

煮付けで出てきたのが、サワラ。煮付けで食べるのは初めてかもしれない。程よい脂がこってり。鯖の煮付けを上品にしたようなイメージ。しっかり味の浸みた豆腐に海老芋。
鯖の生寿司。
もう終わりという頃になって、初めてだろうと言う松茸ごはん。ちょっと辛目。
代白柿半分の真ん中にシャーベットと生クリーム。


平成22(西暦2010)年9月18日
さて、晩ご飯は、床の経験がないということで、「先斗町卯月」へお誘いします。涼しくなって名残の床も、ちょうどいい頃合い。上手の席を用意してくれてました。

  • すっぽんの煮凝り、針生姜、大葉
  • お造りが、マグロ、鯛・皮、車エビ、兎大根、水前寺海苔、防風、わさび
  • 土瓶蒸し。鱧・松茸・三つ葉、スダチ
  • 菱蟹の飯蒸し、蟹味噌餡かけ、菊菜
  • 焼き八寸には、子持ちアユの塩焼き・タデ酢、甘酢茗荷、鯛の海胆蝋焼、スダチ釜に鱧の子塩辛、銀杏・ムカゴの串、タラバ蟹と蟹子の蒸し物・ムカゴ入り、枝豆、衣かつぎ、マイクロトマトのコンポート
  • アマダイの酒蒸しの鍋、松茸、水菜、スダチ
  • 鱧茶漬け、練り梅・刻み海苔・大葉、香の物
  • フルーツが、レクチェ、巨峰、ジュレ
今宵は「善知鳥・大吟醸・山田錦・精米歩合40%」。アルコール添加の「田酒」バージョンの「善知鳥」は「上澄み」仕様。華やかだけと口当たりの軽さ。
先付けには、グラスに入って涼しげに「すっぽんの煮凝り」。濃い目の味。
お造りは三種。お馴染みの兎さんも一緒。海老さんイマイチ。(なんかの暗示か?海老蔵の若いころを知るお姉さんの評判を聞いたり・・・)
土瓶蒸しの季節でしたねぇ。鱧と松茸の定番の組み合わせ。

お凌ぎには、菱蟹を使った飯蒸し。飯蒸しとは思えないボリュームでした。蟹の旨みの餡かけに蟹味噌のペーストも入って、ダブル餡かけ風です。飯蒸しとは思えない盛り込みようで、菊菜・黄菊・松の実・イクラ。
焼き物の八寸には、おぉ、鮎が子持ちになってます。それでも頭もバリバリ食べられます。ムカゴは今日から使い始めたという有難さ。ヘギ造りの鯛の切り身は「海胆蝋焼」というてました。玉子を使っているのかな?菱蟹も出たけど、タラバ蟹もでる。
コンロが運ばれてきて、出てきたのは「アマダイ」でした。松茸入り。フグタマスオさんの同僚のアナゴ君のような、愛嬌あるクチビルが旨そう。アラ炊きよりこういう蒸し物が好きなのは、出汁の美味しさが味わえること。「一度で二度美味しい」みたいな。「アマダイのアマダイ」を取るのは失敗。このところ不調。スダチを絞って、飲み干すのは当たり前。

御飯から、定席のカウンターへ移って、うだうだ。床でも十分過ごせる心地よい温度と風なんだけど、カウンターも案内しておきましょ。今日は総料理長が担当で板前。でもカウンターは使われてないので、うちらだけ。上手の席だったところは、女性グループがすぐに移って行ったようです。記念写真が始まったようです。
カウンターの正面には、馴染みの秋野不矩の「月を眺める兎」の絵軸。

ご飯は、焼き鱧の鱧茶漬け。梅ワサビ。焼いた鱧は固くなりがちだけどしっとり焼き鱧。海苔の香りもいい。
デザートは、洋梨(今年初めて見た。今年初めて食べた。)


平成22(西暦2010)年9月14日
さて、晩ご飯の、「先斗町卯月」へ足を向けます。涼しくなって名残の床も、ちょうどいい頃合い?そんなお客とは無縁の、カウンター。
  • 先付けには、新鮭にイクラ、おろし、三つ葉、レモン
  • お椀は、菱蟹の真蒸、菱蟹、生姜、胡瓜
  • お造りは、鰹、焼き霜の鯛、割りポン酢醤油、おろし
  • 焼き八寸には、マナカツオの柚香焼・はじかみ・銀杏、千鳥の中に豆腐の酒盗漬け、青柚子釜には鱧の子、骨ホオズキにはカラスミの鯛の昆布締め巻き、トウモロコシ豆腐にウニ・トウモロコシ・アスパラ、穴子寿司
  • 石焼きで、鱧、梅ワサビおろし、万願寺、赤万願寺
  • あこうのアラ炊き(肝・胃袋)、松茸、針生姜
  • ウルカ入り鮎ご飯、蓼餡、香の物
  • 巨峰、巨峰シャーベット
富士千歳・にごり酒」で乾杯。先月だったか「蔵見学+お酒の会」が行なわれた左京区の松井酒造のお酒。甘い口当たりだけど、にごり酒にありがちな口に残るまったり感がない。最近、左京の蔵元の地下に最新の(温度制御完備?)の醸造設備を作って、そろそろ新酒が出来上がるそうだ(早い!)。他の蔵で勉強していた息子も戻ってきて、再建に取り組んでいるという話。今年、仕込んだ息子さんの最初のお酒が(もう)出来上がるとか。新聞にも掲載されたようです。でも暑い夏の影響で計画していた蔵見学をしたいというお客さんがいなかったそうだ。若い蔵元が頑張るのはいいんですが、消費のパイが増えているとは思えないので、大丈夫かなぁ?
先付けは、新物の鮭。季節ものとは言え、先付けだからいいようなものの、「鮭なんか!」と言ってしまいそうだった。そういうイメージの魚。

今宵は「松の司・2009(21BY)大吟醸・斗瓶囲・出品酒・兵庫県東条山田錦精米歩合35%・自社保存酵母・限定140本/500ml」を呑みましょう。にごり酒の旨みの後では、霞んでしまうけど、外れがない。華やかさだけでない味わいもあるし。
露草のお椀には、菱蟹を使った真蒸。大阪ならともかく、この(高騰する)時期に、京都で使わなくてもいいじゃんと思ったりもします。本来なら今日が「岸和田のだんじり」なんですけど、昨今は土日に寄せるようで。蟹には生姜と胡瓜ってことですね。吸い地はしっかりめの味。
お造りには、(戻り?)鰹のタタキと焼き霜の鯛。鰹はいいのんと悪いノンとの差が激しいらしいですが、これはいい色してます。ポン酢醤油を醤油で酢の加減を緩めてあります。ツンとしてないので魚の味を損なわないようにしているようです。ニンニクチップ添え、兎に抜いた大根はいつも通り。
焼き八寸には、マナカツオの柚香焼き。柚子・かぼす・スダチの果汁に付け込んだマナカツオの下仕事。幽庵よりはさっぱり。ちょっと変化球だけど、マナカツオというのは仕事のし甲斐がある魚のようです。夏と秋とが混じった八寸。

焼き物は、鱧の白焼きを石焼き。といっても保温する程度の焼き石という予定だったそうだが、皮は焼きついてしまいました。細かく包丁が入った鱧三切れ。鱧って骨切りして焼くと、パサパサになったりするんですが、一工夫した焼き物のようで、しっとり。トッピングしたワサビ梅肉おろしは、直前に和えたようです。ワサビが多かったようです。
蓋つきの大鉢にガラ入れが出てきたので、わくわくしちゃいます。蓋を取ってくれると、あこうでした。予想外のサプライズ。頭半分、カマ半分、肝、浮き袋と甘辛く煮付けてあります。脂と絡んでネットリした甘味が旨い。残念ながら、こういうのには松の司は力負けしちゃう。マツタケはアラ炊きには・・・勿体ないな。
ご飯は、鮎ご飯。三匹分が入っているそうですが、鮎は風干しにしたもの。ペースト状のタデが乗っておりますが、それほどの苦味は感じない。ご飯に一緒に炊きこんだのは、昨年に漬けた「自家製ウルカ」だそうです。ご飯に微かに苦味が交じって、味を深めてます。マイタケ・銀杏・・・。残してしまったので、折詰にしてもらいます。

デザートは巨峰のシャーベット。

もう別のお店に頼んじゃったけど、卯月でも南座・幕間のお弁当を作ってくれるそうで、劇場まで配達もしてくれるそうだ。覚えておきましょう。お値段は「菱岩」並みだ。


平成22(西暦2010)年7月22日
晩ご飯の、「先斗町卯月」。へ足を向けます。梅雨も明けて、床は書き入れ時。暑い時間帯から入ってはります。そんなお客は無視して、カウンター。
戸田勝久先生の月鉾の絵に、寺井主人の軸装。ホオズキの鉢植え。

  • こちの煮凝り生姜風味、焼き霜のコチ、枝豆、花穂紫蘇
  • お造りは、鱧、鱧の肝、とろ、白瓜、針南京
  • お椀は、鱧真蒸・蔓菜、はも、蓮根、柚子
  • 駕籠盛りの八寸には、鮎のウルカけんちん鋳込みの焼き物・酢取りの茗荷、鱧の骨せんべい、手長エビ、煮蛸・木の芽、アマゴ煮、八幡巻き、丸十、ホオズキに鱧の子和え、イチジクの胡麻和え、キスの粽寿司
  • すっぽんの唐揚げ、泡麩の唐揚げ、スナックエンドウ、レモン
  • 賀茂ナスの鱧の子のソース掛け、焼き鱧、えび、子芋、南京
  • 琵琶湖産鰻のうなとろ丼、鱧の味噌汁、香の物
  • スダチゼリー、さくらんぼ
今宵はちょっとお高いお酒松の司・2009 CLSSIC・大吟醸・・東条町山田錦(特A地区)山田錦35%精米・金沢(自社保存)酵母・限定358本」をガボガボいっちゃいましょう。マグナムシャンパン風ボトル。ひと口目は甘いと感じるけど、食事と一緒に呑むといい塩梅。香り高く、味は太いけど、喉越しは柔らか。お求めやすいお値段でこういうお酒があればいいのに・・・。
ペンタゴナルなガラスの器に煮凝り。こち。生姜の風味が爽やかだけど、味はしっかり。
お造りは、マグロといわゆる鱧の落とし。でも、濃厚な鱧の旨みは、鱧の頭と中骨でとった出汁を更に煮詰めて味を濃くした出汁に落として旨みを含ませたという料理。ほんのりと暖かいことも手伝って旨み充満。鱧の肝と一緒に食べてもグッド。
お椀は、ふっくらで滑らかな舌触りの鱧真蒸。卵白だけでは足りないので油脂(ちゃんと教えてくれないけど)を加えるとふっくらとなるそうだ。真蒸は茨木屋さんだそうだ。骨を舌に感じなくするまでするのは、お店では無理なんだそうだ。
駕籠盛りの焼き八寸には、季節がらのお約束「蘇民将来子孫也」の粽入り。疫病除けの縁起もの。焼き物は背から骨を切り取り、そこにウルカを混ぜたケンチン(巻繊)を挟み込んで焼きあげた鮎。初めて味わう仕事。で、切り取った骨は煎餅にならずに、その替りが鱧の中骨。太いだけあってバキバキ。もう一品の鱧料理は、鱧の身に鱧の子をまぶした子作り。塩分・柑橘が効いて旨い。

油ものには、すっぽん。下味として時雨煮風の味付けたものを唐揚げしたもの。こういう料理にできる部分が少ないそうです。すっぽんらしい濃厚な旨みに醤油の香りと油のコク。すっぽん嫌いじゃなければ、みんなに好まれるんじゃないかな?スナックエンドウも素揚げ。
グラタン風に見えるけど、鱧の子をソース仕立てにした賀茂ナスの焼き物。油で揚げずに焼いた後に、鰹出汁で煮びたしにしてあります。焼き鱧・えび・南京・子芋とあれもこれもの味の足し算。賀茂ナスの食べ方にもまだまだ工夫できますねぇ。亀岡産の賀茂ナス。
ご飯は、鰻にトロロ。刻み大葉に海苔を加えて丼。土用の丑も近いですからね。ウナギは琵琶湖の天然もの。鰻には錦糸がむちゃの定番だけど、とろろもいけます。止め椀は鱧。鱧のお出汁効いてます。他のお客さんには、落としに使った濃厚な鱧出汁で鱧雑炊を出してはりました。

デザートは、スダチのゼリーにサクランボが添えて出てきました。

カウンター後ろに、新しい色紙が増えていた。トム・ハンクスのお友達だという「トイ・ストーリー」の脚本家らしい。ふーん。


平成22(西暦2010)年6月1日
さて、晩ご飯の、先斗町へ足を向けます。皐月の床というお昼の床席も終わった鴨川沿いの「先斗町卯月」。
雨上がりだというのに、床は満席。明日も満席・・・。ご繁盛。女将によると、東山(西の空)が晴れてくれば、雨は降らないということらしい。
今日からバイトの子が二人入っているけど、初めてだというのに可哀想な話。新しいバイト嬢は5人らしいが、テーブルのサービスと異なり、慣れない床の立ち座りに、明日は筋肉痛ですよと、メグチャンのお言葉。
カウンターのお軸は加藤清信氏の書画。絵は「鮎」

  • 先付けは、海老・牛蒡・枝豆の枝豆和え、花穂紫蘇
  • お造りは、アナゴの薄造り、鱧の焼き霜・肝、アサツキ、おろし、金魚草
  • 岩牡蠣、レモン
  • お椀は、うに豆腐・炙りウニ、よもぎ麩、スプラウト、花柚子
  • 焼き八寸には、鮎の塩焼き・タデ酢、賀茂ナスの二色田楽・茗荷の酢漬け、子芋・うすい豆のペースト、手長エビの素揚げ、鱧寿司、蛸の旨煮・木の芽、アマゴの飴煮、鯛の子の炊いたん、丸十、木の葉生姜
  • 煮蛸、割り醤油、ワサビ、兎に抜いた長芋
  • アマダイを使った鰻入りの蓮餅・百合根・木耳、蓮根、ワサビ
  • 目板カレイの唐揚げ・骨煎餅、よもぎの天ぷら、スダチ
  • 焼き鱧の生姜ごはん・花山椒、香の物
  • ヨーグルトのパンナコッタ、イチゴ
今日のお酒は「beaute Orientale(東洋美人)437・純米吟醸・山田錦精米歩合50%」にしました。 酒屋には、蔵元である澄川氏が栽培する山田錦の「番地シリーズも」、611、437、372、333の四種類があって、どれがどうなのか分かりません、それぞれに香りが高いようなので、喉越しのいいのを選んでもらった。南国系のフルーツを思わせる香りを伴った甘い口当たり、余韻はあるけどサラっとした甘味で、くどくないジュースのような呑みやすさ。料理がなくても「旨い」と呑めちゃう。
先付けは枝豆を裏ごしして和えた、海老・牛蒡・枝豆。一見、アボガドと間違えてしまったのは、最近の傾向に慣らされてきたかな?

お造りは、アナゴの薄造り。4月は普通に来たのと、八海山の酒の会と、2回来たのだが、いずれもアナゴの薄造り。まさか6月も同じとは・・・ちょっと遠藤君をクレームを入れておきます。まぁ鱧は今日から使ったということです。淡路産。食事が終わってから明日の下ごしらえに骨切りしてましたが、まだ小振りのようです。
二つ目の向は寺井のご主人作の竹の重い器に、愛媛の岩牡蠣。中ぐらいの大きさで、卯月流に一口で食べられるサイズ。新鮮なんだけど、海のミルクというクリーミーさはいまいち味が乗ってない。日本海の方が美味しい印象。
お椀は、ウニ真蒸にヨモギ麩。吸い地は鰹が強すぎのようです。いい鰹なんでしょうが、濃い!当たりを取った吉村君にクレームを入れておきます。13人の団体を始め床が満席でも、あきませんよ。
青竹の焼き八寸。鮎は塩焼二匹。もうひとつの焼き物は賀茂ナス。白みそと赤みそとの二色の田楽味噌。トロリと焼き上がったナス。青竹の上のは、ゆっくり頂いても大丈夫。木の葉の裏に鱧の子。それに寄り沿うアマゴですが、小さ!関東ではこのサイズを使うとか?特別な仕事はしてないというけど、煮蛸がとても美味しい。鱧の落としを使ったお寿司もいい。木の葉の生姜は、手作りだそうだ。大きな平皿もご主人の重いお皿。へたっぴの作る器は重いと言ってしまいました。青竹はすぐに黄色くなっちゃうので、作り直しが大変です。お手製です。余った青竹で菜箸を作って遊んでいるねえさんもいるようです。

間をつなぐ一品が蛸。割り醤油に、兎の長芋。
アマダイを使った、蕪蒸し風の蓮餅。琵琶湖産のウナギだそうです。新蓮根のいい香り。徳島産。
油ものは、目板カレイ。煎餅ぼりぼり。ふっくらの身。
ご飯は、鱧の骨から取った出汁に生姜を加えて炊いたご飯に、焼き鱧を乗せたん。トッピングが花山椒。美味しく茶けているので、お代わりしたかったけど、お腹一杯で自粛。

デザートは、パンナコッタとイチゴソース、イチゴ。

今年は、涼しい五月で、床も風情だけ楽しんで、座敷に移動するお客が多いです。これから暑くなれば、賑わうでしょう。
予約の電話も、営業中にたくさん。いろんなお客さんがいるようです。予約の電話だけで嫌がられるのは、避けた方が宜しい。客だからと偉そうに話すのはマイナスですな。


平成22(西暦2010)年4月25日
久しぶりの「お酒と料理をたのしむ会」に「先斗町卯月」へ向かいます。確か前回は昨年の11月の開催だったが、文楽月間だったので不参加。ということで、昨年の川床開きの開催以来の参加。(年2回の開催になっちゃた。)
今回は「八海山」で、一昨年の7月以来の2回目。

大阪営業所の森氏と、四月から関西勤務になったばかりという八木氏の二人が蔵元から参加。大女将が抱いていたヒフミちゃんに、初のおめもじ。二階の先斗町側のバーカウンターで酒器を選んで、2階の座敷は、改装後初めて足を踏み入れます。李朝のぐい呑みを借用。

今回は新潟の食材には拘らなかったそうです。それがよろしゅうございます。
  • 積付けの八寸には、煮蛤の寿司、子持ちモロコの有馬煮、鴨蕗味噌焼き、タケノコ・サヨリの木の芽和え、アスパラガスの味噌漬け、花びら百合根
  • 向に、鰹・焼き目皮、茗荷、ウルイの葉敷、辛子・ワサビ・にんにく
  • 二つの向に、アナゴの薄造り、湯引き肝・皮、ポン酢醤油・塩
  • お椀が、鯛の白子真蒸、焼き白子、白髪ねぎ、焼き春子椎茸、スダチ
  • 珍味には、ホタルイカの沖漬、鯛の昆布〆・皮塩辛和え、ニシン山椒漬け
  • 鍋で、丸。身・エンペラ・内卵、餅、ねぎ、焼き豆腐
  • 焼き物で、キスのウニ焼きと塩焼、骨せんべい、レモン
  • チラシ寿司
  • イチゴとイチゴアイス

先付け。料理長の遠藤君らしい関東風の煮ハマ。鴨のロースを味噌で焼く。鴨に味噌はよく合います。タケノコの木の芽和えに、生のサヨリを和える一仕事。こういんのが料理屋らしくて好き。
出品されたお酒は、順に

  • 八海山・大吟醸・精米歩合40%
  • 八海山・生原酒「越後で候」・精米歩合55%
  • 八海山・生原種「越後で候」・精米歩合55%・20BY
  • 八海山・本醸造
  • 八海山・純米吟醸・精米歩合50%
  • 八海山・吟醸・精米歩合50%

というのん。この会にありがちのスローペースで、料理一品ごとに新しい瓶が開封されていきます。呑んでいる時にはあまり気にならないけど、呑んだ後に甘味が浮き上がってくるイメージ。
そういう意味でも、磨いたお酒が一番好き。
今度は「金剛心」や「焼酎」「梅酒」「甘酒」などフルでやって頂戴。
森君には「純米酒だけが本当の日本酒」という奴らに、ガツンと頭を叩く一言を聞きたいと、宿題に出しておいた。

一品目のお造りが「鰹」。いい色。そういえば、昨年の床開きの酒の会も鰹でしたねぇ。今日は座敷で、折敷が出てますから、大鉢ではない。お江戸風に辛子も出る。「目にはうるい 山郭公 初松魚」。
二品目のお造りには、先月もいただいた卯月お得意の「穴子の薄造り」。今日の参加は、15人程度ですが、盛り付けるのは一仕事だったでしょう。御苦労さま。そのせいかちょっと骨が当たる。
お椀は、鯛の白子。真蒸と焼き。スダチが入って面白い吸い地の香り。真蒸には、皮がちらっと・・・

珍味が三品。ホタルイカは沖漬け。自家製かな?「沖」で自家製は偽装だな。塩が強くて、酒肴としても辛い。ニシンも辛目。山椒は花山椒だね。いい塩梅は鯛。スダチの上に鯛を糸作り(?)にして、鯛の皮の塩辛を乗せたん。
鍋が出て、丸。僅かに醤油と甘味(みりん?酒?)が勝ってしまったかな?酒にうつつを抜かしている間に、卵が堅くなっちゃった。失敗。
焼き物はキス。骨煎餅は、塩煎餅だった。今日は塩加減が強おます。普通に塩焼とウニ焼きの二種類。
ご飯は、チラシ寿司。お代わりしちゃいました。穴子は焼き。美味しい。

デザートは、香り高いイチゴのアイス。

方口で呑んでいると、呑んだ量も不確かで、ハイペースになりがち。こりゃ、二日酔いの頭痛コースだ。4時間近く食って、呑んで・・・会場を借りてする場合、ケツが決まっていてスケジュールが守られるけど、自分のお店でやるんで、ズルズル。そういうのが、この会のいいところ。それに料理が暖かいのがいいね。


平成22(西暦2010)年4月4日
芝居が跳ねて、晩ご飯を予約していた「先斗町卯月」へ。流石にハイシーズンだけに盛況。お馴染みさんで、「をどり」を梯子する通人のお隣。三日間、通い詰めである。暖かい日曜日で、京都市内も人出が多く、交通渋滞でひどかったらしい。

  • 先付けの八寸には、タケノコの木の芽和え、蛤と菜の花、ばちこ、鯛の煮凝り、蕗の薹の味噌、鯛の子の炊いたん、空豆、サクラマスの手毬寿司・黄身そぼろ、花びら百合根
  • お造りが、アナゴの薄造り、皮・肝の湯引き、骨切りのアナゴの焼き霜、タケノコ、おかひじき
  • お椀が、桜エビの真蒸、大根のスライス、車エビ、わらび、軸菜、桜人参、桜の花
  • コンロで温められた焼き物は、モロコの醤油焼き・木の芽、すっぽんの時雨風、よもぎ豆腐の田楽、はじかみ
  • 蒸しタケノコ、鯛、鯛の白子
  • ぐじの旨煮
  • 鯛とタケノコの雑炊、鯛の白子、香の物
  • デザートは、マスカルポーネとヨーグルトのシャーベットとイチゴ
今日のお酒は緑の田酒・「田酒・純米大吟醸・四割五分(山田錦精米歩合45%) 」としました。これは、大吟醸とはいえ45%と黒く磨いているせいか、味を膨らませた設計?しっかりした味が膨らみます。高精白の田酒に比べると、後に残るしつこさはないけど、余韻が長い。
四方鉢に、桜の小枝の八寸。タケノコの皮に載った木の芽和え。蛤の旨煮に菜の花。炙ったばちこ。鯛皮を利用した煮凝り。蕗の薹の味噌。鯛の子の炊いたんに空豆。サクラマスの手毬寿司・黄身そぼろ、花びら百合根。

お造りには、お得意のアナゴの薄造りが扇に盛り付け。その要に、皮・肝の湯引き、骨切りのアナゴの焼き霜。こうして食べると鱧と気付かないでしょうねぇ。皮は食感がいいけど、肝はいまいちだった。タケノコは長岡。ワサビ醤油に、塩も出る。
宇治では、藤は見られななかったけど、お椀には藤。うっすらピンク色の桜エビの真蒸。
最近は焼き八寸が多かったけど、今日はコンロに乗せて焼き物が出る。モロコの醤油焼きが二匹。1/6を使ったというすっぽんは炊いてから、もう一度炙ったそうだ、スッポンは同料理しても美味しい。よもぎ豆腐の田楽、

タケノコの皮で覆われた中身は、タケノコ、鯛、鯛の白子を蒸したもの。あっさりですな。木の芽の加減酢。
蓋つきの大鉢に「ぐじの旨煮」。豆腐、椎茸。きょうも「ぐじのタイ」を取り出しておきます。
ご飯には鯛とタケノコの雑炊。鯛の出汁の利いた雑炊で、表面に白子を流してあります。中身にも鯛の白子が刻んで入ってます。
デザートは、ホロホロしたマスカルポーネとヨーグルトのシャーベットとイチゴ。

三日間、通い詰めのお隣さんの料理は、三日とも全部替えるそうです。大変ですねぇと思えば、夏の床の季節の「鱧コース」を三日通いつめたお客さんもいたとか。それでも、全部料理を替えたというから、引き出しが多いというのは、店の魅力だ。凄いねぇ。
カウンターは、一部二回転。流石です。料理人がいなくなっても、従業員が帰っても、朝方まで呑んで、寝ているご主人がいたりするそうですから、凄いや。
カード会社の優待を告げて予約してみましたが、ちゃんと割引してくれました。どうやらカード会社からキックバックされてるようじゃないようない素振り。割引き5%分を引いたようなサービスじゃなかったですね。疑り深い性格を反省。でも帰りのタクシー代ぐらいにはなるので、これからも利用させてもらおっと。


平成22(西暦2010)年3月16日
芝居が跳ねて、晩ご飯を予約していた「先斗町卯月」へ。夜になって冷え込み、先斗町も風が吹き抜け寒い。もう人が少なくなって、寒さも増している感じ。
一階のカウンターは、もう誰もいない。

  • イイダコの酢味噌和え、わけぎ
  • お椀には、蛤の真蒸、蛤、よもぎ麩、わらび。白髪ねぎ、木の芽
  • お造りが、炙った脂目とその肝、しびまぐろ
  • 桃の枝をあしらった焼き八寸が、タケノコのyつけ焼き、脂目の木の芽焼き、琵琶湖産子持ちワカサギの焼き物、鯛・海老・サーモンの手毬寿司、酢蓮根、蕗の薹味噌
  • ホタテとアスパラのろう和え、刻んだバチコ
  • 若竹の鍋、油通しの鯛、鯛の白子、木の芽
  • ちりめん山椒
  • ホタルイカのご飯・菜の花、炙ったカワハギの味噌汁、香の物
  • 水菓子が、いちご、抹茶アイス、生クリーム・小豆餡
今晩のお酒は「土佐しらぎく・斗瓶取り大吟醸・生・平成二十一酒造年度・鑑評会出品酒・山田錦精米歩合40%」。たぶん一番早くに出てくる出品仕様の大吟醸。毎年呑んでいるけど、味がすでに乗っているように思う。今年は金賞は怪しそう。
先付けがイイダコ。
お椀は、蛤の吸い地に蛤と蛤の真蒸という直球。香りというのは不思議なもので、濃すぎても香りが弱くなるように思ってしまう吸い地で、清汁で濁ってもいないのだけど、蛤の香りが際立ってます。鰹と香りが合わさることで香りが高くなるようなことを大介君が言ってます。
お造りには、炙ったアブラメ。今年最初のアブラメだったかな?ここ数日で脂が乗ってきたということ。刺身醤油にうっすらと脂が広がります。肝が湯引きで添えられているので、合わせていただきます。

寺井の御主人のお手製の器に焼き八寸。最近はこの構成ですな。そういえばと思い出せば、桃の節句の季節ですが、実際に桃の枝が出てきたのは今年初めて。もう蕾をつけてました。焼き物は、タケノコ、アブラメ、ワカサギ。タケノコは長岡京、ワカサギは琵琶湖産。でも、むちゃの子供のころは、琵琶湖にワカサギなんかいなかったはず。立派な外来魚だと思いますな。手毬寿司三種。添えられた蕗の薹の味噌。持って帰りたいお味。
ほとんど食材に記憶がない「ろう和え」。たぶんホタテ。説明によると、バターを使ったマヨネーズ状の和衣で、かの「乃り泉」が「ろう焼き」として提供して料理のアレンジだそうだ。「ろう」は「蝋」から来ているらしい。(聞き間違えていたら御免)
いつもご飯を炊いている鍋が出てきた。蓋を取ってくれると、一面の若芽。若竹に加えて、鯛と鯛の子。コクを加えるために鯛は素揚げしているらしい。少し塩分高め。鯛に塩をしてたりしたんでしょうか?たっぷりの鯛の白子が嬉しい。これから美味しくなるからねぇ。
酒の肴に、ちりめん山椒。細かいおじゃこに淡い淡い色合い。「京都人は「ちりめん山椒」を常備していません」といことに同意してくれはります。
ご飯は、ホタルイカ。昨年もいただいたように思い出しましたが、今日の方が断然旨い。一工夫したというので教えてくれたけど、また記憶があいまい。生のホタルイカではないそうだが、炊くときに油を使っているとか・・・。持ち帰りに、おにぎりにしてくれました。ホタルイカも交じって、握りづらかったろうな。

デザート。

紫明でお相手してくれていたピロちゃんが、函館に引っ越して、お店を始めるそうだ。遠いなぁ。


平成22(西暦2010)年2月2日
晩ご飯は「先斗町卯月」。昨日までニース・モナコを旅行していたという女将がおられますが、いつものお酒の姐さんたちは、お休み。今日は遠藤ペアによるカウンター。
後ろのお軸は「松花堂昭乗」の断簡。

  • 牡蠣豆腐に新物の青のり・花穂紫蘇
  • ヒラメの薄造り、肝、子、縁側、ポン酢醤油と塩
  • お椀が、ふぐの白子豆腐(身入り)、タケノコ、蕗、蕪、みぞれ仕立て、柚子
  • 焼き八寸には、伊根のブリの塩焼、梅肉ユリネ、空豆、白魚の黄身焼き。梅に柊の八寸には、タケノコ・鯛・わらびの卯の花会え、キンコナマコ入りのかまぼこ、スダチ釜に甘エビの塩辛、梅に抜いた人参・のし梅・大根、アナゴのお寿司
  • 治部煮風の鴨鍋、ロース・ツクネ・肝・心臓、豆腐、ねぎ
  • 琵琶湖産ワカサギの天ぷら、ウルイの天ぷら、塩
  • 牡蠣の沖漬、おろし和え
  • カモ雑炊
  • 黒豆のアイス
今日のお酒は「越前・桂月・純米・山田錦精米歩合60%」というお酒。心斎橋の「龍や」が蔵見学に行くとかで、興味もあったのだが、もう少し精米歩合の高いのを選べばよかった。麹に由来するような米の味の残る少し甘さがある酒で、これは好きな人もいるだろうと思うけど、もう少し綺麗な口当たりが好み。吟醸クラスなら、より好みだったかもしれない。でも、食中酒としては癖のないお酒なので、単なる微妙な好みの差。製造石高500石の福井の小さなお蔵。
先付けは、刻んだ牡蠣を屑で固めた牡蠣豆腐に、新物の青のり。花穂紫蘇のトッピング。ポン周醤油でヒタヒタ。
入店と同時に目の前で作り始めてくれていた、ヒラメの薄造り。もちろん天ヒラで三重から。肝と子が湯引き。
日月椀には、ふぐの白子の豆腐。ふわふわで白子たっぷり。ふぐの身も刻んで入れてあるので、味を濃く感じる。徳島のタケノコ。崩れるような柔らかさの蕪。みぞれ仕立てだけど、葛も引いているような出汁。冬のフグと春の野菜の出会いの椀。
有名な氷見より水揚げがすくなく貴重で、しばしば氷見より高額になるという伊根のブリが塩焼。鮮やかな黄色は、白魚の黄身焼き。キンコナマコの使い方は不満の残ることです。せっかくのイボイボのナマコが観られないというですから残念。食感はいいんですけどね。干しナマコですから高い食材には違いありません。

仔鍋が出てきた中は、カモ。天かも。治部煮風。米粉だったかな?鍋の出汁には骨を叩いているということだったが、ツクネには使っていなくて、フワフワの団子。饅頭というのもちょっと違って、豆腐のような柔らかさ。内臓もごろごろと入れてくれました。しっかりお出汁。用意している御飯はいろいろあるようですが、この出汁を使って雑炊を作ってくれるというので、お願いします。二晩続けての雑炊。
最後に「喜楽長・大吟醸・卯月ブレンド」を頂きます。数年前(たぶん19BY)にトシ君が、蔵でブレンドしてきた物が、北白川のにしむら酒店で眠っていた分を引き取ったという分。落ち着いた味わいに変わってますが、聞かなければ古酒とわからないでしょうね。
籠に盛られた、ワカサギの天ぷら。春野菜(山菜)のウルイも天ぷら。癖のないワカサギに、苦味を残したウルイ。お浸しのようなウルイに苦味を感じることは稀なんだけど、苦味はあった方がいい。
珍味の牡蠣の沖漬を出してくれました。
今日も味の濃い雑炊で〆。うどんもいいけど、お米もいいな。カモ肉もしっかり入っているのが、たまりまへんなぁ。

デザートは、黒豆を炊いた時の割れたりしたものを再利用したアイス。豆の食感でもっさりした舌触りだけど、黒豆の甘味もあって、美味しい。せっかく温まったからだが冷えるけど。

今日のお相手のケイコちゃんが、東福寺(?)近くの神社の節分行事の豆まきを、十二単で行うらしい。他にも有名な豆まきスポットがあるので、マスコミには出ないでしょうが、近在の人で、結構な賑わいだそうだ。「卯月」でも要望があれば、太巻きを作れる用意をするそうだ。料理長の遠藤君は、寿司屋に居たから、お得意だ。


平成21(西暦2009)年12月30日
今年最後の外食の晩ごはんを兼ねて「先斗町卯月」へ呑みにいきましょう。ハイアットからの紹介のフランスからのご夫婦がカウンター。ここでの外国人遭遇率高し。
今日、おせちも出来上がり、地方へ発送も済んだそうだが、総料理長や料理長も徹夜明けのお仕事。お疲れ様です。
お軸は変わらず「出雲の阿国」。

  • 先付けの八寸は、スダチ釜にはフグの白子の共和え・ちしゃとう、諸子の山椒煮、鴨ロース、鶏の肝の松風、サーモンと大根のお寿司
  • お造りは、かわはぎで、身、筋肉・肝・長イモ短冊、肝和え・花穂紫蘇、おろし、紫芽、チリ酢
  • お椀は、蟹真蒸、蟹足、鶯菜、金時人参、柚子
  • 焼き物は、松前焼きで、牡蠣と雲子、すだち
  • ノドグロの粗煮、肝、海老芋、豆腐、ほうれん草
  • ふぐのから揚げ、万願寺、レモン
  • 焼き白子入りふぐ雑炊、香の物
  • 柚子のシャーベット、柚子皮の蜜煮
今宵のお酒は「善知鳥・大吟醸(山田錦・精米歩合40%)」だ。軽やかな甘みで、心地よい喉越し。年末は田酒の西田酒造で通しております。
先付けの八寸。ふぐの白子を使った共和えには、てっぴや遠江。この季節しか使わないチシャトウ入り。予想はしていたけど出てくれば嬉しい諸子。飴煮ほどではなくあっさりだけど、ぬくぬく。
お造りは、かわはぎ。普通の身の部分。それに筋肉といってたけど身について色が変わっている部分。いままでカワハギを食べてきたけど、そんなこと言われたのは初めて。脂の少ない部分のようで旨味は少ないようで、タンパク。今日は赤味を帯びているけど白い時もあったりするそうだ。肝和え。
日月のお椀は、蟹真蒸、ふわふわの饅頭のような形。

コンロが運ばれてきた上には、雲子と牡蠣。松前焼きと聞いたことがあります。すでに焼き目が付いてあるので、焼くと言うより保温状態。
蓋付きの器が出てきて、蓋を取ると、ノドグロでした。頭があるから粗煮でしょうが、煮付けと言ってもいいくらい身も多い。肝も一緒に煮てあります。粗炊きほど濃い味ではないのでノドグロの味を損なっておりません。添えられた豆腐や海老芋の煮汁で美味しくなっております。ノドグロのタイは探し出せず。
取手の付いた籠にから揚げはフグ。
ごはんは、フグが続いて雑炊でした。焼き白子入り。

デザートは、シャーベット。気持ちよくスルスル呑んで、呑み過ぎたので、冷たいデザートも心地いい。

魚にはまったく期待してない年野瀬でしたが、出ただけありがたい。とにかく年末の挨拶がてらに呑みに来たので、ええ気分まで深酔い。これ以上は危険という気持ちの良さで自重。
不思議と今日はゆったりで、二階は開店休業だったそうだが、年末や元日は予約しっかり入っているそうである。元日の予約が三が日の中では一番多いそうだ。


平成21(西暦2009)年12月9日 夕ご飯には「 先斗町卯月」へ。ホテルから紹介のアイオアのご夫婦がカウンター。総料理長のヨッシーがカウンター。食材や調理法を説明するのは難しい。
  • 勢子がにと水菜の蟹味噌和え、とんぶり
  • ふぐのテッサ、てっぴ、白子、ネギ、おろし、花穂紫蘇
  • ブリの刺身、おろし、紫芽、防風、ワサビ
  • お椀が、蕪蒸し、ぐじ、銀杏、木耳、ニンジン、
  • 八寸には、壺壺にアンコウの肝・アンコウの皮、スダチ釜にナメコ・海鼠腸の共和え、海老のウニ焼き、諸子の南蛮・焼き葱、青味大根カラスミまぶし、鯖寿司・大根巻き
  • 昆布森の生牡蠣、レモン
  • ブリのステーキ、海老芋、さつまいも。松葉大根・人参
  • アンコウ鍋大介風、アンコウ・白菜・シイタケ・蕪・焼き豆腐。菊菜
  • まる雑炊
  • サツマイモのアイス、黒糖のアイス
松の司・2008大吟醸・しずく斗瓶囲・東条町山田錦精米歩合40%・金沢酵母(自家保存株):(0049/1800ml300本&720ml400本)を呑みます。梨のような優しいフルーツの香り。するする下る喉越し。
先付けが、柴山の勢子がに。水菜を混ぜて、蟹味噌を和え衣。蟹の風味と水菜の食感がいい。
お造りの一皿目は、ふぐ。薄造りに、てっぴと白子。白子は軽い湯引きでほとんど生の味。火の通ってない河豚の白子は初めてかもしれない。面白いけど火が通っている方が旨味が出る。
もう一つ、魯山人写しの蟹の器に、蟹ではなくて氷見のブリ。おろし。辛味大根ではないようだ。脂の多い腹身はともかく、おろしでは水っぽくなっちゃう。卯菴グループで信楽の「魯山人展」を観にいったらしく、感想はおおむね良好だったようだ。とにかく出品数が多いので、勉強になったようです。行けば良かったかな、とまだやってるんだけど・・・。

お椀は、蕪蒸し。グジ。出されて文句は言いませんが、蕪蒸しを椀で出てくると、椀の楽しみが減った気分。どうなんでしょう?
八寸は、6品。
酢の物の代わり(?)に、最近よく見かける昆布森の牡蠣。でかい!卯月流は、一口で食べろということ。
醤油ベースのソースにより氷見のブリのステーキ。付け合わせには、海老芋。ブリもいろんな焼き方があって楽しめますなぁ。
今日はお休みだが、先斗町の料理長の地方料理仕様の「アンコウ鍋」。田舎味噌を使って、アンコウの肝を溶かしこんだ鍋出汁。こんなところで頂けるとは・・・。アンコウはアラの部分やらトロンとした皮とかとか・・・。出汁までしっかり全部頂きます。

14日に行われた「酒の会」の残り物「大洋盛・特別本醸造」を冷酒で頂いた。最近は「燗」用の酒として常備しているそうだ。
三種類ほど雑炊の準備がしてあるそうだが、選んだ丸雑炊は、醤油と生姜の効いたもの。丸スープが透き通ってます、刻んだエンペラやらいっぱい。美味。
ぼそぼそしたサツマイモのアイスにトロンとした滑らかな黒糖アイス。冬は冷たくないデザートを考えておいてよ、と注文。
デザート・サケには「大洋盛・12BY・一段仕込み純米酒・美山錦精米歩合70%」を頂いた。黄色いカラメル香のするお酒なので、沢山はよう呑まれへんけど、スイーツにはいいと思います。


平成21年11月5日
夕ご飯に向かったのは「 先斗町卯月」。先斗町は、結構なにぎわいで、外国人も多いのだが、

  • 柿ナマス
  • お造りには、トロ、鯛、花穂紫蘇、紫芽
  • お椀は、雲子真蒸、薄大根、焼き雲子、マイタケ、軸ニンジン、軸菜、ゆず、みぞれ仕立て
  • 焼き八寸に、鰆の味噌漬けの焼き物、子持ち鮎の山椒煮、茶そば松葉揚げ、サーモンの黄身寿司、焼き栗、煮手長エビ、柚子釜に鯛の海鼠腸和え、ムカゴ・銀杏の松葉刺し、レンコンチップ、銀杏ポテト、稲穂揚げ
  • 揚げだし丸豆腐、シイタケ、白髪ねぎ
  • 鴨の朴葉焼き、揚げ海老芋、万願寺、柿、ユズ味噌
  • 焼きカマスの瀧混みご飯
  • デザートが、リンゴの紅茶煮、紅茶煮のシャーベット、生クリーム
今宵は「松の司・大吟醸・2008CLASIC Seizaburo Seto・東条町山田錦精米歩合35%・金沢(自社保存)酵母・限定(116本/1800ml&497本/720ml)」にしましょう。突出した香りや味がなく、ひとことで表現できない場合、深い味わいと言う表現に逃げてしまうんですが、まさにそういうお酒
今日も、伊賀焼の谷本先生の片口でサーブ。先月末には焼き物ツアーが行われて、先斗町のダイスケ君やケイコちゃん他が参加したそうです。(ぼやかして言えば)「食べ物の恨みは恐ろしい」なぁと言う印象で聞いておりました。来月には焼き上がってくるそうで、笑い話に出来るかも・・。
当代卯一さんの息子さんの作による猪口に、柿ナマス。ウニのトッピング。

お造りが、地中海まぐろのトロ、脂たっぷりでテカテカ。
紅葉の描かれた朱塗りの椀には、雲子真蒸に、焼き雲子。雲子と思えないフアフアののムースのような口当たりの真蒸。冬らしいミゾレのお椀が嬉しい季節。
秋めく籠には、萩すだれに稲穂揚げ。暖かいのは鰆(とても旨く漬かってます)だけというのは寂しいなぁ。暖かい方が美味しいものは暖かく食べたいものです。ポップライスも揚げたてがいいですよ。子持ち鮎の山椒煮は筒切りだけど、しっかり炊かれているので骨は気にならない。

珍しい丸豆腐を揚げてあります。丸豆腐は椀種や先付けでそのまま食べる以外の食べ方は初めて。油物のコクが加わって濃厚な味。揚げ出しにして掛けられたツユも心も辛目に仕上がっている。なんだか二日続けてすっぽんです。
コンロに朴葉がのって、食材は鴨だ。柚子味噌仕立て。海老芋を揚げたのやら、万願寺だの、柿だの。鴨や海老芋は言わずもがな、柿の甘さも味噌に絡まって旨い。火加減ばっちりで、朴葉に残って煮詰まった味噌がとても巧く出来あがりました。
小鍋で炊いてくれたカマスご飯。醤油の香る香ばしいごはん。ちょっと硬めに仕上がってパラぱらですが、しっかり染みた味。もう少し薄味のほうがいい。いつも残すが勿体ないので、食べきるのだが、残してくださいと念を押されるので二膳で自重。

デザートには、リンゴを使ったもの。「冬は冷たいのはどうかな?」という意味を伝えておいた。


平成21年10月13日
夕ご飯に向かったのは「 先斗町卯月」。カウンターにかかる絵軸は不矩ちゃんの「兎に月」。名月の時期ですからね。
今日は総料理長の献立。
  • 先付け三品、シメジのからすみ焼き、柚子釜には鯛にトンブリ・長イモ、葉懐敷(柿の葉)には、柿に見立てた鶉玉子にイクラ射込みとウニ射込み・柿のヘタは昆布。
  • お造りは、カマスの焼き霜・柚子塩醤油、鯛の松皮、マグロのトロ、花穂紫蘇、紅紫蘇、菊花
  • お椀は、イセエビ真蒸、松茸、軸菜、結び人参、へぎ柚子
  • 八寸風に、クルマエビの簔揚げ、とこぶし、ハモの煮凝り松風・焼き栗。松葉銀杏・むかご
  • 菊花ハモ(道明寺で餡かけ)
  • シカ肉の朴葉焼き。合わせ味噌、蕪、玉ねぎ、ししとう
  • アマダイの栗蒸し、ワサビ風味のあんかけ
  • 丸雑炊
  • ラ・フランスのシャーベット、ラ・フランス
今日は七本鑓・大吟醸斗瓶取り・全国新酒鑑評会入賞酒・山田錦精米歩合40%を呑みましょう。ちょっと苦味が後に残る。
先づけに三品。手が込んでいるのは柿だ。何で色をつけたかは聞いてないけど、茹でたウズラ玉子の黄身を抜いて射込んだもの。ヘタまで昆布で作ってあるので、捨てるところなし。

お造りが二皿出てきて、カマスからいただきました。柚子の醤油は煎り酒でしょうか?脂も乗ってるんでしょうが、さっぱり。カマスらしい風味はなく新鮮。最近ますます怪しい記憶だけど、お造りで初めてかもしれない。
もう一皿は、鯛とマグロ。あまりいいとは思えませんが・・・脂の多い皮目を使うことで旨みを補っている感じ。
お椀は、イセエビの真蒸に松茸。香りはマツタケ、旨味は海老から。彩りも麗しい。赤色鮮やかな金時人参。他のお客さんには、ハモと松茸の土瓶蒸しです。今宵はハイアットから紹介でニューヨークから来たご夫婦がおられる。土瓶蒸しの食べ方を教えるのは、なかなか難しそうですな。土瓶の上のお猪口に柚子が乗っているということは、「味に不足するなら使ってください」という含みがあると思うのだが、皆さんいきなり蓋を取ってギュッとスクイーズしはりますなぁ。(お店でもそういう食べ方を教えはります)。あぁ、ご勿体ない。ということを説明したくなっちゃうんだけど・・できないな。切歯扼腕ということ。
頭付きの車エビの油ものの衣は、ジャガイモ。蓑虫ではなく、衣の簔を表しているので真っ直ぐに並べて衣にしてあるのだそうだ。まつかぜ風にケシで化粧してあるのがハモの煮凝り。グニャリとした食感。丹波の栗は荷繰りの焼き栗。できれば、銀杏とムカゴが温かいといいのだが・・。

ハモの身で6弁の菊の花に見立てた菊花蒸し。黄菊を散らしてあります。お店の人は「おかだちゃん蒸し」とかいうてはります。飯蒸し風だったけど、ハモの下には道明寺だそうだ。巧いこと並べてあります。残念なのは鼈甲の餡が、むちゃには濃く辛い。
コンロが運ばれてきて、朴葉の上にはシカ肉。エジシカ。合わせみそには、唐辛子のせいかピリリ。苦手な辛味だけどこの程度ならギリ。刻んだネギの葱の香りも美味しい味噌。こういう料理では、焼き味噌をメインに酒を呑むことになっちゃうな。
再び、蒸しもの。丹波の栗を裏ごしして、甘鯛に乗せ、上から刻んだ栗入りのあんかけ。献立のルールからはおかしいかも知れないけど、嬉しいことです。甘鯛と栗とに出会いの美味しさがあるかどうかは疑問だけど、季節の食材で一工夫した料理がでてくるのは、楽しいことです。

ごはんは、丸雑炊を小さな釜で出してくれました。紫明の店で出てきたサイズの雑炊。いつも頑張って食べていますが、残すのが嫌いなので、今日も頑張る。丸以外に粟麩が入って面白い舌ざわり。
最後のデザートは、シャーベット。

同じ値段のコースを頼んでいても、馴染みになると、微妙に(かなり)献立を変えてくれはるのは、どの店も同じ。これは居酒屋であろうと、割烹であろうと、変わりはない。美味しいと思う店には通うことで、(言わないけど)無理も利く。密かにいい気分に浸れる瞬間です。


平成21年9月14日
夕ご飯に向かったのは「 先斗町卯月」。先斗町の入口近くで俊君から「おめでとう」といわれて、びっくり。ツーツーじゃん。
涼しくて気持ちいいともいえる床を横目に、カウンター。日曜日は昼から賑わっていたそうだが、平日の夜の床はちらほらで、落ち着いた9月の床。夜も深まると、肌寒そうだ。

  • 渡り蟹と菊菜・三つ葉の蟹味噌和え、茗荷、加減酢
  • お造りに、明石の鯛と奄美のマグロのトロ、花穂紫蘇、紫芽、長イモウサギ、ワサビ、辛子
  • 土瓶蒸し(ハモ、松茸、軸三つ葉)、スダチ
  • 生カツオの酒盗和え
  • 焼き物八寸は竹筒。子持ち鮎の塩焼き・蓼酢、小鯛のカラスミ焼き、はじかみ、スダチ釜にハモの子の塩辛、松葉銀杏とムカゴ、衣かつぎ、焼き鯖寿司、枝豆
  • 冬瓜に射込んだすっぽん煮(粟麩・ねぎ。すっぽん、椎茸、白髪ねぎ)、べっこう餡
  • 梅はも茶漬け(刻み紫蘇・刻み海苔、実山椒煮)、香の物
  • 二十世紀梨のゼリー
女将さんから「富士千歳・にごり酒」を頂いたので、全員で乾杯。女将は甘くないというけど、それでも甘い口当たり。でも濁りにありがちなどろっとした、ざらつく口当たりの甘さはなく、喉越しが案外きれいなお酒。大原で一杯目に出しているらしい。
さて今宵の日本酒は「松の司・特別大吟醸・2008(20BY)・金賞受賞酒出品タンク・限定300本・東条町山田錦精米歩合35%・自社保存酵母 」。

ガラスの器に、旬のカニ。軽い味わい。

お造りには、トロと鯛。細やかなサシが入ってなかなかのトロは、奄美大島。トロに辛子もいけます。鯛は脂の旨味にた取らない部分を出してくれたけど、いい味。ウサギの抜き型の長イモ。
ストレートに土瓶蒸し。当たり前だけど、ちゃんと松茸の味がします。基本的に、スダチは使わないむちゃですが、世の中には確かめもせずにスダチをギュッと搾る人がおますけど、悲しい光景ですわ。
カツオを酒盗で会えて出てきました。こういうカツオの食べ方もありでんな。これも「共和え」なんでしょうな。

割り竹に焼き物付きの八寸。小振りの鮎だけど、お腹に入れた包丁目から、卵がぷっくり。小さい鯛だけどめでたい意味を込めた焼き物。焼き鯖寿司というんに美味しいと思ったことはなかったけど、いい味。何が良くなくて気に入らなかったかというと、鯖の焼き物になっちゃダメなんだと思います。皮を炙って脂がとけるぐらいがいいので会って、表面の温かさとレアな鯖の旨味が出ないとダメなんじゃないかと・・・。大きいムカゴだ。
でんと射込まれた一品。鼈甲餡に騙されて、カボチャかと思ったけど、冬瓜の蒸し物。くりぬいた後にすっぽん、冬瓜の丸鍋。甘辛そうな餡かけだけど、辛さは控えめで優しい甘味。「まる」の味は、あまり表立ってないのは残念。いっぱい冬瓜を食べました。

ご飯は、茶漬け。薬味たっぷり。ハモはオトシしてから炊き目。薬味たっぷり、刻み紫蘇・刻み海苔、実山椒煮
デザートが、二十世紀。最近はシンプルになりました。


平成21年8月18日
お盆も過ぎて、客足が落ち着いたという「先斗町卯月」。カウンターの中央に座らせていただく。交代でお休みのシフトで、今日のカウンターは卯菴の総料理長の登場です。

  • 丸の冷やし茶碗蒸し
  • お造りが、竹の中にハモの落とし・白瓜・防風、ぐじの細造り¥水前寺海苔、ハモのへぎ造り、霜降りの甘手カレイ・肝・スダチ、塩、梅肉、ポン酢醤油、若狭酢
  • 岩牡蠣、レモン
  • お椀は、ボタンハモ・梅肉、レンコン、松茸、蔓菜、ヘギ柚子
  • 賀茂ナスの二色田楽、枝豆
  • 八寸、鮎の塩焼き・蓼酢、ハモの中骨煎餅、甘酢茗荷、ホウズキの中にハモの子の煮凝り、ミニトマトにタコの子射込み黄身酢がけ、稚アマゴの佃煮、マスカットの白和え、鯖寿司
  • ハモしゃぶ、松茸、ゴボウ、玉ねぎ、豆腐、ほうれん草、おろし、唐辛子
  • 鰻とろろ茶漬け、香の物
  • 清水白桃、ヨーグルトゼリー、桃のジュレ
今日は「上喜元 純米大吟醸 愛山 Vintage Year 2007 精米歩合43%」とした。甘味を感じる華やかな香りはあるが、落ち着いた味わい。喉越しはすっきり。
先付けは、冷たい茶碗蒸し。コッリコリのすっぽんの身。

お造りは、ご主人作陶の大鉢に盛られて出てくる。竹の中にはハモの落としに白瓜。氷の上には3種。若狭ぐじの細造り(糸ほどではない)に水前寺海苔。これは、若狭酢というのを出してくれます。ハモのヘギ造りは、骨のない部分(たぶん腹身の部分)。贅沢な食べ方ありがとう。梅肉(ワサビをつけていい)で頂きます。皮目を炙って霜降りの甘手カレイ。肝も付いているけど、もう少しボリュームが欲しいところ、スダチでサンドしてあります。クーラーの風や床から入り込む川風で氷の溶けるのも早ようございますな。
ホテルの紹介で、イタリア人夫婦(?)が来られていたが、ハモは「海ウナギ」という訳をしているようだ。随分と淡白なウナギだけど、イメージは捕えているなぁ。
お造り(?)二品目が、小浜の岩牡蠣。これもご主人の作で、竹を割った形の器で織部の緑釉。岩牡蠣ですが、卯月では大きくても切らないので、「一口で食え」ということ。大口開けて口の中にいれば、隙間がありましぇん!

箸から眺める大文字のお椀。ボタンハモはムッチムッチ。葛がちょっと多いね。松茸は信州産。まだ早松というべき松茸。年中国産を使うことはできないかもと、総料理長のことば。旬の先取りおおきにさんです。
葉皿に賀茂ナスの田楽は、白味噌と赤味噌の二色。どちらも美味しい味噌加減。トロンと崩れるナスがいい焼き加減。
焼き締めの器に焼き八寸。鮎の塩焼きは、骨も食べられる大きさ。蓼酢で頂く。骨せんべいはハモ。この形だとねじれないようです。珍しいのは甘煮になったアマゴ。こんな小さいのは初めて。大きいゴリかと思いました。トマトの中にはタコの子。珍味が出ると嬉しい酒飲みです。マスカットを刻んで白和えしてますが、・・・。
卯月特製の鍋が出てきて、ハモしゃぶ。ポン酒醤油と梅肉とが出てきてます。ハモの切り方が、普通と違っていて、二つがつながっています。松茸の香りの出た鍋つゆは、しっかり頂きます。

ご飯は、琵琶湖産の天然ウナギのとろろ茶漬け。茶づけにとろろ芋がかかって、ズルズルの茶漬けは粘りも旨味に感じてしまう。
水菓子は、白桃にヨーグルト。夏こそ、シャーベットがいいんじゃないと言えば、床に運ぶまでに溶けちゃうんだそうだ。

食べ始めるころになると、頭痛も感じないから、不思議。
7月19日(?)に「旅の香り」で、ナカムラタマオとヒカワキヨシとが、収録に来た時の話を聞く。カウンターの後ろに二人のサインが置いてある。ヒカワ君の影響は大きいようで、追っかけが食べにくるそうである。凄いぞ、おばさん!テレビで紹介された「卯菴寿司」が目立ったせいで、寿司屋と勘違いされたルしているそうだ。二人がやって来た日は、あいにくの雨で床ではなく二階で収録だったそうだし、コース料理の撮影は別撮りで、二日がかりだったという。テレビの収録は、いつも大変やねぇ。

9月の床の昼席は予約のみ。


平成21年6月4日
夕ご飯は向かったのは「先斗町卯月」。改装後始めての1階のカウンター。板前には大介君。なぜか床に客がいない。みんなカウンターが好きなようで・・。
インフルエンザでのキャンセルは一組だけだったとか。よかったよかった。
  • ジュンサイ・アワビ(肝)・オクラの酢の物、花穂紫蘇
  • お造りに、ハモの薄造り・焼き霜、茗荷、おろし、芽ねぎ、金魚草、梅肉、ポン酢醤油
  • お椀が、甘鯛、新レンコン、蓮芋、柚子皮
  • 賀茂茄子の焼き物、田楽味噌、うに、はじかみ、白和え
  • 焼八寸には、鮎の塩焼き・蓼酢、ごりの佃煮、丸十、木の葉生姜、アナゴ寿司、ドジョウの煮凝り、柚子に射込んだ鯛の子まぶし(?)、川海老
  • 鴨の冶部煮風炊き合わせ、白ズイキ、白瓜、白髪ねぎ、辛子
  • タコのしゃぶしゃぶ、新玉ねぎ、豆腐、ほうれん草、割醤油、梅肉
  • ハモご飯、香の物
  • トウモロコシのパンナコッタ
醸し人九平次・ときの花をかざす・純米吟醸・山田錦精米歩合50%・9号酵母・酒のやまもとPB」にした。思ったより濃厚な味。ひつこい味ではないので旨いことには違いないけど・・九平次のイメージとはちと違う。
カットのカクテルグラスに、酢の物。ジュンサイに、アワビやオクラの輪切り。

お造りが、少し早いけど6月ということでハモ。沼島産。ちょっと骨が舌に触りますな。薄造りのハモを、かねがねカルパッチョにしたら美味しいのではないかと思ってはいるものの、日本料理の店でしかできない包丁技のようで、イタリアンのお店で見かけたことがない。骨切りしたハモではイマイチ想像と違って、薄いほうがいいじゃないかな?どこかで食べさせてくれるところないでしょうかね?ここにはオリーブオイルもないというので、今日のところは梅肉・おろし・ポン酢を組み合わせ。
桐の描かれたお椀に、新レンコンがザクザクの蓮蒸し。その下に甘鯛。スライスしたレンコンや、蓮芋。薄く葛を引いて、濃厚な吸い地。葉ワサビも頂きます。
焼き物は賀茂ナス。二色の田楽味噌で、白味噌の田楽の上に海胆。付け合わせが白和え。

八寸に焼き物。塩焼きの鮎。御主人の四方皿の竹の絵のと八寸の品とがごちゃっとして見にくいですけど、中央に鮎。子持ちを強調されたゴリ。ゴボウの香りのドジョウの煮凝り。
蓋付きの椀の炊き合わせに、治部煮。鴨とズイキ。
コンロに鍋が運ばれてきて、タコしゃぶ。明石のタコ。新玉ねぎがとても甘い。軸菜で結んであるのがほうれん草で、壺にはタコのいぼ。タマネギの甘みの出たお出汁はお椀に移してもらって、のみました。ちょっと煮詰まってましたね。
ご飯は、ハモ出汁としょうがの風味の利いたはもご飯。少な!と声をあげちゃう焼きハモ。梅肉。美味しい。
デザートが、トウモロコシのデザート。


平成21年5月4日
龍やの歌舞伎ツアーに参加する時に、観劇後の夕ご飯を紹介してほしいと言われたので、せっかくの五月の季節なので「床」でもと提案し(今日も)先斗町・卯月で予約をしちゃいました。
いつもの予算より、とっても気軽なコースで用意してもらいます。

  • ズイキの胡麻和え、おくら、花穂紫蘇
  • 八寸に、すっぽんの煮凝り、揚げた川海老、空豆、ゴリの旨煮、丸十、碓井豆腐・碓井豌豆、鯛粽寿司、山葵
  • お椀が、うに真蒸、炙った海胆、はす芋、ヨモギ麩、木の芽
  • お刺身が、とろ、たい、防風、金魚草、ワサビ醤油
  • 鯛の荒炊き、ごぼう、花山椒
  • 稚鮎のてんぷら、タラの芽、塩
  • 鯛茶漬け、香の物
  • トマトのシャーベット
まだ他にお客さんがいない時間帯。総勢10名である。とりあえず、(日本酒が苦手な方もおられるので)ビールで乾杯。
むちゃが勧められた不老泉・紫ラベル・山廃純米吟醸・火入れ原酒・山田錦精米歩合55%は、やっぱり不老泉らしい味。くどいや。
先付けが、ズイキ。ゴマだれ

御主人のお手製の取手のついた陶器。すっぽんは醤油の香りで丸の風味は抑えがち。海老とかゴリとか川魚が出るのも京料理。
お椀は、ほのかに色づいたウニの真蒸。トッピングは炙った海胆。
お造りは、(中?)トロと鯛。下の葉っぱ(敷葉)も食べられるそうだ。で何の葉っぱかは要領を得なかった。5月から2階のバーカウンターの接客を担当する元芸妓さんも床に駆り出されて貼りますが、まだ慣れておられないようです。元は先斗町でお店をされてたそうです。

ここで荒炊きを食べるのは、初めてかもしれない。しっかり京風の、甘辛いこってりした味。カマの部分が回ってきたので、やっぱり「タイノタイ」。
龍やが選んだ土佐しらぎく・平成20酒造年度斗瓶取り・大吟醸鑑評会出品酒・山田錦精米歩合40%。こってり料理には、不釣り合い淡麗さだった。たぶん高知酵母CEL-1だと思うのだが、香りは控えめに感じる。
盾の川も龍やが選んだお酒。(スペック見忘れた)。
油ものは、稚鮎。白っぽく揚げてあります。美しい姿に揚げてあります。
お酒が残っているので、少しご飯を待ってもらって、呑んで喋って、日が暮れて、ええ雰囲気になります。
床も統一基準が出されて、5年間の猶予が認めているそうですが、ここも50センチほど出しゃばっているし、骨組とか、提灯の高さとか改装しなくちゃいけないそうです。無粋な政策。
ご飯は、鯛茶漬け。ゴマ風味。

デザートは、さっぱりトマト。

なんだかんだと4時間近く床を占拠してしまいましたが、先日もそんなものかな。ほとんど大阪からなので、京阪本線でお帰り。三条でお見送りする。貝塚や岸和田から京都まで食べに来ていた頃は、電車の時間が気になっていたのが、懐かしい。


平成21年5月1日
今日のメインイベントは先斗町・卯月での「おいしいお酒と料理をたのしむ会」。秋から随分と日があいてますが、ちょうど床開きの朔の開催も3年目。
改装後始めての卯月で、お花が届いていたりする。一階のカウンターもきれいに仕上げられております。カウンターを擦りぬけ、ウナギの寝床・・今日は床へ上がり込みます。
今回のお酒の蔵元は、最新の「ミーツ・リージョナル」の「発酵クウノム」にも登場の滋賀木之本の「七本鑓」。人気者で専務の泰伸君が来ております。近江八幡での酒の会以来。若女将と津乃喜の兄ちゃんです。
酒のラベルを揮毫した魯山人に合わせて、卯月のカウンターにも魯山人のコレクション。

献立は、滋賀(または、それらしい)食材で構成したようです。(床は暗い)、
  • うすい豆腐、ウニ、うすい豌豆、ワサビ、防風
  • お椀には、ウナギ豆腐、はす芋、管ごぼう、花山椒
  • 鰹たたき、にんにく、おろし生姜、花穂、大葉、芽紫蘇、紅蓼、茗荷
  • 琵琶ます造り、金魚草、木の芽醤油、酢味噌
  • スズキの焼きトマト挟み、野蒜酢漬け
  • 鴨冶部煮風、白ネギ、赤こんにゃく、クレソン
  • 珍味には、タコ・鯉・ホタテの味噌漬け三種、鯛粽寿司、鯛の子塩辛、ごり旨煮、酒盗茗荷和え、一寸豆塩蒸し
  • 稚鮎釜揚げ、木の芽
  • カツオのなめろう、鱒皮みぞれ和え
  • ホタルイカご飯、香の物
  • 八朔オレンジシャーベット・つぶつぶゼリー掛け
先付けが、碓井のお豆腐。組み合わせも定番でございます。
金箔銀箔の日月椀には、鰻豆腐。白焼きの焼き鰻が豆腐の上に盛られております。吸い口が花山椒なんでしょうが、ウナギにはいいんですがお椀全体の香りとしては弱いかな。鰻の旨味が加わると旨い出汁。

生の魚が2種類。カツオはテーブルに大皿でサービス。皿鉢風。お品書きには卯菴流と書かれてまして、薬味ふんだん。本来ならこの時期が初カツオなんでしょう。初カツオなら、ニンニクで食べるたたきより、生も好きだよ。
天然のビワマスを用意していたというので、活きのイイ魚をプレゼンしてから料理してくれはります。ビワマスが逃げようと床の上で飛び跳ねておりました。美味しい。
焼き物は毛色が違って、トマトをつかったもの。ただ焼いただけで特別な仕事はしていないというけど、じわっとトマトの旨味で味わうスズキ。雲仙トマトと聞きました。
お馴染みの鍋で出てきたのは鴨。お品書きには「郷土煮」とありましたが、赤こんにゃくを入れた「冶部煮」。ジブジブと熱々でないのはしょうがないですね。

珍味〜ぃがいっぱい。酒の肴を盛り込んでいるのだけど、今日は、前半で料理が出るのが間延びして、かつ勧め上手(もうお馴染みさん)が(泣く子と無理爺には勝てない)同じテーブルだったので、酒は飲みたし、帰りは怖い。川魚のごりはいい加減に炊けてる。味噌漬けもいい漬かり具合。五月と言えば、粽も食べたいし、鯉も食べたい。
席が乱れて、むちゃも(先日のAS2の主催者や、久しぶりのソムリエールさんに)挨拶に回っている(爺さんから逃げた)間に、竹に入った「稚鮎のかま揚げ」と「なめろう」が出た。「なめろう」は記録しそこねる。味も忘れる。
イカ飯だけ記録して、冷めちゃったけど、慌てて食べる。といっても冷めてもイカの旨味の浸みこんだ御飯は旨いものです。
デザートは、シャーベット。床とはいえ、だんだん肌寒い風も出てくる夜中に、ちょっとサムイデザート。

で蔵元のお酒をまとめると

  • 七本鑓・純米・14号酵母滋賀県産玉栄精米歩合60%・1401酵母
  • 七本鑓・純米・生原酒・低温熟成2006年(17BY)・玉栄精米歩合60%・1401酵母
  • 七本鑓・純米吟醸・全量木槽搾り・滋賀県産吟吹雪55%精米・1401酵母
  • 七本鑓・純米大吟醸・袋吊雫・滋賀県産玉栄精米歩合45%・1401酵母
七本鑓の「味」というスタンダード「14号酵母」がメインで用意されていて、「冷酒・冷や・ぬる燗・熱燗」といろいろ出てきます。どの温度でも気持ち良く喉を下っていきます。玉栄の生産もだんだん減って来ているという話を聞きますが、その代りに「吟吹雪」が増えているらしい。それは、心持ち刺激的な舌ざわり。ちょっと若いかな。適時、他のお酒が出てきます。
日本酒と言うのは、寝かすと「カラメル」のような香りが出る場合と、まったりオイリーな香りを感じるようになる場合があるように思っているのでが、「低温熟成2006」は後者の香りを感じる。どちらも日本酒というイメージの香りでないので、あまり好きじゃありません。燗をすれば、いいかもしれませんね。
「隠し酒」と紹介された、「吊もの」。随分呑んでからだったので、あまり強い印象が残ってないけど、綺麗な喉ごし。

なんだが、閉店近くまでいて、いつの間にかお客さんは数えるほど。爺さんの被害者(?:いい爺さんなんだけど、それだけに巧い事進めるんだよ)と思しき愉快な「柳原ルイ15世かなこ」ちゃんは、タクシーに押し込まれて帰ったそうだ。爺さんは元気だ。呑み過ぎにはご注意。


平成21年3月19日
夕ご飯は向かったのは「先斗町卯月」。御主人とリエちゃんが、玄関で御迎え?呼び込み?
今月限りで見納めの2階の座敷カウンターである。床の間には井上靖揮毫の「如春」。カウンターの背後には、不規の「木蓮」と曲子光男の「桜」。

  • 桜の先付け、竹には炙った唐墨大根・蕨とサヨリの卯の花和え、筍の皮に木の芽和え、イイダコ、鯛の子、鯛の桜寿司、花びら百合根
  • 桜柳の椀には、蛤真蒸・タケノコ・白魚・菜の花・花びら人参
  • お造りには、茹でタケノコ・若芽、鯛・鯛皮・花びら大根・花穂紫蘇、ウニ殻にウニ・撚り人参・花びら大根
  • 丸豆腐・すっぽん時雨・鼈甲餡、刻みねぎ
  • 焼き物は、子持ち諸子、フグの白子、はじかみ、スダチ
  • ホタルイカのしゃぶしゃぶ、うど、シイタケ、ねぎ、湯葉
  • 酢の物は、アブラメにおろし、渦巻の若竹、甘酢大根
  • シジミ茶漬け・刻み海苔、香の物
  • 百合根アイス
今日は「松の司・2009・純米吟醸AZOLLA・無農薬無化学肥料栽培「環境こだわり農産物」認定山田錦50%・金沢酵母」を呑む。女将さんの海外土産というトナカイのピッチャーを片口で冷やして出してくれる。
桜が添えられた、先付けの八寸。目の悪いむちゃには、天ぷらと映った蕨は卯の花和え。鯖に使ったりしますが、サヨリは初めてかな。もっさりして、あまり好みじゃないけど、天神坂のおやっさんとか良く紹介してはりますな。木の芽和えには貝柱入りかな。好きな酒肴であります。

朱で描かれた「桜に柳」の椀。木屋町の川沿いの、桜に柳が風に揺れて重なり合う風情がいいですよと、メグちゃん。四角の真蒸には蛤。春の素材いろいろの椀種。淡くひかれた出汁。
お造りは、大鉢に三点盛り。ウニにはウニ。大葉にタケノコのスライス。若芽もちょっと添えられてます。右手前が鯛。嬉しい腹身。醤油、塩、ぽんす、いろいろ。
華鬘・瓔珞柄の器に、すっぽんの鼈甲餡。一番底に丸豆腐。その上に時雨煮でしょう。醤油のいい香りがするが、丸の香りは弱かったな。

焼き物には、子持ちの丸々とした諸子。できたら、目の前で焼いてほしかったところだが、四月からはそれもしてくれるでしょう。諸子の下のポテっとしたフグの白子。まだあるんですなぁ。あまり遅い時期まで白子があるというのは、実はちょっと不安。養殖のフグには女性ホルモン剤を餌に添加して、白子を大きくするという噂も聞くからだ。
コンロがでてきて、昆布の入った鍋が出てきた。しゃぶしゃぶするのは、ホタルイカ。自分がするときは面倒くさいけど、当たり前だけどちゃんと目玉もとってます。グツグツしたら、入れて40秒という指示がでた。熱の加わったイカワタは旨いものです。
酢の物は、あぶらめ。なかなか出ないなと思っていたけど、酢のもので出てきた。いわばアブラメの生寿司ということかな?春先の魚としては、アブラメ、メバルってことかな。渦巻になっているのは、若竹。流石、居酒屋の「タケノコと若芽の炊いたん」とは手間の掛け方が違いますなぁ。練り物に「なると」というのがあるから、さしずめ「若竹なると」ですな。
ご飯は、シジミ茶漬け。シジミは醤油で炊いた時雨。

デザートは、百合根のアイス。百合根らしい舌ざわり。面白い。牛乳を混ぜているらしい。いろんなアイスができそうですねぇ。卯月にはアイスクリームメーカーがないそうなので・・お疲れ様でした。

昨日は、遅くからでもお客さんがいっぱいだったそうだが(花灯路の影響?)、結局、今日の卯月は貸し切り状態の贅沢な夕食。

四月から店内の改装(特に一階は随分と変わる)を控えているのだが、まだ、工事は始まっていないとか。大丈夫かな?2階には、新しく接客担当の女性が増えるという。


平成21年2月22日
夕ご飯は向かったのは「先斗町卯月」の2階カウンター。
前回訪問の時に非公式に、今日恒例の「酒の会」をすると聞いていたので、スケジュールを空けていたんだけど、酒の会はお流れのようで、まぁそれでも食べに行きましょう、という次第。
カウンターには12代目面庄の頭のひな人形、お軸も立ち雛の絵(誰のか覚えきれない)、カウンター後ろには生田花朝の内裏雛の絵と雛めくカウンター。
  • 梅の先付けは、竹筒にナマコ・海鼠腸・いくら、青味大根に黄身酢、氷魚の梅煮、牡蠣の煮たのん、ふきのとう味噌、梅に抜いたのし梅
  • 日月椀には、ホタテの真蒸、ほたて、タケノコ、うるい、ニンジン、木の芽
  • お造りが、とろ、タケノコ、笹の葉に挟んだ鯛の薄造り、わさび、生海苔、花穂紫蘇
  • ハマグリの味噌餡の飯蒸し、菜の花
  • 鯛と松茸の焼き物、一寸豆、ばちこ
  • 若竹煮にぐじ、木の芽、百合根
  • 焼きカラスミを乗せたカラスミ大根飯、蟹と湯葉の味噌汁、香の物
  • 黒豆のアイス
今日のお酒は「松の司・2004special・純米大吟醸古酒・Seizaburo Seto・東条町山田錦精米歩合35%・金沢酵母 」とした。古酒めいた熟成香はなく、いい意味の深みのある味。お燗はしてないけど、温度を選ばないかも?
先付けの八寸には、春めく食材と名残の冬が同居。フキノトウは大原のリエちゃんの手積みものかもしれませんねぇ。
お椀は、ホタテの真蒸。卯庵らしい旨みたっぷりの真蒸。木の芽の香りも季節感が出てよろしいなぁ。
お造りは、トロ(色合いからして、「しび」のかな?)、下茹でしたタケノコ、笹に載せた鯛。ねっとりしたトロ。面白いのは鯛。笹の香りを移したり、笹の葉で寝かしているのかと思ったけど、単純に飾りだそうだ。それにしては旨みがでている。だから包丁が引きにくいせいか薄造りも穴があったり、御愛嬌。塩も出るけど、醤油が旨味の出た鯛は醤油の方がいいと思います。
箸休めは、飯蒸し。辛子を隠し味にした白味噌の餡かけにした蛤。辛子は言われなくては分からない。味噌で飯蒸しは初めてだな。しっかりした味は旨いけど、箸が安まっていないかも?
そろそろ諸子カナ?という期待もしたのだが、竹の皮に乗せられて出てきたのは、タケノコと鯛。醤油焼き、木の芽焼き。焼いたバチコと一寸豆。豆の出てくるのが早いねぇ、とカウンターでぼやく。
コンロに鍋が出てきて、中はぐじの若竹煮。これも木の芽の香る鍋。色合いの派手な鍋だけに、料理も華やかに見えます。精進なタケノコには少しでもいいから脂が加わるとさらに旨くなると思うのですが、ぐじはいい出会いです。出汁も最後まで頂きました。

若女将の恩師という先生と、大原帰りのご主人との会話にお邪魔して、間をおいてご飯。唐墨と大根をまぶしたご飯に焼いたカラスミを乗せたご飯。止め椀は、蟹と湯葉。
デザートは、黒豆をクラッシュしてシャ―ベットに混ぜ込んだもの。トッピングも黒豆。

最近、先斗町の料理の担当が、茨城出身の遠藤君(若い!)に変わったそうだ。4月から新人もくるし、1階のカウンターも昔のように板前割烹風にするそうだ。
御主人と話しこんでしまって、終電一本前の電車で帰る。日本料理屋として大切にしたいことは「食文化の提供」ということのようで、先斗町の茶屋に育ったご主人ならではの言葉に、納得して帰った次第です。


平成21年1月25日
夕ご飯は「先斗町卯月」のカウンター。
いつもの2階・畳敷きのカウンター。床の間に関雪揮毫の「直下千尋雪」の軸。壁には関雪のでかい「かざし」の絵、反対側には小さい「大和橋」の絵がかけられております。この2枚は2002年の京都文化博物館の関雪コレクションに出展したそうだ。
今日はミエ姐さんもメグちゃんも正月休みだそうで、ケイコちゃんがお相手。早くに帰ったグループもあったようだが、しばらく独占のカウンター。

  • 梅の玉〆
  • 八寸には、梅柄の香合に海鼠腸・なまこ・いくら、鯛の手毬寿司・うに粉、海老の酢取り大根巻き、白魚にでんぶ、黒豆・ソラマメ、
  • 変わりお椀に、トロロ団子(海老・ぐじ・銀杏入り)の揚げたんに醤油餡、木の芽、しょうが
  • カマクラの飾りのお造りに、ブリ・おろし、鯛、サザエ
  • 焼き雲子・大根・菜の花・梅人参の鼈甲餡の鍋仕立て
  • アワビのレモン風味のホイル焼き、はじかみ
  • イイダコと海老芋の煮物
  • はまぐり雑炊
  • 金柑のシャーベット、グミ
今日は七本鑓・純米大吟醸・復刻栽培米渡船精米歩合50%・全量木槽搾り・協会9号酵母 」にした。特に突出した香りは感じないが、それはバランスがいいということで、味も厭味を感じない、穏やかで柔らかい味。喉越しもまろやかで、好み。
蓋付きの器に先付けの茶碗蒸し。真ん中に赤い梅肉一片。
藁で編んだ雪よけの下に咲くボタン(?)に福来雀でしょうか?塗りのお盆に八寸。黒豆はともかく、もうソラマメだっか?早い。

赤の煮物椀に盛られた、揚げたトロロの団子。中にはぐじ・海老・銀杏。外はサックリで、中はふわふわ。醤油の効いた旨み出汁。天盛りの生姜も効いてほんのりと暖まる煮物。ひょっとしてこれはぐじゃぐじゃにしてトロロ汁風にした方がよかったのかも?
銀のお盆のお造りに、氷のカマクラで覆った氷室風の演出。カマクラは除けてデジカメます。ぶり、鯛、サザエの3点。
柳川の鍋に焼いた白子、煮いた野菜をいれ、べっこう餡を掛けて温めた鍋。トロンとした餡(タレに近い)が白子のヒダヒダに絡んで旨みを増す白子。アラカルトのメニューには醤油焼きという雲子のメニューもあるけど、こういう風に仕上げると、居酒屋メニューから日本料理に一品に様変わり。出た時には「琵琶湖周遊味めぐり」でも売っていた「みたらし団子」の餡を思い出しましたわ。
裏白にホイルが乗せられて出てくる焼き物はアワビ。アワビとレモンが、かわりべんたんに並べられて蒸し焼き。慣れない風味だけに美味しいとは言えないけど、こんなんもありと納得。あしらいには、はじかみ。
。 炊き合わせは、イイダコ一匹と海老芋。しっかりと醤油で味付けされています。海老芋もしっかり醤油の味が染みております。繊維質のしっかりした海老芋。タコの頭は丸っぽで、包丁が入っていない。口の中で、卵の「飯」が大爆発だぁ!柚子皮。

今日は、なんだか醤油の効いた料理が多かったですなぁ。醤油の色が強いだけで「辛い」と思ってしまうんだけど、流石にプロの味は、醤油の香りを引き出して巧いですねぇ。

ご飯は雑炊。ハマグリは下処理で酒蒸しかな?少し酒の香りが残っていた。
デザートは、金柑ゴロゴロのシャーベット。緑色の葉っぱのかたどりをしたグミ2個。オモロー!かき氷の白玉みたいな扱いかな?

女将と若女将の母娘の記事が、30代の女性向けのファッション・料理・ライフスタイルの情報雑誌「VERY2月号」の「私には譲りうけて伝えていきたいものがあります・この母にして、この娘あり」にでているというので、見せてもらう。
途中から入店したグループもさっさと食べはったようで、暇ができたようで、久しぶりに総料理長のヨッシーが年始の挨拶。年末は40個のオセチを作ったそうで、お疲れ様。好評だったそうだけど、webで披露してほしいねぇ。紫明はちょこちょこ初釜の予約があるようですが、不況で遠出を控えたお客が目立ったという年始はともかく、最近は、実体化してきたそうである。普段でさえ、これから一番暇な季節ですからねぇ。
雑誌よりも、読売新聞に紹介された盈虚は大きいようで、思いがけずに鯖寿司の注文が増えたそうだ。そうだっけかなぁと・・思い出せない。しかし、舞鶴の鯖は今年は不漁なようで、苦労しているという。略して「マイサバ」というらしい。あはは。


平成20年12月22日
夕ご飯は「先斗町」のカウンター。
2階のカウンターの床の間には「六代目菊五郎の隈取り」だそうだ。顔見世の季節に因んだもの。

  • アンコウの肝、九条葱のゼリー寄せ、岩茸、チリ酢のジュレ、おろし
  • エビ芋の真蒸、蟹、絹さや、金時人参、、シイタケ、松葉柚子、吉野仕立て
  • ふぐの薄造り(てっさ)、白子、三河、遠江、おろし、芽ねぎ、花穂紫蘇、チリ酢、塩
  • 蟹の内子、くわい、牡蠣の燻製、自家製カラスミ大根、ちしゃとう、すっぽんの煮凝り、鯛のお寿司
  • 雲子の羽二重揚げ、カイワレ他、塩
  • ふぐの醤油焼き、シシトウ
  • かぶら蒸し、甘鯛
  • 鯛かぶらご飯、香の物
  • イチゴ、ゆずのシャーベット
今宵のお酒は「松の司・純米吟醸・2007しずく斗瓶囲・竜王産山田錦(環境こだわり農産物認証)精米歩合50%・金沢酵母・限定360本」とした。今日の瓶は乗りがいいようだ。味が多い。

先付けが、アンコウの肝。その下にある緑色のが葱のゼリー寄せ。さらにチリ酢のジュレがあって、一手間かけたアンキモですな。こういう珍味酒肴には、不思議だが松の司はいまいち。
お椀にはエビ芋の真蒸。真薯と書くべきかな?海老芋だけの旨味でなく、出汁の旨味も練り込まれています。出汁もしっかりめ。ふわふわ。

お造りは、てっさ。生の白子は珍しい。事前にフグを引いていたようで、細作りの皮が絡んでしまっているのが残念。ほとんどのお客さんに出しているんだし、しょうがないけど。うづきでは、フグだけでなく夏はアナゴ、ハモ、そしてオコゼなど季節の薄造りが楽しめる。
続いて、八寸。慈姑とかチシャトウとか、おせちに馴染みの食材。今年は北海道からも注文があって送るそうだ。流通もよくなったものです。年末年始営業しながらおせちを作るのですから、苦労が忍ばれます。今年初めて作ったという唐墨は、重しが足りない(?)。煮凝りは鼈甲色で醤油の香りもいい味わい。
揚げものが出てきて、雲子。雲子だけではトロトロなんだけど、試行錯誤の結果、百合根を混ぜているそうだ。雲子の味を残しつつも、百合根のモッチリした舌ざわりが妙。
焼き物はコンロに乗って出てくる。ふぐの醤油焼き。
京都の冬の定番、かぶら蒸しは、甘鯛。定番らしい具沢山。

ご飯は、鯛かぶらを炊き込みご飯に仕立てたも。心持ち柔らかい炊き具合。残念。
水菓子とシャーベット。シンプルになったなぁ.


平成20年11月03日
不定期開催になってきたけど「先斗町卯月」での文化の日にふさわしい「美味しいお酒と料理をたのしむ会・ひやおろし」に参加する。
以前の会でもお目にかかった伏見・富翁の北川幸宏氏、奈良・春鹿の今西清隆氏の参加。
今回は、ひとつの蔵のお酒ではなく「ひやおろし」ということで津乃喜さんが13銘柄を集めてきはった。
ということで、今回はその13種類をまず利く。お腹減ってるのにぃ。
  • 紅葉姫・ハクレイ・特別純米
  • 一ノ蔵・特別純米
  • 浦霞・特別純米
  • 常きげん・純米
  • 丹州山田錦・富翁・純米吟醸
  • 能古見・特別純米
  • 春鹿・純米吟醸
  • 不老泉・山廃純米吟醸
  • 鍋島・純米
  • 梅乃宿・純米吟醸
  • 宗玄・純米
  • 招徳・純米
  • 松の司・純米吟醸
で、呑んだ印象をペーパー書き込めるようにリーフを配ってくれて、それを手がかりに、料理に合わせて、各々我儘にお酒を合わせるという趣向です。

  • 先付は、珍味豆腐、トッピングが、このわた、このこ、なまこ、微塵柚子
  • 向付に、かわはぎ肝造り、イカ雲丹造り、黄菊、花穂紫蘇、ワサビ
  • お椀が、蟹真蒸、蟹足、松茸、水菜、松葉ゆず
  • お凌ぎに、鮎なれ寿司和え
  • 酒彩として、子持ち鮎有馬煮、栗焼酎煮、衣かつぎ雲丹粉掛け、アワビ肝味噌漬け、塩焼おにぎり(梅入り)、松葉銀杏
  • 口取に、子蕪漬物和え、鯛昆布〆、針柚子
  • 焼き物は、コンロが出てきて、朴葉焼き、鴨、マナカツオ、下仁田
  • 蒸し物が、柚子釜、小蕪、ほうれん草、秋鮭、白子ソース、イクラ乗せ
  • 白ご飯、イカ塩辛、
  • 大四朗柿、柿ソース
先付けは珍味ののった豆腐。珍味の味が強い。豆腐はなんだかよく分からなかったけど、いろいろ混ざっているような味。
お造りには、イカとウニ、肝を巻いたカワハギ。これもお酒に合わせて味のある食材を使っているんでしょうか?
お椀が、蟹真蒸。菱蟹とタラバを合わせているのでしょう。蟹足1本と松茸(薄い)。卯菴独特の味のある真蒸はとっても旨く、蟹の身もたっぷり。 竹の中に射込んだ、お凌ぎ。人参、きゅうり、大根などを細切りにして、なれ寿司で和えるという、これも珍味。相当癖のある味に仕上がっています。とてもお凌ぎとは思えない味。

八寸にも、ひと工夫して酒肴。
口取に、昆布〆した鯛の薄造りを小蕪の漬物(千切り)で合えたん。柚子(細切り)も強いけど、漬物の塩も強くて、困った。柚子の香りにあう燗酒を特に勧めてもらったけど、強い柑橘は日本酒にはどうかと思った。柚子は香りだけでいいんじゃないでしょうか?
朴葉で焼く鴨。鴨より焼き味噌が「酒のあて」と期待したけど、八丁味噌系で、辛味が苦手。甘い味噌と合わせて旨みを増してほしかったなぁ。鴨もマナカツオも美味しい。
蒸し物は柚子釜。白子のソースがとっても旨い。旨いんだけど、塩した酒や、塩分を足したんじゃないかと思えるイクラも辛めで、薄く仕上げてほしかったところ。
白い御飯に、イカの塩辛。そのままでもよし、塩辛茶漬けでもよし。お茶漬けでも日本酒を呑めと言われているみたい。料理スタッフは苦心してはるのが、見えるようだ。

熟した柿。焼酎でしぶ抜き・熟しているんでしょうか?とろとろ。 北川氏の乾杯三唱で、幕。
今回はスグに定員に足りたというので、webにも出せなかったというが、お酒が1升瓶で揃ろっても、呑み切れる訳がないじゃん。いつになくよーけ残ってました。

酒の会ということでチャレンジャーな料理を苦労して造ってくれはったという印象が残ります。
まぁ、まとめて言えば、お酒に合わせる料理が塩を増やしたり、味を濃くするというのは、過去のことだと思うのです。過去には日本酒は、アルコールを添加し、さらに醸造用糖類を添加して甘い酒があって、それが日本酒だった時代は、薄い味ではお酒が負けてしまったかもしれない。しかし時代が変わって、普通の店では本醸造以上になり、磨いた酒が多くなった現在では普段の味の料理で十分だと思うのです。妙にお酒を意識して、料理が珍味みたいになるのは、ちょっと困りもの。日本酒というのは、それほど料理を選ばずに合うと思うんですけどねぇ。市販の普通の「ひやおろし」なんだし、普段の卯月のお料理で十分お酒も美味しく頂けるのに・・・。でも貴重なマリアージュでした。他の酒の会では味わえない卯月ならではの仕事でした。
料理に合わせたお酒はもう忘れちゃったけど、選択する基準は、珍味系の辛い・濃い料理には、さらりとした淡麗の綺麗な酒。薄味で出汁を聞かした料理は、柔らかい甘味を感じるキレのある酒。食材の取れた場所で醸された酒。ということを考えます。濃い・辛い料理に、濃厚な酒はどちらもくどく感じて嫌いです。

利き酒もありーの、ゆっくり料理出ーので、今日も夜の営業間際まで酒の会が続く。もう夕暮れ。


平成20年10月30日
夕ご飯は「先斗町」のカウンター。
2階のカウンターは満席。床の間には扇面画。二曲屏風に仕立てた絵は、関雪、春挙、栖鳳。
  • 柿ナマス
  • お椀は、萩真蒸、松茸、青味大根、松葉柚子
  • 生牡蠣、甘手カレイ、車、頭を揚げたん
  • 八寸に、松葉銀杏、衣かつぎ、くるみ和え、擬製豆腐、鮎の焼いたん、鯖寿司、菊花かぶら
  • 石焼で、鴨、ネギ、酒盗に浸したイカ、しめじ
  • ぐじの丹波蒸し(松茸、しめじ、栗、卵白、ほうれん草)
  • 鯛と松茸の雑炊
  • ラ・フランスと、そのシャーベット、マスカット
今宵のお酒は「喜楽長・天保正一・大吟醸・山田錦精米歩合35%」にします。封切り直後は苦味もあって、どちらかと言えば辛いが、徐々に甘味が膨らんで喉越しも滑るようになる。
柿一個を器にした柿ナマス。柿はくぼみがなく、ほとんど丸っぽ。食べるならスプーンを持ってくるというけど、控える。

三条大橋から眺める大文字の景色の椀。季節めいて「萩しんじょう」。松茸とか海老とか銀杏とか。濃いお味の出汁に、海老の旨味たっぷりの真蒸。丹波産のマツタケの香りもうれしい秋のお椀。鴨川にかかる橋の擬宝珠はちょっとづつ形が違うそうで、このお椀の柄は「三条大橋」だというのである。
お造りには,3点。海老さんと牡蠣に箸をつけたところで、撮り忘れに気づく。広島産の牡蠣はもう大きくなっている。
朴葉を敷いた八寸。まつかぜ風の擬製豆腐。衣かつぎ。銀杏は生温かくなっちゃっている。子持ちの鮎は塩ではなく醤油。海老・胡桃・ほうれんそうの和えもの。鯖寿司。

焼いた石が運ばれてきて、鴨。鴨は以前に酒の会でも出てきたけど、プラスされているのは酒盗に漬けたイカとシメジ(?)。平茸かな?手塩に塩。
お馴染みの鍋には丹波蒸し。丹波で獲れたものを使うので丹波蒸し。松茸や栗。ぐじを覆っているのは卵白。柚子皮。葛仕立てのあんかけ。

ご飯は増水で、「鯛まつたけ」。濃い旨味の雑炊。
水菓子は洋ナシとそのシャーベット。


平成20年9月14日
晩御飯に向かったのは、先斗町の「卯月」。
「中秋の名月」を眺める「床」ではなく、カウンター。名月を肴に食事をしようとするお客さんで、回りの床もいっぱい。でも、霞がかかったようなお月さんで、やっぱりデジカメでは限界。日暮れ間近は、東山の山波も写りこみ絶景。妙なビルさえなければ、東山魁夷のような青だ。お軸は大徳寺興臨院住職の「月清千古秋」。
  • 先付けに、菱蟹、マイタケ、茗荷
  • 土瓶蒸し、松茸。ハモ、銀杏。すだち
  • お造りが、オコゼ(肝、浮袋)、アワビ(肝)、甘鯛。芽ネギ、おろし、醤油、ぽんす醤油、塩、土佐酢
  • オコゼの唐揚げ
  • 八寸には、翡翠ナスと海胆、このわた、へしこ、カマスのたたき・水菜、紫頭巾、ぐじのお寿司
  • 子持ちアユの塩焼き、菊菜と紫菊
  • 甘鯛と松茸の鍋、豆腐、ほうれん草
  • いくらご飯、香の物
  • 巨峰のシャーベット、マスカット、梨
めぐみちゃんとスズキさんとで「萌のシャンパン」で乾杯!蒸し暑い日だけに、気持ちのいい喉越し。アペリティフ。
織部の器に菱蟹の酢の物。そういえば今日は「わたり蟹を食う」だんじり祭りでしたぁ。
グラスを空け、今日のお酒は「松の司・2007純米吟醸・しずく斗瓶囲い・竜王産山田錦(環境こだわり農産物認証)精米歩合50%・金沢酵母・限定360本」にした。淡い味わいの綺麗なお酒。
お椀代わりで、土瓶蒸し。食品の原産地偽装やら、農薬混入問題で、国産が出るまで松茸は使わなかったそうだ。むちゃはスダチに最後の一杯だけに使いますねん。箸で果肉をツンツンすれば数滴、適量。

お造りが、オコゼの薄造り、ぐじの糸造り、水貝。オコゼは、肝や芽ねぎを巻いてポン酢で食べるのが好き。浮き袋はコリコリ。ねっとり甘鯛は土佐酢(だと思う)。
お造りを食べ終えあるまでに、オコゼのから揚げで出てくる。温かいものから食べる。たぶん一匹丸っぽ食べたことになるんだろう。生でも、揚げても、美味しい。ムナビレの皮までは旨く食べられないが、他は骨だけにする。中骨はバリバリと食ってしまった。
華やかに銀紙・金紙に盛られた八寸は、酒の肴ばかり。

焼き物は、子持ちのアユを塩焼き。お腹に切れ目を入れて、焼きあげてあります。ホクホクに詰まった鮎のお腹。
お得意の砲金の鍋が飛騨コンロで出てくる。保温だけなんだけど、ちゃんと炭火。ハモと松茸もいいけど、ぐじと松茸もいい組み合わせ。
ごはんは、イクラかけごはん。ちょっと硬めのイクラの醤油漬けは、グリグリと噛めばプシュっと口の中で弾ける硬さ。
染付の器がキレイなデザート。

ちょこちょこ食事の合間にベランダへでて、月を眺める。雲が切れたのは僅かだけだったようだ。芋名月という割に、芋なしの食事。
卯月の2階は小さいベランダがあって、周りの床を見渡せるので、オモロー!


平成20年7月20日
三条から先斗町の「卯月」へ。
錦の酒屋「津乃喜」とのコラボによる「おいしいお酒と料理をたのしむ会」へ参加する蔵元は、建仁寺での酒の会でもお馴染みの「八海山」。八海山からは、大阪営業の川島氏(すでに顔見知り)と製造の阿部氏(麹担当)のお二人。
今回は参加者が20名を超えて大盛況。
床の間のお軸は「幸野楳嶺の祇園祭の神輿」。
  • 先付八寸が、サザエ味噌漬け、イカ酒盗和え、ハモの子塩辛・スダチ釜、キス白瓜松前漬け、枝豆、鮎風干し、氷頭ナマス、丸十、粽
  • お椀が、鮒寿司寄せ、刻み大葉、蓮芋
  • 向付が、塩引き鮭、煎酒醤油、鰹節
  • お凌には、スズキの飯蒸し、蓼酢
  • 焼き物は、ウナギの白焼き、ウナギ肝山椒焼き、ワサビ、ぽんす醤油、はじかみ
  • 鮭の皮を炙ったん
  • 強肴、岩牡蠣
  • 冷たい炊き合わせは、夏野菜の、冬瓜、賀茂ナス、小芋、姫オクラ、糸ウリ、振り柚子
  • 御飯が、ウナギ茶漬け、香の物
  • 桃のムースコンポート・クリスタルゼリー掛け、
イカの酒盗和えは赤い。梅肉でも交ぜているんでしょう。松前漬けには刻み昆布。新潟のお蔵に合わせて仕入れたという鮭の氷頭ナマス。丸十はレモン煮。粽はスズキ?

日月椀はびっくり椀種。フナ寿司を飯(寿司飯)ごと叩いて丸めてあるという。卵の部分でけ別に叩いて、彩りに天盛り。しっかり発酵した香りがして、鮒寿司のお茶漬けが許せるなら、これも美味しく頂けますな。温かねられたフナ寿司だけど、お椀の香りには独特の臭みがない。つなぎを入れてないというフナ寿司はじわじわとほぐれていくので、巧く食べないと濁ってしまう。まぁそれもまた旨いでしょう。カツオは使わず昆布出汁。酒の会で酒好きが集まっているとはいえ、駄目な人もいるかもしれないのに、チャレンジなお椀。破壊的なお味。でも、皆さん気に入っていたようです。専門店じゃないだけに、たぶん、きっと、こういう機会でもない限り、造ってくれないだろうな。 (書いていて思い出したけど、鮒寿司の切身を2つほど椀に入れて湯を注げば、お吸い物になる、とか書いてあったような・・・)
お造りは、蔵のある新潟の鮭を使ったもの。半乾みたいな食感だけど、そういうものなのか、酒で戻しているのか、縁のない食材なので分からない。どういう処理をしたのか聞くのを忘れたけど、スモークサーモン風の味わい。後で、皮は炙って小皿で出てくる。
凌ぎには、すずきの飯蒸し。スズキなんだけど、上に乗った緑色の蓼酢がいい組み合わせ。蓼を鮎以外に使われたのを食べるのは初めてかもしれない。味噌も入っているかも?蓼酢味噌?
今年は、琵琶湖のウナギに縁がある。思わず微笑んじゃう。毎年食べてないけど24日の土用の丑、の前にいただくウナギ。肝も旨し。小学生の頃には。ウナギというのは高級食材で、高くてめったに食べられなかったんだけど、そういう昔に戻っただけのことと考えれば、中国だの養殖だの食べなくてもいいじゃんと思うのでした。
鳥取産の岩牡蠣。残念ながら今年食べた中では一番小さい。小さい分、一口で味わう。切らずに食べるというのが卯菴流のようで、小さいのを選んでいるのかもしれない。
瑠璃色のガラスの舟皿(目皿?)に冷たい炊き合わせ。今日唯一出汁の効いた料理。

ご飯は、琵琶湖産のウナギ茶漬け。強く煮しめたウナギじゃなく、あっさりウナギの旨味を活かした焼き具合。
デザートはピーチ。クリスタルってなんだぁ?

あちこちで食べてるからと言われても、夏には「はも」がでないと寂しい。今日は塩辛だけとは、とほほだ。

今日出てきたお酒は

  • 八海山・吟醸
  • 八海山・本醸造(熱燗)
  • 八海山・純米吟醸
  • 八海山・大吟醸(非売品:精米歩合35%?)
  • 八海山・大吟醸
香りの強弱はあるけど、癖のないお酒で、心地よく箸もすすむというものです。どれを選んでも大きな差はないともいえるけど、個人的には、純米吟醸のバランスがいいと思いますな。吟醸とはいえ精米歩合50%だから、規格では「大吟醸」を名乗ってもいいわけだ。
いろんなお酒を製造する八海山ですが、「八海山本格米焼酎 黄麹三段仕込・よろしく千萬あるべし」もでた。女将が気に入って、店に置くそうだ。粕取り焼酎もあるそうだが、今日はなし。泉ビールもなし。梅酒もなし。というわけかどうかわからないけど、11月に新潟までツアーをするという話が出来上がってしまったようである。
床の用意も出来、そろそろ夜のお客さんが来ようという頃まで、ズルズル。この3連休の床は、3回転するほどの盛況ぶりだそうだ。
最後に幸野楳嶺のお軸に合わせて、津乃喜のにいちゃんの神輿の講義があって幕。


平成20年6月3日
晩御飯に向かったのは、先斗町の「卯月」。
雨も上がって床は満席。
  • 先づけの酢のものが、山芋の短冊・ナス・たこ・たたきオクラ・茗荷、花穂紫蘇
  • お椀が、レンコン真蒸、ずいき、レンコン、ジュンサイ、蔓菜、青柚子、
  • ハモの薄造り、肝、笛、皮、焼きハモ、松皮の鯛、おろし、芽ねぎ、防風、金魚草、ぽんす醤油、醤油、梅肉
  • 八寸が、ぐじの塩焼き・甘酢生姜、ゴリの旨煮、ハモの子、鯛の海鼠腸和え、丸十、手長エビ、枝豆
  • 焼き物に、稚鮎・蓼酢、賀茂茄子の田楽・二色田楽、はじかみ
  • 冷静丸茶碗蒸し
  • 鮎の背越し
  • 焼きハモのトロロ飯
  • マンゴと生クリーム、揚げ(?)ナッツ
今宵は「田酒・純米吟醸・山廃・山田錦精米歩合40%9割&精米歩合55%1割」というお酒。てっきり昨年末のお酒と思っていたが、うっかり冷蔵庫で1年半ほど寝てしまった。管理できてまへんなぁ。梨のような香りで、くどいほどではないけど甘みも残って、田酒の淡麗さとはイメージが異なる。失敗したかな?郁ちゃんの好きな銘柄だったのに、辞めちゃったとうで、残念。

織部の長皿に先づけ。好みの加減の酢のもの。
ざっくりしたレンコンを混ぜたレンコンの真蒸が椀種。しっかり味のある真蒸。卯庵の真蒸はこうでなくちゃ!

東京カレンダーに載っている「はもの薄造り」。電話で聞いた時は「アナゴ」だと言っていたが、本当は「はも」だった。大きな丸皿に氷を乗せ、その上に銀の皿。扇型に盛りつけられて見事な向。内臓に、鯛も盛り込んで、ありがとう。国内産のはものようで、あっさり淡白な味わい。雑誌と同じように盛りつけてくれました。
焼き物を盛り込んだ八寸。ぐじには、お得意の葉っぱ型の生姜。ゴリの旨煮、揚げた手長エビと淡水のもの。よく練られた鯛の糸づくりを海鼠腸で会えたの。ネトーっとした食感。
お重の函に笹と一緒に盛りつけた、稚鮎と賀茂ナス。茄子は揚げない焼きナス。
茶碗蒸しに紫陽花の葉っぱを蓋にした茶碗蒸し。きめ細かい玉締めに丸のスープと身。丸の身は玉子には入っていなかった。
追加でお願いした「背越し」。ガラスの器に、急な注文にも関わらず、扇に丁寧に盛りつけてくれました。孔雀盛りと呼ぶところもあるようです。酢味噌。

ご飯は、焼きハモを乗せて、とろろを乗せたご飯・どんぶり。トロロ飯。
デザートは、マンゴ。いったん熱を加えているのかな?生クリームを乗せ、香ばしいナッツ。

観光の女性が一人で(たぶん初めてのお客で)カウンターに来られていたが、一人で来ても女将がしっかり話し相手になっている。
皐月の昼床を、エビスビール提供の「一人時間(ひととき)・京都四季の食彩#2」(BSフジ)で取材・放映したというDVDを見せてもらう。卯月の料理長の松村君が語っております。五月ということで「アナゴの薄造り」と「卯菴寿司」を見せてくれてます。わずか5分の放映だが、3時間以上かかったそうだ。
2階のカウンター席を映して、「この空間で旬を味わう、一人、時を重ねるには、ちょっとした贅沢だ」というナレーションそのままやっちゃってます。


平成20年5月11日
晩御飯は先斗町の「卯月」。床は貸し切りであふれかえっている。はっきり言って今日は寒い。
むちゃはほどほどの2階のカウンター。おぉ、横浜のお馴染みさんだぁ。(最終ののぞみで帰るというから大変だぁ!)。「ヤマトタケル」の番付をみていたので、松竹座の帰りかと思えば、女将が観てきたそうだ。
外人さんが増えてきましたねぇ。
床の間のお軸は不矩先生の「卯さぎ」と「月」。卯月さんのために書いたという絵である。インドでの絵が多いと思って(観なくてもいいやと思って)いた岡崎の秋野不矩展は若いころの作品も多く、見ごたえがあったという女将さんの印象。今日までだったけど、行くべきだったかな?

  • 撫子の先づけには、枝豆、千鳥の中にこのわた、いくらと長イモの微塵、ハモの子の煮凝り、ズイキとこのこ・木の芽。アナゴの八幡巻き、アナゴ寿司
  • お椀は、鯛の白子の真蒸とハモ、インゲン、シイタケ、ゆず
  • お造りは、焼き霜の甘鯛、鯛、鯛皮、長イモ、イカ、醤油、うすくち、塩
  • のどぐろの塩焼き
  • 鯉コク、ごぼう
  • 揚げ丸豆腐、巻き湯葉、生麩、サンドマメ、白髪ねぎ
  • じゃこご飯の焼きおにぎりの出汁茶漬け。刻み大場、ワサビ
  • ブドウのゼリー
今日は「七本鑓・純米吟醸・吟吹雪55%精米・全量木槽搾り・協会1401号酵母」というのん。
撫子の花が飾られた八寸。おどりの時期らしい千鳥の器にこのわた(塩漬け)。ズイキにもコノコのようだ。お寿司と八幡巻きもアナゴで重なっていますな。

お椀は、鯛の子の真蒸。包丁がきれいじゃないけどハモ。
お造りには、アマダイの焼き霜を薄口しょうゆ、鯛を醤油、塩の豆皿も出る。別にグラスでイカそうめん。既に出汁がはってある。甘鯛を刺身で食べるのは久しぶり。
焼き物は、のどくろ。頭が出て嬉しいけど、脂の乗りはいまいち。
今月は「鯉の煮おろし」を出しているという酒の会で聞き、鯉があるなら「鯉コク」と言うていた一品。ハモのように小骨が多い鯉だけにしっかり煮込んで骨まで軟らかくしてくれないと、喉に刺さっちまった。鯉の身は、できれば筒切りにしてほしかったなぁ。ごぼうの香りも抜けちゃって、期待はずれの残念。
炊き合わせには、丸豆腐を揚げた、いわば揚げ出し。巻き湯葉は表面を炙ってあるし、生麩は揚げたのかな。食事も最後になると醤油の味が胃にしつこくなるのはいつも通り。

ご飯は、ちりめん(?)じゃこをまぶした三角おにぎりを焼いてお椀の中。お出汁を張った茶漬け。
羊羹色をしたブドウのゼリー。マスカットがトッピング。

京都市が床の景観について規制を検討していると報道されていたが、今年の状況を調査して、規制案を検討するということらしい。床下の柱の組み方・材質・色や、張り出し具合、高さなど制限されるかもしれないそうだが、ばらついている方が風情があるように思うな。画一化すると店に個性が無くなってしまいそうだが・・・。
先斗町にも外人客があふれるが、店内もなんだかインターナショナルな客が増えている。


平成20年5月1日
今日のメインイベントに先斗町へ向かう。
玄関の墨書は、御主人の筆。ウナギの寝床の1階をずんずん奥へ。
床開きに合わせた「おいしいお酒と料理をたのしむ会」の今回は、奈良の「春鹿」・今西清兵衛商店さんのお酒。春鹿の社長と麻衣子ちゃん。津之喜の兄ちゃんと春鹿の桜井女史。

  • 先づけが「花まくら籠盛り」、鱒の柏寿司、鯛の粽寿司、ズイキ胡麻和え、イイダコ酒盗味噌漬け、ホタテ幽庵焼き、枝豆、のれそれ沖漬・もぐさ生姜、アスパラ黄身酢掛け
  • お椀が、鯛の白子真丈、ヨモギ麩、青柚子、ハス芋の茎、つる菜
  • 向付けが、アナゴ薄造り、焼き霜、腸?、浮き袋?、アサツキ、防風、撚りきゅうり
  • 賀茂ナス二色田楽、赤・青万願寺
  • 鯖の奈良漬けあぶり、もろみ味噌、新生姜
  • 鯉揚げ焚き、花山椒、こごみ、白髪ねぎ
  • もすく雑炊、長芋、三つ葉、香の物
  • キウィシャーベット
お酒は、順に

  • 春鹿・純米・超辛口
  • 春鹿。純米大吟醸生酒。斗瓶囲い、17BYと18BY
  • 春鹿・純米生原酒四段掛け。木桶造り・ヒノヒカリ精米歩合70%
  • 春鹿・純米大吟醸・活性にごり・しろみき
  • 春鹿・発泡純米酒・ときめき・ALC6度・精米歩合70%
先付けは、大原ゆかりの謡曲「大原行幸」にちなみ、夏実の籠を器に見立たもの。イイダコにこういう味付けをしたのは初めて見る。酒盗もいろいろな調味料に使えるもんですなぁ。ノレソレが沖漬とひと手間かけているのが嬉しいところ。粽も柏も料理屋ではお寿司になる。「花まくら」と名付けたのは、寂聴尼だそうだ。

お椀は、プルルンとした真丈。鯛の身も見え隠れしている。事前のお品書きには、花柚子・かたくちの花とか書いていたけど・・・ない。卯月の床は30人程度。このような宴席になると各テーブルで料理の出が同じようで時間差が生じて、熱くあってほしいものも、ちょっとぬるくなったルするのが残念。
お造りは、アナゴ。扇状に薄造って、要の位置に焼き霜やら内臓。おろしがついて、ぽんす醤油が出る。
各テーブルに預け蜂に盛った賀茂ナスが登場。白みそと赤みその二色田楽。もう賀茂ナスでございますよ。温度ばっちり焼きたて。
お凌ぎに、鯖を奈良漬の床につけたものを炙った珍味。奈良漬は粕漬けなんだろうけど、奈良漬けの床を使うことで、鯖の身の色も味も、奈良漬風の色と風味。もろみ味噌は潰して練ってあるのでしょうか?
炊き合わせが鯉。三枚におろして、子切りにして揚げ、それを甘煮風にしてある。白髪ねぎの香りと甘い醤油がとっても美味しい。五月は鯉を使うというから・・・。

御飯が、もずく雑炊。ズルズル雑炊の中に、コリコリした長イモ。ズルズルしゃきしゃき。
シャーベット。珍しくシンプル。いつもはマルチフルーツなのにねぇ。

昔(今ほど日本酒に詳しくない頃)は、春鹿の純米吟醸「白滴・而妙酒」というのが、お手軽な値段で、心地よいお酒で、よく飲んでいた。そのイメージはそのまま。喉越しのやわらかな優しい口当たり。超辛口は味は少ないけど、すっきりした味わい。四段木桶はほんのり甘い旨い酒。低精米だけど、そうは思えないお酒だった。木桶は3種類の仕込があって、社長の遊びのようだ。1本目は山田錦、2本目はヒノヒカリ、3本目は露葉風。「しろみき」も好まない濁り酒なんだが、穏やかな酒質とシュワシュワ感で、呑み飽きないし、まったりとしたもろみの癖を感じない。「ときめき」はルキュールグラスにロック。低アルコールで甘いけど・・・不思議に呑みやすい。くせのない酒ばかりなので、料理も楽だったでしょう。 最後に卯菴グループの調理スタッフ4人が勢そろい。3店で4名は・・・つらいなぁ。


平成20年3月30日
向かったのは、先斗町の「卯月」。今日になって気がついたけど、暖簾が掛かっているんだ。映像を記憶する脳が全然機能してないということですな。
人事異動の春です。2階のカウンター。桜をいけた壺は清水六兵衛。
  • 帆立のコンフィのゼリー寄せ、ごまペースト、うすい豆、うるい、花びら人参
  • 桜の枝の八寸に、イイダコ、アスパラ、鯛の桜寿司、壺壺にえび
  • しだれ桜のお椀には、海老の真蒸、クルマエビ、こごみ、わらび、木の芽
  • お造りが、初カツオのたたき、焼き霜のアブラメ、トリガイ、タケノコ、醤油とぽんす醤油、ワサビと生姜、花穂紫蘇、紫芽
  • 生ホタルイカの石焼、タラの芽(こしあぶら?)
  • 桜鯛の桜おろし和え
  • 甘鯛、タケノコ、焼き麩の木の芽鍋
  • 稚鮎・スナップえんどうのてんぷら、
  • 蛤雑炊、香の物
  • キゥイのシャーベット
松の司・純米吟醸・渡舟27号精米歩合麹50%掛55%・生・金沢酵母・限定300本 」。酒のお相手をしてくれたのは、めぐちゃんと鈴木さん。
お魚さんの器の先づけ。ホタテのコンフィをゼリーで固めたんをごまペーストの上に載せてある。うまいよぉ。和風のゴマペーストに、なんかひと仕事してるんでしょうねぇ。先斗町のカウンターは、お座敷のカウンターなので、松村君とダイレクトにやり取りできないのが残念。

唐津風の器に桜一枝。イイダコには木の芽、アスパラには黄身酢(固めてある)、桜でまいた鯛の寿司。海老さんは壺壺に何かで和えてあるのだが・・。
朱で描かれた桜のお椀は、海老の真蒸。海老ちゃんも微妙なカーブで曲がって入っている。山菜。
お造りは、初カツオ。これはぽんす醤油。タケノコが入るのが京都らしくも見える。
焼かれた医師がコンロで運ばれてきて、出てきたのは「生ホタルイカ」。酒焼きかな?ホタルイカが軽く浸けられているが・・何でしょう?石の上でプクッと膨れて、味噌がジュワっと飛び出す。一番酒に合いそうなんだが、松の司は苦手なようだ。焼いている分にはわからないが、入ってくるとイカ焼きの匂いが充満しているようです。
さっぱりとしたおろし和え。桜の葉を刻んで混ぜ込んであります。桜の花(塩漬けでしょう)も一輪。
鍋が出てきて、鍋出しの中に、甘鯛、タケノコ、焼き麩。木の芽がいっぱいなんだが、隙間が多いのが見た目に貧相。お味は確かで、飲み干しちゃいます。

てんぷらも、白魚から稚鮎へ変わってきましたねぇ。しばらくアユが出てきますな。
御飯がハマグリ雑炊。ハマグリのお味がでた旨い雑炊。黒七味
デザートには、キゥイをベースにしたシャーベット。

「京都情緒あふれる着物貸与・バイトしながら作法も学べちゃう!着物着付け指導有りっ」っていうバイトちゃんの面接があったようで、可愛い子ですよと、「接客経験のない方には作法から、丁寧に指導しますので安心して下さい」という人事担当嬢がいっております。京都は学生バイトが集めやすそうですな。


平成20年3月16日
向かったのは、先斗町の「卯月」さん。2階のカウンターに通される。床の間のお軸は澤庵和尚の「如春」。
先日の「蔵元見学+カモ鍋」のお客さんも来ていた。見学当日に女将が気に入った「純米吟醸・雄町・無濾過・生」(その時は槽口で呑んでいたお酒)が、メニューに載っていた。見学に同席されたブラボーな先生の揮毫による「卯月」ラベルの特別なお酒。
  • 黄交趾の器に、鯛の昆布〆にとろろ掛け
  • 八寸で、乾山写しの香合に竹の子の木の芽和え、桜の枝に白和え、海鼠腸、イイダコ、一寸豆、花びら百合根、鯛の子、鯛のてまり寿司
  • 京の名所を描いたお椀は、帆立真蒸、てまり麩、タケノコ、うるい、花びら人参、木の芽
  • リチャードさんの器に盛り込まれたお造りは、タケノコ、焼き目アブラメ、車えび、花穂紫蘇、ワサビ
  • サクラマスでタケノコを巻いた焼き物、菜の花、糸カツオ、辛子あんかけ
  • メバルとタケノコ、ふき、わらび、木の芽
  • てんぷらが、蛤とシイタケ、タケノコ、タラの芽
  • 揚げたアブラメ、ミゾレ煮、糸カツオ、菜の花
  • ホタルイカの釜めし、香の物、止め椀
  • イチゴのシャーベット
今宵のお酒は「善知鳥・大吟醸(山田錦・精米歩合40%)」だ。グラスから立ち上る香りの高いこと。めぐちゃん、いくちゃん、さとちゃんの3人娘がお相手。
雲竜文様の交趾の蓋椀に、ねっとり鯛の昆布〆。どろんとしたとろろ。
春らしい食材が並ぶ八寸。

丸い帆立の真蒸に、細かい細工のてまり麩が可愛い。卯菴にしては味のおとなしい真蒸だ。
お造り三種。タケノコは残念ながら「生」じゃない。バリバリと炙ったアブラメは皮目の脂が溶けて旨し。焼き目の車は足もつけてあぶってある。
焼き物が桜マス。鱒でタケノコを巻いてあります。辛子を溶かしこんだ餡かけは、案外といけます。

タケノコいっぱいの献立だが、タケノコメバルの炊き合わせ、ちょっと煮汁が(見た目も)濃いのが気になる。
てんぷらには、蛤とシイタケをハマグリの貝に入れ、殻ごと揚げてある。冷めにくい効果もあるようだ。ここでもタケノコ。堪能だ。
一品追加で仕事をしてもらったのが、アブラメを揚げて、霙仕立てにしたもの。香ばしさが旨い。出汁が辛いのか、ミゾレが辛いのか、呑めなかったが、アブラメにはしっかりあってます。
紫明並みに、お窯で炊いてくれていたのが、ホタルイカのご飯。そろそろ食べたくなってきていたホタルイカご飯が、先斗町で食べられるとは、嬉しいことです。生のホタルイカを使っているという。

デザートは、シンプルにシャーベット。

タケノコいっぱいの献立だった。アラカルトのメニューを見せてもらったら、いつのまにかお値段が書かれるようになっていた。あこぎな店じゃないけど、こういうのは安っぽくなるねぇ。先斗町を歩くお客も、お店も随分と様変わりしたからねぇ。
世間ではそろそろ春の異動の時期だが、卯菴グループでも配置転換をするようだ。それに床のシーズンを控えて、バイトも募集中。


平成20年2月10日
向かったのは、先斗町の「卯月」。おや、めぐみちゃんもいる。2階のカウンターに通される。
総料理長が風邪で早引けだそうだ。怖い怖い。
  • 先付に、トリガイ、うど、菜の花の黄身巣和え
  • 海鼠腸の玉締め
  • お椀が、カモ・タケノコ入りのユリネ饅頭、うるい、結び紅白、木の芽
  • お造りは、赤貝、鯛、鯛皮、サヨリ
  • 油もので、白魚、焼き目筍、蕨、うど(?)
  • 牛ロースの網焼き
  • 雲子・ホタテ、ユリネのグラタン、干しエビの粉
  • ドジョウの柳川、
  • (追加)諸子の塩焼き
  • 丸雑炊
  • 梅酒のシャーベット
今日のお酒は「松の司・大吟醸2007 classic・山田錦精米歩合35%・金沢酵母・4合瓶限定1860本 」にした。きりっとした口当たり。味はまだ開いてない印象。
織部の器に先づけ。織部釉に黄身酢が映える。走りのトリガイ。
温かい先づけ2品目という扱いかな?海鼠腸の玉締め。ええ塩梅。

お椀は、ユリネ饅頭。とろけるよな饅頭は、運んでくるだけで、そこにうっすら崩れ始めている。カモのうまみと、タケノコの食感が、ユリネの甘さに加わって、おいしい。最後は百合根のすり流しのようになってしまった。それが狙いかな?木の芽の香りがうれしい季節になってきた。

唐津に盛られたお造りは、赤貝、鯛、サヨリ。ぽんす醤油とワサビ醤油。
春めく白魚のてんぷら。タケノコの天ぷらは香ばしい。山菜。銀釉?
コンロが運ばれてきて出てきたの牛ロース。炭であぶって網焼き。煙もうもう!おろしポン酢。
お初の料理らしいが、雲子のグラタン。他にもホタテや百合根。香ばしい海老を粉にして振りかけてある。豆乳かと思ったが、ちゃんとベシャメルソースを作ったそうだ。さすがフランス帰り。グラタンとはいえちゃんと和風に仕上がっているのが不思議。ブラボーな味わい。
しっかり味のドジョウの柳川。まるっぽではなく開いたドジョウ。尻尾まであるよ。汁っ気が多いけど・・・。♪春になれば、どじょっこだの、ふなっこだの♪
横のほうを見やれば、コンロで焼かれているのは「諸子」。「あれ!食いたい」というので追加してもらった。先日の酒の会でも食べたんだけど、あるなら食いたい諸子です。撮るのを忘れた。
ご飯は丸雑炊。身もいっぱい入ってるし、卵まで。紫明なら鍋で出てくるだろうけど、ここではお茶碗。一杯だけ。
デザートは、梅酒ゼリー

冬の食材が消えて、春めく献立。八寸がなかった。なければないでさびしい。


平成20年2月4日
向かったのは、先斗町の「卯月」さんの「美味しいお酒と料理を愉しむ会・二月立春大吉」に出かける。お酒は「津之喜酒舗」の協力で、月の桂。今年も渡部杜氏の参加。珍しく夜の開催。スタッフも大変だ。ご苦労さま。寺井のご主人もお酒好き。
折敷の上には「卯月の焼印の枡」が置かれている。お土産。(反対側には松竹梅!)
  • 開運七運盛り、アンキモ羹、金柑イクラ鋳込み、銀杏、南京茶巾、蓮根黄身寿司、梅こんにゃく、杏蜜煮
  • お椀は、蛤仕立て寄せ真丈(蛤・エビ・うに)、うぐいす菜、結び紅白、木の芽
  • 向付が、鯛、よこわ、さより、あおさ海苔、防風
  • 焼き物は、本もろこ塩焼き、新筍木の芽焼き、木の芽酢、はじかみ
  • 珍味には、ナマコ共会え、のれそれ香梅酢漬け、一寸豆、雀照り焼き、花びら百合根、千枚鏑、赤貝・菜の花・タラの芽・山葵酢味噌掛け
  • イワシ五穀握り寿司
  • 鍋仕立てで、白魚と春野菜のふかひれあんかけ、ほたて、エビイモ、ウド、京人参、芹、ちらし長いも
  • 新筍ごはん、わかめ・タケノコ・ミツバ・木の芽
  • 水物は、梅シャーベット
最初に出てきたのは「立春朝搾り純米吟醸・旭精米歩合50%」というのん。今日の日のために仕込みを調整しているというお酒で、京都の「旭」という復活させた酒米をかもしたお酒。流石に香りも高いのは当然だが、新酒にありがちな香りも抑えられているので、心地よい。これは、桝酒。
実は昨日から絞っているようで、その3日に無加圧のしぼりたてがあって、昨日も酒の会を開催していた。その分も出て、呑める。
このお酒を仕掛けたのは、地酒販売の全国の蔵元や酒販店などでつくる「日本名門酒会」のようだ。滋賀では藤居本家が6年前から参加しているという。
「ん」がつく食材の先付け「開運七運盛り」。昨年の立春の時も「ん」尽くしだったけど、用いる食材のルールはないようだ。

今頃からひな祭りにかけてしばしば提供されるハマグリの真丈のお椀。ハマグリのお出汁は、大好き。春が近づいていることを感じる味のひとつ。
どの料理の時にどのお酒が出てきたか、記憶が不正確だが、順に
卯月・純米吟醸・しぼりたて・祝精米歩合50%
祝・純米大吟醸
純米大吟醸・斗瓶取り・祝精米歩合40%・18BY
が出る。今日は、月の桂の特徴の古酒とか濁りは抑えめ。料理も美味しくいただける。蔵に残る一番古いのは40年弱という杜氏の話であった。怖いもの呑みたい気分。

お造り三種。さよりには振り柚子。
焼き物は、寺井のご主人の織部のお皿にでてくる本もろことタケノコ。すでに焼かれているのでコンロで温めるだけ。昔、粟田口のあったころは、麻衣子ちゃんやナナちゃんが、カウンター越しに焼いてくれたことを思い出してしまう懐かしい食材。だから、できれば、目の前で焼いてほしいと思うのだった。
中皿という珍味盛り。梅の枝一枝。猪口に入ったノレソレには梅の香りの加減酢。最近ではスーパーでもパック入りで売られているノレソレだが、アナゴの豊富な泉州では、アナゴの漁獲が減っているとワイドショーで見たばかり。稚魚をがばがば食ってちゃ、資源も減りますわなぁ。ここは禁漁にでもした方がいいじゃないかない。竹の器にてっぱい風に酢味噌で和えた春野菜と赤貝。スダチの釜にコノワタ。

渡部君が、別の宴会に出にゃならんというので退席。東京農大出身ということで、大根踊りを披露してくれはります。農大出身だからと言って詳しいわけではないし、得意にしてはるわけではないのに、ようやってくれはりました。大根が1本しかないというのが愛嬌。来月予定している酒の会の蔵元の専務も東京農大だけど・・・・。横で音頭を取るのは、無責任に煽る「つのき」の兄ちゃん。

珍味に合わせて出てきたのが「純米・旭(燗酒)」だったと思う。ちょっと酸がきついかな。
春めく鍋は、白魚の卵とじ。それだけでは芸がないので、野菜も盛りだくさん。ふかひれはちょっとだけ。

もうタケノコごはんです。
出すのを忘れていたいう「にごり酒・純米」。シュワシュワの発泡で、食後にスッキリ。梅のシャーベットにも違和感がない。でも一口で十分。

日本料理には、日本酒ですなぁ。(ブラボーな先生は、清酒といわなきゃいけないと、力説する。)どのような日本料理にも、差しさわりがない。当然乾杯から、清酒なんだが、そもそも日本料理の献立は清酒を考えているはずなんで、「とりあえずビール」に合う先付けを献立に組み込んでいるはずがない。と思ったのだった。


平成20年1月4日
年末年始も関係なく、休みなく営業を続ける有り難い料理屋さんの「卯月」に向かう。
2階に通される。床の間には結び柳。窓際に餅花。
  • 祝盛りの八寸には、海老の黄身寿司、龍皮巻き、柿巻き、唐墨、金柑いくら、カズノコ、のしうめ、大王松に刺した金箔黒豆・ちしゃとう・人参・大根・ちょろぎ
  • 宇治橋のお椀には、白味噌仕立ての海老と頭芋の真蒸、人参、ウグイス菜、かつお節、こんぶ
  • お造りは、伊勢エビ、鯛の昆布〆・塩昆布
  • 縁起米(赤米)の飯蒸し。アワビ
  • 焼き物には、鰆の味噌漬け、焼き車エビ、はじかみ、絵馬見立の焼き長芋、大根サーモンの砧、柚子皮の蜜煮
  • 雪鍋(砲金鍋に蕪鋳込み・アワビ・フォアグラ・鴨・南京・人参・銀杏、蕪のミゾレあんかけ・ほうれん草、柚子)
  • バチコの茶漬け、餅入り、香の物
  • 柚子釜に柚子シャーベット
今宵は田酒・純米大吟醸・磨き四割五分・山田錦精米歩合45%を呑む。スタッフと「おめでとう」と今年の挨拶代わりに呑んでいたら、ハイペースになってしまった。
やっぱりこういうのが出てくるだろうな、と思ったのが出てくる先付け。お節の内容そのままなので、笑っちゃった。3本の松葉が出るという「大王松」に串刺しして、結んである縁起物が金箔黒豆・ちしゃとう・人参・大根・ちょろぎ。

海老と頭芋の白味噌というから、思い出したのは、お正月に無理矢理食べさせられた頭芋のゴロッと入った雑煮だ。それを思い出したから嫌だなぁと思ったら、フワフワのトロンとした真蒸だった。海老の旨味と出汁の旨さが混ざる卯菴ならではの真蒸の旨さ。餅入りじゃない。平等院・宇治橋・柳のお椀。橋は鈴箔?
お造りは、海老と昆布〆。季節柄、新鮮な鯛はないだろうなと思うし、新鮮な鯛なら〆る必要はないと思うのだが、「昆布」は「よろこぶ」に通じるとか、上手いこと言われて、そういうことにしておきましょう。海老さんは活きていたらしい。
飯蒸しには、赤米。固い目の食感で、もちもち感とか粘りとかはないパラパラで、飯蒸しのイメージとは少し異なるけど、おもしろい。アワビは肝いり。
焼き物は鰆の味噌漬け。長芋は絵馬見立で、穴も空いているし、そこに三つ葉が結ばれている。鼠の絵でも描けばいいのに・・。それはともかく海老も旨いし、鰆も旨い。はじかみが効きすぎ。

無理を言っていたのは「雪鍋」。まだ粟田口に店があった頃に雑誌に紹介されていた料理で、生クリームを使ったというものだった。料理長のヨッシーは素材そのものは立派に再現してくれたけど、生クリームは省いたようで、分からなかった。蕪をくり抜いた中にアワビ・フォアグラ・鴨・南京・人参・銀杏。そこにごまペーストが載せられて、蕪のミゾレと絡んで美味しい。鴨や胡麻やフォアグラから出てくる脂分が旨さを増している。

ご飯は、バチコの炙ったのを刻んだ茶漬け。いや出汁漬け。塩の塩梅と出汁の加減がいい。
デザートは柚子のシャーベット。器が柚子釜。

三が日はお昼の営業もしていたそうだが、飛び込みのお客さんもちらほらあるそうです。流石、観光地。流れてきはるんですな。それに週に一回の定休日も今年から無くなるという。厳しいなぁ。人間休まないと続きませんよ。


平成19年12月24日
お昼のイベントへ、先斗町の「卯月」に向かう。三条大橋で、北の空に向かって携帯のカメラを向けているのを不思議に思えば、アラ、レインボー。キレイなので撮っておくが、この前、虹の出た日の食事はダメだっただけに一抹の不安。

昨年1年間開催してきた、京料理とお酒の会も、2年目。今回は『美味しいお酒と料理を愉しむ会.番外編「和.飲の聖誕祭」』で、ワイン・インポーターのピーロートさんとのコラボ。鈴木さんや、リエちゃんもプライベート参加で、総勢13名の参加。
挨拶に立っているのは、ピーロートの営業の山本氏。今回カメラマンが入って、撮影するそうである。毎度のことで、挨拶はマイコちゃん。なんでも、本にまとめるとか・・・顔がさしてはいけない。カメラマンちゃんは、来年「辻留」さんが本が出版するにあたり、椀の写真を担当しているらしい。昨日の今日で縁がある。

  • 先付けが、牡蛎の薫製と香味揚げ、海老このこ揚げ、帆立黄身バター焼き、豆腐の味噌漬けに平目煎餅・イクラ載せ、ちしゃとう、平目の煎り酒〆
  • お椀が、牡蛎と蕪のミゾレ仕立て、微塵の人参、振り柚子
  • 向付けには、マグロのタルタル、大葉・穂紫蘇・芽ネギ・ウド・茗荷
  • 炊き合わせが、胡羅亜源鍋(まる・まる豆腐・丸大根・海老芋・くわい・金時人参・三度豆・大黒シメジ・白髪ネギ)
  • 中皿として、コンロが出てきて、的矢牡蛎・海老芋・くわい
  • 焼き物が・石焼きで、マリネした鴨ロース、フォアグラ、山葵菜のサラダ・鴨汁とバルサミコを使ったドレッシング
  • お漬け物のお寿司
  • 胡桃のアイスクリーム・リンゴとタマリンドのソース・マスカルポーネクリーム添え
最初にサービスされるお酒は、シャンペン「ボワゼル・ブラン・ドゥ・ブラン・シャルドネ」で、スキッと辛口。最初からハイペースで呑んじゃった。
カットガラスの皿にヒノキの枝を敷いて、盛り込まれた先付け。薫製の牡蛎や揚げて青海苔のまぶした牡蛎といい旨い。パリパリの平目餅だが、こういう食感はシャンペンに合うと山本氏の説明。ポテトチップスなんかもよろしいそうです。その煎餅にサンドされているのが豆腐の味噌漬け。いい出来あがり。平目の煎り酒〆は、昆布を嫌ったのでしょうか?それぞれ美味しいので、日本酒でもイイジャン。

白ワインに変わって「グロウヴ・ミル・ソーヴィニヨン・ブラン」というニュージーランドのワイン。ソーヴィニヨン・ブランはニュージーランドがどこよりもいい出来だそうです。軽いのみ心地の雑味の少ないキレイさ。これは、日本酒に近いようだ。
続いてお椀が、みぞれ仕立て。ここでも牡蛎だ。卯菴さんなら「牡蛎真蒸」とかにしそうだけど・・・。蕪の旨味が出汁にも出ている。
向は、刻んだマグロのタルタル。面白い味。タルタルにしたのはワイン用の工夫でしょうかねぇ。ワインに合わせるためにマグロを刻むような料理は、普段しないでねと思うのだった。日本料理屋では、お造りを醤油で食べとうござる。
ここで、赤ワインの「シャトー・ラ・カバンヌ1995」というフランス・ポムロール。メルロー94%。色合いはちょっと枯れたような煉瓦色。
今年売り出し中のオリジナル鍋の胡羅亜源鍋。コンロの上に置かれて保温されているが、葛を入れているというので、トロンと粘りのある出汁。丸の香りは抑えめ。それぞれの野菜も下味が付けられている。これには「白ワイン」がいいとおおかたの評価。昨晩、頼まなくてよかったぁ。
既に、火の通った牡蛎・くわい・海老芋が出てきて、コンロで暖める。カリッとホクっとした海老芋・慈姑が好きだ。牡蛎も旨い。
次の赤は「シャトー・ボーセジュール・ベコ1986」という樽貯蔵していたモノを、特別に瓶詰めしてきたという。
焼き物は石焼き。滅多に使わないそうだが、焼き石がでてくる。鴨を軽く両面焼いて、フォアグラも軽く脂が滲む程度で重ねて食べる。旨いですねぇ。サラダのドレッシングも一工夫。松村君の経験から来る一品かな。
漬け物の酸味がワインに合うのでしょうか?むちゃの家訓で、漬け物でお酒は呑みませんです。それに、お米で酒は呑みません。色合いもキレイで、千枚漬け、人参(?)、白菜、細巻きが、柴漬けと壬生菜(?)。人参と思えるのが一番美味しかった。
デザートも、凝ってますなぁ。赤ワインを注いでくれたけど、それも面白い。

工夫次第では、日本料理もワインには合う。でもワインのために工夫した料理は、好んで食べたくもないなという印象は変わらない。むしろ、フレンチやイタリアンでも無理がないと思う日本酒の方が好きということを再認識。たまにはこういう機会があってもイイナと、感謝。
山本氏の話では「柑橘類」はワインに合うと言うことで、ポン酢醤油で食べる鍋料理にはいいとおっしゃる。試してみましょう。
最後に料理担当の松村君と山本氏が握手して、写真に収まっていたけど、どんな編集になるやら・・・。フランス・ワインをもっと置くようになれば、ミシュランの☆も夢ではないと思うのだが、いまでも外国人でカウンターが埋まる日があるそうだ。フランス語を話せる料理人がいるというのも、強みだな。ピーロートさんは嵐山吉兆や和久傳とかに納入しているそうで・・このあたりは、その時が来れば当確かもね。日本料理屋への営業にも追い風のミシュランのようだ。
思い出したけど、今夜はクリスマスイブ。「ゴースト」のケーキを持ち帰りで頂く。「モエ・エ・シャンドン ネクター」と書かれたカード。シャンパンと苺のムース、シャンパンのクリーム、グロゼイユのジュレ、洋梨のジュレ、苺のコンポート、アーモンドパウダーのスポンジ。


平成19年12月23日
帰りは時間的に余裕があるので、地下鉄を乗り継いで、三条。呑みに出ようと電話したところはイッパイのようで、手軽に馴染みの「卯月」に電話を入れる。一階のカウンターなら空いているというので、了解。
バーテンダーの人間が少なくなったというので、バーとしての「卯の花」は規模縮小状態。ジンもおいてないという。甘いんを頼んでしまって、ジュース代わり。
でも、突き出しを出して貰ったら、「黒龍」で、郁ちゃんとダラダラとした時間を過ごして、「明日もよろしく」とおいとまする。先付けだけで2時間も申し訳ない。

平成19年9月17日・月・祝
先斗町の「卯月」の「美味しいお酒と料理を愉しむ会・第10回・秋あがり」というタイトルの宴会に出かける。
お馴染みさんもちらほら。
今回の「秋あがり」のお酒は上原酒造のラインナップ。21日から発売する「ひやおろし」を、あらばしってくれるという、フレコミ。参加は、上原忠雄社長と営業の藤井君の2名。
献立は、上原酒造の地元の、水から・・野菜と肉と玉子と米・・を使った
  • 先付八寸に、鮎の白ウルカ共和え、衣かつぎ、揚げ稲穂、大徳寺納豆鋳込みの玉子味噌漬け、煎り銀杏、長とうがらし茗荷もろみ和え、鴨スモーク、鱒のスモーク
  • 椀が、ウナギ豆腐、うなぎ白焼き、松茸、結び水菜、柚子
  • 向が、高島シャモの造り(ささみ、むね)、肝、心臓、ずり、皮、おろし生姜、防風、ごま油入り旨味醤油
  • 焼き物が、子持鮎の塩焼き、蓼酢、中骨はウルカ焼き
  • 焚き物は、冬瓜スッポン鋳込み、おこげあんかけ、丸豆腐、白髪ネギ、シャモ塩焼き
  • お凌ぎに鮒寿司、すし飯の焼いたん、
  • のぞきの器のお凌ぎ、青菜・松茸・菊菜のお浸し、松の実、松の実
  • 口替りが、白和え、大徳寺麩、柿、車エビ、松茸、サンマ、菊菜
  • ご飯も、当然、高島産、鮎一夜干しの焼き物(酒盗・このわた)。香の物
  • 高島産葡萄の羊羹
葉蘭に八寸。スダチの釜に鮎の共和えと、茗荷を諸味で和えたんとは、ちょっと辛い。最初からしっかりした味の「不老扇」に合わせたんでしょうか?黄色いのは君の味噌漬けの真ん中に大徳寺納豆をいれたん。ポップライスは、半分くらい生でちょっと早かったようだ。ちょびっと川鱒がスモークで出ていたけど、びわ鱒かも・・
日月の椀は、ウナギ豆腐。琵琶湖産かな?白焼きが載る。味の点で松茸がウナギに負けているようだ。

向こうには、地飼いのしゃものお造り。生とタタキで2種類。内臓もちょっとずつ。生姜をつけて頂きます。醤油にはごま油で臭み取り。別段臭くないんだけど、ごま油が合う。美味しい。
焼き物は鮎の塩焼き。蓼酢の緑が綺麗だし、腹に切れ目を入れて、ぷっくり膨らんだ内子も鮮やか。そろそろ骨も固くなりそうだけどまだ骨も柔らかく、かぶりつける。先付けで使ったスダチ釜に使った鮎の骨だろうか、ウルカ(腸)でやいた中骨。水分が抜けきっていないので、カリッとパリパリに揚げた方が好き。
炊き合わせが、スッポンの身を中にした冬瓜。でも冬瓜が崩れやすいので、あまり形は綺麗じゃなかった。卯菴の丸出しはとっても濃いのだが、今日は淡い。そぼろのように浮いているのが、オコゲ。先ほどのシャモを焼いたのが1枚。

鮒寿司1きれ。鮒寿司のすし飯を焼きおにぎり風に一口。こういう食べ方もあったのねぇ。
湯飲みのような器にお浸し。
白和え。大徳寺麩に和え衣が絡んで旨い。
お釜で焚いた白ご飯。おかずが、一夜干し。一夜干しで開きにして焼いたんに、酒盗(またはコノワタ)をのせる。コノワタはちょっと弱い。酒盗というのはエエ調味料ですなぁ。
最近有名になってきたというガリバー葡萄。生では甲斐路のような淡い紫色。葡萄ゴロゴロ。羊羹にせず、生の方が好き。

酒のための料理ということだったんでしょう。アクの強い料理が続いた。

出てきたお酒は、だいたいこの順番だったと思う。

  • 不老扇・山廃純米吟醸・備前雄町55%・無濾過生原酒
  • ひやおろし・山廃特別本醸造 玉栄60%
  • 山廃仕込み・純米大吟醸・無濾過生原酒・木桶仕込み 玉栄49%
  • 山廃仕込み・純米大吟醸・火入れ・木桶仕込み 玉栄49%
  • 13年古酒
  • 不老扇・山廃純米吟醸・中汲み・山田錦55%・無濾過生原酒
  • ひやおろし・木桶仕込み・木槽天秤搾り
最初から濃ゆいのか出てくる。開栓して片口に注ぐだけで、酒の香りがプンプン。無濾過生原酒はガツンときて、喉に残るので、好みじゃない。そのせいか続いて出た本醸造「ひやおろし」がすっきりと心地よい。木桶で仕込むとどう変化するのか、精米歩合も高いこともあって、分からないけど、磨いた方が口当たりが優しい。火入れの方がさらにいい。
京料理と日本酒とを楽しむという趣旨であるが、やはり不老扇は型破りで、料理もそれに合わせるのは苦労しているんだろう。酒に合わせる料理を作るか、料理に合う酒を選ぶかという、究極の選択を迫られたら、料理店としては、後者の立場を護るべきであるんじゃないかと思うのです。そういう意味で、不老扇を選んできたツノキさんの選択ミスとも思えるな。もうツノキさんが扱っている銘柄を考えると、手詰まり?
淡く琥珀色した10年古酒は、・・・古酒としてはいいんじゃない?(ひとごと)。燗もして貰ったが、紹興酒を暖めて呑むのも納得できる味ということだ。いい評価だったら販売すると蔵元は言っていたけど、どうするのかな?
話題の「渡船」を専務のイサッチにリクエストしていたのに、持ってきていない。つれないねぇ、紫明のピロちゃんの栽培した山田錦の「椋川」もリクエストしていたのに、これも無視された。ちゃんとイサッチに伝えていたのに、社長は全然事情を知らなかったようで、むちゃはご機嫌斜め。

もう直に夜の床が始まるという頃まで(いつものように)長引いて、ご迷惑をおかけしました。今月で当初の予定の1年終わったけど、まだ続けるらしい。なんだが蔵元と2月の新酒の搾りの時期に蔵見学で、鍋をするという話が出来ているようだ。ちょっとは人数がふやせるんちゃうかな。


平成19年7月8日・日
先斗町に戻って「卯月」の「美味しいお酒と料理を愉しむ会・第七回・ローランペリエシャンパンの会」に出かける。
2階のカウンターも満席。
今回のお酒も「津之喜酒舗による、サントリーのローランペリエの4種類。サントリーからのゲストは、スペシャリストいう肩書きの久保將氏と京都支店の長岡亮氏の両名。
  • 先付八寸が、スダチ釜のハモの子塩辛、鮎のなれ寿司、ゴリの旨煮、豆腐の味噌漬け、キャビア・サーモンマリネ巻き、枝豆
  • 向付が、ハモ薄造り、ハモへぎ造り、肝、笛、皮、アサツキ、おろし
  • 椀が、早松とアワビの真蒸、ジュンサイ、冬瓜、オクラ、松葉柚子
  • 冷やし小鉢で、小芋、蛸、南京、三度豆、冬瓜、車エビのそぼろ、あんかけ、振り柚子
  • 中皿は、能登の岩牡蛎
  • 焼き物が、鴨の塩焼き、白髪ネギ、芽ネギ、茗荷、スダチ
  • ご飯は、ハモ雑炊、香の物
  • 水物が、マンゴ、ゼリー
  • 洋菓子が、ローランペリエ
最初のシャンパンは「ブリュト LP」というのん。グラスはローランペリエの文字入り。
ガラスの器に梶の葉。鱧の子の塩辛のスダチ釜の蓋に果肉が付いているので、搾るのだそうだ。今まで気が付かなかったぁ。なれ鮨の鮎の骨の部分は、叩いてある。塩辛・なれ寿司・味噌漬けとクセのある八寸だが、結構、シャンパンでも邪魔をしない。

沼島のハモのお造りが2種類。厚みのあるへぎ造りは骨抜き。内臓もちょろっと。フランス産の塩と出汁醤油の2種類。
グラン・シエクル」というビンテージの物3年分をブレンドしたという説明。香りも高いし炭酸も柔らか。
金閣寺の派手な蒔絵の。麗しい。今年最初の松茸。卯菴の旨味の濃い真蒸。薄くスライスした冬瓜、輪切りのオクラ。

ブルーのコバルトガラスの器に冷たい炊き合わせ。「いもたこなんきん」です。売れ行きがいいシャンパンなので途中でなくなって「LP」が再び出る。
能登の岩牡蛎はちょっと小振り。
岩牡蛎に合わせたという「ウルトラ・ブリュト」という加糖をしないシャンパン。むちゃの舌には味がない印象で、ちょっと好みじゃないな。
スペシャリストの久保氏が是非鴨に合わせて欲しいと言っていたという「ブリュト・ロゼ」。普通は、白ワインと赤ワインをブレンドしてロゼのシャンパンを作るのだそうだが、これはロゼワインを作る方法から製造するらしく、苦心の作品だという。これが一番好みの味だった。
は残念ながら焼きすぎで、焼きたてではない。大勢の料理を一度に出すのは難しいということでしょう。

ご飯は「ハモ雑炊」。しっかりハモの味をだすと思っていたが、思ったよりあっさりで、物足りない。

水物はグラスでゼリーとマンゴ
今日のお客に、祇園のシャンパンバー「kugel」の西田さんがおられて、「ghost」のケーキ「ローランペリエ」が特別に出る。興味を引くケーキ屋であるが、持ち運び1時間とかいわれると、イートインが出来るまでは無縁だな。

で、シャンパンは日本料理と合わないような組み合わせは、なかったが、特に素晴らしい組み合わせも無かった気がする。料理を通してシャンパンを呑み続けるのは、どうかと思うけど、「とりあえずビール」なんかよりは、「とりあえずシャンパン」という方が好ましくは思えた。
何でも一人1.5本分を用意したというシャンペンがなくなってしまったと言うから、今回はお客にとってはお得な酒の会だったかも知れない。


平成19年5月1日・火
雨の中お出かけして、先斗町の「卯月」の「美味しいお酒と料理を愉しむ会・第七回・川床開き」に出かける。床での食事が出来るようで、机が並んでいる。読売テレビは2軒上手の「天下一品・味がさね」のようだ。ライトで眩しい。
今回のお酒は「津之喜酒舗」のお世話で「富翁」の「北川本家」。綾部の河北農園さんの京野菜がコラボ。
北川幸宏氏と河北卓也氏が参加。
2回目のゲストの梅の宿の社長も来ておられし、ソムリエールやコンシェルジュやら・・。

富翁さんの梅酒(日本酒ベースと焼酎ベースのブレンド)で乾杯して、北川専務、河北氏と挨拶がすむと、雨が降り始めて、寺井主人が素早い決断で2階へ移動。バタバタとしまう様子を、面白く見る。そして宴会が始まった。
お酒のラインナップは、めんどくさいので列記。ただし3本目に出てきた燗したお酒は、呑んでないなぁ〜〜なんだったのかなぁ?

  • 富翁・丹州山田錦・純米吟醸・山田錦精米歩合55%・火入れ・17BY
  • 富翁・丹州山田錦・純米吟醸・山田錦精米歩合55%・生
  • 富司・純米吟醸・無濾過生
  • 富翁・大吟醸・鑑評会出品酒・原酒・山田錦精米歩合38%・10号酵母
丹州山田錦は綾部の河北氏の栽培する酒米。美味しいコシヒカリは北川本家でも購入できるそうだ。
全体の印象として、やはり伏見の酒らしく、甘く感じる。メーターは+8まで切れているそうだが、こういう酒になるそうである。少々落ち着いた火入れは、燗冷ましも頂いたが、こういう飲み方の方が本領かも。
非売品という出品酒も、磨いたけれど、口当たりは甘く感じる。キレは良くなっているが、10号酵母らしいが、今となってはレトロ。香りの出る出品酒のイメージは余りない。一般の人には香りが高いようだが・・。
で、料理の方は
  • 先付は、胡麻豆腐、ウスイ豌豆、海胆、木の芽
  • 椀が、海老真蒸、わらび、焼き椎茸、花柚子
  • お向が、淡路のアブラメ、トリ貝、花穂紫蘇、紅タデ、山葵
  • お凌ぎに、鯛の粽寿司
  • 焼き物が、皐月鱒の幽庵、江戸生姜
  • 炊き合わせが、賀茂茄子揚げ煮、味噌ダレ、車えび、花山椒、オクラ
  • 酒肴が三種、なめろう、剣先イカのコノワタ和え、子鮎南蛮・焼きネギ
  • ご飯が筍飯、生麩の赤だし、香の物
  • グレープフルーツのゼリー
先付けは胡麻豆腐。出汁を張って、豆のママウスイがゴロゴロというのは、妙に新鮮だ。
お椀は、旨味たっぷり、甘味たっぷりの海老真蒸。嬉しい花柚子。コリッと噛めば香りが広がるうれしさ。
お向は、アブラメ。今年はアブラメが大漁だそうですな。環境変化が原因だとテレビで言っていた。トリ貝いまいち。てっきり鱧が出るかと思っていたけど、椀でも向でも走りのは頂けませんでしたな。
先日「津乃喜」に寄ったときに、テル君が「舞妓」さんを呼ぶと喋っていたのだが、寺井主人が挨拶でサプライズと言っていたのは「久乃」ちゃnだった。床開きのかき入れ時なんでしょう。あまり長いことはいなかったが、一部で盛り上がっています。河北氏が弟子である二十歳の青年を連れてきていたのだが、冷やかされているのだ。

お凌ぎは粽。穴子と鯛とキスの三種類が出てきて、どれが当たるか運次第。それぞれに好みが出るようだ。
焼き物は幽庵、皐月鱒。
炊き合わせが、河北家の初物の賀茂茄子。賀茂茄子と丸茄子の見分け方の講習会も開催だ。東京では丸茄子が賀茂茄子として流通している事をお嘆きだ。まだハウスモノらしい。白味噌のタレが美味しい。柔らかトロトロの茄子。
珍味三品。お釜でご飯が炊きあがるまで30分間、みんな、これで酒を呑み続ける。
河北氏の持参の筍でのご飯。ちょっと茹ですぎかな?
デザートはプルプルに崩したゼリー。
卯菴グループ総出の床開きだった。2階もごった返す大盛況。6月は田植えで、7月はシャンペンと懐石となる予定。
俊君が、割烹着でうろちょろしているではないか?どうやら料理の勉強も始めたようだ。楽しみなことです。


平成19年4月12日・木
予約していた先斗町「卯月」での晩ご飯にどたばた慌てて向かう。JRに乗るほどではないので、車中で瞼を閉じて眼を休める。あぁ辛い。
2階のカウンターでの食事。入れ替わりはあるが、3組9人の外国人!なんだか凄いなぁ。ホテルのコンシェルジュの紹介もあるそうだが、指名の場合もあるそうで、どうやって調べているんでしょうねぇ?
床の間は狩野探龍でしょうか?桜。
  • 先付けに、皮を炙ったアブラメ、ふき、わらび、梅肉
  • 椀が、あぶらめ、竹の子、菜の花、木の芽、炙ったバチコ
  • お造りが、鯛、マグロ、トリ貝
  • ノドグロの焼き物、コゴミの木の芽味噌、飯蛸
  • 人参葉の白和え
  • 鯛のアラ煮、竹の子、白ネギ
  • 穴子茶漬け・刻み大葉、香の物
  • 黒ごまのアイス
今日は「御湖鶴・純米吟醸・新美山錦50%・おりがらみ」。プラムのような甘い味がトップにくる。生酒のせいだろうか、華やか。でも、食事と合わないと言うことはない。むしろ、食事と一緒でないと・・・。火入れした方が、落ち着いて好きかも。
先付けからアブラメ。イクちゃんが英語でメニューを用意しているのだがグルーンリング(?)っていうのかぁ。梅肉を崩して風味付けしてあって、先付けとしていい心地の塩梅なんだけど、折角炙った脂が、冷やしてしまったら元の木阿弥ではないかと、思っちゃいます。
3日続けて日本料理を食べるという偏食スケジュールだけど、お椀は3日続けて、アブラメ(あいなめ)。下がり藤が全面に描かれたお椀。
お造りは、鯛、マグロ、トリ貝。
頭が嬉しいノドグロの焼き物。ザングリとドンと出してくるあたり、献立が変わったという実感がする。脂が滲んで美味しい。皮も旨い。骨までしゃぶるのは、常。
ボンボリの器に白和え。どうやら八寸めいたものは、ないようだ。料理長が変わったという実感がする。
頭が嬉しい鯛のアラ煮。皮も旨い。骨までしゃぶるのは、常。最後の方に出てくる煮付けは、薄味の方が嬉しいが、個人的には甘味が強い。
あっさり穴子の茶漬け。出汁漬けですけど。穴子とか鰻とか強く煮染めて、ご飯に載せて、お茶をかけて柔らかくふやかして食べるのは見かけるが、薄味に煮詰めているサラサラと頂けます。
デザートが黒いアイス。

来週から、の支度に入るそうだ。今年の床のパンフレットの表紙の絵は「クリフトン・カーフ」の版画だが、「うづき」の提灯が読める。うづきの床から見た風景なんでしょうね。昔は、よく来店されていたそうだ。


平成19年3月11日・日
卯月」で晩ご飯。ちゃんと食べるのは、1年ぶり。
玄関では、リエちゃんとイクちゃんのお出迎えを受ける。2階のカウンターに案内される。
カウンターには、まだお客は居なかった。ここのでっかい絵はひな人形コレクターの観方さんのだったなぁ。床の間は狩野派の桜のお軸。
  • ホタルイカ、若布、菜の花、芥子酢みそ
  • 造りが、炙ったよこわ、炙った鯛、いか、こごみ
  • お椀が、桜鯛の葛打ち、よもぎ豆腐、筍、わらび
  • 鮭の幽庵木の芽焼き、焼き筍の木の芽味噌田楽、やまうど、もろみ味噌
  • 梅見そば
  • 炊き合わせが、海老入りひろうす、鯛の子、飯蛸、うるい、白髪ネギ
  • 酒肴、筍の木の芽和え・イカ、いくらの沖漬け、花山葵おひたし・ばちこ
  • 桜エビと山菜の釜飯、香の物、帆立真蒸の赤だし
  • 胡麻豆腐の黒蜜掛け、きな粉
お酒は「大治郎・吟醸よび酒・生」。甘くてコクがあって、インパクトのある濃い旨味。料理と一緒だと苦にならないけど、酒だけだとクドく感じる。
先付けの若布は茎の部分をつかうというのは、めづらしい。始末?な料理。
お造りは、皮付きのヨコワと鯛を炙ったん。鯛は火が入りすぎ。皮だけ焼いてくれなきゃ。イカが面白い切り方だった。
お椀は、鯛と「よもぎ豆腐」。漢字で書くと、春らしい彩りのようだが、ヨモギの香りが弱いし緑色も淡い。お上品な鯛。カツオの香りを押さえた出汁は柔らかで滋味豊か。筍は四国産。
乾山風の絵柄四方皿に、鮭の幽庵焼き。鯛を桜鯛として出しているんだから、鱒を使って欲しいところ。木の芽の味噌ももろみの味噌もとっても旨い。
箸休めが「そば」。さっぱり。
甘いお出汁の炊き合わせ
竹駕籠に盛り込まれた珍味。しっかり味のイクラと大治郎がよく合わない。喧嘩するような味。
ご飯の前に一品を頼みますかと、メニュをみるけど、コースに組み込まれているのがほとんどなので、ご飯にすすむ。ここでは、アラカルトで頼むより、お任せにした方がいいと思えるメニュー。
お釜で焚いてくれたご飯。桜エビと山菜。綺麗だった。食べきる。
デザートが胡麻豆腐とは・・・。変わってきた?

他のお客さんが帰ってから(ここでも最後までいちゃった)、堀口君と話したけど、2月で退いたという。今日はヘルプだそうである。なんか献立がちょっと違ったなぁと思い返す。すぐに独立するわけではないらしい。
新しい料理長は、堀口君の和久傳での先輩にあたるらしい。


平成19年2月4日・日
卯月」さんの「美味しいお酒と料理を愉しむ会・第四回立春大吉」に出かける。お酒は「津之喜酒舗」と協力。
1階で鈴木治さんの青磁の盃を使わせて貰うことにした。満席の盛況。
挨拶する麻衣子ちゃんと旦那。今日の蔵元ゲストは「月の桂の社長の増田泉彦氏」。途中顔を出したのは、渡部智君。東京農大卒33才。製造部長(?)
  • 先付 開運七運盛り
  • 椀 スモーク大助鱒、丸大根粕仕立て、のし人参、ウグイス菜
  • 向 鯛からすみまぶし、長芋、防風、山葵
  • 中皿 味噌漬け豆富、白魚酒煎り・木の芽、ふく一夜干し、狐顔見立の千枚かぶら、信田寿司
  • 焚 かぶら招福枡、スズメ照焼き、くわい、鶴亀人参、一寸豆
  • 焼 甘鯛このわた焼き、茗荷、酢蓮根、菊花蕪
  • ご飯 蛤・菜の花雑炊、香の物
  • 水物 梅シャーベット、杏ゼリー
乾杯は、増田社長の音頭で「吃驚仰天(精米60%。アルコール8℃」の濁り発泡で始まる。
七運盛りは、金柑いくら、銀杏、揚げポンカン、黒豆寒天、梅人参、南京、蓮根。ついでに南天の葉で八運。
今日のメインのお酒は「清酒・平成十九年丁亥二月四日、立春朝搾り(旭・50%精米)」。今朝、ツノキの兄ちゃんが出かけて手伝って来て、何処よりも早く、呑める機会と力説。微かに苦みを感じるところはあるが、全体に味が濃い。味の変化も早そう。
伏見向島で栽培されているとか。
お椀は、粕汁。薬味の黒胡椒の風味が好きだ。辛いのは嫌いなんだが、酒粕が和らげてくれるのでタップリでも大丈夫。昼酒も手伝ってとっても暖まる椀。ここで大助にお目にかかれるとは予想外。粕も酒に合わせて、今朝搾ったもの。
お造りが、鯛に摺り下ろした唐墨をまぶしたん。唐墨は唐墨で頂いて、鯛は鯛で・・・頂きたいな。ポン酢と醤油。
卯月(中身は都丸)・純米吟醸・しぼりたて・祝50%精米」は、微かな甘味のバランスのいい酒。燗でも出る(と思う)。
今年始めて醸したという小仕込みの「純米大吟醸・祝40%精米」。磨いた価値を感じる差。
酒肴。
蕪をくり抜き枡にして、慈姑を入れた招福枡。赤い人参は鶴と亀のセット(可愛い)。スズメは照り焼きにして、全体に蕪をかけた蒸し物。骨がポロポリと照り焼きの野趣が蕪で和らぐ感じ。日本産のスズメは使えないらしい。伏見の門前もそうだろうか?
社長が特別に持ってきてくださったという「琥珀光・十年秘蔵古酒・山田錦35%・9号酵母」は、その名の通り黄色い古酒。常温熟成。燗でも頂く。古酒の香りが薄まる燗の方が好きだが、こういう機会でないと呑まないな。
焼き物は、ぐじ。いつもながら卯月の「ぐじ」はふっくら。コノワタいい塩梅。
蛤の雑炊。エキスタップリ。
シャーベットには、再び古酒。アイスの方が古酒には合うと思います。(さて、書いてきたけどちょっと酒の記憶があやしい)

2月から新しい「いくちゃん」が入店しているそうで、3月から、俊君の日本酒バーが出来上がるそうだ。


2006年11月3日・金
お昼を目指して入洛。3連休の初日。京都は鞄を持った観光客が目立つ。お目当ての先斗町の「卯月」にはいる。「津之喜酒舗」と協力した「お酒の会」に初参加。
2ヶ月目を迎えた「美味しい酒と料理をたのしむ会」の11月は、「松の司」の蔵元を迎えての開催。2階のL字カウンターで行われる。
麻衣子ちゃんの音頭、松瀬さんの挨拶・・・乾杯と、一応の手順。席に置かれたお品書きには、(アドリブも入って修正すれば)
  • 先付けは、近江牛のお寿司、子持鮎の山椒煮、信楽椎茸・銀杏ほかの玉味噌和え、衣かつぎ
  • 向が、近江地鶏のたたき、永源寺こんにゃく、醤油(山葵・生姜)、酢みそ
  • 炊き合わせが、近江蕪と鯉の唐揚げ、味噌風味の旨煮、菊菜
  • 焼き物が、近江牛(いちぼ)塩焼き、茗荷
  • 鮒寿司、鮎うるか・大根、へしこ、海老豆、むかご
  • シジミの佃煮、白ご飯、香の物
  • シャーベット
最初に出してくれたお酒が「松の司・2005純米吟醸・竜王産山田錦(環境こだわり農産物)精米歩合50%」。通称「ブルーラベル」というらしい。ちょっと甘味が残る味わいは、らしからぬ出来だったが、あとで蔵元も「変だと」感じていたようです。これだけ去年のお酒。
長皿に出てきた先付け。子持ち鮎の山椒煮はお上品に筒切り。塩焼きした椎茸がイイお味。玉味噌ベースの和え衣も柔らかい味。牛を求めて、蔵元とツノキさんが選んできたのが、八幡の「かね吉」さんだそうだ。大津・西武前のお店は、昔の実家のそば。
向に合わせて出してくれたのが「松の司・2006純米吟醸・ひやおろし・竜王産山田錦(環境こだわり農産物)精米歩合55%」で、これは「らしい」。片口でポンポン出てくるので、もう味が怪しい。
地鶏のたたきは,生姜醤油、山葵醤油、赤こんにゃくは酢みそ。この赤コンニャクは、普段見る毒々しい赤ではなく綺麗だ。ピリ辛に炊いたり・・・とにかくあの辺りではコンニャクは赤いもんだ。湖南の方ではあまり使わない食材だし、生はもちろん始めて。酢みそで消そうとするコンニャク臭さも必要がなかった。
炊き合わせは蕪と鯉。どうも川魚というのは嫌いなお人が多いようで残念。臭みを消すのに、揚げてから使うことはあるが、今日の炊き合わせでは、しっかり揚げてある。サクサクと香ばしさが出ている。少し味噌を入れた出汁に突然の思いつきで変えたと、料理長の堀口君。鯉の匂いに気を遣ったんでしょうかね。
3杯目は「松の司・2006山廃仕込吟醸・竜王産山田錦(環境こだわり農産物)精米歩合60%」。今日の中では一番心地いい。曰く言い難い仕込みの山廃。後で燗でも出てくる。温度が上がると甘くなるが、昔の燗酒のような甘ったるさではなく、料理を損なうものでもなく、なかなか。
焼き物が「牛のいちぼ」。焼き上がりはもちろんのこと、少し冷えてからでもジューシーな脂が美味しい肉。焼き肉に熱燗もよろしいようです。
珍味がお盆で出てくる。酒の肴。鮒寿司は、近江のものではなく錦の「のとよ」さん。ウルカは自家製。まだ練りが不足? 蔵元が持参されたのが「松の司・2002 supecial・純米大吟醸古酒・seizaburo Seto・兵庫県産山田錦精米歩合35%」。微妙なカラメルのような甘さが、上品なコクになって、古酒らしからぬ出来。
ちゃんと「瀬田のシジミ」。ご飯の2杯目を「シジミ茶漬け」にしてもらった。もう少し生姜が利いているのが、好み。
デザートが、カクテルグラスにシャーベット。梨?洋梨?

次は1月で「初日の出」さんを迎えて地ビール(?)。15人まで。
会の途中で、寺井のご主人も挨拶にこられるが、ブレザー姿で、若い。


2006年10月4日・水
雨も上がって、まだ時間に余裕があるので、先斗町を歩いて「卯月」に顔を出す。なんか先斗町は外国人が多い。けど流石にアンディを見つけることは出来ない。
店にはいると背後から「大原」の吉村料理長が現れてびっくり。お迎えに出てくれたのは、これもびっくり麻衣子ちゃんだ。
酔っぱらいで余力がないので「富翁・純米吟醸・丹州山田錦・ひやおろし」を半分くらい呑んでもらったかな?
肴は
  • 鰹のたたき
10月の酒の会の協賛のハクレイ酒造の「ひょうたんから駒・無濾過原酒」を一杯。15人程度しか入れないと言うので、予約するのも大変そうだ。

2006年4月19日
予約の時間を早めて、晩ご飯に向かったのは先斗町 卯月。1階のカウンターを使わせて貰う。交代でお休みだというので、利き酒師の俊君は顔だけ出して、遊びに行った。大原もお休みのようで、助っ人沢山。
  • 竹の子の木の芽和え、菜の花、空豆、鯛の子の炊いたん、ヨモギ豆腐・カニ、
  • が鯛の白子の真蒸、桜、わらび、木の芽
  • お造りが、鯛、車、たこ
  • 穴子の笹寿司、酢蓮根
  • 若竹煮、あわび、絹さや
  • アブラメの木の芽焼き、蕗の薹味噌、八幡巻き、鴨ロース、浜防風
  • ぐじの桜蒸し、ウグイス菜、桜、生姜
  • 鯛のせんべい揚げ、山菜(タラの芽、こごみ、山ウド)の天ぷら、塩
  • 鯛茶漬け、漬け物
  • 清見ゼリー
まず「奥播磨・黒ラベル」から始めた。
先付けが4品。百人一首の短冊の器に盛られて出てくる。飽きない竹の子、うれしおます。ヨモギ豆腐の香りが格別。桜の花びらが2輪。やばいやばい。
椀は白子の真蒸。もう少し白子の割合を多くして欲しいところだ。塩漬けの桜の花びらが椀の中に漂って、麗しい。
2本目は「黒龍・特選吟醸」だが、後口・キレが少し悪い。 淡路産の鯛。じわっと旨味が滲んでくるような鯛。車は、目の前の水槽で泳がしているもの。鮑も一緒に水槽にいるので、時々エビが食われているそうだ。あぁ勿体ない。たこも生。
穴子も淡路産。暖かいお寿司で、穴子もさることながら、混ぜた寿司飯が美味しい。
若竹の竹の子は物集女産。(難読地名で読めないだろうな)。女将が先日「とり市」で、小振りだったそうだが竹の子を買ったそうだが、いわく「一流のお店の安物」というのが買い物上手ということらしい。安物というよりは「お買い得品」ということですな。
3本目は、蔵元でブレンドしてきたという「喜楽長・うづきブレンド」。なんか荒っぽい感じで、寝かした方がいいようです。
焼き物の八寸。水槽で生きていたアブラメ。
蒸し物が、ぐじを道明寺で饅頭にした餡掛け。当然のように桜の葉っぱで巻いてある。餡はもう少し濃い方がいいと思いますな。
鯛が余っているのか、重なる。お餅を砕いた衣で鯛を揚げたんは、揚げ物というより、せんべい。
最後のご飯は、胡麻で和えた鯛の出汁茶漬け。
清見オレンジに鋳込んだゼリー。オレンジが濃い。
鴨川おどりも月明けから。もう10日ほどで床が始まるけど、まだ用意はできていない。今年は席数を減らすような事を女将は言っていたので、落ち着いたモノになるんでしょう。低い椅子を使うとも。席数を減らせば、2階の席を雨天用に確保する必要がなくなるそうだ。真夏は床よりクーラーの方がいいと思うけどね。

2006年3月27日
晩ご飯は先斗町の新装開店のお店「卯月」に取っていた。
暖簾のない明るい店頭。今風かもしれないけど、先斗町の路地からお客の顔が丸見えというのは、気になりますな。玄関の中に扉があって、改装した1F奥のカウンターへ。以前は靴を脱いだが、改装後はそのまま瓦を敷いた廊下を奥まで。途中ウェイティングバーコーナー(?)がある。カウンターの席は明るく高く広く感じる。椅子席になって楽ちん。朱塗りの折敷が鮮やかに映えるライティング。背後には「臨川幽居」の扁額がかかる。
今日もカウンターは独占。
  • 先付けが白魚、菜の花、つくし、うど、黄身酢
  • 椀が、帆立の真蒸、あぶらめ、木の芽
  • お造り、あぶらめの焼きしも、車えび、うに
  • 筍のチラシ寿司、いくら、煮しいたけ
  • 若竹煮、あわび、わらび、嫁菜、絹さや、木の芽
  • ぐじの笹焼き、蕗の薹の炊いたん、一寸豆
  • 牛三角の焼き物、茗荷、白髪ネギ、からし、生姜、わさび、大葉おろし
  • アマゴの南蛮、酢蓮根、唐からし
  • 酒肴が、唐墨大根、アワビの味噌漬け
  • 天ぷら(うるい、やまうど、こごみ、蕗の薹、タラの芽)
  • 丸雑炊、香の物
  • イチゴ・柚子ゼリーかけ
今日のお酒は「まんさくの花・大吟醸・杜氏直詰・無濾過生・山田錦45%・K-9酵母」。日付を見れば1年前の酒だったけど、生酒のわりに旨味が乗っている。まろやかでもある。
女将は紫明に出張だったけど、思いがけずに麻衣子ちゃんがいた。ぼっちゃんの狂言の稽古やら、久しぶりなのでいろいろ積もる(ほどの事はないけど)話。「京都できもの・なごみ別冊4月号」に登場しているそうである。
春の先付け。
椀種が、あぶらめ。真蒸。カウンターの入り口に水槽が出来ていて、夕方近くまで泳いでいたアブラメ。といっても海老さんぐらいで、既に料理に合わせて〆られちゃっている。ちょっと安っぽい居酒屋風ではあるけど、水槽を見て、注文が入ることも期待しているそうだ。アラカルトも可能です。
お造りにも、そんなアブラメ。皮は炙ってある。ポン酢と醤油と2種類出てくるけど、どっちが良いかは微妙なアブラメ。
梅の飾りも艶やかなちらし寿司の器は、筍の皮。細切りにした筍、いくらと淡い彩り。料理は見た目も大事。
ちゃんと立派な筍も出る。やわらかな鮑。椀の吸い地とは違って、味は濃いけど、くどさは甘さは無く、呑んでしまえる。
焼き物の1品は、魚でぐじ。笹で挟んで焼き、香りをうつす。剥ぎ(杉)板はあるけど、笹を使ったのは初めてかな。ぐじの焼き方にも色々あるけど、堀口君は皮の所の旨味のあるところを提供したいというので、ウロコだけ取って焼いている。
料理長もカウンターに積極的に出てきてくれているので、楽しめるカウンターになったなぁ。最初はカウンターでも仕事をしていたそうだが、今日は喋るだけ。新しい子が入るそうで、そうなれば出やすくなるかも。
焼き物は二つ出て、魚に続いて牛肉の三角。これも堀口君の好みらしい。魚・野菜ばかりだと肉が欲しくなるという意味。フルコースのようで楽しみなことです。今や京料理には、京野菜が欠かせないウリになっているが、堀口君は鷹峯まで通っているそうだ。著名な料理屋さんで修業すると、いろいろそういうルートが得られるようですな。料理人としての躾も含めて、修業先の名前が気になるのはそういう理由である。
小振りのアマゴは南蛮。頭も食べられる。糸のように細い唐辛子は、裂いたモノらしい。辛いモノは苦手だが、この程度なら大丈夫だった。
酒肴で2品はおまけ?。1週間ほど漬け込んだアワビ。肴の定番・唐墨大根。大根もきっちり唐墨の形状にあわせて包丁を入れ・面取りするという丁寧な仕事。
山菜の天ぷら。塩。
丸独特の香りが高い雑炊。刻みネギがたっぷりというのも嬉しいところ。主人の好みでスッポンは贅沢にエキスを取る、と言うことらしい。「丸好きは酒飲み」という風説があるそうだ。
カクテルグラスに水物。

改装を記念して、展示物も飾ってある。観方、不矩などの色紙など・・・でも、下書きというか、落書きにしか見えへん。2階も手が入っているそうだが、拝見するのを忘れた。
頂き物のという「神聖・純米吟醸・しぼりたて」を味見させてもらった。ナナちゃんはいける口ではないけど、飲んべえが集まった店になった。先日喜多さんとこへ行って、卯菴用のブレンドをしてきたという。


2006年2月24日
酒でも呑むべぃ!とむかったのは「卯の花」。卯月の暖簾をくぐり、工事中の1階をのぞき込んで、たばこ臭い2階の奥。先斗町に面した玄関も様変わりするというので、デジカメで忘れずに記録。
突き出し「7ん盛り(?)」だけで、今日もサケのカクテルに挑戦してもらう。「大和撫子」。レシピによると、サケ・ウォッカ・グレープフルーツ。かなり苦い。
さて「ん」は(芥子蓮根、梅人参、文旦揚げ、銀杏、金柑イクラ、人参、寒天黒豆の梅)の「ん」入りの盛り合わせ。たぶん、合っていると思う。
2杯目は「ジェットストリーム」。サケ・ジン・ブルーキュラソーで、オリジナルのスノースタイルは省いたもの。
3杯目は「サケティーニ」。その名の通り。

2005年12月25日
いっぱい引っかけに「先斗町」の「卯の花」に向かった。10月に卯菴から卯月に店名を戻しているので、暖簾も変わっているけど、デジカメ流のを忘れてそのまま使う。2階に上がって呑む。
裏メニューカクテルがあるというので、「LET IT BE」という日本酒のカクテルから。オリジナルだそうで、ライムにコアントローだったかな?キリッだ。
突き出しは、芹?に唐墨大根と慈姑チップス。2杯目はヴァイオレットの「紫小町」。これは甘い。俊君がシェィカーを振っているようだ。調子に乗って「ライムにロック」と日本酒ずくめで通した。

2005年9月18日
今宵は「先斗町」。まだ「床」の季節なので、一階は使われないので、2階のカウンター。床から歓声が聞こえる。上から隣のお店やらを俯瞰するのは気分が良い。後ろのカナコちゃんの絵が消えて、季節柄「堂本印象の時代祭のデザイン画」に変わっていた。床の間は「吉川観方」。
今日の献立は
  • 葛豆腐、えび、うに、焼茄子、
  • 土瓶蒸し、松茸、鱧、三つ葉、銀杏
  • はも、あこう、戻り鰹のお造り、茗荷、胡瓜、花穂紫蘇、さいころ長芋
  • 鱧寿司、骨せんべい
  • 南京の蒸し物、鴨ロース、鴨丸、ウリ、小芋、生麩、ささげ
  • 子持ち鮎の塩焼き、揚げ手長海老、揚げ蓮根、酢取り茗荷
  • 壬生菜と松茸のお浸し、まいたけ、焼き目の生鱧
  • グジの焼き物の煮浸し、ウグイス菜、鰹、すだち、木の芽
  • 鱧雑炊、香の物
  • イチジクの檸檬ゼリーかけ
お酒は「松の司・2004・純米大吟醸・しずく・斗瓶囲い」とした。
備前風の器に盛られた満月のお豆腐。玉子が入っているようだ。濃いめの出汁。
思い出してみれば今年初めての土瓶蒸し。あまりにストレートだが、観光地ですからね。ちょっと他のお客さんと土瓶が違う。
鱧は、「焼き目の生」。細い骨切りに梅肉を絡ませて頂く。思いがけない「あこう」。今の季節はこうでなくちゃの「戻り鰹」だけど、それだけにワサビ醤油は、弱いんとちゃいますか?
箸休め?に、鱧寿司。山椒たっぷりにしっかりした焼き加減に濃いめの焼だれ。ちょっとタレの味が濃いですが、なかなか好みですがな。
小振りの南京を半割にして、種をくりぬき、具材を鋳込んだあんかけの蒸し物。お得意の鴨。南京を崩しながら食べて、皮を残す。皮も食べられるんでしょうが、器に使われると、残してしまう。でかい南京を半分出されても、食べてしまいそうなほど美味しい味だった。鴨の「丸」は以前ほどの旨味がないのは何故・・・?
京都で二晩続けて日本料理を食べるのは失敗と思わせるのは、同じ料理が出ることだ。それが「鱧」だったり「鮎」だったりするのは、しょうがないことなんですけど、お店の責任じゃないけどちょっと残念。四方鉢に描かれた浪を借景に盛りつけられた鮎はとっても麗しい。
お浸しに刻んだ焼き目の生はも。
もうご飯と思っていたら、まだ出た。お得意の「ぐじ」。焼いたぐじに出汁をはったので「煮浸し」としたけど、ちゃんといた名前があるかもしれない。一般に冬が旬だと思うけど、通年で身の厚いのを用意してはります。
ご飯は「鱧雑炊」。かなり濃厚な玉子で仕上げられている。旨い。
シャーベットかなと思ったけど、イチジク。檸檬ゼリーとは意表をついてくれた。

春に結婚した山本君が独立の為に7月に上がっていた。代わりに料理長になったのは「堀口達也」君。以前「粟田口」でお世話になった30歳(若い!)。(そのせいか味が違っていたのかも?)。下鴨の「吉泉」、「和久伝」という経歴。楽しみである。もらった名刺には、もう粟田口の名前はなかった。
一方、山本君は先斗町の路地に「いふき」という炭火焼のお店を開店させるように準備中だそうだ。

さて、既に「粟田口」のお店は売ってしまったという。でその代わりに手に入れはったのが紫明の「岡部伊都子邸」だそうだ。30年余り手が入っていないと言うことなので、修理や改装など大変だそうだが、外観は変えずに補強・手入れをしてはるらしい。来月中旬以降と言うけど、ご主人のことだから、遅れるかもね。さて一人でも行けるかどうかは・・・不明。粟田口の灯籠などは移転済みらしい。


2005年5月1日
夕ご飯は、再び戻って「先斗町」。今日から始まった「床」も雨でケチが付いた格好だ。2階の塗りのカウンターに座る。粟田が断られたのでこっちに来たので今回は「床」が目的ではない。予約してから気が付いたが、去年も1日に来ていたのだった。
  • 豆腐の上にウスイ豆腐、海胆、海老、ウスイ豆
  • 椀は、帆立真蒸、焼き目帆立、鮑、ウグイス菜、板ワラビ、木の芽
  • 穴子の薄造り、焼き霜、アサツキ、大根おろし、花穂紫蘇
  • 焼き物が、ぐじ、稚鮎、空豆、手長海老、ミョウガ、小鯛の柏寿司
  • メバル・タケノコ・ふきの煮物、木の芽
  • 油目の唐揚げ、オクラ・サンド豆・南京の揚げ物
  • 竹筒に入れた山芋とオクラのすり流し、ジュンサイ、
  • 御飯、ちりめん山椒、香の物
  • メロン
お酒は「東洋美人・壱番纏・純米大吟醸・山田錦40%」とした。聞けば、この店の「奥播磨・特吟」とか「喜楽長・特別大吟醸」は「酒のヤマモト」経由だったそうだ。大阪のミナミから京都まで手広い。
先付けには、ウスイの緑も鮮やかな2層になった豆腐。隣を見ていてよく分かるが、予算によって、トッピングされている材料が少しづつ違う。海胆がオプション。
夜の料理は8000円からあるけど、お品書きだけでは、全然判らない。初めての人や日本料理に慣れていないは困るでしょうね。板前さんが前にいるカウンターの割烹なら即答してくれるだろうけど、接客が難しいでしょうね。でも、玄関先にお品書きを写真入りでとかいうのは、京都らしくなくて嫌いだ。その点、粟田は絶妙だ。(知らない人が通る場所ではないけど)
ヨモギをあしらった塗りの椀。帆立の真蒸の上に焼き目の帆立、包むように透明な板ワラビ。鮑がオプション。
ウサギの絵皿に薄造りの穴子。フグもびっくりの薄さ。淡いポン酢醤油が穴子の甘みも損ないような塩梅。
柏の葉っぱで巻いたお寿司が季節感。「向」で穴子が出たからいつもの笹巻蒸寿司はでませんなぁ。焼き物がぐじは塩焼き、鮎は焼いて田楽味噌で、手長は素揚げかな。ぐじがオプション?
煮物が「たけのこめばる」。思い出したのは「タケノコの季節に旬となるメバルを筍メバル」というのか「出会いの料理をタケノコメバル」というのかって事だ。醤油でしっかり煮染められた煮物。メバルもオプション。
揚げ物が油目。塩。身がはじけて1枚1枚はチップスのように食べることも出来る。
竹筒が氷を盛った皿に冷やされて出てくる。蓋を取ってズルズル。
ここで白い御飯は珍しい。おみやげの「ちりめん山椒」は100gで1365円で売ってるんですが、売れ残っているんかな?と思わせてくれる。きれいな粒のそろったジャコだ。

帰り際に麻衣子ちゃんの挨拶を受けた。ここへ来るといつも旦那さんを見かける。雄基(だったかな?)ちゃんも大きくなった。


2005年2月19(土)
晩ご飯は「先斗町」。本当なら粟田の方が都合がよかったんだけど、スタッフの都合で、先斗町と相成ったわけだ。1階は子供連れのお客で貸し切りと言うことで、2階へ。鼻声のナナちゃんがお出迎え。
今日の献立は
  • 先付けに、菜の花、筍、鰯、トリ貝、豆の酢みそ掛け
  • 椀は、カニ真蒸
  • お造りが、まぐろ、鯛、かわはぎ(肝付き)
  • 卯庵寿司
  • 蕪の枡仕込み、鴨にフォアグラ、人参、空豆、ウグイス菜
  • 焼き物が、「ぐじ」に「うずら」、あしらいに「酢蓮根」
  • 鯛の南蛮、ウニ、小松菜
  • 雲子・氷魚・こごみ・うど・ふきのとう・タラの芽の天ぷら
  • ぐじの出汁の菜の花と湯葉の雑炊
  • グレープフルーツのゼリー寄せ
先週に女将と俊君が喜多さんところへ蔵見学に行ってきたという話で、それじゃということで喜楽長・特別大吟醸・卯庵オリジナルブレンドから始める。何事も最初が肝心で、それがデファクトスタンダートになってしまう。喜多さんや天保さんの酒造りが普通だということになると、これからの仕入れも楽しみなことです。女将さんも早速「藤田さんの本『杜氏という仕事』」を買ってお勉強だったそうだ。喜多さんも名前が通っている有名蔵だけど、フットワークが軽いというか、オリジナル商品を気軽に受けはりますな。商売上手。
春らしい、突き出し。魯山人風(?)の銀釉の四方皿。
派手な色漆の椀には、卵白の香りの高いカニ真蒸。さすが京都と思わせるのは、真蒸がきれいに丸まっている。悪い意味じゃないよ。椀の季節はまだまだ冬だ。
目の前に置かれて、押し売り同然と笑って注文したのが由良川の朝霧・うすにごり。薄いという程薄くない。少々ガスが残って、若くて苦みもある。新酒らしいと言えば新酒らしいお酒。
3種盛りのお造り。カワハギの肝は、火を通してあるのかな?ちょっと肝臓の出来の悪いカワハギさんに当たったようだ。カワハギは肝で、鯛はワサビで、マグロはおろしで。
久しぶりの卯庵寿司。どうもお値段によっては、笹巻きの稲荷のようです。これも一種の蒸し寿司ですが、冬だけとはもったいない話です。
奥播磨・特別吟醸にする。俊君が資格を取ってから、酒が増えてきて嬉しいことです。
むちゃは砲金だと思うのだが「真鍮に金メッキ」という金鍋に蕪の枡仕立て。蕪を四角に切って中をくりぬいた「枡」に鴨肉を入れ、フォアグラで蓋をする、といったイメージ。蕪のおろしがかけられているという料理。「蕪」には「鯛」とか「甘鯛」とか淡泊な肴がお似合いだと思うし、「鰤」とか油っぽいのは「大根」だと思う。じゃフォアグラはどうかというと、旨いじゃないですかぁ。
焼き物は、お得意の「ぐじ」。だけでも良いけど「うずら」。
鯛の南蛮がメインかもしれないけど、贅沢な「おひたし」。
備前(立杭?)の黒い焼き物に揚げ物が、鮎の稚魚の「氷魚」に春の山菜、雲子の3品。川魚が出ると思い出す「モロコ」。先日ご主人と食べてきた、とおっしゃるけど、お店を教えてくれない。いけずぅ。
少々酒のペースが間違って、(料理が思ったより多かった?)猪口が空いて寂しいので喜楽長・天保正一・山田錦35%を猪口にいただく。蔵見学の余韻で「喜楽長」は4種類ぐらいあるそうだ。馴染みのある蔵だけに、杜氏さんの顔が浮かんできますわ。
最後は湯葉の雑炊。定番だけど、冬(?)らしく「ぐじ出汁」と理が入る。
この店も、鷹峯の農家から野菜を引っこ抜いてくるとか、美山で山菜を摘んでくるとか。がんばってやぁ。

2003年5月1日
夕御飯は、揃って「先斗町」に向かう。今日から「皐月の床」が始まったので、むちゃも久しぶりの床。一番奥の席を残しておいてくれはりました。流石に日が落ちると肌寒くなる感じはあるけど、寒いほどではない。
今日は「粟田」のお店は締まって、総出で床開き。盛況である。
  • 蓬豆腐、ウニ、
  • 椀は、ぐじのヨモギ麩包み、木の芽
  • お造りが、かつお、うに、焼き目穴子、たこ
  • 箸休めに「卯菴寿司」
  • 焼き物の八寸には、ぐじの焼き物の他に、空豆・八幡巻き・タコの桜煮・卵焼きの串
  • 炊き合わせに、あす、いんげん、あわび、なんきん
  • 揚げ物に、稚鮎、うど、こごみ、ふきのとう
  • ご飯は、梅雑炊
  • グレープフルーツのシャーベットに苺のソース
本日のお酒は「田酒・純米大吟醸・百四拾・「華想」精米歩合40%」と「香住鶴・生もと純米・生・五百万石精米歩合65%」という選択。田酒のボトルはご主人の作陶による花瓶崩れのワインクーラーで冷や冷や。
ざくざく入ったヨモギの香りがいい。
もうたぶん他の店では「ぐじ」は使わないだろうけど、山本君(いや卯菴というべきかな)はいいルートを知っているんでしょう。
春の鰹は旬。だけど、鱧はまだまだといことだそうで、替わりに穴子だそうだ。皐月らしさを感じたのは「鰹」だけ。
定番の柴漬け入りの穴子の蒸し寿司。博物館の先生の専門は植物学。笹は食べられるか?と聞けば、「笹にはプラントオパールという珪酸があって消化できない」と即答。流石。で、珪酸て砂やん。そんなん食べたら、胃や腸の栄養を吸収する穴を塞いじゃうんじゃない。怖い怖い。タケノコだけにしときましょう。
焼き物にもご自慢の「ぐじ」。八寸の食材は全て串刺し。季節らしい「菖蒲」はなしだ。博物館で乾燥した標本をいっぱい見たから、十分だけど。
炊き合わせのテーマは京野菜らしい。ちょっと頭をひねるけどね。この季節旬のあわびはふっくら。
まだ、山菜を揚げてくれる。まだまだ蕗の薹らしい苦みはあるし、でもとにかく今は稚鮎ですなぁ。苦いと苦いが美味。
ご飯は鰹を効かしたさっぱり雑炊。でも「へしこの茶漬け」「湯葉雑炊」「梅雑炊」と落ち着いてきて、何が出るかと想像する楽しみが減った気分。
もう少し暑くなったら嬉しいシャーベットだけど、まだまだ。以前に比べて一工夫は苺?。

楽しみにしていた夜景は肩すかしを食らって、「卯の花」で軽く一杯。ルーマニアの「プリンズ・ミルセア」(?)という赤ワインをグラスで傾ける。女将から、目の前のでっかい吉川観方の絵の話を聞く。
随分と遅く、ほとんど最後の客になってしまったけど、外人さんが飛び込みで来て玄関で立ち往生のようだ。日本人のガイド役がいないとなかなか不自由しそうでんなぁ。


2003年1月25日
予約を取っていたのは「いつもの先斗町
2階を断って、1階のカウンターに席を取る。松にボタンの掛け軸の正面。最初だけナナちゃんがいて、後は俊君がカウンター。お酒は「富士千歳のしぼりたて」だ。
  • 帆立と甘エビのタルタル、梅肉ソース、つくばい
  • 鴨の丸の餅麩つつみの椀、紅白、吸い口がかつお節
  • お造りが、ひらめ、まぐろ、うに、あしらいに長芋、防風、いわ茸
  • 鯖寿司、炙った鯖を握ったもの、おろし生姜
  • かぶらむし
  • ノドグロの焼き物、ネギを巻いたウズラの焼き物、間引き大根に唐墨、ばちこ、松風、銀杏・えび・柚子皮煮を結び柳に刺して、金柑甘煮、ちょろぎ、はじかみ
  • 変わり揚げ(雲子をライスペーパーと大葉で巻いたん)、タラの芽、ふきのとう、塩
  • いくら雑炊、香の物
  • 苺のシャーベット、ラ・フランス、ミント
水引の柄の椀。柔らかい餅麩を箸で切ると、プリンと丸が転がって出ます。ニュルニュルとした食感と鴨の旨みが同時に味わえないのが残念。鰹の香りと鴨の旨みがいいですわ。口の中で鴨の旨みがじわっとしみ出てくる感じ。
炙ることでの臭みを抜くんでしょうね。鯖の香りが全然しません。パクパクで終わってしまうのが残念。
いかにも京都の冬というのが「かぶらむし」。ちょっと餡が固い気がします。わさびの香りが効き過ぎて、むせる。
焼き物に八寸めいた酒の肴。魚に肉と、焼き物が楽しめる。
雲子の天ぷらも美味しいもんですが、切って出すには、食べるのにも、ペーパーで巻いた方がいい感じ。そういえば、今年はあんまり食べてないや。タラもふきのとうもまだまだ苦みが楽しめません。
いくらなんか熱が加わる雑炊なんかにして、臭いジャン。と思ったら、案外いけるもんです。でもイクラを煮ているようではない。トッピングやね。しっかりした出汁が美味しい。
どうしても最後が物足りないのは、いつもながらの冷たいデザート。日本料理店もデザートは考えなあきまへんな。できれば、水菓子とお菓子が出れば、最高だ。

インフルエンザで点滴を打っての登場の若女将。聞けば、ご主人と女将がイタリア〜ンだそうで、休めないと遅れてご出勤。それで粟田は休みだったようで、どうりで電話口の女将の歯切れが悪かったはずだ。さて今年は大原で落語会をするそうで、面白そうだ。連絡をくれると言うが、メールや掲示板にたどり着けたでしょうか?大原はちょっと遠いけど、魅力的なロケーションに、楽しみな卯菴のお弁当。
さて、卒業試験中の俊君は、とりあえず卯菴に就職するようだ。お父さん同様、辻調に通って、修業しましょう。なんでも、卯菴が会社組織になるとか・・・。これから女将を専務と呼ばなきゃいけないかも。


2002年10月13日
夕御飯は「先斗町」だ。あちこちの店の前で空席ができるのを待つ客で、狭い通りはより窮屈のなかを、歩く。休日なんやから予約がベターよ。店の前で中をうかがう女性の鼻先をかすめて店にはいる。2階は座敷客もいていっぱいそうやけど、好みのカウンターは観光客の1組だけ。お任せした料理は
  • 割り山椒の器に、キスの昆布〆、柿、エビの酢の物
  • 百人一首の歌の短冊の器に盛られた、銀杏、厚焼き、衣担ぎ、栗の甘煮、子持ち鮎の有馬煮、炙ったばちこ、焼き目を付けたサンマのお寿司
  • 椀替わりに土瓶蒸しには、ハモと松茸
  • 向には、生のハモ、赤貝、山葵
  • 炊き合わせは、青磁の平皿に鴨のつくね、なんきん、子芋、いんげん、木の芽
  • 焼き物には、ぐじの丹波焼き、松茸に栗のチップ、海胆、銀杏
  • 口直しの、つまみ湯葉蒸しは茶碗蒸し、大徳寺納豆に山葵
  • 揚げ物で、枝豆の変わり揚げ、えびにししとうは竹の籠
  • ごはんは、鯖のへしこのお茶漬け
  • デザートはイチジクのワイン煮
だ。二日続けての「立山」は避けて「富士千歳・しぼりたて」にする。
カウンター正面の軸絵は「不矩ちゃん」の「兎と月」。「うづき」書き下ろしだそうです。
熱いモノは熱いウチには食事の大原則だ。炙ったモノから頂く。さて、銀杏というのは熱々が良いのに冷めちゃってる。画竜点睛を欠くというものです。歌は、秋に因んだもの。落語でも知られる「業平」の歌。
ハモの生は久しぶり。さて、骨は切るのか、抜くのか、問いただしたいのであるが、女将にはぐらかされてしまった。抜くのは邪道やから、骨に沿って包丁を入れて欲しい。焼き目を付けた方がいいだの、火を通さないとダメとか、梅肉でないととか、ハモにはうるさい人が多いですからネェ。
炊き合わせの、鴨のつくねが断然旨い。六方に剥かれた南京や芋も美味しいのだが、いかんせん旨すぎる相手に負けちゃっている。
料理長の山本君はときどき卑怯な料理を出す。今日は「丹波焼き」だ。栗のチップは食感だけの楽しみだが、グジと松茸で十分なのに海胆まで加える。
変わり揚げは、枝豆に蓮根の微塵を加えてパンで巻いたもの。外はさくさく、中はむちむちと蓮根のしゃきしゃき。中の緑色も鮮やか。
ごはんはお茶漬け、さらさらっと頂く。

入店早々、女将から、ホームページを立ち上げたというので、URLを聞く。帰って見ても、トップページしかないやん。でもリンクは貼っておきましょう。もう一つ、金曜日は、2階の「卯の花」でピアノの生演奏をしているそうだ。ギターの時もあるそうですが、原則は電子ピアノを持ち込んでの生演奏だそうです。
一品料理も始めたようで、メニューを見るけど、コースの料理に入っているのもあるし、コースの方がお得かな、という感想だ。カウンターの後ろには、「カクチカコ」「センドウアキホ」「ノノムラマコト」の色紙が飾ってある。「鶴ちゃん」の絵はともかく、サインなんて安っぽくなるから外した方がいいと、言っちゃう。


2002年1月12日
夕御飯は、「先斗町・卯菴」です。玄関横の小窓には、餅花が正月らしさを醸しております。薄暗い廊下を奥のカウンターまで、勝手にすすむ。
お客さんの大半は2階のようで、カウンターはゆったり。多少うるさい関東からの客。
  • おせちの先付が、黒豆、橙の釜にからすみ・ちょろぎ・揚げ銀杏・芽巻き数の子、栗の渋皮煮、賽の目人参と厚焼き
  • 鯛のバラ子和え、つくばね、撚り人参
  • まるを仕込んだ丸餅の椀、丸仕立て、むすび紅白、翁
  • 造りは、よこわ、しび、たいに防風、山葵、醤油
  • ぐじの蕪蒸し、山葵、銀杏・百合根
  • マナカツオの味噌漬けの焼き物、ウズラの手羽焼き物、青味大根・味噌、くわいせんべい、燻製サーモンの龍皮巻き、柚子皮の編み笠煮
  • 車エビに生湯葉・海胆。山葵
  • 雲子鍋、湯葉・とうふ・水菜・葱、おろしポン酢
  • 湯葉雑炊・まる出汁、香の物
  • グレープフルーツのシャーベット
松の内らしく、おせちから始まる。芽巻きとは「若布」で巻いたもの。黒豆はおめでたく扇の小鉢、先付を黒地の蒔絵の更に華やかに盛りつけられてます。「立山」を合わせる。
鯛の身に、数の子をばらして粒々にして和える。つくばいの緑、人参の赤、鯛の白さが華やかに割り山椒の器に盛られる。
椀もお正月らしく雑煮見立ての餅。ただスッポンの微塵を餅に丸めるのが料理屋のお仕事。残念なのは、少し温度が冷えてます。まるのお出汁がしっかりと味わえます。おめでたく人参と大根を結んで水引に、白髪葱で翁を表して、めでたいめでたい。お酒は「大原」のお店はこれだけという「富士千歳のしぼりたて」に変えます。この東一条の造り酒屋さんですが、料理屋さん馴染みの有馬ョ底管長揮毫のお酒を新発売してるそうだ。なかなかに尊敬できるグルメぶりです。
蕪蒸しといえば、「ぐじ」ですなぁ。と憲子女将と意気投合。ぐじの塩加減、蕪の甘味、餡の旨味、山葵の辛み、よくもまぁこんな淡い味わいのモノばかりで、美味しいと感じてしまうモノです。
焼き物が2種。これもちょっと冷めてるのが残念です。ウズラの醤油ベースの甘味のある焼きだれが美味。それに、付け合わせの青味大根がいいアクセントになってます。大根のポリっという音がまた旨し。
箸休めか「湯葉」
煮物椀に、雲子の鍋だ。銀のお皿に、砲金(?)の鍋。カウンターでコンロを使わないし、カウンターに火床があっても使わないから、どうしても運んでくるときに少し冷える。火床使って欲しいなぁ。出汁を呑む。雲子を味わう。雲子が美味しいので安心。火加減はギリギリで、煮え端の雲子の味わいが、まったりととろける。
ご飯は、卵たっぷりの湯葉雑炊。まるの身は入ってないけど、椀の出汁を使っているようだ。
こうしてご飯で暖まるのに最後は、いつもシャーベット。工夫してよぉ。

「麻衣子がでてます」と女将が持ってきたのが、ここまではチェックしてない「Vogue・2月号」だ。2ページだけど1ページを占める写真とは、手抜き。でも、ライターも、なかなか面白いカップルを選んだモノです。
カウンターの後ろには、作り物の餅花がだらりと飾られてます。食べても大丈夫だそうで、子供が囓っていったらしい。ここのは松の内までとか。2階の座敷には結び柳もあるそうです。カウンターの掛け軸は「川喜多半泥子」の娘に当てた新年の手紙を装幀したモノ。
離れて座った隣は、中年男性と年頃を過ぎた女性2名。気にくわないのは、このオッサン。料理の途中でも構わずに煙草は吸うし、見苦しく皿に残すし、そんなわけで折敷の上は食べさしの皿でイッパイになって箸を置くスペースもなく、渡し箸を平気でするし、最後の雑炊では味を確かめることなく、唐辛子を注文してぶっかけては美味しいなどとほざく始末。京都に来て京料理を食べたいのは分かるが、オッチャンにはお斬罪の居酒屋がお似合いだ。


2001年10月6日
一澤をぱんぱんにして、先斗町を上がる。流石に三連休で、通りは観光客らしき人で、大混雑。そんな中、川床が終わって落ち着いているだろう「先斗町・卯菴」に入る。ご盛況だ。
  • 前菜が、青菜、黄菊とハモと松茸のお浸し
  • 吹き寄せに、松葉に刺した炒り銀杏、煮栗、えび、クルミの味噌炒り、子持鮎煮浸し、ばちこ
  • まる豆腐の椀、細打ちの生姜
  • うに、たい、とろ、長芋、防風、針南京、山葵、醤油
  • 炊き合わせに、鴨の丸、里芋、蓮根、南京、三度豆、葛餡仕立て、細打ちした皮柚子
  • 加茂ナスとフォアグラの鴫焼き、茗荷
  • 赤米の飯蒸
  • 赤米の飯蒸し、朴葉巻き
  • 松茸入りのハモ鍋(豆腐、水菜、刻み葱)、ポン酢
  • 鴨雑炊、香の物
  • グレープフルーツのシャーベット、ミント
という内容。お酒は「立山」にします。ほんのり温かい前菜はハモです。続いて吹き寄せと、スイスイと進みます。
お椀は漆絵?蓋を開けると「まる」の香りが立ちますが、なんか「まる」の味が薄いし、「まる」の身も少ないよ。粟田口で食べた方が旨かったなぁ。10月からは、一品料理も出来ますと、雑誌等でみかけえるが、今日のようにお客が多いときは、断っていたようだし、忙しいため山本君はまだカウンターに出て仕事が出来ず、厨房に籠ったきりだ。客が多い時は、十分気が配ればれないという事かな。ちょっと心配。
噛むと鴨の味わいが広がる「丸」は旨い。野菜と魚貝の炊き合わせでは、出せないじわっと滲むような脂肪の味わいが旨い。蓮根の穴がでかくて、太い管ゴボウのようだ、かみ切ると、糸を引く。
ここで「しぼりたて(富士千歳)」に変える。太刀魚やカマスが幽庵で目の前を通り過ぎる中、出てきたのはフォアグラ。反則だ。「賀茂茄子の鴫焼き」だけでも十分美味しいのに、フォアグラを合わせるとは、旨すぎます。
お凌ぎは飯蒸し。ムカゴと百合根をまぶした赤米を朴の葉で蒸しあげてます。でもね、ちょっと蒸しすぎている感じ。赤米がべしゃべしゃ。 ハモ鍋はだめだ。厚めの抱金(?)の鍋で出てくる。他のお客さんは、急須のような取っ手の付いた小鍋で、松茸なしのようだった。松茸が入っていないなら、ポン酢で頂くのも結構だが、工夫してほしい。松茸が入っているから、鍋の出汁も味わいたいのが人情だが、これもダメ。なぜか生臭い。結局「ポン酢で食べるためのハモ鍋に、松茸ほうりこんでみました」という感じだ。残念。
どうしても、粟田口のお店で、こじんまりしていたときは料理も納得いくように作ってたが、ここでは、慌てて作っているようなイメージを持ってしまいます。
ちょっと不機嫌な2品の後ですが、ご飯は美味しい。温かい雑炊のあとのシャーベットも流れとしてすきだ。
ともあれ、カウンターの中の、憲子女将とナナちゃんが食事としては楽しめました。他のお客は・・・疑問ですが。「料理が美味しい」と「食事が楽しい」ということは、意味合いが違います。さて、女将もナナちゃんもまだ、webを見ていないという話だった。粟田口に行ったときの日記を誰かが伝えたようです。みなさん、野暮なことは止めましょうね。帰りがけに聞くと、玄関脇にPCが設置されてるそうだ。まだPOP程度だそうで安心する。まぁ、遅かれ早かれ、ですな。お持ち帰りに「さばずし」を伝えておいたので、一澤に詰め込む。この日、カウンターはほぼ2回転。お忙しそうだ。俊成君もお手伝い。掛け軸は「和歌」だったが、聞くのを忘れてしまった。「名月・・・」までは読めたが・・・
日本料理のお店で鯖鮨を食べると「いずう」や「花折」のなんか、食べられまへん。
2001年5月8日

後輩を誘って、「皐月の」でもと予約をしていたが、事情があるそうで、1人で夕御飯に向かったのは「先斗町・卯菴」だ。店名を変えてから初めて訪問する。紅い鴨川おどりの提灯が掲げられている新しい暖簾をくぐって、ナナちゃんの案内でカウンターへ座る。怪しい天気であるが、床の用意は出てきている。息子の俊成君が袴姿でバイトしているのが、妙だ。献立は

  • 鯛の酒盗和え
  • 鮑、鳥貝、蛸の加減酢のゼリー寄せ、針茗荷、刻み若布
  • 椀は、素揚げした鯉の丸仕立て、こごみ、蝶々に抜いた生姜
  • お造りが、まこかれい、うちわえび、よこわ、花穂紫蘇、山葵、胡瓜のけん
  • うすいエンドウのまんじゅう(百合根、穴子入り)、三度豆、海老、木の芽に銀餡の蒸し物
  • 牛ヒレの海胆焼きのミルフィーユ見立て、芽ネギ、大根おろし、木の芽、
  • 海胆、湯葉の旨出汁、冷製
  • てんぷらは、稚鮎、川海老、絹さや、子芋、塩で
  • 甘鯛の雑炊、香の物
  • グレープフルーツのシャーベット
でした。ウナギの寝床といわれる奥のカウンターの一番窓側の席は、すぐ後ろが床席で、涼しい風が背中をくすぐる。丸い灯りが天井からぶら下がっているカウンターの床の間には大徳寺塔頂大善寺(?)住職の揮毫による「龍門」。墨の色がまだ新しい。粟田口・卯菴スタッフが「床仕事」になれていない性もあって、カウンターの中では、山本君は調理せず、憲子女将とナナちゃんがお相手。掘り炬燵式であるが、ちょっと位置が高い。お酒は「立山」で通した。
酒盗だけでは辛すぎるのだろうが、鯛とは勿体ない。チビチビつまむ。酢の物もゼリー寄せにすることで、食べやすくしているのは、床での食事を考えてのことだろう。皐月らしい食材は「鯉」やね。丸仕立ての味わいが、変化球で嬉しい。うちわエビという形も良く知らない海老を食べるが、海老は海老の味で甘くプリプリ。そうそう、「うすいのまんじゅう」を「皐月蒸し」と言っていたっけ。裏ごししたうすいが翡翠色で新緑を表しているんだろう。甘くむちむちしている。ビックリしたのは「牛ヒレ」!焼いたヒレ肉をスライスして海胆を一つ一つに載せて積みあげている。妙に合う。混ざり合って口の中で溶けていく食感。和風のポン酢風味も海胆の味を損なっていないんでしょう。ここでは、まだ小さい鮎で5cmほど。また今日もイタイケナ鮎をパクパク食ってしまった。実は、床を背にしていると寒くはないが涼しい。まだまだ雑炊が嬉しい季候だ。シャーベットはカチカチ。フルーツの方が嬉しい。
正社員のナナちゃんの名刺を頂く。麻衣子ちゃん拝領の名刺入れが、猫の刺繍で可愛い。今は俊成君の指導係でもある。

5月から始まった床であるが、今日は天気が怪しい性か、むちゃのいる間に来店したのは4組だけ。連休の晴れた日は、大変だったそうで、先斗町自体、まともに歩けないほどの人手で、飛び客も多いそうだ。そういう意味でも、粟田口の客層とは、随分違う感じだ。観光客にも敷居は低いが、値段は、そこそこするぞ。最後まで、天気は持った。床のキャパは32人程かな。一応天井には簾が着けられていて、軽い雨なら、なんとかこなすのだろう。外の提灯は未だ無印。欄間のデザインは「うづき」のままだ。


2000年4月21日

夕御飯は、「鴨川おどり」の提灯が揺れる、「賀奈子」ちゃんが女将の先斗町の「うづき」さんである。
「皐月の床」の支度が進む鴨川を望める白木のカウンターの、まな板の前に席を取る。先斗町「うづき」はもともとお茶屋であったが、現在の主人「寺井義郎」さんが、男では茶屋を継ぐことが出来ないので、昭和42年に料理屋に改めたお店。祖父の徹朗さんは「鴨川おどり」の興業を始めとする先斗町の功労者で、六花街の連合会会長を努めていた。当時は日本画壇の竹内栖鳳、西山翠樟、橋本関雪らが集い、先斗町の通りに掲げられている「満月に餅搗くうさぎ」の看板は堂本印象の手による。料理屋としてからは、日本画家の吉川観方など文化人が集ったサロン的料理店として知られる。
おまかせの料理は

  • 先付の八寸は、ホタルイカの酢味噌和え、酒盗、空豆、甘草の黄身酢和え、イイダコの煮物、振りゴマした卵焼き、桜の梢
  • 向付は、活車エビ、焼き霜のはも、鯛、のれそれ、海胆で、紫芽、山芋のウサギの型抜きがあしらい、山葵に割り醤油
  • 蛤の椀、裂いた蕗、オクラ、柚皮
  • ささがれいの焼き物、青柚
  • 若竹の炊き合わせ、木の芽
  • ささがれいの骨煎餅
  • ぐじの南禅寺蒸し、生姜風味のあんかけ
  • 鶏のささみの薄造り、柚胡椒ドレッシング
  • 梅・山葵を天盛りにしたおにぎりの出汁づけ・若布、香の物
  • ミルクのシャーベット、イチゴのトッピング
で、お酒は「比叡・純米大吟醸」「立山・本醸造」とした。(こんな程度しかないのが残念だけど)
料理長の松下君が、店の若い衆と美山や花背で山菜を夜中に取ってきたという話を楽しみながら、食事が進む。カウンター横の囲炉裏で筍を焼く松下料理長の図。どこの店でもデジカメを持っていって、ピィとシャッターを押して、記録としているんやけど、皆さん一応関心を持ってくれる。でもパソコンをしようとまではなかなか進まない。まな板の上で飛び回る車エビ、はしりのハモ、旬のものの鯛やのれそれと楽しめる向付である。それぞれの料理に香り、味の濃淡に変化があって、コースが飽きない。わがままに一品料理を注文する旦那衆にはまだまだ就業不足やな。しばらくおまかせ客で腕を磨きましょう。「梨吉」の「南禅寺蒸し」とは、ちと違っていた。いろいろあるものです。ささみは変わり酢の物かな。2階が満席で、松下君が何皿これを作っていたか、数え切れない。これが向付で出てくるコースもあるみたいだ。ちょっとだけではあるが女将と話していたが、姉妹そっくりのしゃべり方。聞いてるだけで面白い。床は5月、9月が昼も床が営業、6、7、8月は夜だけ床が利用できます。「うづき」さんでは皐月の床では4品に御飯とデザートで5000円のコースのみ。案外飛び込みが多いそうです。この期間、休み無しです。今年、床を新調したらしい。


1999年7月17日(土)

早朝から「祇園祭」に旅立つ。 夕食は先斗町の「うづき」さんで納涼床です。

  • 先付(ハモ押し寿司、鯛の子琥珀羹、サーモン蓮根あわせ、三度豆のゴマ和え、八幡巻き、枝豆、山桃)
  • 野菜のけんちんのお清汁(茗荷の風味)
  • ハモの薄造り、皮の湯引き、浮き袋、肝の盛り合わせ
  • 加茂ナスの揚げ出し
  • 安曇川産鮎の塩焼き、このわた、茗荷
  • 鴨饅頭
  • ジュンサイの酢の物
  • アサリ茶漬け・香の物
  • ココナッツミルクのシャーベット
お酒は「比叡」で通す。一人一人のお皿に敷き詰められたハモの薄造りは手間暇かかった1品でした。加茂ナス、鴨饅頭など味わい深い1品です。この季節はお店も活気があって、日頃は「卯の花」が中心の、女将の「賀奈子」さんも、床の座敷で大わらわ。おとうはんの義郎氏もこの日は、「卯の花」におられたので、帰り際に挨拶だけする。残念なのは「粽寿司」がなかったことかな?


1999年2月25日(木)

夕御飯には先斗町「卯月」を予約していた。「ウナギの寝床」そのままのお店の奥に設けられたカウンターの鴨川を望める席に座る。結局、カウンターには帰るまでに他の客は来ず、板長といろいろ話す。ここの板長も34歳と若い。滋賀の草津出身で親近感が出る。

  • 先付は海老、湯葉揚げ、鯛の子、手鞠寿司
  • たい、あぶらめ、さより、あかがいの造り
  • うに鍋
  • 羽二重蒸し
  • 牡蛎の貝殻焼き
  • 穴子の一夜干しの焼き物
  • 鮪茶漬け
  • ココナッツシャーベット
美味しく頂く。贅沢な時間と空間を満喫。「比叡・純米大吟醸」を頂く。
map
§                    §§§
─┘└───────────────────────
              三条通り
─┐┌──────────────┐┌───────
§││              ││  §§§
§││              ││  §§§
§││            眠眠││  §§§
─┘└──────────────┘│  §§§
─┐┌──────────┐┌───┘  §§§
§││          ││      §§§
§││          ││      §§§
§││          ││先斗町   §§§
§││          ││ 歌舞練場 §§§
─┘└──────────┘│      §§§
─┐┌──────────┐│      §§§
§││          ││      §§§
§││          ││      §§§
§││          ││      §§§
§││          ││      §§§
§││木         ││先     §§§
§││屋         ││斗     §§§
§││町         ││町
高││通         ││通      鴨
瀬││          ││
川││          ││       川
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§│├──────────┤│      §§§
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§││          ││
§││          ││
§││          ││
§││          ││京料理うづき
§│├──────────┤│ 075(221)2269
§││          ││
§││          ││
§││          ││
§│├──────────┤│
─┘│          ││
─┐│有料        ││ 公園
§   駐車場

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